ゆれる「感無量です」自主企画で敬愛ZAZEN BOYSと競演

ゆれるが自主企画イベント「HISGARAGE」を昨日1月23日に東京・TSUTAYA O-Crestにて開催した。

この日の公演はゲストバンドとのツーマンライブ。しかし競演者はシークレットとされており、事前には明かされていなかった。開演すると幕が張られたステージにゲストバンドのシルエットが写し出され、観客からは「誰ー？」といった声が飛ぶ。そしてバンドの演奏とともに幕が落ちると、そこに姿を現したのはZAZEN BOYS。観客からは大歓声が上がり、バンドは向井秀徳（Vo, G, Key）の「渋谷シティの貴様に伝えたい 俺のこのKIMOCHIを」という言葉から1曲目「KIMOCHI」をスタートさせた。曲を終えると向井が「マツリスタジオからやって参りました。ZAZEN BOYSです」と自己紹介し、ライブを再開。彼らは「COLD BEAT」では向井がチャルメラのメロディにオリジナルの歌詞を当てたり、続く「HIMITSU GIRL’S TOP SECRET」ではメンバーが順に自身のフレーズを楽器ではなく口で言って盛り上げたりと自由自在に楽曲を操る。またサングラスをかけた向井がギターを置いて歌唱した「はあとぶれいく」では、向井がフロアに降り観客に囲まれて歌唱する一幕もあった。MCでは「ある日メールが来ましてですね」と向井が今回の出演に至った経緯を説明。ゆれるのメンバーからメールが届いたのだが、差出人が「Ami」だったためガールズバンドからの誘いだと思ったと言い、「どんなかわいい女の子かと思ったら、貸しスタジオの店員みたいな顔でがっかりしました（笑）」と笑いを誘った。ラストナンバー「Asobi」では吉兼聡（G）がギターを置いてダンスを披露。最後に向井が「乾杯！」と言い放ち、ZAZEN BOYSの4人はステージをあとにした。

ゆれるは薄暗い照明の中、Ami（G, Vo）、Yuta Sakae（B）、Bauchi（Dr）がそれぞれポロポロと音を鳴らし始める。そしてメンバーは向き合うと音を合わせ、Amiのシャウトを合図に「0.03」へとなだれ込む。Bauchiの繰り出す重厚なリズムに乗せ、Amiは声を張り上げたり、息を多く含んだ優しい声で囁くように歌ったり緩急つけたボーカルでファンを魅了。Yutaはバスドラに乗り上がったり、速弾きプレイを見せたりとダイナミックなプレイで盛り上げた。真っ赤な照明がステージを染め上げた「赤い破壊」では、3人はそれまで以上にアグレッシブにプレイ。感情を吐き出すかのような渾身の演奏に観客は拳を上げて応えた。

AmiはMCで、今回の企画について「まったく告知なしのバンドとツーマンをしてみんなが集まったら楽しいねって、メンバーと話して。しかも普段一緒にできない格上の尊敬するバンドを呼ぶことで己の刃も磨かれるんじゃないかということで、ZAZEN BOYSをお呼びしました。今も震えてます」と語る。また向井のMCを受けて「まさか女の子だと思ってOKしてくれたとは思わなかったですけど、それで出てくれたのであれば、この名前でよかったと思います（笑）」と続け、「OKが出ていよいよヤバいなと思い、毎日スタジオにこもって練習してきました」と意気込みを明かした。そしてバンドは疾走感あふれる新曲「アフターハイスクール」を披露。勢いそのままに「ヒューズヒュー」まで駆け抜けた。

アンコールで再びステージに姿を表したAmiは出てくるなりあらためて「感無量です。うれしいです。みんなも楽しそうやね」と笑顔を見せる。さらに現在フルアルバムを制作中であることを発表。ファンから祝福の声が上がり、Amiは「いい曲揃いの最高のアルバムにします」と力強く宣言した。そして一息置くと「結局考えてることしか歌にできません。自分の頭の中にある悩みとか喜びとかが歌になります。自分の歌が誰かの心を癒せたならうれしいです。これからもこういう思いでやっていくので、どうぞご贔屓にしてください」と真摯な思いを口にして、3人で「シーセイド」をプレイ。優しい音色で会場を満たし、自主企画を締めくくった。