キーワードは「私たちが共有する時間」ロームシアター京都の2018年度ラインナップ

4

75

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 19 19
  • 37 シェア

昨日3月8日に京都・ロームシアター京都の2018年度シーズン(2018年4月から19年3月まで)の自主事業ラインアップ記者発表会が行われた。

左から橋本裕介、柴田智靖、影山裕樹、遠山昇司、木ノ下裕一、笠井叡、きたまり。

左から橋本裕介、柴田智靖、影山裕樹、遠山昇司、木ノ下裕一、笠井叡、きたまり。

大きなサイズで見る(全8件)

会見には笠井叡木ノ下裕一、編集者・ライターの影山裕樹、映画監督・プロデューサーの遠山昇司きたまり、京都市交響楽団シニアマネージャー代行兼チーフマネージャーの柴田智靖、そしてロームシアター京都 / KYOTO EXPERIMENT プログラム・ディレクターの橋本裕介が登壇した。

橋本裕介

橋本裕介[拡大]

会見冒頭では、まず橋本が「ラインナップのテーマとして『私たちが共有する時間』ということを考えました」とコメント。「誰もがある限られた地域、時間というものに縛られて生きているわけですが、1つの時間や場所を共有できる劇場という空間ではもう少し長い射程、過程で物を考えることができるのではないか」と続け、その思いから、レパートリー作品や地域との連携、学芸や教育の普及などに力を入れていきたいと展望を語る。またロームシアター京都オープン時に掲げた「創造する劇場、育成する劇場、交流する劇場、生活の場である劇場」という4つの目標に橋本は改めて言及し、18年度のプログラムでもそれらの目標を意識したと語った。

その後、「演劇、舞踊、音楽、総合、参加する劇場へ」という5つの枠組みに沿って演目が紹介された。ラインナップには、日本では京都でのみ上演される岡田利規作・演出のミュンヘン・カンマーシュピーレ「NO THEATER」をはじめとする能をモチーフにした作品や、劇場とアーティストのタッグで生み出す“レパートリーの創造”第2弾、木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻(仮)」、笠井振付「高丘親王航海記」などが並ぶ。

木ノ下裕一

木ノ下裕一[拡大]

次にアーティストから各作品についての説明がなされた。木ノ下歌舞伎の木ノ下は「この作品は非常に長いスパンで語り継がれてきた演目です。これまでもいろんなアーティストが手がけていますが、それはこの作品には“日本”が描かれているからだと思うんです」と説明。さらに「我々がDNAのレベルでしか受け継いでいないような、宗教観とか死生観が含まれている。この作品を糸井さんと現代の物語として描き直そうとしています」と意気込みを語った。

笠井叡

笠井叡[拡大]

笠井は「自分の中では温め続けていた作品で、いつかできればという希望を持ってはいたのですが今回このような形でロームシアターで上演することになり、個人的にはとても感慨深いものがあります」と述べる。さらに「高丘親王航海記」の原作者である澁澤龍彦との親交について語り、「澁澤龍彦さんは天使のようでいて悪魔のような、存在自体が珍しい方。ダンサーである私から見てもその新体制や存在自体に惹かれるものがありました。オペラ座の怪人のように(笑)、いつまでも影響を与え続ける、“幻想の澁澤龍彦”という人物が浮かび上がってくるような作品が作れたらいいなと思っています」と言葉に力を込めた。

きたまり

きたまり[拡大]

そして「京都に住んで17、18年になりますが、京都を題材に作品を作るのは初めてです」と挨拶したのはきたまり。「京都に住んでいると“祈る”ことがよくあって、山に対して祈る、ということも日本では強くありますよね。山に対して祈るというのはどういう心理なのか、祈るという行為はどういう身体表現なのか。念仏踊など市民が昔から作ってきた芸術を題材に、コンテンポラリーダンス作品を立ち上げます」と意気込みを述べ、会見を締めくくった。

この記事の画像(全8件)

ロームシアター京都2018年度 自主事業ラインアップ

演劇

「市民寄席」

京都府 ロームシアター京都 サウスホール

第340回:2018年5月23日(水)
第341回:2018年7月25日(水)
第342回:2018年9月17日(月・祝)
第343回:2018年11月27日(火)
第344回:2019年1月27日(日)

「能の世界へおこしやす-京都薪能鑑賞のために-」

2018年6月1日(金)・2日(土)
京都府 ロームシアター京都 メインホール

出演:京都薪能出演能楽師

「第69回京都薪能 ー悲劇の英雄 義経の生涯ー」

2018年6月1日(金)・2日(土)
京都 平安神宮 

※雨天時はメインホールで開催。

「HANGMEN(ハングマン)」

2018年6月15日(金)~17日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

作:マーティン・マクドナー
翻訳:小川絵梨子
演出:長塚圭史
出演:田中哲司秋山菜津子大東駿介宮崎吐夢大森博史、長塚圭史、市川しんぺー谷川昭一朗村上航富田望生三上市朗羽場裕一

ミュンヘン・カンマーシュピーレ「NO THEATER」

2018年7月6日(金)~8日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

作・演出:岡田利規
翻訳:アンドレアス・レーゲルスベルガー
音楽:内橋和久
出演:マヤ・ベックマン、アンナ・ドレクスラー、トーマス・ハウザー、イェレーナ・クルジッチ、シュテファン・メルキ

※「NO THEATER」の「O」はマクロン付きが正式表記。

地点「忘れる日本人」

2018年7月18日(水)~21日(土)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

作:松原俊太郎
演出:三浦基
出演:安部聡子石田大小河原康二窪田史恵小林洋平田中祐気、麻上しおり

「能楽チャリティ公演 ~被災地復興、京都からの祈り~」

2018年8月23日(木)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

第1部:能「翁」(翁:片山九郎右衛門、三番三:茂山千三郎、千歳:橋本忠樹)、狂言「土筆」(シテ:茂山逸平)、能「葵上」(シテ:吉浪壽晃)
第2部:能「翁」(翁:井上裕久、三番三:茂山忠三郎、千歳:河村和晃)、狂言「舟船」(シテ:茂山千五郎)、 能「小鍛冶」(シテ:大江泰正)

シリーズ 舞台芸術としての伝統芸能 vol.2 能楽「鷹姫」

2019年2月3日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

原作:W.B.イェーツ
能本作者:横道萬里雄
曲節作者:観世寿夫
演出:観世銕之丞
出演:観世銕之丞、片山九郎右衛門 ほか

レパートリーの創造 木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻(仮)」

2019年2月10日(日)・11日(月・祝)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

作:菅専助、若竹笛躬
監修・補綴:木ノ下裕一
上演台本:糸井幸之介、木ノ下裕一
演出・音楽:糸井幸之介

第4回 全国学生演劇祭

2019年2月下旬
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

MONO「タイトル未定」

2019年3月下旬
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

舞踊

「芒(のぎ)の植え付け」「踊り場・叩き場 / 田中泯 meets 中村達也

2018年6月8日(金)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

出演:田中泯中村達也

ロレーヌ国立バレエ団「トリプルビル」

2018年9月21日(金)・22日(土)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

上演作品:「SOUNDDANCE」振付:マース・カニンガム、「STEPTEXT」振付:ウィリアム・フォーサイス、「DEVOTED」振付:セシリア・ベンゴレア&フランソワ・シェニョー
出演:ロレーヌ国立バレエ団

笠井叡振付「高丘親王航海記」

2019年1月11日(金)・12日(土)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

原作:澁澤龍彦
構成・演出・振付:笠井叡
出演:笠井叡、黒田育世近藤良平笠井瑞丈岡本優、篠原くらら、上村なおかBATIKダンサー、天使館オイリュトミスト

音楽

京都市交響楽団「京都 発見!クラシックVol.8」

2018年5月31日(木)
京都府 ロームシアター京都 メインホール

指揮:大友直人
管弦楽:京都市交響楽団
ゲスト:奥田瑛二、松田理奈

「京都岡崎音楽祭2018 OKAZAKI LOOPS『タンブッコ・パーカッション・アンサンブル コンサート&ワークショップ(仮)』」

2018年6月23日(土)・24日(日)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール ほか

「現代芸術の会=音楽の現在 音楽、言葉、表現が競い合うコンサート」

2018年9月29日(土)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

出演:原田節、中川俊郎、一柳慧、中川賢一、三浦基、地点

平成30年度 新国立劇場 高校生のためのオペラ鑑賞教室・関西公演「魔笛」全2幕

2018年10月29日(月)・31日(水)
京都府 ロームシアター京都 メインホール

指揮:園田隆一郎
演出:ウィリアム・ケントリッジ
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:京都市交響楽団

キャスト:
ザラストロ:長谷川顯
タミーノ:鈴木准
弁者・武士II:成田眞
僧侶・武士I:秋谷直之
夜の女王:安井陽子
パミーナ:林正子
侍女I:増田のり子
侍女II:小泉詠子
侍女III:山下牧子
パパゲーナ:九嶋香奈枝
パパゲーノ:吉川健一
モノスタトス:升島唯博
ほか

京都オペラ協会定期公演 ベッリーニ作曲「カプレーティ家とモンテッキ家」全2幕

2018年12月9日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

京響クロスオーバー「バレエ×オーケストラ」

2019年1月6日(日)
京都府 ロームシアター京都 メインホール

演出・振付:中村恩恵
指揮:下野竜也
出演:首藤康之、中村恩恵 / 林田翔平、渡辺理恵、全京都洋舞協議会(予定)
オーケストラ:京都市交響楽団

「小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトXVII 京都公演」

2019年3月
京都府 ロームシアター京都 メインホール

総合

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2018」

2018年10月6日(土)~28日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール、ノースホール、パークプラザ、京都芸術センター、 京都芸術劇場 春秋座 ほか

「ロームシアター京都×京都芸術センター U35 創造支援プログラム“KIPPU”」

ブルーエゴナク
2018年12月中旬
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

安住の地
2019年1月中旬
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

akakilike
2019年2月中旬
京都府 ロームシアター京都 ノースホール

参加する劇場へ

「プレイ!シアター in Summer」

2018年8月14日(火)・15日(水)
京都府 ロームシアター京都 全館
参加アーティスト:ユリイカ百貨店、トナカイサインズ、康本雅子 ほか

アクラム・カーン振付「Chotto Desh」

2018年8月11日(土)・12日(日)

ロームシアター京都×京都市文化会館5館連携事業 地域の課題を考えるプラットフォーム 「CIRCULATION KYOTOー 劇場編(仮)」

2018年12月1日(土)~2019年3月24日(日)
京都府 京都市東部文化会館、京都市呉竹文化センター、京都市西文化会館ウエスティ、京都市北文化会館、京都市右京ふれあい文化会館 ほか

参加アーティスト:きたまり相模友士郎遠山昇司×花房観音×円居挽、中野成樹+フランケンズ、村川拓也
エディトリアル・ディレクター(遠山昇司×花房観音×円居挽):影山裕樹

「ロームシアター京都 リサーチプログラム」

2018年7月~2019年3月

メンター:吉岡洋、若林朋子

「『いま』を考えるトークシリーズ」

通年(全4回予定)

ロームシアター京都×京都市ユースサービス協会連携事業「未来のわたしー劇場の仕事」

前期(夏)、後期(冬)予定

全文を表示

読者の反応

  • 4

ユリイカ百貨店 INFO @yuri_hyakka

プレイ!シアターにてお世話になります。とても楽しみです。
https://t.co/dShEENtAUm

コメントを読む(4件)

関連記事

笠井叡のほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 笠井叡 / 木ノ下裕一 / きたまり / 岡田利規 / 小川絵梨子 / 長塚圭史 / 田中哲司 / 秋山菜津子 / 大東駿介 / 宮崎吐夢 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします