原作・金城宗幸、マンガ・三宮宏太、キャラクターデザイン・ノ村優介によるコミックスを映画化した「劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-」が、全国で上映中。「ブルーロック」の潔世一に次ぐもう1人の主人公・凪誠士郎は、相棒・御影玲王とともに世界一のストライカーを育成する“ブルーロック(青い監獄)”プロジェクトに参加する。“天才”は見つける者がいて初めてその輪郭を成す──凪はそこで潔や蜂楽廻、糸師凛といったライバルたちとぶつかり合い、自身の“エゴ”に目覚め天才として覚醒していく。
映画ナタリーでは、「ブルーロック」ファンのBE:FIRST・JUNONとRYUHEIにインタビューを実施。オーディションでの出会いから現在に至るまで、彼らの関係性に変化はあったのか。原作の魅力や劇場版の見どころとともに、「自分たちで『楽曲制作にもっと携わりたい』と主張した」「自分の中にあるものを最大限に生かす」などと、アーティストとして抱く“エゴ”も語ってもらった。
取材・文 / 岸野恵加撮影 / 後藤壮太郎
「劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-」予告編公開中
それが凪と玲王のサッカーなんだな(RYUHEI)
RYUHEI 今日って、どれくらいの時間話せますか?
──それは、時間が足りるか心配になるくらい、映画についてお話ししたいことがあるということでしょうか……?
RYUHEI はい!
JUNON (笑)。でもわかる。時間足りるかな……。
──それだけ夢中になって鑑賞していただいたということで、うれしいです。お二人はもともと「ブルーロック」のファンなんですよね。
JUNON 何かの配信をきっかけにアニメを観て、続きが気になってしまって、原作の単行本を買いました。まだ全巻は読めてないんですけど。
RYUHEI 初めて(原作と)出会ったのは2、3年前。今でもはっきり覚えています。何か面白いマンガが読みたくて、ふらっと書店に行ったんです。僕はマンガを買うときは、絶対にまず3巻まで読むって決めているんですよね。3巻まで読めば面白さがわかるので。それで「ブルーロック」を読んだらもう止まらなくて。今も最新刊の発売日は、必ず書店に買いに行きます。
──「ブルーロック」のどういった部分に、そこまで惹かれたんでしょうか?
JUNON サッカーを盛り上げていくために必要な環境が描かれていると思いました。現実味のない突き抜けた描写もあるけど、「確かにここまでやったら、本当にいいストライカーが生まれるかもしれない」と思わされて。日本人は特に、決定力のあるストライカーを求める人が多いですよね。そういう現状をしっかりと把握している人が作っている物語だな、と思いました。
RYUHEI プロの選手で「ブルーロック」にハマっている人も多いし、ファン層も広いですよね。僕はプレーの描写に惹かれました。サッカーって90分間の試合のうち、ゴールの瞬間は一瞬じゃないですか。その一瞬を切り取って描くのがすごく上手で、痺れましたね。あと、キャラクターそれぞれの体の特徴がしっかり描き分けられているな、と。
──なるほど。劇場版では本編の“ブルーロック(青い監獄)”での物語を、凪と玲王の視点から描いています。鑑賞してまず率直にいかがでしたか。
JUNON 本編ではわからなかったキャラクターの心情が描かれていてよかったですね。凪が潔のチームに入りたいと言ったとき、心の奥底ではそういうことを思っていたんだな、とか。映像として観ると、すごく感動的でした。
RYUHEI うん。凪って本編だと順調に上り詰めていくキャラクターだけど、本人の気持ちやサッカーに対しての向き合い方を細かく知れてよかったし、そこが一番観たかった部分だなと思いました。才能を持っているだけではなく、自分でちゃんと解決できる自立したキャラクターであることが証明されている。だからこそストライカーとしての強さがあるんだなって。あと、最初に“ブルーロック(青い監獄)”に入る決断をするシーンで、みんなは一気に走っていくけど、凪と玲王は最後に残るじゃないですか。あそこは本編にはなかったですよね。
JUNON うんうん、なかった。
RYUHEI この映画だからこそ観られたシーンだし、面白いなと思いました。凪と玲王、そして絵心(甚八)がそれぞれ違う気持ちを持っていて。よく考えると、絵心が語る「己のゴールを何よりの喜びとし、その瞬間のためだけに生きろ それがストライカーだろ?」という“エゴ”とは、玲王は逆のことを言っているんですけどね。でもそれが凪と玲王のサッカーなんだな、と、2人の友情を感じるシーンでもありました。あとは、チームZが出てきたときに感じる“実家感”というか……。
JUNON うん。反対の視点からチームZを見るのが新鮮だった。本編ではチームVの凪と玲王がチームZにとっての強敵として描かれているけど、チームVの視点から見ると、チームZが強く見えるという。
RYUHEI 本編よりチームZの強さが強調されていたと思うし、チームZをずっと見てきた側としては、彼らの魅力や強さが描かれていてうれしくなりました。
凪は「BOSS」「玲王」と呼び名を使い分けてる(JUNON)
──「ブルーロック」には魅力的で個性あふれるキャラクターが多いですが、お二人が特に好きなキャラクターはいますか?
JUNON 僕は特に誰というのはないんですよね。凪のことは純粋にうらやましいです。だってこれだけの身体能力をもともと持っていて、サッカーを始めて半年でここまでの実力になって。それまで何もしてこなかったのに!
RYUHEI 確かに(笑)。
JUNON あと、蜂楽のプレースタイルはすごく好きですね。
RYUHEI 蜂楽の本番に強いあのマインドは“ブルーロック(青い監獄)”と相性がいいよね。俺もライブのときに欲しいもん。でもあの感覚って、自分もパフォーマンスしていて感じるときがあるよね?
JUNON ゾーンに入って疲れを感じなくなるみたいな感覚ね。部活でサッカーをしているときもあったし、パフォーマンスでも感じることはある。「ブルーロック」ではその瞬間がわかりやすく描かれていますね。
──RYUHEIさんは、特に好きなキャラクターを挙げるとすると?
RYUHEI 悩むな、どうしよう……。凪か(ミヒャエル・)カイザーかな。カイザーはぶんどる精神がいいし、シンプルに強い。ほかの誰にもない能力を持っていてすごいと思います。スタイリッシュな雰囲気と、煽り口調なところも面白いですよね。
──ちなみにJUNONさんが髪を白と青に染めたとき、「カイザーに寄せたのかな?」とうわさになっていたことがありましたが……。
JUNON 言われたことありますね。でもたまたまなんですよ! 逆にカイザーが僕のまねをしていたりして?とか思っちゃってました(笑)。
──真相を教えてくれてありがとうございます(笑)。玲王は凪の才能を見出し、彼の士気を上げて一緒に大きな夢を追っていきますが、やがて凪はサッカーの醍醐味を知り、エゴに目覚め、2人の関係性が変化していきます。そんな関係性に共感する部分はありますか?
RYUHEI 僕が思うのは、玲王も天才なので、普通の人だったら絶対彼に従うだけになっちゃうんですよね。玲王を超える才能を凪が持っているからこそ成り立つ関係性であって、すごく特殊だなと。
JUNON 凪は「BOSS」「玲王」と呼び名を使い分けてるんですよね。玲王に従ってプレーするときだけ「BOSS」と呼んで、自分の意思で動くときは「玲王」と呼んでるんじゃないかなって。そんな違いも面白いです。