ミュージカル「SPY×FAMILY」待望の再演をau Live Streaming・TELASAで配信!東京公演をレポート、G2・かみむら周平が語る「SPY×FAMILY」の魅力

2023年に初演され、多くの観客を魅了したミュージカル「SPY×FAMILY」が2025年に待望の再演を迎えた。遠藤達哉の人気マンガ「SPY×FAMILY」(集英社)を原作にしたミュージカル「SPY×FAMILY」では、〈黄昏たそがれ〉のコードネームを持つスパイの男ロイド・フォージャー、殺し屋の女ヨル・フォージャー、超能力者の少女アーニャ・フォージャーが、お互いの正体を隠しながら“仮初めの家族”になる姿が描かれる。

au Live StreamingおよびTELASAでは、12月29・30日に行われる愛知・御園座公演の模様を独占配信。配信に先駆けステージナタリーでは、ミュージカル「SPY×FAMILY」の脚本・作詞・演出を手がけるG2、作曲・編曲・音楽監督を担うかみむら周平に、再演でアップデートされた部分や、配信ならではの見どころを聞いた。また、一部新キャストを迎えた再演の様子について舞台写真を交えて紹介する。

取材・文 / 興野汐里

au Live StreamingおよびTELASAでは、ミュージカル「SPY×FAMILY」御園座公演の模様を独占配信!

ミュージカル「SPY×FAMILY」ライブ配信
2025年12月29日(月)・30日(火)

配信情報

①12月29日(月)17:00公演

キャスト
ロイド・フォージャー:木内健人
ヨル・フォージャー:和希そら
アーニャ・フォージャー:西山瑞桜
ユーリ・ブライア:吉高志音
フィオナ・フロスト:山口乃々華
フランキー・フランクリン:鈴木勝吾
ヘンリー・ヘンダーソン:鈴木壮麻
シルヴィア・シャーウッド:朝夏まなと
ほか


②12月30日(火)12:00大千穐楽公演

キャスト
ロイド・フォージャー:森崎ウィン
ヨル・フォージャー:唯月ふうか
アーニャ・フォージャー:村方乃々佳
ユーリ・ブライア:瀧澤翼
フィオナ・フロスト:山口乃々華
フランキー・フランクリン:鈴木勝吾
ヘンリー・ヘンダーソン:鈴木壮麻
シルヴィア・シャーウッド:朝夏まなと
ほか


配信サイトオープン日時
開演時刻の30分前

配信チケット販売期間
①12月29日(月)17:00公演
2026年1月5日(月)20:00まで
②12月30日(火)12:00大千穐楽公演
2026年1月6日(火)20:00まで

アーカイブ配信期間
①12月29日(月)17:00公演
公演終了後準備でき次第開始~2026年1月5日(月)23:59
②12月30日(火)12:00大千穐楽公演
公演終了後準備でき次第開始~2026年1月6日(火)23:59

販売価格
Pontaパス会員価格:5000円(税込)
一般価格:5500円(税込)

特典映像
①12月29日(月)17:00公演
アーニャ(泉谷星奈)の歌唱映像ダイジェスト
②12月30日(火)12:00大千穐楽公演
アーニャ(月野未羚)の歌唱映像ダイジェスト

※本編終了後に特典映像が配信されます。


配信チケットをau Live Streamingで購入

配信チケットをTELASAで購入

キャスト陣が高い解像度でキャラクターを立ち上げる、ミュージカル「SPY×FAMILY」再演

2023年に帝国劇場ほかで上演され、話題となったミュージカル「SPY×FAMILY」の再演が、9月のウェスタ川越 大ホールにおけるプレビュー公演を皮切りにスタートした。10月には日生劇場公演が開幕。その後、11月から12月にかけて、大阪・福岡・山形・静岡・愛知を巡っている。

〈黄昏〉のコードネームを持つスパイの男ロイド・フォージャー役を演じるのは、初演から続投の森崎ウィン、初演でフランキー・フランクリン役を務めた木内健人。殺し屋の女ヨル・フォージャー役を、オリジナルキャストの唯月ふうかと新キャストの和希そらが演じ、超能力者の少女アーニャ・フォージャー役をいずれも新キャストの泉谷星奈、月野未羚、西山瑞桜、村方乃々佳が務める。ヨルの弟ユーリ・ブライア役には、オリジナルキャストの瀧澤翼と新キャストの吉高志音が名を連ね、情報屋フランキー・フランクリン役にはミュージカル「SPY×FAMILY」初登場の鈴木勝吾がキャスティングされた。また、〈黄昏〉が所属する〈WISEワイズ〉の諜報員〈夜帷とばり〉としての裏の顔を持つフィオナ・フロスト役の山口乃々華、イーデン校の寮長ハウスマスターヘンリー・ヘンダーソン役の鈴木壮麻、〈黄昏〉の上司シルヴィア・シャーウッド役の朝夏まなとが初演から続投。安定感のあるオリジナルキャストにフレッシュなキャストを加えて、新たな座組でミュージカル「SPY×FAMILY」の世界を立ち上げる。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー(中央)。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー(中央)。

初演で東京公演の会場となった帝国劇場は、建て替えのため、2025年2月をもって休館。日本のグランドミュージカルの聖地・帝国劇場ももちろん良かったが、劇場内の壁や天井が曲面で構成された、幻想的な雰囲気が漂う日生劇場も「SPY×FAMILY」の世界観とよく似合う。

編集部は、Wキャストおよびクワトロキャストのうち、ロイド役の森崎、ヨル役の唯月、アーニャ役の月野、ユーリ役の瀧澤が出演した日生劇場公演を取材。ステージ上には、西洋の街並みを思わせる舞台美術が組まれ、ステージ中央には映像投影用のLEDパネルが設置されている。「SPY×FAMILY」で描かれる東国〈オスタニア〉と西国〈ウェスタリス〉の戦いを彷彿とさせるような銃声が鳴り響いたのち、重厚なオーケストラの音楽に乗せ、「人はみな 誰にも見せぬ自分を持っている」という原作のフレーズを用いた荘厳なナンバーで舞台は幕を開けた。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から木内健人演じるロイド・フォージャー、鈴木勝吾演じるフランキー・フランクリン。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から木内健人演じるロイド・フォージャー、鈴木勝吾演じるフランキー・フランクリン。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から泉谷星奈演じるアーニャ・フォージャー、木内健人演じるロイド・フォージャー、和希そら演じるヨル・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から泉谷星奈演じるアーニャ・フォージャー、木内健人演じるロイド・フォージャー、和希そら演じるヨル・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、吉高志音演じるユーリ・ブライア(左)。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、吉高志音演じるユーリ・ブライア(左)。

森崎が演じるロイドは、西国の情報局対東課〈WISE〉に所属する〈黄昏〉が、精神科医に扮した“仮初め”の姿。〈黄昏〉は、東西平和を脅かす東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため、オペレーション〈ストリクス〉と呼ばれる任務に取り掛かる。その任務は、“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入し、デズモンドに接触せよ”というもの。ロイドは任務を遂行するために、孤児院で出会ったアーニャを引き取り、市役所で働くヨルと偽装結婚をする。しかし実は、ヨルは幼少期から殺人術を叩き込まれた殺し屋〈いばら姫〉で、アーニャはとある組織の実験で偶然生み出された超能力者だった。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から森崎ウィン演じるロイド・フォージャー、月野未羚演じるアーニャ・フォージャー、唯月ふうか演じるヨル・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から森崎ウィン演じるロイド・フォージャー、月野未羚演じるアーニャ・フォージャー、唯月ふうか演じるヨル・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー(左)。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー(左)。

フォージャー一家を演じる森崎、唯月、月野の3人は、小気味良いテンポでコミカルな会話を繰り広げながら、本当の家族さながらの“仮初めの家族”像を立ち上げる。森崎は、凄腕のスパイ〈黄昏〉の仕事ぶりを表すような感情を押し殺した低い声と、「子供が泣かない世界を作りたい」と願う青年らしい温かな歌声を、シーンごとによって見事に使い分けた。唯月は、おっちょこちょいで弟思いなヨルをチャーミングに演じつつ、早くに親を亡くし、家計を支えるために裏稼業を続ける〈いばら姫〉を演じる際は、鋭い目つきで華麗なアクションを披露。現在8歳の月野は、小さな身体をめいっぱい使って、好奇心旺盛で天真爛漫なアーニャを演じた。また、“ちち”であるロイドと“はは”であるヨルの心を読み、2人の助けになりたいとアーニャが奮闘するキュートな姿にも注目だ。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から唯月ふうか演じるヨル・フォージャー、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー、月野未羚演じるアーニャ・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から唯月ふうか演じるヨル・フォージャー、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー、月野未羚演じるアーニャ・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、朝夏まなと演じるシルヴィア・シャーウッド(中央)。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、朝夏まなと演じるシルヴィア・シャーウッド(中央)。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から瀧澤翼演じるユーリ・ブライア、唯月ふうか演じるヨル・フォージャー、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から瀧澤翼演じるユーリ・ブライア、唯月ふうか演じるヨル・フォージャー、森崎ウィン演じるロイド・フォージャー。

ロイドやヨルの関係者を演じるオリジナルキャストの面々も、初演時よりさらにキャラクターへの理解を深めている。ユーリ役の瀧澤は、姉のヨルを慕うあまり敵意むき出しでロイドに迫る様と、東国の秘密警察・国家保安局員として毅然とした態度を取る姿を、メリハリのある演技で立ち上げる。フィオナ役の山口は、フィオナこと〈夜帷〉が〈WISE〉の先輩〈黄昏〉に対し恋慕を吐露するシーンを、さらにエモーショナルな場面へと進化させ、ヘンリー役を演じる鈴木壮麻とシルヴィア役の朝夏は、数々なミュージカルで鍛えた力強い歌声で物語に説得力を持たせた。

なお、au Live StreamingおよびTELASAでは、森崎&唯月出演回に加え、木内&和希出演回も配信される。この機会にぜひ両公演をライブ配信で視聴してみては。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から山口乃々華演じるフィオナ・フロスト、朝夏まなと演じるシルヴィア・シャーウッド。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、左から山口乃々華演じるフィオナ・フロスト、朝夏まなと演じるシルヴィア・シャーウッド。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、鈴木壮麻演じるヘンリー・ヘンダーソン。

ミュージカル「SPY×FAMILY」より、鈴木壮麻演じるヘンリー・ヘンダーソン。

ミュージカル「SPY×FAMILY」の生みの親、クリエイター陣が語る作品の魅力

G2(脚本・作詞・演出)

G2

──G2さんは初演に続き再演、さらには2026年9・10月に上演されるミュージカル「SPY×FAMILY 2」の脚本・作詞・演出を手がけます。ミュージカル「SPY×FAMILY」に携わって改めて感じた、原作の魅力を教えてください。

スパイ、殺し屋、超能力少女が、互いの素性を隠しそれぞれの目的のために偽りの「家族」となり、良い意味でアクションシーンが中心ではなく、センスの良いギャグを織り交ぜ、「家族」を守るために奮闘する心温まるエピソードを通して、たとえ疑似であっても家族の存在が、いかに希望と勇気を与えてくれるか感じさせてくれる原作。そういう意味でミュージカルとの親和性の高い、エモーショナルな演出が可能な作品だと思います。

──再演にあたり、アップデートした部分があれば教えてください。

初演はとにかく音楽の周平ちゃんと二人三脚で“がむしゃら”に走りきったという記憶があり、あまりにも厖大な量の音楽を詰め込んでしまったけれど、それはそれでエネルギー値の高い、疾走感が爽快な作品になったかと思います。が、再演に臨み、初演では時間切れで手の届かなかった細かな心遣いを行き届かせることに注力しました。おかげで音楽が大きなグルーヴを持たせることができたと感じています。

──au Live Streaming・TELASAで配信を視聴する方に向けて、鑑賞する際の注目ポイントを教えてください。

とにかくミュージカルとしての量と質の高みに挑戦した作品です。そこは何度かご覧になることによって「うわあ、ここは、こうなってたりするのか」という驚きを感じていただける、という配信ならではの楽しみ方もありますし、初演をご覧になった方は、かなりグレードアップした2幕後半にご注目いただきたいと思います。ビジュアルも含め、一気に畳みかけるエネルギーあふれる場面の連続となっていますので、お楽しみに。

プロフィール

G2(ジーツー)

演出家・劇作家。1987年、演劇ユニット・売名行為で演出家デビュー。升毅との劇団・MOTHERを経て、1995年から2013年まで演劇ユニット・G2プロデュースを主宰した。篠井英介、深沢敦、大谷亮介のユニット・3軒茶屋婦人会や俳優9名とのユニット・モジリ兄とヘミングにも参加。ストレートプレイからミュージカルまで幅広い作品を手がけている。2026年3・4月に吉住モータース presents「欲望という名の電車」(翻訳・演出)、同年5月にミュージカル「アイ・ラブ・坊っちゃん」(演出)、同年7月に舞台「成瀬は天下を取りにいく」(脚本・演出)、同年9・10月にミュージカル「SPY×FAMILY 2」(脚本・作詞・演出)の公演を控える。

かみむら周平(作曲・編曲・音楽監督)

かみむら周平

──かみむらさんは音楽監督として、ミュージカル「SPY×FAMILY」初演、再演、2026年9・10月に上演されるミュージカル「SPY×FAMILY 2」に参加しています。ミュージカル「SPY×FAMILY」に携わって改めて感じた、原作の魅力を教えてください。

ミュージカル「SPY×FAMILY」には、お子様からお年寄りまで幅広い層のお客様が来てくださっていますが、それは単純にアーニャが可愛らしいから、スパイものでカッコいいからというだけではないと思うんです。人はみな、他者と関わるうえで“仮初め”の自分を演じることがある。たとえばヨルとユーリのように、互いを大切に思うからこそ、“仮初め”の自分を演じる場合もある。どんな人にも共感できる普遍的なメッセージが込められていることが、原作が持つ魅力なのではないでしょうか。

──再演にあたり、アップデートした部分があれば教えてください。

大まかに分けて4つあります。1つ目はコーラス。シルヴィアの歌に「勲章もなく新聞の片隅に載ることもない」という歌詞が出てきますが、群衆1人ひとりに人生があることが伝わるような表現にできればと心がけました。2つ目はフィオナのナンバー。フィオナがロイドのことを好きだと吐露するまでの、感情の流れの描き方が初演と変わったので、曲の雰囲気もガラリと変わっています。3つ目はオープニングで、4つ目は2幕のオープニング。初演のオープニングは、“戦争”というモチーフに引っ張られるように、楽器が1つずつ重なってコーラスにつながる作りだったのですが、再演版はよりミュージカルらしくショーアップした構成になっています。また、2幕のオープニングも同様にショーアップしています。

──au Live Streaming・TELASAで配信を視聴する方に向けて、配信で鑑賞する際の“必聴ポイント”を教えてください。

ミュージカル「SPY×FAMILY」は、「ここは歌のパートです」「ここはお芝居のパートです」と明確に分かれているわけではなく、基本的にずっと音楽が鳴っていて、それぞれのシーンがシームレスにつながる作りになっています。音楽家としては、配信で何度もくり返し観ていただき、「このメロディ、どこかのシーンで聴いたぞ!」「あのシーンとこのシーンの楽曲は一緒なんだ!」と“隠れミッキー”を発見するような気持ちで観ていただけたらうれしいです。

プロフィール

かみむら周平(カミムラシュウヘイ)

1979年生まれ、静岡県浜松市出身。作編曲家・ピアニスト。東京音楽大学作曲専攻「映画・放送音楽コース」卒業。蜷川幸雄、前川知大演出作品やミュージカル、映画の音楽を多数手がけている。近年の参加作品にミュージカル「モンパルナスの奇跡」「有頂天家族」(演出:G2)、イキウメ「ずれる」(演出:前川知大)、「浪人街」(演出:一色隆司)、「リア王」(演出:ショーン・ホームズ)、ロンドン公演「ウェンディ&ピーターパン」(演出:ジョナサン・マンビイ)、映画「破戒」(監督:前田和男)など。作品の世界観を俯瞰した緻密な音楽創りに定評がある。