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映画超初心者・ミルクボーイ駒場孝の手探りコラム「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」 第7回 [バックナンバー]

初対面のはずのコングの言葉がだんだんわかってくる「ゴジラxコング新たなる帝国」

なるほど、これは「x」やな

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これまで名作をほぼ観たことがないまま育ち、難しいストーリーの作品は苦手。だけど映画を観ること自体は決して嫌いではないし、ちゃんと理解したい……。そんな貴重な人材・ミルクボーイ駒場孝による映画感想連載。文脈をうまく読み取れず、鑑賞後にネット上のレビューを読んでも「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」となりがちな彼が名作を気楽に楽しんだ、素直な感想をお届けする。

第7回で観てもらったのは全国ロードショー中の「ゴジラxコング 新たなる帝国」。このコラムの第2回で「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」を鑑賞した駒場だが、コングに関しては知識がない。それでも本作の世界に入り込み、怪獣たちの言葉までわかるような感覚に陥ったという。

/ 駒場孝(コラム)、松本真一(作品紹介、「編集部から一言」

敵か味方かも知らないコング

こんにちは。ミルクボーイ駒場です。今回はなんと、また公開前の試写会に参加させてもらいました。この試写会というのは何回味わってもほんのり優越感に浸れてうれしいです。少々腹立つ人に会っても「まぁ僕はあなたより先にあの作品観てますのでね」と自分の中で勝手に試写会マウントを取らせてもらったりしています。そして今回鑑賞した作品は「ゴジラxコング 新たなる帝国」です。

「ゴジラxコング 新たなる帝国」場面写真

「ゴジラxコング 新たなる帝国」場面写真

ゴジラは、以前この連載で観させてもらった「ゴジラ-1.0」以来大ファンになって、会う人会う人に「ゴジラってめちゃくちゃ面白いですよね」と言いまくりました。ただ周知の事実すぎてほとんどの人に「今さら?」みたいな事を言われました。「“富士山ってめちゃくちゃでかいですよ”って言ってるようなもんや」とまで言われました。でもそれくらい好きになりました。ただ「コング」、こちらは初めてです。ルーツ、エピソード、コングの性格とかもわからず、敵か味方かもわからない状態ですし、そもそも、「キングコングとは別物なのか? キングコングよりは位が下やからキングがついていないのか?」など思っているくらいでした。なので、ゴジラの世界のようにコングの世界にもすっと入っていけるかなと、観るまでは少し心配していました。

でもそれは余計な心配でした。始まってすぐ、コングの迫力と躍動感が飛び込んできて一瞬で世界に引き込まれました。今までコングを知っていようがいまいが、キングがついていようがいまいが問題ありません、コングはコングでした。そしておそらくコングはキングコングでした。冒頭からすごすぎて、僕もゴリラみたいな顔してコングの姿に見惚れてしまいました。そしてそこから人間も出てくる話になるのですが、そこに違和感がなかったのが気持ちよかったです。ゴジラのときも思いましたが、今までの自分なら、こういう系の映画って、「いやいや、現実世界にあのサイズの怪獣がいる感覚伝わりにくいなー」と思うのですが、この作品もコングがいる世界観に特に違和感なく入れました。これはなんなんでしょうか、人間とコングのちょうどいい距離感のおかげなのでしょうか。その描き方がすごいなと思いました。

コングっていい男ですね

あと映画の中で、「ここ数分、人間は出ずにほぼ怪獣しか出てないやん」というシーンがけっこうあり、怪獣同士でコミュニケーションを取っているのですが、それがだんだん言ってることとかがわかってくるところもすごいなと思いました。最初は「今コングが何を言ってるかわからんな。もしコングが言ってる“ウホ”にも伏線とかあったらどうしよう」など前回の「TENET テネット」を鑑賞して以来また伏線恐怖症がよみがえってしまっていて「コングの“ウホ”にも字幕欲しいな」とか思っていたのですが、それは野暮な考えでした。表情、目線、姿勢や、同じ“ウホ”という言葉にしても強弱や緩急などで絶妙に意思が伝わってきてとても不思議な感覚でした。映像のクオリティのすごさはもちろん、観る人にいかに自然に、かつ、なるべく全員共通で怪獣たちの言葉を想像させられるかというのを徹底的に分析されているんだなと感じました。観る人の頭の上に想像の字幕が出たとしても、たぶん皆ほとんど同じ訳し方をしていると思います。そうさせているのがすごいと思いました。また、「ゴジラxコング」の、「x」が見事でした。なるほど、これは「x」やなと。ゴジラも初心者ですしコングに至っては初対面なのに、観終わったあとはとても世界に入り込まされていて、まるで2体とも昔から知っていたかのような感覚になりました。

「ゴジラxコング 新たなる帝国」場面写真

「ゴジラxコング 新たなる帝国」場面写真

そして今回の「そんなこと言うてた?」ですが、コングってあんなに男らしいって言うてた?です。怪獣なので、てっきりゴジラ同様手のつけられない無茶苦茶なモンスターやと思っていたのですが、コング、いいですね、いい男ですね。同じ怪獣でもゴジラとはまた違う雰囲気があり、これまたファンになりました。あと余談ですが、この作品の吹替版に後輩の空気階段鈴木もぐらも参加していると聞きました。鈴木もぐらは吉本の後輩でもありますがそもそも僕の出身校である大阪芸術大学の「落語研究寄席の会」というサークルの後輩でもあります。そんな後輩がこんな名作に携わってるのはめちゃくちゃうらやましいと思いました。ただ、「ゴジラ」「コング」ときているところに「もぐら」は弱すぎるやろうとも思いました。「ゴジラxコングxもぐら」と言うてる場合じゃないです。でももぐらがどんな演技をしているのか、それもとても気になるので吹替版も観てみたいとも思いました。ということでぜひ皆様も「ゴジラxコング」のド迫力の世界を、映画館に体感しに行ってみてください!

編集部から一言

「ゴジラxコング新たなる帝国」はハリウッド版「ゴジラ」シリーズと「キングコング:髑髏島の巨神」の世界観がクロスオーバーする「モンスター・ヴァース」シリーズ第5弾。そして2024年はゴジラ70周年、「モンスター・ヴァース」も10周年……というフレーズだけ聞くと、怪獣に興味がない人は「歴史がある作品なんだな」とハードルが上がり、敬遠する人もいるかもしれません。が、ゴジラは「ゴジラ-1.0」しか観ておらず、コングに関する知識ゼロの駒場さんが「2体とも昔から知っていたかのような感覚になった」というのはうれしい感想でした。「アカデミー賞きっかけでゴジラが盛り上がってるよね」程度の知識しかない人でも楽しめる作品ではないかと思います。

「ゴジラxコング新たなる帝国」(2024年製作)

「ゴジラxコング 新たなる帝国」本ポスタービジュアル

「ゴジラxコング 新たなる帝国」本ポスタービジュアル

ゴジラ70周年と「モンスター・ヴァース」シリーズ10周年を記念した作品。2021年公開の「ゴジラvsコング」では激突した日米巨大モンスター同士が共闘し、新たな脅威と対峙するさまが描かれる。「ゴジラvsコング」のアダム・ウィンガードが監督を務め、レベッカ・ホールブライアン・タイリー・ヘンリーダン・スティーヴンスらが出演した。

駒場孝(コマバタカシ)

1986年2月5日生まれ、大阪府出身。ミルクボーイのボケ担当。2004年に大阪芸術大学の落語研究会で同級生の内海崇と出会い、活動を開始。2007年7月に吉本興業の劇場「baseよしもと」のオーディションを初めて受け、正式にコンビを結成する。2019年に「M-1グランプリ2019」で優勝し、2022年には「第57回上方漫才大賞」で大賞を受賞。現在、コンビとしてのレギュラーは「よんチャンTV」(毎日放送)月曜日、「ごきげんライフスタイル よ~いドン!」(関西テレビ)月曜日、「ミルクボーイの煩悩の塊」「ミルクボーイの火曜日やないか!」(ともに朝日放送ラジオ)など。またミルクボーイが主催し、デルマパンゲ、金属バット、ツートライブとの4組で2017年から行っているライブ「漫才ブーム」が、2033年までの10年を掛けて47都道府県を巡るツアーとして行われることが決定している。

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ミルクボーイ駒場 @88MBOy

初コングでしたがおもしろかったです! https://t.co/vf9mNWYzTO

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