新時代に鳴る音楽 imase “拡散される楽曲”はメロディと歌詞の強さが重要

元号が令和に変わり、新しい時代に入って早7年。時代の変遷とともに、音楽のトレンドやヒットの様相もこれまでとは違う道をたどっている。音楽ナタリーでは、さまざまなアーティストの話を通じて新時代での音楽の在り方やヒットを飛ばす方法を紐解くべく、新企画「新時代に鳴る音楽」を始動。“AIマネージャーアプリ”「NORDER」との共同企画となる本連載では、ゲストへのインタビューから、TikTokをはじめとした新たなツールと音楽の関係性、新時代で多くのリスナーに聴かれる楽曲の特徴、従来のやり方にとらわれない斬新なプロモーションなどについて掘り下げる。

連載第2回には、今年1月にテレビアニメ「トリリオンゲーム」第2クールのエンディングテーマ「EGOIST」を配信リリースしたimaseが登場する。2021年にTikTokで発表した初の楽曲「Have a nice day」を機に次々とヒットを飛ばしている彼に、最近の音楽活動や“拡散される楽曲”の共通項などについてインタビュー。また、アーティストが音楽制作に集中できる環境をサポートする“AIマネージャーアプリ”「NORDER」を体験してもらい、その使用感について話を聞いた。

取材・文 / 清本千尋撮影 / 須田卓馬

年末年始はモルディブで

──2025年を迎えましたが、imaseさんはどんな年末年始を過ごしましたか?

2024年は「COUNTDOWN JAPAN」(年末に千葉・幕張メッセ国際展示場で行われているロッキング・オン・ジャパン主催のライブイベント)が仕事納めで、そこからお休みをいただいたので、モルディブに行ってひたすら海を眺めていました。

──モルディブでゆっくりできましたか?

はい。猫もたくさんいて癒されました。モルディブの中でも大きめの島に行ったので、レストランもたくさんありました。いろいろなものを食べて、オフを楽しく過ごしました。

imase

──特においしかったものは?

海に囲まれているので海産物がおいしかったです。カニとかエビとか。あとは、インド料理も多かったのでカレーも食べました。

──夏にはイタリア旅行を楽しんでいたかと思うのですが、旅は好きですか?

家にいるとずっと楽曲制作をしてしまうので、インプットも兼ねて長期の休みにはどこかに行くようにしています。毎年、年末は地元に帰ったり、地元の友達とコテージを借りてまったりしていたんですが、去年は友達と予定がなかなか合わなかったので1人で海外旅行に行くことにしました。

サックス、吹き荒れてます

──年末年始にしっかりとパワーチャージをしたimaseさんの2025年最初の作品は、テレビアニメ「トリリオンゲーム」第2クールエンディングテーマ「EGOIST」です。コミカルなミュージックビデオも話題を呼んでいますね。

今まで発表してきたMVの中でも一番表情が多彩ですし、雷に打たれたような爆発した髪型にも挑戦しました。ロケーション自体はそんなに変わった場所ではなかったのですが、自分の表情や動きでほかのMVとの違いを出せたと思います。

──この曲のアレンジは、かなりサックスが効いていますよね。

サックスが吹き荒れています。サックスは永田こーせーさんに吹いていただいて、間奏はアドリブでお願いしました。最初は控えめな感じだったところから、アレンジャーのmabanuaさんと僕の2人で「もっともっと! まだいける!」と声をかけて、かなり大胆なフレーズが生まれて。カッコいいサックスの音色が加わって、泥臭いところがある「トリリオンゲーム」にぴったりなアレンジになりました。

──昨年開催されたホールツアー「imase Hall Tour 2024 "Shiki-Sai"」(参照:imase、色彩豊かな楽曲届けた初ホールツアー完走「次は全国ツアーでお会いしましょう!」)で初めてimaseさんのライブを拝見しましたが、軽やかなパフォーマンスや会場の一体感が印象的でした。アッパーなサウンドの「EGOIST」もライブ映えしそうな曲ですよね。

そうですね。最初の頃はファルセットで歌う曲が多かったんですが、最近地声で歌う曲も増えてきていて、「EGOIST」は後者。華やかなサウンドの中でパワフルに歌う、ライブ向きの曲になったと思います。

武道館はキャリアを振り返る内容に

──ライブと言えば、imaseさんは4月からホールツアー「imase Hall Tour 2025 "Remake"」、7月には初の日本武道館公演「imase LIVE "Have a nice day" in NIPPON BUDOKAN」の開催も控えています。

ありがたいことにたくさんライブをする機会がありますし、現時点で今年のリリースもいくつか決まっています。今年の活動はかなり気合いが入っています。

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──ホールツアーはどんな内容を予定していますか?

去年のホールツアーで、ホールでしかできない演出がたくさんあるなと思ったんです。例えば、ステージの上部からセットを吊るしてそこに映像を投影するアイデア。前回のツアーとはまた違う演出を準備しているので、去年来てくださった方もぜひ遊びに来てほしいです。

──武道館公演はどういったものになりそうですか?

メジャーデビューシングル「Have a nice day」のタイトルを冠した公演なので、自分がどんな経緯で音楽を始めてここまで来たのかを振り返るような内容にできたらと思っています。今まで僕のライブを観たことがある方も初めて観てくださる方も楽しめるライブを目指しています。

TikTokでヒットした理由

──imaseさんはオリジナル楽曲をTikTokに投稿したことをきっかけに音楽活動を始められました。活動当初はフル尺で楽曲を作らず、TikTok用のショートサイズで作って投稿していたそうですね。

僕が投稿を始めた頃、ショート尺の曲をSNSに投稿している方がすでにいましたし、技量的にフル尺の楽曲を作り切ることがなかなかできなかったんです。短い尺なら自分にもできそうだな、と思ったことがきっかけで投稿を始めました。

──せっかく作ったし、いろんな人に聴いてもらいたいから投稿してみようくらいの感覚でしょうか。

そうですね。

──楽曲が広がっていくのを見てどんな気持ちになりましたか?

驚きが一番大きかったです。こんなにたくさんの方に聴いていただいて、コメントをもらえるなんてまったく予想していなかったので。ありがたかったですね。

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──imaseさんの場合は、投稿1曲目から大きな反響がありましたが、最初からたくさんの人に聴いてもらえた理由を自己分析すると?

当時流行っていたのがチルなムードの曲で、自分も好きだったのでそういうものを作ろうと意識して作りました。コロナ禍でみんながSNSを見ているタイミングに始めたのもよかったのかなと思っています。

──投稿していた映像はベッドの下にあるデスクでサンプリングパッドを叩きながら歌うというもので、このベッドルーム感も観ている方からしたら親近感が湧いてよかったのかなと思います。

弾き語りのオーディション企画(「TikTok弾き語りシンガー ドラマ主題歌オーディション」)にも「Have a nice day」で参加したのですが、当時はギターやキーボードを弾きながら歌えなかったこともあり、ドラムのパッドを叩きながら歌う動画にしました。パッドを使って演奏している姿もフックになって、たくさんの方に観ていただけたと思います。オーディション企画がなかったらこのスタイルは生まれなかったので、いいタイミングで参加させていただきました。