「豊岡演劇祭2021」ラインナップ発表、平田オリザらが“おすすめ演目”明かす

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「豊岡演劇祭2021 Toyooka Theater Festival」の記者会見が、昨日7月15日にオンライン開催された。

左から高宮浩之、平田オリザ、相馬千秋。

左から高宮浩之、平田オリザ、相馬千秋。

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「豊岡演劇祭2021 Toyooka Theater Festival」ビジュアル

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2019年にスタートした「豊岡演劇祭」は、兵庫・豊岡市を中心に実施される演劇祭。「ともに呼吸する。」をスローガンに掲げた今回は、9月9日から20日まで行われ、ラインナップには公式プログラムに加え、公募アーティストによるフリンジプログラムや、各エリアと連携した関連プログラムが並ぶ。なお、今年は豊岡市に加え、養父市、香美町でもプログラムが展開する。

左から平田オリザ、高宮浩之。

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記者会見には、豊岡演劇祭実行委員会の高宮浩之会長、フェスティバルディレクターの平田オリザ、総合プロデューサーの相馬千秋、プロデューサーの藤井さゆり、河村竜也、田口幹也が出席。平田は、まず昨年と大きく異なる点を、自身が学長を務める芸術文化観光専門職大学の開学だと話し、「学生約80名がインターンとして参加し、日本中から来るお客様をおもてなしします」とアピール。さらに「今回は、昨年より観光との結びつきや、“まちづくり”を強く意識したラインナップになっています。豊岡市を含む、但馬地域は日本有数の観光資源の宝庫。その魅力をアートで再発見していきたい。私たちが『豊岡演劇祭』で目指すのは、フェスティバル期間以外にも(但馬地域に)来たくなるフェスティバル。演劇祭期間中は、演劇を観るのに忙しくてゆっくりできなかったから、今度は演劇祭がないときにのんびり来よう、と思っていただきたい」と開催の意気込みを語った。

岩下徹×梅津和時 即興セッション「みみをすます(谷川俊太郎同名詩集より)」ビジュアル(photo by bozzo)

岩下徹×梅津和時 即興セッション「みみをすます(谷川俊太郎同名詩集より)」ビジュアル(photo by bozzo)[拡大]

マレビトの会「グッドモーニング」ビジュアル(イラストレーション:カナイフユキ)

マレビトの会「グッドモーニング」ビジュアル(イラストレーション:カナイフユキ)[拡大]

公式プログラムには、岩下徹×梅津和時 即興セッション「みみをすます(谷川俊太郎同名詩集より)」、マレビトの会「グッドモーニング」、範宙遊泳「『バナナの花は食べられる』豊岡演劇祭ver.」、百瀬文「鍼を打つ」、ツァイ・ミンリャン「蘭若寺の住人」、青年団「東京ノート」、ヌトミック「ぼんやりブルース」、Platz市民演劇プロジェクト「豊岡かよっ!」、サエボーグ「House of L」、山海塾「降りくるもののなかでーとばり」、青年団「KOTATSU」、てんらんかい「但馬づくしの講談会 於出石永楽館」、烏丸ストロークロック「但東さいさい」、to R mansion「へんてこうじょう」、青年団「銀河鉄道の夜」がラインナップされた。青年団「KOTATSU」は、フランスの劇作家・演出家のパスカル・ランベールが、青年団に書き下ろし、演出する新作。平田は「豊岡演劇祭は、“国際演劇祭”としてスタートしましたが、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、これまでは国際色を出すことは難しかった。今年からは来年以降につなげていこうという思いで、“今やれる”国際的なラインナップも入れています」と語る。

左から河村竜也、相馬千秋。

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フリンジプログラムには、現在31団体がエントリーしている。河村は、フリンジプログラムに127もの応募があったことを明かしつつ、「応募内容が昨年と比べて、市民参加型の企画や、屋外での公演企画が多いことが印象的でした。市民や来訪されるお客様の皆様には、観るだけではなく、体験しながら味わっていただければ」と話す。また、関連プログラムには、JR西日本の観光列車・うみやまむすびとスイッチ総研のコラボレーション企画「絶景!!日本海!山陰本線ローカル駅スイッチ」や、豊岡市内の宿やレストランで古典文学のリーディングを楽しむことができる「よるよむきのさき お食事×文学×リーディング」といった、地域密着型のプログラムが並んだ。

「豊岡演劇祭2021 Toyooka Theater Festival」記者会見の様子。

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記者から「おすすめの演目を教えてほしい」と問われると、平田は「その質問、来ると思っていました(笑)」とニヤリと笑い、「大きな目玉は、やはり山海塾さんの『降りくるもののなかでーとばり』じゃないでしょうか。また、私達の世代で言うと、(『みみをすます』出演の)ミュージシャン・梅津和時さんは、神様みたいな人。梅津さんの生演奏と、岩下徹さんのダンスが観られるということで、皆様には至福の時間を体験していただけるかと」とコメントした。

左から河村竜也、相馬千秋。

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相馬は平田の発言に頷きつつ、サエボーグ「House of L」と百瀬文「鍼を打つ」を推し、「『豊岡演劇祭』の魅力は、いろんな価値観が集まっているという多様性。そういう意味でも、サエボーグさんのパフォーマンスは、大人も子供も、それぞれの感性で楽しむことができる作品。遊戯的な空間の中で、社会批評的なものもありつつ、お客様が会場に好きなだけいられるという設計にもなっています。『鍼を打つ』は、はり師の方が来場者に実際に鍼を打つ、という作品なのですが、志賀直哉が治癒のため泊まっていた宿、城崎温泉 三木屋さんで実施されます。1回に6人までの定員となっているので、チケット争奪戦間違いなしなのですが(笑)、はり師さんが6人、お客様が6人という、1対1でのパフォーマンスになります。場所も相まって、ここでしかできない、特殊な体験になるのでは」と話す。

左から藤井さゆり、田口幹也。

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藤井は「その会場、そのエリアでできあがった作品を体験していただきたい」と話し、玄武洞公園、諸杉神社、但馬漁業協同組合 竹野支所と3つの場所で、即興セッションとして上演される「みみをすます」と、出石永楽館で開催されるてんらんかい「但馬づくしの講談会 於出石永楽館」、そして烏丸ストロークロックが、民話をモチーフに、そのエリアの子どもたちと神楽を制作するプログラム「但東さいさい」を挙げた。

左から高宮浩之、田口幹也、藤井さゆり、平田オリザ、相馬千秋、河村竜也。

左から高宮浩之、田口幹也、藤井さゆり、平田オリザ、相馬千秋、河村竜也。[拡大]

最後に平田は「東京の演劇界は新型コロナウイルスにより、経済面・精神面で深い傷を負っています。だからこそ、豊岡で演劇の明かりを灯し続けるということが、とても大事なメッセージになると思っています。また第1回、第2回と開催を続けていくことが、来年以降、若手の演劇人にとって『豊岡で演劇をやりたい』という気持ちを育てることにつながれば」と言葉に力を込めた。チケットの一般販売は、8月6日にスタート。なお、サエボーグ「House of L」は、現在出演者を募集している。詳細は公式サイトを確認しよう。

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「豊岡演劇祭2021 Toyooka Theater Festival」

2021年9月9日(木)~20日(月・祝)

公式プログラム

岩下徹×梅津和時 即興セッション「みみをすます(谷川俊太郎同名詩集より)」

2021年9月9日(木)
兵庫県 玄武洞公園

2021年9月11日(土)
兵庫県 諸杉神社

2021年9月14日(火)
兵庫県 但馬漁業協同組合 竹野支所

出演:岩下徹梅津和時

マレビトの会「グッドモーニング」

2021年9月10日(金)~12日(日)
兵庫県 城崎国際アートセンター

作・演出:松田正隆
出演:生実慧、石田ミヲ、小坂浩之、酒井和哉田中夢西山真来深澤しほ、松橋和也、三間旭浩矢野昌幸山科圭太、吉田萌、我妻直弥

範宙遊泳「『バナナの花は食べられる』豊岡演劇祭ver.」

2021年9月18日(土)・19日(日)
兵庫県 城崎国際アートセンター

作・演出・映像操作:山本卓卓
出演:埜本幸良福原冠井神沙恵入手杏奈細谷貴宏 ほか

百瀬文「鍼を打つ」

2021年9月10日(金)~14日(火)
兵庫県 城崎温泉 三木屋

構成・演出:百瀬文

ツァイ・ミンリャン「蘭若寺の住人」

2021年9月9日(木)~12日(日)、16日(木)~19日(日)
兵庫県 芸術文化観光専門職大学 小劇場

監督:ツァイ・ミンリャン
脚本:ツァイ・ミンリャン、クロード・ワン
出演:リー・カンション、チェン・シァンチー、イン・シンルー・イーチン

青年団「東京ノート」

2021年9月14日(火)~20日(月・祝)
兵庫県 芸術文化観光専門職大学 学術情報館

作・演出:平田オリザ
出演:山内健司松田弘子永井秀樹、小林智、兵藤公美能島瑞穂大竹直長野海堀夏子村田牧子中村真生菊池佳南佐藤滋中藤奨吉田庸藤谷みき石渡愛、木村巴秋、南風盛もえ、山田遥野

ヌトミック「ぼんやりブルース」

2021年9月16日(木)~18日(土)
兵庫県 芸術文化観光専門職大学 劇場

構成・演出・音楽:額田大志
出演:朝倉千恵子鈴木健太、長沼航、額田大志、原田つむぎ、藤瀬のりこ

Platz市民演劇プロジェクト「豊岡かよっ!」

2021年9月11日(土)・12日(日)
兵庫県 豊岡市民プラザ

作・演出:内藤裕敬
出演:福重友、松浦絵里、市橋若奈、寒川晃、有田達哉、ことえ、坂口修一 / 天野敦史、居相歩美、岡村美佳、奥村佳子、川口八郎、小石原千尋、坂岡明美、杉山功起、高橋玲奈、椿野真世、野村聡子、ひさ、藤原奈緒美

※高橋玲奈の「高」ははしご高が正式表記。

サエボーグ「House of L」

2021年9月17日(金)~20日(月・祝)
兵庫県 豊岡市民プラザ

構成・デザイン:サエボーグ
ドラマトゥルク:セバスチャン・ブロイ

山海塾「降りくるもののなかでーとばり」

2021年9月19日(日)・20日(月・祝)
兵庫県 豊岡市民会館

演出・振付・デザイン:天児牛大
音楽:加古隆、YAS-KAZ、吉川洋一郎
舞踏手:蝉丸、竹内晶、市原昭仁、松岡大、岩本大紀、高瀬誠、伊藤壮太郎

※蝉丸の「蝉」は旧字体、高瀬誠の「高」ははしご高、「瀬」は旧字体が正式表記。

青年団「KOTATSU」

2021年9月9日(木)~12日(日)
兵庫県 江原河畔劇場

作・演出:パスカル・ランベール
共同演出・日本語監修:平田オリザ
翻訳:平野暁人
出演:山内健司、兵藤公美、太田宏、知念史麻、申瑞季荻野友里、佐藤滋、森一生名古屋愛、淺村カミーラ

てんらんかい「但馬づくしの講談会 於出石永楽館」

2021年9月11日(土)
兵庫県 出石永楽館

講談台本:四代目旭堂南陵 ほか
構成・総合演出:天明留理子
出演:旭堂南陵一門

烏丸ストロークロック「但東さいさい」

2021年9月14日(火)
兵庫県 畑山 日出神社

2021年9月17日(金)
兵庫県 唐川 岡神社

2021年9月20日(月・祝)
兵庫県 久畑 一宮神社

構成・テキスト・演出:柳沼昭徳
音楽・チェロ演奏:中川裕貴
出演・囃子:澤雅展、坂田光平、崎田ゆかり、柳泰葉、但東のこどもたち ほか

to R mansion「へんてこうじょう」

2021年9月11日(土)
兵庫県 香住区中央公民館

2021年9月12日(日)
兵庫県 ビバホール

作・出演:上ノ空はなび、丸本すぱじろう、野崎夏世、江戸川じゅん兵
音楽・演奏:イーガル

青年団「銀河鉄道の夜」

2021年9月18日(土)
兵庫県 香住区中央公民館

2021年9月20日(月・祝)
兵庫県 ビバホール

原作:宮沢賢治
作・演出:平田オリザ
出演:田崎小春、永田莉子、福田倫子、たむらみずほ、瀬戸ゆりか

フリンジプログラム 参加団体ラインナップ

Our Clothesline with Monica Mayer「The Clothesline in Toyooka」
有吉宣人「小学生と『失敗』を探る演劇ワークショップ『失敗がいっぱい』」
一般社団法人毛帽子事務所「豊岡物語プロジェクト」
居留守「不 快 な も の に 触 れ る」
ゑびす大黒座「地獄極楽 妖怪ショー!!」
演劇ユニット茶話会「いかけしごむ」
おもたせシアター「あさねぼうの神さま」
かもめマシーン「もしもし、シモーヌさん」
北近畿ドラムサークル “COCOneiRO”「コミュニティドラムサークル」
日本相撲聞芸術作曲家協議会(JACSHA)×太田奈緒美×波田野州平 「風土とともにつくるということ ― 竹野で生まれた2つの作品をめぐる映像上映と交流会」
小菅紘史×中川裕貴「山月記」
坂口修一「『お父さんのバックドロップ』リーディング公演」
佐藤朋子「明日への寓話―ツル/アンティゴネ(仮)」
The end of company ジエン社「何もしない園」
SCOOL「演劇を配信することについて」
高山玲子「演劇の町」
竹中香子「竹中香子プレゼンツ『しおりの部屋』」
舘そらみ「体験型講座『脚本家の仕事を疑似体験~物語のタネを作る方法~』」
ダンスカンパニー DE PAY’S MAN「パーティ・チューン ~ストリート進行計画~」
月灯りの移動劇場「Peeping Garden | re:creation」
日坂春奈「そうめん食堂とかみしばいや(仮)」
バストリオ+松本一哉「黒と白と幽霊たち」
ファニーボーンズwithヨッシー「The Little Little Big Show」
PUYEY(ぷいえい)「today in 出石」
MuDA × AKIRA∞IKEDA × 村山大明「OKUKINOSAKI ART CYPHER」
ムニ「須磨浦旅行譚」
森永明日夏「オンラインでNYとつながって演劇で遊んでみよう!」
山川陸+武田侑子(Transfield Studio)「Sound miles」
ルサンチカ「WILD THINGS」
y/n「カミングアウトレッスン」

※Monica Mayerの、oはアキュートアクセント付き、ゑびす大黒座の「黒」は旧字体が正式表記。

関連プログラム

城崎発演劇列車 JR西日本観光列車「うみやまむすび」×スイッチ総研「絶景!!日本海!山陰本線ローカル駅スイッチ」

2021年9月11日(土)~13日(月)
兵庫県 香住駅、鎧駅、餘部駅

「よるよむきのさき お食事×文学×リーディング」

2021年9月9日(木)・10日(金)、13日(月)~15日(水)

「フェスティバルナイトマーケット」

2021年9月10日(金)・11日(土)
兵庫県 江原駅前イベント広場

2021年9月18日(土)~20日(月・祝)
兵庫県 市役所本庁舎前市民広場

「劇評企画(仮)」

コーディネーター:山崎健太
執筆者:渋革まろん、關智子、高嶋慈

※山崎健太の「高」ははしご高が正式表記。

ON-PAM「Next Producers Meeting」

コーディネーター:坂本もも、谷陽歩

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※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
※2021年9月15日追記:本公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。

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