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レキシ YO.JIN.BO.
ユーモアと大いなる愛を込めて、“ドンウォリ”と励まし“セイブユー”と見守るラブソング
文 / 宮内健
しばしの充電期間を経て、事務所やレーベルを移籍した新体制のもとで2024年5月から本格的に活動を再開した、池田貴史のソロプロジェクト=レキシ。昨年だけで全国ツアーを2本も回るなど、以前にも増して精力的な動きを見せている。
昨年7月には、実に2年ぶりの新曲となる配信限定シングル「エレキテルミー feat. あんみつ姫(小泉今日子)」をリリース。あんみつ姫こと小泉今日子をゲストボーカルに迎えたこの曲は、音数を絞った打ち込みのビートがクールかつ妖艶なムードを醸すラテンフレイバーな仕上がりで、レキシの歴史に新たな1ページを刻む意欲的なナンバーだった。
約8カ月のインターバルを挟んで届けられた新曲は「YO.JIN.BO.」。ローマ字読みそのままに用心棒をテーマにした1曲である。撮り下ろしのアーティスト写真は、黒澤明監督の映画「用心棒」で三船敏郎が演じた桑畑三十郎(椿三十郎)のオマージュときた。もっとも腰に差しているのは太刀ではなく、稲穂だが。
城に暮らす姫君だろうか、若様だろうか。年頃の恋心が募り、こっそりと城外へ抜け出し愛しいあの人へ会いに行く。その一歩後ろから使命と愛情をもって“ドンウォリ”“セイブユー”と見守る用心棒の目線でつづられるラブソングだ。
「エレキテルミー」に引き続き打ち込みのビートが軸となっているが、「YO.JIN.BO.」ではウネウネと動きまくるぶっ太いベースラインやきらやかなホーンセクション、ファンキーにリズムを刻むギターと生音のダイナミクスがしっかりと肉付けされた印象で、ポジティブでソウルフルなサウンドに自然と心が躍り出す。
これからの季節、新しい環境に飛び込む人も多いかもしれない。そんなさまざまな場面でも、“ドンウォリ”と気分を楽にしてくれて、一歩踏み出すきっかけにもなりそうな、レキシならではのユーモアとビッグラブに満ちた1曲なのだ。
- レキシ「YO.JIN.BO.」
- 2025年3月19日(水)配信開始 / TOY'S FACTORY
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作詞・作曲・編曲:池田貴史
Vocal、Chorus、Piano、Synthesizer、Programming:レキシ
Guitar:健介さん格さん(奥田健介[NONA REEVES])
Bass:ヒロ出島(山口寛雄)
Sax、Flute:TAKE島流し(武嶋聡)
Trumpet:元妹子(村上基[在日ファンク])
Trombone:石垣太郎(大田垣“OTG”正信)
Programming:ぼくおなりもん(成田ハネダ[パスピエ])
レキシ

1974年福井県生まれの池田貴史によるソロプロジェクト。池田は1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、2004年からは100sのメンバーとしても活躍。その日本史マニアぶりを生かし、2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」を発表した。その後も日本史にまつわる楽曲をコンスタントに発表し、2024年7月に「エレキテルミー feat. あんみつ姫(小泉今日子)」、2025年3月に「YO.JIN.BO.」を配信リリースした。5月から7月にかけては全国ツアー「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」を行う。
レキシ (@rekishi_ekechang) | Instagram