2016年2月2日にスタートした舞台のニュースサイト・ステージナタリーは、2026年2月2日に10周年を迎えます。ローンチした直後に、ナタリー創業者の大山卓也から「ここからもう止められないよー」と言われたその意味は、この10年、身をもって感じてきました。1日も休まず、更新し続けること。全方位にアンテナを張り続けること。10年、毎日新たな情報を発信し続けることができたのは、舞台を愛し、ステージナタリーを必要としてくださる方たちのおかげです。本当にありがとうございます。
10年の間には、コロナ禍をはじめとするさまざまな出来事があり、舞台業界は変化を求められてきました。ステージナタリーも同様です。これからもまた、変化は続いていきます。しかしずっと変わらないのは、舞台からもらう“希望”です。この10年、さまざまな舞台に出会い、忘れがたい時間を劇場で過ごしてきました。その時々、劇場で感じた思いの数々を、舞台を愛する皆さんと今一度確かめ合いたい、もう一度あの時間を振り返りたい。ぜひ多くの方に「もう一度観たいあの舞台」総選挙にご参加いただけましたら幸いです。
ステージナタリー編集長
熊井玲

たくさんのご参加ありがとうございました!
ただいま投票結果を集計中です。
2026年2月2日の結果発表まで、しばらくお待ちください。
「もう一度観たいあの舞台」総選挙とは
2026年2月2日にステージナタリーが10周年を迎えるにあたり、過去10年の舞台界を読者の皆さんと振り返る、ユーザー参加型の投票企画です。11月4日から13日までの「事前投票」を経て、30作品が選出。12月2日から11日まで「本投票」が行われました。
スケジュール
- 事前投票
- 2025年11月4日(火)12:00~2025年11月13日(木)23:59
- 本投票
- 2025年12月2日(火)12:00~2025年12月11日(木)23:59
- 結果発表
- 2026年2月2日(月)
- 音楽劇「浅草キッド」
- ミュージカル「アナスタシア」(2023年)
- ミュージカル「天翔ける風に」
- シス・カンパニー「アルカディア」
- DISCOVER WORLD THEATRE vol.11「ウェンディ&ピーターパン」
- 「Endless SHOCK」(2024年)
- ミュージカル「GIRLFRIEND」
- ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」(2025年)
- 愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」
- TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-「死の笛」
- ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」
- ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」(2025年)
- KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ジャズ大名」
- ミュージカル「ダーウィン・ヤング 悪の起源」
- 舞台「ダブル」
- 世田谷パブリックシアター×パソナグループ「CHIMERICA チャイメリカ」
- ミュージカル「DEATH TAKES A HOLIDAY」
- 「舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」
- ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」
- 「夏の夜の夢」
- 舞台「ナナシ-第七特別死因処理課-」
- ブロードウェイミュージカル「ニュージーズ」(2021年)
- 「NOISES OFF」(2023年)
- 2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎「バサラオ」
- PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「ひげよ、さらば」
- ブロードウェイミュージカル「ビートルジュース」(2025年)
- NODA・MAP「フェイクスピア」
- 少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」(2020年)
- 「陽気な幽霊」
- ミュージカル「ワイルド・グレイ」
音楽劇「浅草キッド」
ビートたけしの青春自伝小説「浅草キッド」を原作にした舞台作品。1988年と2002年にテレビドラマ化、2021年にNetflixで劇団ひとりの監督で映画化され話題となった同作が、脚本・演出に福原充則、音楽・音楽監督に益田トッシュを迎え、初めて舞台化された。林遣都が主人公・武役、山本耕史が師匠・深見千三郎役で出演。当時まだ何者でもなかった青年・武は、とある夏、のちの人生を決定づける師匠・深見と出会う。劇中では、武が若き日に苦楽を共にした芸人仲間や、たくましく生きるストリッパーたちと過ごした日々の物語が展開する。
ミュージカル「アナスタシア」(2023年)
アニメ映画「アナスタシア」から着想を得て制作されたミュージカル。日本では2020年に初演を迎えたが、新型コロナウイルスの影響で大半の公演が中止となった。2023年に一部キャストを変更し再演。劇中では、記憶を無くした主人公アーニャが、自分の過去を取り戻し愛する家族と自分の心の帰る場所を見つけるまでの旅路が、ステファン・フラハティの美しい旋律や世界最高水準の高精細LED映像を用いて華やかに描かれる。アーニャ役を葵わかな、木下晴香、逆境を生き抜いてきた孤児で詐欺師のディミトリ役を海宝直人、相葉裕樹、内海啓貴が演じた。
ミュージカル「天翔ける風に」
ドストエフスキーの「罪と罰」をもとに、野田秀樹が舞台を幕末の日本に置き換えて描いた「贋作・罪と罰」を、謝珠栄が2001年にミュージカル化。以降、上演を重ね、2023年のプロダクションでは、謝が演出・振付をリニューアルし、10年ぶりにお目見えした。江戸開成所に通う三条英は、男社会で孤軍奮闘していた。英は貧しい人々から法外な利息を取る高利貸しの老婆を殺害しようとするも、居合わせた老婆の妹まで手にかけてしまう。そんな英のことを、同じ志を持つ才谷梅太郎は心配し……。三条英役で珠城りょう、才谷梅太郎役で屋良朝幸が出演。
シス・カンパニー「アルカディア」
イギリスの劇作家トム・ストッパードが1993年に発表し、翌年のローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞に輝いた戯曲を、栗山民也の演出で日本初演。イギリスの豪壮なカントリーハウスの居間を舞台に、19世紀に生きた貴族と、200年後の現代を生きる貴族の末裔たちという、交わることのない人々の姿が、さまざまな謎と共に浮かび上がる。哲学的・数学的なセリフが飛び交う本作で、堤真一、寺島しのぶ、井上芳雄、浦井健治、趣里らが、研究や恋愛に熱を注いだ登場人物たちの“愛の物語”を繊細に見せた。井上と浦井は、本作でストレートプレイ初共演。
DISCOVER WORLD THEATRE vol.11「ウェンディ&ピーターパン」
Bunkamura シアターコクーンによる「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズの第11弾。J.M.バリー作「ピーターパン」の物語を、エラ・ヒクソンがウェンディの視点で捉え直し、大胆に翻案した。演出は、「DISCOVER WORLD THEATRE」には本作で3度目の登場となったジョナサン・マンビィ。作中では、生命が有限であることへの恐怖や、それとどう向き合うか、そして女性の自立などが、誠実かつユーモアたっぷりに描かれた。ウェンディを黒木華、ピーターパンを中島裕翔、フック船長とダーリング氏を堤真一が演じたほか、平埜生成、前原滉、富田望生、山崎紘菜、玉置孝匡、石田ひかりらが出演。
「Endless SHOCK」(2024年)
「SHOCK」は、堂本光一が主演を務め、2000年に帝国劇場で初演されたミュージカルシリーズ。2005年以降は堂本自らが脚本・演出・音楽を務め、コロナ禍には「Endless SHOCK」のスピンオフ「Endless SHOCK -Eternal-」も誕生した。命綱なしのリボンフライングや迫力の階段落ちなどで知られるが、休館前の帝国劇場ラストイヤーとなる2024年に、堂本が終幕を決意。ライバル役に佐藤勝利、中山優馬、上田竜也を迎えたツアー公演が行われ、華々しく幕を閉じた。堂本は本作で、国内演劇における代役なしの単独主演記録2000回を達成した。
ミュージカル「GIRLFRIEND」
アメリカのシンガーソングライター、マシュー・スウィートのCDアルバム「GIRLFRIEND」をもとにした二人芝居のポップロックミュージカル。小山ゆうなが演出を担当し、日本初演を迎えた。ネブラスカ州の田舎町で育ったマイクとウィル。スポーツ万能で人気者のマイクと、学校になじめず、夢も見つからないウィルという異なるタイプの2人は、交流がなかった。しかし、高校卒業時にマイクがウィルにミックステープを渡したことをきっかけに、2人の距離が縮まり……。ウィル役を高橋健介、島太星、井澤巧麻、マイク役を萩谷慧悟、吉高志音、木原瑠生が演じた。
ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」(2025年)
2005年公開の同名映画を、ハーヴェイ・ファイアスタインの脚本、シンディ・ローパーの作詞・音楽、ジェリー・ミッチェルの演出・振付でミュージカル化。日本では2016年に小池徹平と三浦春馬のW主演で初演され、その後、2019・2022年にも上演された。2025年版では主要キャストがほぼ一新。チャーリー・プライス役を東啓介、有澤樟太郎、ローラ役を甲斐翔真、松下優也がWキャストで演じ、作品ファンを熱狂の渦へと誘った。劇中では、経営難の靴工場を継いだチャーリーが、ドラァグクイーンのローラと出会い、運命を賭けたブーツ作りに挑む様子が描かれる。
愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」
ミュージシャンである池田貴史のソロプロジェクト、レキシの楽曲をもとに、たいらのまさピコ(河原雅彦)が原案・演出・上演台本を手がけたミュージカル。引きこもり歴25年の男がレキシーランドを訪れ、“愛の始まり”にたどり着く様子が、「狩りから稲作へ」「きらきら武士」「姫君Shake!」「SHIKIBU」「最後の将軍」「墾田永年私財法」「そうだレキシーランド行こう」などの楽曲を用いてつづられる。主人公・織田こきんを山本耕史が演じたほか、松岡茉優、佐藤流司、高田聖子、井上小百合、前田悟、浦嶋りんこ、山本亨、藤井隆、八嶋智人らが出演。
TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-「死の笛」
TEAM NACSのメンバーそれぞれが表現したい世界を形にするソロプロジェクト「TEAM NACS Solo Project 5D2 -FIVE DIMENSIONS II-」の安田顕による企画・プロデュース公演。安田の熱烈なラブコールにより、坂元裕二脚本、水田伸生演出で林遣都との二人芝居が実現した。戦地の兵舎で、敵対する別々の国家に所属しながらも厨房を分け合い生活を送ることになった兵士2人の姿が描かれる。安田が娘を殺され、復讐心に苛まれるカノオに、林が兵舎の外に住む女性に恋をしているウスダにそれぞれ扮し、緊張感と笑いが交錯する約2時間の芝居を、緩急あるパフォーマンスで演じ切った。
ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」
2007年にチェコで創作され、2009年に韓国で独自のアレンジが施されて上演されたミュージカル作品。“日本演出版”としてお目見えしたプロダクションでは、白井晃が演出を担当した。19世紀末のイギリスで起きた猟奇連続殺人事件をモチーフに、純真なエリートだが闇に堕ちていく外科医・ダニエルと孤高の刑事・アンダーソン、連続殺人鬼・ジャック、娼婦たちの姿が描かれる。ダニエル役を木村達成と小野賢章、アンダーソン役を加藤和樹と松下優也、ジャック役を加藤と堂珍嘉邦がそれぞれWキャストで演じた。出演者の顔のパーツで構成されたメインビジュアルも話題に。
ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」(2025年)
マーシャル・ブリックマン&リック・エリスが脚本、ボブ・ゴーディオが音楽、ボブ・クルーが詞を手がけた、2005年初演のミュージカル。音楽グループ・The Four Seasonsの栄光とその後が描かれる。日本では2016年、2018年、2022年に上演され、2018年、2020年にはコンサート版が披露された。2025年版では過去公演に引き続き、藤田俊太郎が演出を務めた。新旧4チームでの上演となり、Team BLACKに中川晃教、藤岡正明、東啓介、大山真志、Team YELLOWに小林唯、spi、有澤樟太郎、飯田洋輔、Team GREENに花村想太、spi、有澤、飯田、New Generation Teamに大音智海、加藤潤一、石川新太、山野靖博が名を連ねた。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ジャズ大名」
筒井康隆の同名小説を、福原充則、山西竜矢の上演台本、福原の演出で舞台化。江戸末期、音楽好きの藩主・大久保教義が、アメリカから漂着した黒人奴隷が奏でる音楽のとりこになり、城中でジャムセッションを繰り広げる様子をにぎやかに描く。本作では物語の舞台を九州の小藩から実在した小田原藩の支藩・萩野山中藩に置き換え、神奈川の史実を盛り込んだオリジナル作品として創作。大久保教義役の千葉雄大のほか、藤井隆、大鶴佐助 山根和馬、富田望生、大堀こういち、板橋駿谷、北尾亘、永島敬三、福原冠といった個性豊かな出演者がそろったほか、関島岳郎の音楽が作品を彩った。
ミュージカル「ダーウィン・ヤング 悪の起源」
パク・チリの小説を原作にした、韓国発のオリジナルミュージカル。2018年にソウル芸術団によって初演された本作を、末満健一が、潤色・演出した。劇中では、市街が9つのエリアに区分され、厳格な階級制度が敷かれた架空の都市を舞台に、全寮制のプライムスクールに通う16歳の少年ダーウィン・ヤングの物語が展開。骨董品交換会で手に入れたカセットプレイヤーをきっかけに、ヤング家三世代の運命が交錯する。演出家・末満の個性がダークな作品世界に似合った本作。ダーウィン役を大東立樹と渡邉蒼がWキャストで務めた。
舞台「ダブル」
第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞した野田彩子のマンガを、青木豪の脚本、中屋敷法仁の演出で舞台化。天才役者とその代役という特異な関係性の物語が、みずみずしく立ち上げられた。天性の魅力で徐々に役者としての才能を開花させていく宝田多家良を和田雅成、多家良の才能に焦がれながらも彼を支える鴨島友仁を玉置玲央が演じた。そのほか、井澤勇貴、護あさな、牧浦乙葵、永島敬三が出演。熱量高いセリフの応酬や、演じ手のイマジネーションの広がりを映像で投影する手法で、作中に描かれる“演劇愛”が届けられた。
世田谷パブリックシアター×パソナグループ「CHIMERICA チャイメリカ」
イギリスの劇作家ルーシー・カークウッドによる社会派戯曲が、栗山民也の演出で日本初演された。本作はイギリス初演時にカークウッドが若手だったことと、戯曲のうまさが話題を呼び、2014年のローレンス・オリヴィエ賞では最優秀作品賞を含む5部門に輝いた。1989年、天安門広場で戦車の前に立ちはだかる男の写真を撮影したアメリカ人のジョー・スコフィールド。その写真は“タンクマン”として世界的に知られることになった。23年後、ジョーは中国人の旧友から、その男の事実を聞かされ、男の軌跡を追い始める。田中圭がジョー役を演じた。
ミュージカル「DEATH TAKES A HOLIDAY」
作詞・作曲モーリー・イェストンにより、2011年にオフブロードウェイで初演されたミュージカル。劇中では、死せる魂を“あちら側”へと導くことに疲れ果てた死神が、ロシア貴族のニコライ・サーキ王子の姿になりすまし、2日間の休暇を公爵一家と共に過ごす様子がコミカルに展開される。死神は人の目を通して、生きる意味を、命とは何か、知ることができるのか……! 日本では2023年に宝塚歌劇月組公演として上演され、同作を手がけた宝塚歌劇団の生田大和が2024年公演の潤色・演出を担当。主演を小瀧望が務めた。
「舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」
DMM GAMESとNITRO PLUSが共同制作した刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞ONLINE」を原案とした、末満健一脚本・演出による「舞台『刀剣乱舞』」シリーズの1作。2016年「虚伝 燃ゆる本能寺」でスタートした「舞台『刀剣乱舞』」シリーズの集大成となった本作では、“刀剣とは”“歴史とは”という命題の答えを探し求めてきた刀剣男士たちの問いが、ある結論に達したほか、天下五剣の1つで最も美しいとされる三日月宗近の謎が提示される。三日月宗近を鈴木拡樹、山姥切国広を荒牧慶彦が演じた。そのほかの出演者に玉城裕規、中河内雅貴、碓井将大。
ミュージカル「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」
オフ&オンブロードウェイを席巻した話題作が、小林香の演出、井上芳雄の主演で日本初演。ロシアの貴族社会を描いたレフ・トルストイの叙事詩「戦争と平和」を原作に、愛のない結婚生活を送り、人生に虚しさを抱えていたピエールが、美しい伯爵令嬢ナターシャと出会い、運命にのみ込まれていく様子を描く。ブロードウェイでは客席と舞台の境をなくした演出が好評を博したが、日本版でもそれが一部踏襲され、臨場感あふれる劇体験が届けられた。ピエール役の井上のほか、ナターシャ役の生田絵梨花、そして霧矢大夢、小西遼生らが出演。
「夏の夜の夢」
中村芝翫が主演を務める、ウィリアム・シェイクスピア作品の第2弾。訳の河合祥一郎、演出の井上尊晶、音楽の松任谷正隆という、2018年に上演された「オセロー」のスタッフとキャストが再集結した。本作では舞台が日本に置き換えられ、森の妖精の王オーベロンと王妃ティターニアの喧嘩、ライサンダー、ハーミア、ディミートリアス、ヘレナの恋模様、職人たちによる劇中劇が、エネルギッシュな“愛の喜劇”として届けられた。芝翫がオーベロン / テーセウス役、南果歩がティターニア / ヒポリュテ役を演じ、髙地優吾、生駒里奈、元木聖也、堺小春らが出演。
舞台「ナナシ-第七特別死因処理課-」
DMM TV「2.5次元的世界」にて配信されたオリジナルドラマ「ナナシ-第七特別死因処理課-」を舞台化。「MANKAI STAGE『A3!』」のコンビ、松崎史也(演出)&亀田真二郎(脚本)が手がけた舞台版では、第七特別死因処理課(通称“ナナシ”)の結成当初の物語が描かれた。死神たちが勤める中央死因管理局、第一死因処理課のエースで、皆のあこがれの存在であるチョッキューは、あることをきっかけに引退を考え始めていた。そんな彼のもとに新部署立ち上げの話が転がり込み……。チョッキュー役を立花裕大が演じたほか、田中涼星、福澤侑らが出演。
ブロードウェイミュージカル「ニュージーズ」(2021年)
同名映画をもとにディズニー・シアトリカル・グループが制作し、2012年にオンブロードウェイで初演された話題のミュージカルが、小池修一郎の演出・日本語訳・訳詞のもと、日本初演された。1899年のアメリカ・ニューヨークを舞台に、“ニュージーズ”と呼ばれた新聞販売の少年たちが労働争議を巻き起こし、自分たちの生活と仲間を守るために立ち上がる様子が、エネルギッシュなダンスシーンと共に描かれる。新聞販売の少年たちの中心人物となるジャックを、京本大我が繊細に演じた。そのほかの出演者に咲妃みゆ、松岡広大、加藤清史郎ら。
「NOISES OFF」(2023年)
イギリスの劇作家マイケル・フレインによるシチュエーションコメディを、森新太郎が演出。舞台「ナッシング・オン」の本番を明日に控えたカンパニーは、深夜になっても舞台稽古に励んでいた。役者は段取りをつかめず、舞台監督は連日の徹夜でフラフラ、そこに演出家のダメ出しが飛ぶ。1カ月後、地方公演に姿を現した演出家はなぜかコソコソしていて……。森演出版では全編が関西弁に。藤井流星、羽野晶紀、平祐奈、伊礼彼方、小南満佑子、福本伸一、葛山信吾、紅ゆずる、山路和弘といった芸達者なキャストがそろった。
2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎「バサラオ」
劇団☆新感線の44周年興行で、主演・生田斗真の生誕39年を記念した“サンキュー公演”ともなった作品。劇中では、ヒノモトと呼ばれる国を舞台にしたダークスペクタクルが展開する。2020年に新型コロナウイルスの影響で一部公演が中止となった生田主演「偽義経冥界歌」のカムバック公演でもある本作で、生田は己の美貌を武器に、天下取りをもくろむ男・ヒュウガを好演。参謀としてヒュウガとバディを組む謎の男・カイリを中村倫也が演じた。ダークなトーンの物語の中にも、劇団☆新感線らしい歌あり踊りありのエンタメショーが熱量高く繰り広げられた。
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ「ひげよ、さらば」
上野瞭が1982年に発表した児童文学「ひげよ、さらば」を、蓬莱竜太の脚本・演出で舞台化。本作には、舞台初共演となった中島裕翔と柄本時生のほか、音月桂、忍成修吾、石田佳央、一ノ瀬ワタル、屋比久知奈、中村梅雀といった多彩なキャストが集結した。野良猫たちが暮らす峠は、野良犬たちに狙われていた。統率力のある犬たちに、自由気ままな猫たちが敗北するのは目に見えていたが、その状況に危機感を持った猫の“片目”は(柄本)、記憶をなくした猫・“ヨゴロウザ”(中島)をリーダーに担ぎ上げ、犬たちに対抗しようとするが……。
ブロードウェイミュージカル「ビートルジュース」(2025年)
ティム・バートンが監督した同名映画が原作のブロードウェイミュージカル。日本では福田雄一による演出で、2023年に初演、2025年に再演された。劇中では、不慮の事故で命を落としたアダムとバーバラの幽霊夫婦が、彼らの家に引っ越してきた家族を追い出そうと、トラブルメイカーの“バイオエクソシスト”、ビートルジュースを呼び出す様が描かれる。初演に続きタイトルロールを務めたのは、SixTONESのジェシー。歌にダンスにコメディにと芸達者ぶりを発揮し、輝いた。勝地涼、愛加あゆ、清水美依紗、山﨑玲奈、吉野圭吾、瀬奈じゅんらが出演。
NODA・MAP「フェイクスピア」
野田秀樹が“フェイク”な言葉が蔓延る現代に“マコト”の言葉とは何かを問う意欲作。舞台は恐山。イタコ見習いの皆来アタイ(白石)のもとに、小さな箱を抱えた男・mono(高橋)と、年配の男・楽(橋爪)がやって来る。死者の言葉を聞き出そうとするが、シェイクスピアの四大悲劇のセリフが飛び出して……。日航機事故のボイスレコーダーに残された言葉を、演劇的に、セリフと身体表現を駆使して俳優たちが舞台に現出させた場面は圧巻。高橋一生が本作でNODA・MAPに初参加したほか、川平慈英、伊原剛志、前田敦子、村岡希美、白石加代子、橋爪功らが顔をそろえた。本作は第29回読売演劇大賞にて大賞・最優秀作品賞に選ばれたほか、高橋が最優秀男優賞、野田が優秀演出家賞に輝いた。
少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」(2020年)
2009年に宇宙飛行士・毛利衛が発表した児童文学を、毛利亘宏率いる少年社中が舞台化。2012年初演、2017年に少年社中・東映プロデュースとして上演され、2020年に再演された。劇中では、父との約束を果たすために人類初の火星探検に挑む宇宙飛行士のモマと、宇宙で行方不明になった父親にメッセージを送ろうと、仲間と小型ロケットを作るユーリの物語が展開。2017年、2020年公演では矢崎広がモマを、生駒里奈がユーリを演じ、“夢を追いかけること”の素晴らしさを、役を通して観客に届けた。鎌苅健太、赤澤燈、鈴木勝吾、小須田康人らも出演。
「陽気な幽霊」
イギリスの劇作家ノエル・カワードによるウェルメイドコメディを、演出の熊林弘高が新たな解釈で上演。再婚し、妻ルースと共に暮らしていた小説家チャールズは、小説の取材のために霊媒師を招いて降霊会を開催する。ところが霊は現れず、会はお開きに。しかし、皆が帰ったあとに7年前に亡くなったチャールズの前妻エルヴィラが幽霊の姿で現れて……。一風変わった霊媒師のもとで、夫を巡り新旧2人の妻が嫉妬と意地の愛憎を爆発させる本作で、田中圭が主人公チャールズ役を演じ、若村麻由美がエルヴィラ、門脇麦がルースに扮した。
ミュージカル「ワイルド・グレイ」
イ・ジヒョンの脚本、イ・ボムジェの音楽で2021年に初演された韓国ミュージカルが、根本宗子の演出で上演された。劇中で展開するのは、現実世界で求めることができない自由を、芸術に求めるオスカー・ワイルドと、その友人で支持者のロバート・ロス、ドリアン・グレイにそっくりな青年アルフレッド・ダグラスの3者の物語。ピアノ、チェロ、バイオリンの生演奏が男たちの物語に彩りを添えた。福士誠治、平間壮一がロバート・ロス役、立石俊樹、廣瀬友祐がオスカー・ワイルド役、東島京、福山康平がアルフレッド・ダグラス役で出演。
「もう一度観たいあの舞台」総選挙に先駆けて、さまざまなジャンルで活躍し、“舞台ファン”としても足繁く劇場に通ってきたアーティスト10名に、思い出の1作品を挙げてもらうコラムを公開中です。彼らが挙げた作品やエピソードから、皆さんの“舞台ファン”としての10年を振り返ってみてください。
2025年12月12日更新















