昨年11月、WATWINGが新レーベル+WHAX(プラスワックス)への移籍を発表。先日レーベル移籍第1弾EP「uNi」をリリースした。
EPには「SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会」公式テーマソング「365」や、メンバーの八村倫太郎が主演を務めたサスペンスホラー映画「他人は地獄だ」の主題歌「HELL FIRE」など全5曲を収録。シンセロックからヒップホップ、ラウドロックまで幅広いジャンルの音楽を取り入れた、WATWINGの可能性を広げるような作品となっている。
本作のリリースを機に新たな一歩を踏み出そうとしている6人が抱く思いとは? 音楽ナタリーではインタビューを通して、WATWINGの“今”に迫る。
取材・文 / 中川麻梨花撮影 / 曽我美芽
WATWINGとWindyでひとつになって進んでいこう
──WATWINGは昨年11月に新レーベル、+WHAXへの移籍を発表しました。新たなスタートを切って、現在の心境はいかがでしょうか?
古幡亮 +WHAXへ移籍したことにより、新しいスタッフさんたちがWATWINGに新しい風を吹かせてくれました。自分たちのやりたいこと、アーティストとして伝えたいことを積極的にメンバーから出していくというスタイルは変えずに、信頼できるスタッフさんたちと一緒に WATWINGをさらにいいグループにしていきたいです。今のWATWINGの世界に、これからどうやって彩りを加えて輝いていけるかを、スタッフさんと話し合いながら進んでいけたらと思っています。
──移籍第1弾のEPには「uNi」というタイトルが付いています。直訳すると「1つの」という意味の接頭辞ですよね。
八村倫太郎 去年「WATWING LIVE TOUR 2024 - Get Em Back -」というホールツアーで全国を回ったんですけど、すごく楽しかったのと同時に、チケット完売までには至らなかった。そんな自分たちの集客の現状にぶち当たったんです。ファイナルの幕張メッセ公演のチケットをメンバーで手売りしつつ、真正面からその現状に向き合いました。でも、そういう悔しい気持ちがありながら、ツアー終盤の福岡公演のあと、ホテルの部屋に6人で集まって話し合ったときに「今回のツアー、楽しかったね」という言葉が出たんですよね。「ライブを楽しむことができたよね」って、自分たちのパフォーマンスに関しては達成感があったんです。
──充実したツアーだったんですね。
八村 目の前のお客さん1人ひとりと向き合って音楽を届けるという、そのマインドの大切さを感じることができて、Windy(WATWINGファンの呼称)が僕らにとって大切な存在だということを改めて実感しました。僕らとWindyが手を取り合って進んでいくことは、いつだって変わらない。時間が経つと変化していくものもあるけど、変わらないこともあるなと思ったんです。それを再認識できたタイミングで「WATWINGとWindyでひとつになって進んでいこう」という意味を込めてEPに「uNi」というタイトルを付けました。「N」を大文字にしたのは、「u」と「i」に分解することで「あなたと私」という意味にも受け取れるようにしたかったからです。
──集客の厳しさから決して目をそらさない強さも、その中でよかったことを見出して前向きに進んでいける姿勢も、WATWINGのグループとしてのよさだなと見ていて感じます。
八村 会場が埋まらないのって、悔しいじゃないですか。実際、幕張のステージに立ったときに悔しかったんですよ。その悔しさをごまかしてステージに立つのは嘘になっちゃう。でも、その「悔しい」という感情がなかったら、来てくれてたお客さんたちに対する感謝の思いも、ここまでは持てなかったかもしれない。ネガティブだと思われてしまう感情にもしっかりと向き合ったからこそ、今ライブに来てくれてる人たちに対して「ありがとう」と思える。これが俺らの現状だから、今ついてきてくれているみんなと一緒にどんどん上にいくために、悔しかった経験も足がかりにしようと思っています。
ありのままの姿で歌って踊れる
──「365」はレーベル移籍第1弾シングルとして12月に配信リリースされた楽曲です。WATWINGは活動初期から楽曲の制作会議にメンバー自ら参加して、自分たちで積極的にグループの舵を取ってきたグループという印象がありますが、レーベルを移籍してからはどうですか?
古幡 このEPの収録曲に関しては、最初にスタッフとメンバーが集まって“大制作会議”をしました。そこで僕らの今までの流れや、ここからどんなグループを目指していきたいかをざっくばらんに話して。そこからレーベルのスタッフさんとクリエイターの方々が僕らの思いを汲み取って、音楽にしてくださった形ですね。
髙橋颯 +WHAXのスタッフさんが、外から見たWATWINGの魅力を教えてくださって。仲のよさが見えるところだったり、キメキメでパフォーマンスしたときのカッコよさだったり。その話を聞いたうえで、自分たちがそれぞれやりたいことをお話ししました。今までのWATWINGのよさも残しつつ、ワクワクするような新しさ、おしゃれな感じ、スタイリッシュさを取り入れられたらいいねって。
古幡 僕としては今回“客観視”というところを意識していました。レーベル移籍のタイミングですし、新しい自分たちを見つけたくて。今回は出会ったばかりの+WHAXのスタッフさんに委ねてみたいという気持ちがありました。
──「365」もWATWINGのさわやかな魅力を前面に引き出した、軽快で聴き心地のいいナンバーです。
古幡 「365」は耳馴染みのいいサウンドとメロディが印象的で、いい意味で軽い。自分たちもパフォーマンスしていて、気負わずにいられますね。演じるんじゃなくて、ありのままの姿で歌って踊れる。
髙橋 この曲はイージーリスニングテイストなんですけど、歌詞には熱さがあって。
──ありのままの自分でいることの大切さが歌われていますね。
髙橋 さわやかな聴き心地でありながら、強いメッセージ性が込められているところが「365」のよさだなと思っています。
八村 実は最初「365」と、移籍第2弾シングルとしてリリースした「memories」のどっちを先に配信するか迷ったんですよ。「memories」は力強さがあって、WATWINGが新しい環境でバーンと弾けているようなインパクトが出せる。レーベルスタッフの方々の考えもあって「365」が先になったんですけど、今はそれでよかったと思いますね。ユニゾンもある楽曲なので、そこで「6人とWindyでこれからまた一緒に進んでいきます」という感じもある。
髙橋 「uNi」感があるよね。
──今作では5曲中4曲の作詞をgbさんが手がけていますが、お会いしたことはあるんですか?
古幡 はい。初めてお会いして話したのはレコーディングのときでした。でも、その前に幕張ライブに来てくださったんですよ。gbさんがライブで見た僕らの姿やそこで感じ取った思いを、レコーディングのときに伝えてくださってうれしかったです。
八村 スタッフさんからgbさんとのタッグを提案してもらったときに、gbさんの楽曲を聴かせていただいたんですけど、飾り気がなく、日常的な言葉で説得力のある歌詞を書かれる方だなと感じました。「365」も爽快感のあるトラックに乗せて、リアルな言葉使いでメッセージがつづられていて。そこがいいなと。
──デビュータイミングで皆さんに「6人で通ずる思いやシンパシーを感じる部分はありますか?」と聞いたとき、「自分たちのありのままの姿を出したい」ということをおっしゃっていました(参照:WATWING「Take off,」インタビュー)。この曲で歌われている、ありのままの自分でいることの大切さは、WATWINGが今までずっと一貫して大事にしてたことなんだろうなと。
古幡 そうですね。この曲の振付は僕と(福澤)希空が担当したんですけど、ダンスも“ありのまま”を大切にしました。僕らがいつもライブ前にやってる円陣で始まって。みんなで円になって「シャー!」と叫んでる感じですね。
──「SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会」のテーマソングとういこともあって、シュートの振付も取り入れられていますね。
古幡 そうなんです。
福澤希空 歌詞とサウンドに合わせて作っていきました。ちなみに僕、裏の音がけっこう好きで。皆さんが見ていて「裏の音に振りをハメてるな」と思ったら、たぶんそこは僕が作ったところです(笑)。
古幡 必ず入れてくるよね(笑)。
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過去を経て、未来につながっていく