Uruがさまざまな感情に寄り添ったCMソング&映画主題歌を語る

Uruの約1年ぶりとなる新曲「春 ~Destiny~」「フィラメント」が2カ月連続で配信リリースされる。

3月18日にリリースされた「春 ~Destiny~」は、目黒蓮(Snow Man)が出演する「キリン 午後の紅茶」新CM「春の午後の出会い」編のCMソング。桜が舞う春の大学のキャンパスで目黒演じる先輩が新入生たちを見守る姿に、Uruが歌う軽やかなメロディと小林武史がアレンジを手がけたポップなサウンドが重なる、春にぴったりの映像が大きな話題を呼んでいる。

4月4日にリリースされるもう1つの新曲「フィラメント」は、長尾謙杜(なにわ男子)が主人公の心也を、當真あみがヒロインの夕花を演じる、森沢明夫の同名小説を実写化した映画「おいしくて泣くとき」の主題歌。孤独な少年少女の初恋と突然の別れを描いたストーリーに、Uruの優しく繊細な歌声が寄り添う。森沢の小説を原作とした映画の主題歌をUruが歌うのは、2016年公開の映画「夏美のホタル」に提供したメジャーデビュー曲「星の中の君」以来2回目となる。

音楽ナタリーでは新曲2曲を連続リリースするUruにメールインタビュー。各曲のオファーを受けての思い、それぞれの映像にどのように寄り添っていったのか、「春 ~Destiny~」「フィラメント」で描いた世界についてつづってもらった。

構成 / 廿楽玲子

スキマスイッチトリビュート参加は夢のような機会

──約1年ぶりの新曲リリースを機に、まずは2024年を振り返らせてください。リリースやライブなど表立った活動は比較的少なめの1年でしたが、どのように過ごされていましたか?

楽曲制作とライブを並行して取り組むことが多かった中、今回はこの「フィラメント」や「春 ~Destiny~」もそうですが、制作にとても集中して過ごさせてもらっていました。今も現在進行形で楽曲制作に打ち込んでいます。

──2024年は、スキマスイッチのデビュー20周年を記念したトリビュートアルバムにUruさんが参加し、「奏(かなで)」をカバーするという特別な出来事もありました。スキマスイッチはUruさんにとって音楽の道を志すきっかけとなった大切な存在だと以前お聞きしましたが、改めて「奏(かなで)」を歌うことはどんな経験となりましたか?

私にとってもとても思い出深い大切な曲でもあるので、私の声で歌わせていただいた「奏(かなで)」の音源が、私ではなくスキマスイッチさんのCDに収録されるという夢のような機会を与えていただいて、本当にうれしかったです。以前、私のアルバムでカバーをさせていただいたことがあったので、そのときとどう変化をつけようかなど、歌い方も少し悩んだりしましたが、やはり原曲の持つ素晴らしさを一番に、心を込めて歌わせていただきました。

「楽しむことを忘れずに過ごそう」という思いを込めた「春 ~Destiny~」

──新曲「春 ~Destiny~」は「キリン 午後の紅茶」の新CMソングとして書き下ろされた楽曲ですが、オファーを受けてどのような楽曲にしようと思われましたか?

季節感がはっきりとわかる曲というのが私の曲の中で少なかったですし、タイトルに季節が入るような曲もなかったので、「春」らしい曲をというリクエストをいただいて、パキッと春らしい曲を作るワクワク感みたいなものがありました。歌詞にも、はっきりと「春」だとか「ピンク」とか「蝶」とか、春を感じられるような言葉をちりばめたり、なぜかDメロを作るときがとてもワクワクソワソワしたり、春一色でした。

──春は期待と不安が入り交じる季節。春をテーマにした楽曲を作るにあたって、どのような環境にいる人へ、どんなメッセージを届けたいと考えましたか?

期待と不安でいうと、私は不安のほうが大きくなってしまうほうなので笑、そんな誰かをそっと見守ってくれているような存在がいるということや、楽しむことを忘れずに過ごそうという気持ちを込めて作っていきました。私もそんな誰かを応援したいですし、自分もそうでありたいと思っています。

──Uruさんは「春 ~Destiny~」のリリースに際して「環境が変わる春という季節が少し苦手だった」けれど、歳月を経て「違う世界で生きてきた者同士が交わる、出会いの奇跡を感じるように」なったとコメントされていて、その捉え方が素敵だなと思いました。その変化につながる、何かきっかけがあったのでしょうか? 思い出深いエピソードなどがありましたら教えてください。

人見知りで自分から声をかけることが苦手なのですが、新しい季節を迎えた折に、突然「友達になろう!」と声をかけられたことがあって、こんなストレートに伝えてくる人っているんだな、、、と思った経験があります。その友人とは今も大親友で、ときどきこの話で盛り上がります。私は目を丸くしていたそうです。笑

その後にも、いろんな場所や機会で、「仲よくなれたらいいなあと思っていて」などと声をかけられたりすると、やっぱりとてもうれしいので、勇気を出して気持ちをストレートに伝えることって、実はとても素敵であっという間に仲よくなれたりするのかも、、、と考え方が変わっていきました。

今でもまだ尻込みはしますが、でもちゃんと気持ちを伝えるようにすると相手もそのように返してくれるということがわかって、春など環境が変わるときも以前よりは恐れなくなりました。笑

Uru「春 ~Destiny~」配信ジャケット

Uru「春 ~Destiny~」配信ジャケット

──編曲は「あなたがいることで」や「それを愛と呼ぶなら」でタッグを組んだ小林武史さんが手がけ、いつになくロック色の強い新鮮なアレンジとなっています。この楽曲のアレンジを小林さんにお願いした経緯をお聞かせください。また、アレンジで特にお気に入りの部分はどこですか?

この楽曲を“春らしい楽曲”にしていただける方はどなただろうと思ったときに、「あなたがいることで」や「それを愛と呼ぶなら」でご一緒させていただいた小林武史さんにお願いできたらと思いました。私のデモとはガラッと雰囲気が変わって、あっという間に華やかでさわやかな曲になり、聴いたときはとても驚きましたし感動しました。お気に入りの部分はたくさんあるのですが、イントロがこれから何か楽しいことが始まるようなメロディで始まって、足取りが軽やかになるようなリズムで歌に入る部分が好きです。ときどき旋律に絡んでくるエレクトリックピアノの音もとても好きです。

──弾けるようなサウンドに合わせて、Uruさんのボーカルスタイルも以前とは少し異なる印象を受けました。とくに「この角張っ / た」「たっ / た一人の」のように韻を踏んだ言葉の切り方が印象的です。今回歌い方で意識したことはありますか?

気付いてくださったように、春らしく軽快な曲にしたかったので、歌詞の中にも小さい「つ」がいろんなところにちりばめられています。サビも、「重なった」から始まって「いつだって」「笑ってる」「こうやって」「願って」「語ったり」などなどたくさん小さい「つ」を入れたので、これを活かしてリズミカルに気持ちよく聴けるように、一度レコーディングしては聴いてみて~を何度も繰り返してたどり着きました。

──CMでは、目黒蓮さん演じる先輩が、春の大学のキャンパスで新入生たちの出会いを見守るシーンが描かれています。ごらんになってどのような感想をお持ちになりましたか?

ああ、、、春だなあ、、、と思いました。私も最近、卒業式帰りなんだろうなあと思うような学生さんの姿を見かけたり、緊張した面持ちでスーツを纏っている新社会人の方らしき姿を見かけることもあって、春だなあ、、、と思っていたので、目線的には目黒さんと同じ心境で見守っています。笑

そしてそのような素敵なCMと、たくさんの方に愛されている「午後の紅茶」のCM曲を歌わせてもらえたことに改めて感謝しました。うれしかったです。