
猫と音楽家の二重唱 第3回 [バックナンバー]
デスコアバンドDEVILOOFボーカル桂佑の“日常”を癒すはっちゃん&うっちゃん
「こういう音楽をやっているから猫に癒しを求めているのかもしれない」
2025年3月28日 19:00 48
「メタル系バンドやファンの中には猫好きが多い」という説がある。確かにロブ・ハルフォードやイングヴェイ・マルムスティーンを筆頭に猫を愛するメタル系ミュージシャンは多いし、10年ほど前にはメタル系アーティストと猫のツーショットをまとめた写真集「Metal Cats」が発売されて話題を集めたりした(この写真集は売り上げの一部が猫の保護施設のために寄付されるなど、制作者の猫愛ほとばしるプロジェクトでもあった)。
では、なぜメタル系バンドのメンバーやファンの中には猫好きが多いのだろうか? 創作活動のパートナーとしての猫の存在に迫る本連載、3回目となる今回は愛猫家として知られる
取材・
DEVILOOFメジャーデビューよりうれしい!?
2025年2月21日、渋谷CLUB QUATTRO。その日はDEVILOOFと花冷え。の2マンライブが開催されることになっていた。開演を待つオーディエンスの長蛇の列をかき分けながら楽屋に入ると、そこにはフルメイクの桂佑が私たちのことを待っていてくれた。ライブの際のデスボイスとはまったく違う穏やかな口調で、桂佑は一緒に暮らす2匹の猫について紹介し始めた。
「お兄ちゃんのほうがキジ白の花月ちゃん、妹がキジトラの卯月ちゃんです。2匹ともめちゃくちゃ大きくて、お兄ちゃんは7kgぐらいあります。妹は少し小さいんですけど、それでも6kgぐらいあるんですよ。お兄ちゃんはその体型に似つかわしくない甲高い声でごはんをねだってきます(笑)。お兄ちゃんのほうは甘えん坊で、妹はツンデレなところがありますね」
2匹の猫を引き取ったのは3年ほど前。どちらも生後2カ月の子猫だった。桂佑は小学生の頃に猫を飼っていたことがあり、再び猫を飼いたくなって保護猫団体を訪れたのだという。そのとき出会ったのが花月ちゃんと卯月ちゃんだった。
「本当はお母さん猫含めて4匹いたんですよ。全員引き取りたかったんですけど、厳しいということで2匹だけ引き取りました」
どちらも4月生まれということで、4月にちなんで妹は卯月(旧暦4月の異称)、兄には花月という名前を付けた。桂佑は「ちょっとヴィジュアル系っぽい名前ですよね」と言って笑い、「はづちゃん・うづちゃんか、はっちゃん・うっちゃんと呼ぶことが多いですね。バンドのイメージが崩れちゃうかもしれないけど」と続けた。2匹の猫との暮らしも当初はなかなか大変だったという。
「2匹とも人見知りなのでシャーッ!と言われたり、けっこう大変でした。最初はゲージの中で飼ってたんですけど、1週間ぐらいでようやく外で飼えるようになりました。今でも宅配のチャイムが鳴るだけで、ダッシュで安全なところに隠れちゃうんですよ。家族や友達がうちに来てもどこかに隠れています」
兄妹の仲はとてもいいようで、桂佑のインスタグラムには同じようなポーズを取る花月ちゃん・卯月ちゃんの写真が投稿されている。そのうちの1枚は2025年度の「こねこめくり」に採用された。選ばれたのは2匹がまだ子猫の頃の写真。気持ちよさそうに眠る2匹の姿は確かにたまらないかわいさだ。
「こねこめくりカレンダー」に採用されたDEVILOOF桂佑の愛猫
「親バカですみません(笑)。あれは本当にうれしかった。DEVILOOFのメジャーデビューよりもうれしかったかもしれない(笑)」
デスボイスは封印し、警戒されないよう優しい裏声で
猫との暮らしも3年半ほど経過し、2匹も大人になった。子猫の頃に比べればいくらか落ち着いてきたとはいえ、まだまだ大変なこともあるようだ。
「基本的に僕は人間よりも猫のほうが立場が上だと思っているので……(楽屋で話を聞いていたメンバーが吹き出す)いやいや、それはそうなのよ。猫飼いはみんなそう考えていると思うし、こちらは癒してもらっているので、文句を言える立場でもないんです(笑)。強いて挙げるとすれば、猫って早起きなんですよね。今は6時ぐらいに起こしにきますけど、前は4時ぐらいに起こされたり。起こされてもそのまま寝ていると、高いところから腹の上にダイブしてくるんですよ(笑)。7kgのダイブなんでけっこう痛くて」
その一方で、猫がいる幸せを改めて噛み締める瞬間もある。
「ライブが終わって疲れて帰ってきたとき、猫が待ってる光景を見るだけで『ああ、かわいいねえ……』と癒されます。あと、人見知りが激しい分、ほかの人と自分は違うんだなとうれしくなりますよね。僕だけ見てくれてるんやと(笑)」
自宅で制作やレコーディングをする際、猫たちが邪魔することはないが、いくつかの対策はしているという。
「家に防音室がありまして、録音などはそこでやるんですよ。長時間そこで作業していると、外で待っていることはありますね。開けた瞬間に入ってきて、キーボードやパソコンの上に座られることはあります。あと、防音室の上が彼らの避難場所になっているので、よくそこに隠れてますね。猫は大きい音が嫌いなので、そこは多少気を付けています。それと猫はコード類を噛みがちなので、コードにカバーをしたり、そういう対策はしています」
桂佑のインスタグラムには自宅内の防音室に卯月ちゃんが乗っかり、まん丸な目でレコーディング風景を見守っている動画もアップされている。
レコーディング風景を見守る卯月ちゃん
「防音室で僕がデスボイスで歌っているときは、外でめちゃくちゃ警戒しているようです。箱の中から変な声が聞こえる!と。だから、猫たちと話すときは警戒されないよう裏声で話すようにしてるんですよ。(優しい裏声で)はっちゃん、うっちゃんって。気持ち悪いでしょ?」
フルメイクの桂佑は、そう言って血の滴る口を歪ませながらうれしそうに笑った。
猫を吸って制作の行き詰まり解消
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“非日常”を作り出す桂佑さんの“日常”を癒す花月ちゃん&卯月ちゃん兄妹
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