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2011年に始まった「MPAD」は三重県内の飲食店・寺院を会場に、料理と俳優の身体を通じて名作・古典のリーディング公演を楽しめる企画。鎌ヶ谷アルトギルドは千葉県鎌ヶ谷市の梨園を創作の拠点に、“演劇の直売会”を行っている劇団で、「MPAD」は今回が初参加となる。
会場となったのは、津駅から徒歩約10分のところにある、広い庭が印象的な塔世山 四天王寺。「MPAD」でおなじみの会場で、今回はJR阿漕駅近くにあるキッチンワークペコリーノのお弁当が提供された。12マスに仕切られたお弁当にはブロッコリーの胡麻和えや紫キャベツのマリネ、人参きんぴらといった色鮮やかな副菜と、サーモン西京焼き、レンコン落とし揚げ、ハンバーグデミグラスソースなどの丁寧に作られたおかずがきちっと収められている。味はどれも柔らかで、口に入れた瞬間にホッとする味わいだった。またおかずと別に、生姜の香りがアクセントの鶏そぼろと、ほんのりとした甘さの炒り卵が乗った2色ご飯も。デザートにはとろりとした味わいのプリンも配られた。
食事のあと、本堂で観客が待機している間に会場が調えられ、紅葉が美しい庭で「さようなら」が上演された。「忍法帖」シリーズほかで知られる山田風太郎は、伝奇小説、推理小説、時代小説で人気を博した娯楽小説家。「さようなら」は、1匹のネズミの死体を発端に過去と現在の時間が交錯していく物語で、“瞬きするのを忘れるほどの「目の前の出来事」、その創造”を創作テーマに掲げる鎌ヶ谷アルトギルドは、そのミステリアスな劇世界を声と最低限の動きだけでドラマティックに立ち上げて行った。
なお「MPAD2025」は、昨日22日に三重・津あけぼの座で上演された「リーディング公演ダイジェスト見」をもって終演した。
MPAD2025
開催日程・会場
2025年11月12日(水)〜22日(土) ※公演終了
三重県 各所
スタッフ
村上龍「55歳からのハローライフ『結婚相談所』」
作:村上龍
演出:高川裕也
星新一「午後の恐竜」
作:星新一
演出:西本浩明
太宰治「駈込み訴え」
作:太宰治
演出:林英世
梨木香歩「家守綺譚」より7編
作:梨木香歩
演出:岩澤哲野
太安万侶編「耳で楽しむ古事記 ~その5 天孫降臨」
編纂:太安万侶
現代語訳:橘雪子
山田風太郎「さようなら」
作:山田風太郎
演出:石井幸一
出演
村上龍「55歳からのハローライフ『結婚相談所』」
高川裕也
星新一「午後の恐竜」
西本浩明
太宰治「駈込み訴え」
林英世
梨木香歩「家守綺譚」より7編
中條玲
太安万侶編「耳で楽しむ古事記 ~その5 天孫降臨」
田中遊 / 広田ゆうみ
山田風太郎「さようなら」
中谷あざみ / 櫻内華恵 / 鈴木正孝 / 爲近敦夫
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関連人物
ステージナタリー @stage_natalie
【公演レポート】「MPAD」初登場の鎌ヶ谷アルトギルドが、四天王寺の庭で山田風太郎を読む(舞台写真あり)
https://t.co/RRpy9Nl13R
#MPAD2025 https://t.co/y3HzltUTlV