東京国際映画祭全ラインナップ発表、コンペに「最低。」「勝手にふるえてろ」

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第30回東京国際映画祭のラインナップ発表会見が、本日9月26日に東京・六本木アカデミーヒルズで行われた。

第30回東京国際映画祭ラインナップ発表会見の様子。

第30回東京国際映画祭ラインナップ発表会見の様子。

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矢田部吉彦

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この会見では、コンペティション部門への出品作を含む全上映作品のラインナップや審査員が発表された。88の国と地域から1538本の応募があった新作コンペティション。プログラミングディレクターを務める矢田部吉彦は、この1年における映画界全体の傾向を「社会的状況を描く作品から、個人の内面に切り込んだ作品が増えてきた」と話す。そしてコンペティション部門にも、そういった傾向の作品が自然と多く並んだことを明かした。ラインナップ15本のうち、8作品がワールドプレミアとなる。日本からは瀬々敬久の「最低。」、大九明子の「勝手にふるえてろ」がノミネートされた。

そのほか「ハンナ・アーレント」のマルガレーテ・フォン・トロッタによる「さようなら、ニック」、マチュー・カソヴィッツが主演を務める「スパーリング・パートナー」、現代マレーシアの難民問題を描く「アケラット ーロヒンギャの祈り」、「不機嫌なママにメルシィ!」のギヨーム・ガリエンヌがメガホンを取った「マリリンヌ」などが並んだ。審査委員長を務めるのはトミー・リー・ジョーンズ。またマルタン・プロヴォ、レザ・ミルキャリミ、ヴィッキー・チャオ永瀬正敏が審査委員に名を連ねた。

石坂健治

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“長編映画の監督経験が3本まで”という条件で、アジアの新鋭監督を紹介するアジアの未来部門。かつて同映画祭に設けられていたヤングシネマ・コンペティションの意思を受け継ぎたいと語るプログラミング・ディレクターの石坂健治は、「未知との遭遇。まったく新しいアジア映画を、あなたの目で発見してください」と意気込む。10作品のうち、8本がワールドプレミアとなり、日本からは藤元明緒の「僕の帰る場所」が出品。そのほかシナグ・マニラ映画祭でグランプリを獲得したフィリピン映画「殺人の権利」、「父の初七日」のワン・ユーリンが監督を務めた「アリフ、ザ・プリン(セ)ス」などラインナップされた。

日本のインディペンデント映画を紹介する日本映画スプラッシュ部門には、松居大悟の「アイスと雨音」、内田英治の「神と人との間」、越川道夫の「二十六夜待ち」など9作品。日本公開が未定の世界各国の話題作を取り上げるワールド・フォーカス部門では、第70回カンヌ国際映画祭でオープニング上映にも選ばれたアルノー・デプレシャンによる「イスマエルの亡霊たち」、クレール・ドゥニの新作「レット・ザ・サンシャイン・イン」、第74回ヴェネツィア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した「スウィート・カントリー」、パオロ・タヴィアーニヴィットリオ・タヴィアーニ兄弟による「レインボウ」など24作品が鑑賞可能だ。

制作中の新作に関わるマークのTシャツを着て登場した原恵一。

制作中の新作に関わるマークのTシャツを着て登場した原恵一。[拡大]

会見にはコンペティション部門に出品された「最低。」より、監督を務めた瀬々、キャストの森口彩乃佐々木心音山田愛奈、同部門に出品された「勝手にふるえてろ」より、監督を務めた大九、また特集上映が行われる映画監督・原恵一がゲストとして応援に駆け付けた。さらに「勝手にふるえてろ」で主演を務めた松岡茉優からのコメント動画も上映された。瀬々は紗倉まなによる原作小説「最低。」について、「いわゆるAV業界の裏話的なものではなく、AV女優たちの友人や家族関係など、日常が緻密に書かれています」とコメント。着ているTシャツのマークについて問われた原は「実はこれ、今作ってる次回作に関わってるマークなんですよ」と明かした。

第30回東京国際映画祭は、10月25日から11月3日にかけて東京・六本木ヒルズほかにて開催。チケットは一部の作品のみ9月27日正午より先行抽選販売の申し込みを受け付け、10月14日に一般発売となる。スケジュールなどの詳細は、公式サイトで確認してほしい。

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第30回東京国際映画祭

2017年10月25日(水)~11月3日(金・祝)六本木ヒルズ、EX THEATER ROPPONGIほか

オープニング作品

曽利文彦鋼の錬金術師

第30回記念 オープニングスペシャル

チェン・カイコー「空海―KU-KAI―」フッテージ映像

クロージング作品

ボニー・コーエンジョン・シェンク不都合な真実2:放置された地球

コンペティション部門

エドモンド・ヨウ「アケラット ーロヒンギャの祈り」
シルヴィア・ルーツィ、ルカ・ベッリーノ「ナポリ、輝きの陰で」
テーム・ニッキ「ペット安楽死請負人
マルガレーテ・フォン・トロッタ「さようなら、ニック」
セミフ・カプランオール「グレイン」
ゴヴィンダ・ヴァン・メーレ「グッドランド」
アスガー・ユセフィネジャド「ザ・ホーム ー父が死んだ」
ドン・ユエ迫り来る嵐
瀬々敬久最低。
ギヨーム・ガリエンヌ「マリリンヌ」
ザザ・ハルヴァシ「泉の少女ナーメ」
リュボミル・ムラデノフ「シップ・イン・ア・ルーム」
サミュエル・ジュイ「スパーリング・パートナー」
ジャンナ・イサバエヴァ「スヴェタ」
大九明子勝手にふるえてろ

コンペティション部門審査委員

トミー・リー・ジョーンズ(審査委員長)
マルタン・プロヴォ
レザ・ミルキャリミ
ヴィッキー・チャオ
永瀬正敏

アジアの未来部門

ワン・ユーリン「アリフ、ザ・プリン(セ)ス」
テーブ・メーデーカル「ビオスコープおじさん」
カワェ・モインファル「人生なき人生」
チョウ・ズーヤン「老いた野獣」
藤元明緒僕の帰る場所
ロイ・アルセニャス「ある肖像画」
アーネル・“アルビ”・バルバローナ「殺人の権利」
プラープダー・ユン「現れた男」
チョン・イー「ソウル・イン」
ミヒャエル・オンデル「ポーカーの果てに」

アジアの未来部門審査委員

ホセ=ルイス・レボルディノス
オ・ジョンワン
行定勲

日本映画スプラッシュ部門

松居大悟アイスと雨音
緒方貴臣飢えたライオン
池田暁「うろんなところ」
森ガキ侑大おじいちゃん、死んじゃったって。
戸田ひかる「Of Love & Law」
内田英治神と人との間
渡辺紘文「地球はお祭り騒ぎ」
越川道夫二十六夜待ち
杉田協士ひかりの歌

日本映画スプラッシュ部門審査委員

ジェイコブ・ウォン
ナシェン・ムードリー
柳町

特別招待作品

アレハンドロ・ホドロフスキーエンドレス・ポエトリー
松永大司オトトキ
雨宮慶太「牙狼<GARO>神ノ牙-KAMINOKIBA-」
トラヴィス・ナイトKUBO/クボ 二本の弦の秘密
ギレルモ・デル・トロシェイプ・オブ・ウォーター
菅原浩志写真甲子園 0.5秒の夏
マーティン・マクドナースリー・ビルボード・アウトサイド・エビング、ミズーリ(原題)」
西田征史泥棒役者
今泉力哉パンとバスと2度目のハツコイ
グ スーヨン巫女っちゃけん。
SABU「Mr.Long/ミスター・ロン」
竹下昌男ミッドナイト・バス
ギヨーム・ルナール西見祥示郎「MUTAFUKAZ」
スティーブン・ノムラ・シブルRyuichi Sakamoto: CODA
スティーヴン・ソダーバーグローガン・ラッキー

特別上映

レフトリス・ハリートス「ドルフィン・マン」
杉田成道果し合い
ティエリー・フレモーリュミエール!

ワールド・フォーカス

グザヴィエ・ボーヴォワ「ガーディアンズ」
フィリップ・ヴァンレウ「シリアにて」
アルノー・デプレシャンイスマエルの亡霊たち
レイチェル・イスラエル「キープ・ザ・チェンジ」
クレール・ドゥニレット・ザ・サンシャイン・イン
アントニオ・メンデス・エスパルサ「ライフ・アンド・ナッシング・モア」
エマニュエル・グラス「マカラ」
パオロ・タヴィアーニヴィットリオ・タヴィアーニ「レインボウ」
ギレルモ・デ・オリベイラ「サッドヒルを掘り返せ
ウォーリック・ソーントン「スウィート・カントリー」
ツァヒ・グラッド「隣人たち」
リュウ・ジアン「Have a Nice Day」
キム・ヤンヒ「詩人の恋
ソニア・クロンルンド「ナッシングウッドの王子」
サナル・クマール・シャシダラン「セクシー・ドゥルガ」
チャオ・シアン「石頭」
デレク・ホイ「こんなはずじゃなかった!」
ダニエル・R・パラシオ「アンダーグラウンド」
プシュカル、ガーヤトリ「ヴィクラムとヴェーダ」
フルーツ・チャンメイド・イン・ホンコン デジタルリマスター版」
ワン・ワンロー「フォーリー・アーティスト」
ホアン・シンヤオ「大仏+」
ギデンズ・ゴー「怪怪怪怪物!
ワン・レン「超級大国民 デジタルリマスター版」

Japan Now

吉田大八美しい星
石井裕也映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
三島有紀子幼な子われらに生まれ
是枝裕和三度目の殺人
大林宣彦花筐/HANAGATAMI
河瀬直美
湯浅政明夜は短し歩けよ乙女

銀幕のミューズたち

蒼井優岩井俊二花とアリス」、山田洋次家族はつらいよ2
安藤サクラ:ヤン・ヨンヒ「かぞくのくに」、安藤桃子0.5ミリ
満島ひかり石川慶愚行録」、越川道夫「海辺の生と死
宮崎あおい青山真治EUREKA(ユリイカ)」、李相日怒り

国際交流基金アジアセンター presents CROSSCUT ASIA#04 ネクスト!東南アジア

ファン・ダン・ジー「大親父と、小親父と、その他の話」
イスマイル・バスベス「回転木馬は止まらない」
ウィットチャーノン・ソムウムチャーン「4月の終わりに霧雨が降る」
HF・ヤンバオ「キリスト」
エリック・オン「私のヒーローたち」
カーステン・タンポップ・アイ
BW・プルバ・ヌガラ「他者の言葉の物語」
エドモンド・ヨウ「ヤスミンさん」
マイク・デ・レオンカカバカバ・カ・バ?
「カンボジア若手短編集」

ユース

「キッド」
「キートンのマイホーム」
キートンの蒸気船
「冒険」
「午前一時」
質屋
「映画万歳!」
「ハウス・オブ・トゥモロー」
「リーナ・ラブ」
マウンテン・ミラクル
「TIFFティーンズ映画教室」

日本映画クラシックス

山椒大夫 4Kデジタル復元版」
影武者 4Kデジタルリマスター版」
「楢山節考 デジタルリマスター版」
近松物語 4Kデジタル復元版」

第30回東京国際映画祭プレゼンツ 歌舞伎座スペシャルナイト

舞踊「男伊達花廓」
地獄門 4Kデジタル復元版」

映画監督 原恵一の世界

エスパー魔美 星空のダンシングドール
「エスパー魔美」第54話「たんぽぽのコーヒー」、第96話「俺たちTONBI」
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
河童のクゥと夏休み
カラフル(2010年)
はじまりのみち
百日紅~Miss HOKUSAI~

Tokyo Film Arena

「写真甲子園 0.5秒の夏」上映記念 スペシャル・トーク&ライブ
パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」MovieNEX発売記念 プレミアムフライデー・ハロウィンシネマ
WOWOWとGYAOの新番組「僕声」製作決定記念 声優トークイベント
ポケモンアニメ・映画20周年記念 特別ステージ

野外上映 Cinema Arena 30

アルゴ
アルマゲドン(1998年)
ウォーリー
エアフォース・ワン
カールじいさんの空飛ぶ家
歓待1.1
グリーン・デスティニー
「刑事ジョン・ブック 目撃者」
最強のふたり
ザ・タウン
サラの鍵
12人の優しい日本人
シングルマン
滝を見にいく
チャーリーズ・エンジェル
トム・アット・ザ・ファーム
初恋のきた道
フィールド・オブ・ドリームス
ブタがいた教室
不都合な真実
迷子の警察音楽隊
めぐり逢えたら
ユージュアル・サスペクツ
湯を沸かすほどの熱い愛

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ

「ゴジラ」シネマ・コンサート

ゴジラ(1954年)

TIFF マスタークラス

ブリランテ・メンドーサ監督の演出論(仮題)
曽利文彦「ハガレン」トークイベント
河瀬直美スペシャルトークイベント(仮題)
第4回“SAMURAI(サムライ)”賞受賞記念 坂本龍一スペシャルトークイベント~映像と音の関係~

スティーヴン・ソダーバーグの世界 supported by American Airlines

セックスと嘘とビデオテープ
オーシャンズ11
エージェント・マロリー

トリビュート・トゥ・ミュージカル

オズの魔法使
サウンド・オブ・ミュージック
オペラ座の怪人(2004年)
「レ・ミゼラブル」
ラ・ラ・ランド
美女と野獣(2017年)」

ミッドナイト・フィルム・フェス!

WOWOW 映画工房 300回&「君の名は。」初放送記念 新海誠オールナイト in 東京国際映画祭
ジョージ・A・ロメロ フォーエバーナイト ~ロメロよ今夜もありがとう~
都会女子論 ~幸せのかたちは自分で決める!
ジグソウ:ソウ・レガシー」公開記念!朝まで同“ソウ”会!
SHINPA vol.6 in Tokyo International Film Festival

ジョージ・イーストマン博物館映画コレクション

「ベン・ハー(1926年)」
戦艦バウンティ号の叛乱
人生の乞食
マルクス一番乗り
「クイーン・ケリー スワンソン・エンディング版」
生まれながらの悪女
グランド・ホテル
パンドラ

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