「ゴジラxコング 新たなる帝国」をもっと楽しむ!ゴジラ×コング×ナタリー 第4回 [バックナンバー]
ゴジラのブランド管理とビジネスの発展を担う、東宝「ゴジラルーム」とは何か
「ゴジラが絶対にやってはいけない3つの事柄」とは?
2024年5月1日 11:30 144
日本が世界に誇る「ゴジラ」シリーズを生んだ東宝には、「ゴジラルーム」と呼ばれる部署があるのはご存知だろうか。2019年に誕生したゴジラルームは、その名の通りゴジラにまつわるビジネスを担う部署で、いかにキャラクタービジネスを大きくするかだけでなく、ゴジラというブランドのリスク管理なども行っているという。
現在、第96回アカデミー賞で視覚効果賞に輝いた「
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「ゴジラ戦略会議」と「ゴジラルーム」
吉川哲矢 東宝のライツ事業部の中にあるゴジラルームのルーム長と、兼務で戦略グループのリーダーをやっております、吉川と申します。
宮崎豪 同じくゴジラルームの、企画制作グループの宮崎です。「ゴジラxコング 新たなる帝国」では主に吹替版の制作に携わりまして、日本版主題歌制作も担当しました。
──ありがとうございます。今日はお二人が所属するゴジラルームについて聞きたいんですが、そもそもその前から東宝さんでは「ゴジラ戦略会議」、通称「ゴジコン」というチームもあると伺ってます。その成り立ちから教えてください。
吉川 日本では2004年の「ゴジラ FINAL WARS」から約10年間ゴジラ映画が公開されなかった時期があり、2014年に10年ぶりとなる、「モンスター・ヴァース」の1作目「
──他社には集英社の「ドラゴンボール室」とか小学館の「ドラえもんルーム」といった部署がありますよね。宣伝部などでは扱いきれないぐらいビッグなキャラクターには、専門の部署ができるという。
吉川 そうですね。ただゴジコンは基本的に専任ではなくて、兼務という形で社内のさまざまな部署から人が集められてスタートしてます。ゴジコンの目的は、できる、できない関係なく、「ゴジラでこんなことやったら面白いんじゃない?」というアイデアベースで、みんなで意見を出し合っている組織ですね。
──「ゴジラ検定」といった企画や、新宿の東宝ビルにあるオブジェ「ゴジラヘッド」の設置などはゴジコンのアイデアから実現したと聞いてます。あと宮崎さんはゴジコンのメンバーとして、「ゴジハムくん」のリブートプロジェクトを企画したそうですね。
宮崎 そうなんですよ。でもそれこそ「ゴジハムくん」ができた2000年代は、ゴジハムくんのキャラクターデザインを決めるにもすごく時間が掛かったと。僕は伝聞でしかないんですけど、当時はまだゴジラについての正式な承認経路が明確に決まっていなかったみたいなんです。
──「1回持ち帰らせてください」的なことが多かったみたいですね。会社員ならこの面倒臭さがわかると思います(笑)。
宮崎 でもゴジコンができてからはいろんなプロセスが明確になって、そのおかげでビジネスが活性化したっていうのはありますね。
吉川 それから2016年の「
──なるほど。ちなみにゴジコンのメンバーインタビューやYouTubeを拝見したことはあるんですが、ゴジコンやゴジラルームのメンバーって、東宝社内の各部署から「ゴジラ大好き!」みたいな人が集まるんでしょうか。お二人はゴジラには詳しいんですか?
宮崎 僕はゴジラルーム配属になるまではほぼ観たことがなくて。ゴジハムくんの人形を持ってたので、幼少期に劇場で観たという記憶はあるものの、あんまり覚えてなかったです。(小声になって)実は「シン・ゴジラ」も当時は観てなくて。
吉川 ええっ?(笑)
宮崎 ヤバいですよね(笑)。ゴジラルームに配属だと言われて急いで全部観た、ぐらいの感じです。
──「ゴジラルーム長」って言われるとゴジラの生き字引きみたいな人を想像しちゃいますけど、吉川さんはTOHOマーケティング出身でもともとは宣伝の人だと聞いてます。ゴジラルームもゴジラ好き集団というより、宣伝のプロなどを集めた感じで。
吉川 そうですね。私も昔からのゴジラ好きかと言われると、そうではないですが、今はもちろんゴジラ好きですよ。ゴジラルームにはゴジラ好きのまさに生き字引と言っても過言ではない社員もいますし、ビジネスとして、どう拡大していくかいう視点でゴジラをとらえているメンバーもおります。メンバー構成については、宣伝というよりも、キャラクタービジネスに精通しているメンバーを集めている感じですね。
ゴジラの3大NG
──ゴジラルームは具体的にどういったお仕事をしているのか、もう少し聞かせてください。
吉川 大きく2つあって、1つはブランドの毀損がないか、いわゆるリスクのチェックという面と、もう1つは、「これから先、ゴジラをどうやって大きくしていくか」という長期戦略を考え、その長期戦略をベースに具体策を実行していく、この2つです。ゴジラルームのメンバーは現在14名いまして、グループが4つに分かれていています。僕が兼務している戦略グループは、先ほど申し上げたような長期戦略や新規ビジネス、ゴジラ・ストアの運営などを担当しています。宮崎のいる企画制作グループは、ゴジラルームでも映画だけではなく、プラットフォームにこだわらない形で映像コンテンツを作っていこうという流れがありまして、その様々な映像コンテンツを制作するチーム。商品とか企業コラボのほか、テーマパークでのアトラクションなどに関わるライセンスグループ。そして、自社商品の開発やゴジラ商品の流通先の拡大をしていくMDグループとなっております。
──なるほど。「ブランドの毀損がないか」というのは、例えば「こういうコラボCMを作りたい」とオファーがあった際に、監修をするということですね。
吉川 はい。実は社内用に「ゴジラ憲章」という、ブランドの約束と原則の取り決めがありまして、これはゴジラ映像だけでなく、商品化などさまざまな企画を進める際に、この憲章から著しく外れてないかとか、企画内容をチェックする基準になっています。オファーの時点でそこから著しく外れたものはお断りしていて、そこを通ったあとも、やっていいこと、やっちゃダメなことは細かくチェックしています。
──変な話、そこから外れるような……ちょっとふざけすぎたようなオファーもあるんですか?
吉川 もちろん、ありますよ(笑)。クリエイターの方も面白くてインパクトのあるものを作りたいでしょうから。
──そこはどれぐらいOK出すかが難しそうですよね。
吉川 でもそこまで厳しくしてないよね?
宮崎 そうですね。
吉川 我々も面白いことをやりたいなとは思ってるので。よほどブランドが毀損されるような使い方でなければ。わりと幅を持たせていると思います。
──最近、コラボ系で面白かったものというと?
吉川 ゴジラじゃなくてキングギドラですけど、堺雅人さんが出てる丸紅さんのCMですかね。
丸紅CM|できないことは、みんなでやろう。「紅丸」篇
※動画は現在非公開です。
──ドラマ「VIVANT」内で流れて話題になったCMですね。あれは確かに武士やゾンビも出てくる映像で、「こんなキングギドラの使い方してもいいんだ」と思いました。言える範囲でいいんですが、監修をする際にどういうことをするとNGになるんですか?
吉川 ゴジラが絶対やったらダメだという3大ルールがありまして、まず1つ目に「捕食しない」。
──それは「人間を食べるシーンを画として見せてはいけない」ということではなく?
吉川 そうですね、基本的にはものは食べないっていうのがあって。
──そうか、ゴジラって食べ物からエネルギーを摂取しないんですよね。
吉川 あとは「完全に死なない」っていう設定もありますし。そして3つ目は「しゃべらない」。これは「ちびゴジラ」は除きますが。
──それは意外ですね。CMのキャラとしてしゃべってそうなものですけど。イラストに吹き出しつけてしゃべらせるとか。
吉川 過去に吹き出しを付けた作品などもあったのですが、今は全部NGにしてます。
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今のゴジラ3大NG
・補食しない(食物を食べない)
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・喋らない(ちびゴジラは除く)
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