SUPER★DRAGON「Dreamland」インタビュー|僕らだけが描く世界 “出口のない夢”に誘われて

SUPER★DRAGONが3月26日にニューシングル「Dreamland」をリリースした。

メジャー3rdシングルとなる今作の表題曲は、メンバーの池田彪馬が楽曲全体のプロデュースを担当。“ドリームコア”をテーマに、どこか懐かしい8bitサウンドや大胆な楽曲展開、不可思議な夢の中をのぞき見るような描写のミュージックビデオなど、あらゆる角度から彼の思い描く世界観が表現された。

シングルのリリースを記念して、音楽ナタリーではメンバーにインタビュー。「Dreamland」についてはもちろん、メジャーデビューという転機を迎えた2024年について、結成10周年の節目を迎える今年の活動の展望などを聞いた。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / YURIE PEPE

「彪馬くんムズいね」って

──今回のシングルのリード曲「Dreamland」のコンセプトを構築し、楽曲のプロデュースを担当したのは彪馬さんだそうですね。

池田彪馬 はい。今回のシングルは制作期間が短めでわりと急ピッチの作業を求められたんですが、その中でもともと自分の中で考えていた“ドリームコア”というテーマを楽曲に落とし込めないかなというところからスタートしました。

池田彪馬

池田彪馬

──彪馬さんの中に明確なテーマがもともとあったんですね。

池田 個人的に、夢というものの概念が好きで。それに夢は誰しもが経験したことのある現象だと思うので、全員で共通して持てるテーマにできるかなと思って。

──昨年リリースされたメジャーデビューシングル「New Rise」、2ndシングル「Downforce」の攻めた方向性とはガラリと変わったニュアンスの曲になりましたが、そのあたりに関しては?

池田 「New Rise」「Downforce」はおっしゃるように“攻め”の部分がけっこうあったので、最初から3rdシングルでは逆に落ち着いていたり、さわやかな部分を見せたいという思いをメンバー間で共通して持っていました。そこを出発点に、たださわやかにするだけじゃなく自分たちなりの尖りや捻ったところはやっぱり出したいよねと考えて制作を進めていった感じです。

──今回彪馬さんが提案したドリームコアというコンセプトを、メンバーの皆さんはどんなふうに受け止めたんでしょう?

ジャン海渡 ある程度完成した曲を共有してもらったとき、「New Rise」や「Downforce」とは違ったニュアンスが歌詞のテーマやトラックの空気感からも伝わってきたし、さわやかさとSUPER★DRAGONらしさみたいなところがうまく中和されていると思いました。新しいSUPER★DRAGONの武器になりそうだと感じたし、自分がここからリリックを書き加えていくうえで、1st、2ndシングルとはまた違うニュアンスで書けるなと楽しませてもらいました。

松村和哉 自分は難しかったっすね。その……テーマを自分の中で噛み砕くのが。彪馬が持っている世界観を咀嚼するのに時間がかかりました。最初に曲がパっと送られてきたときは「何を言ってるんだろうな?」って(笑)。そのあとにちょうど、作詞のCHILLCAT THE BASTETさんに会う機会があったから「『Dreamland』調子どうっすか?」と聞いたら、チルさんも「あんまわかっとらん」みたいなことを言ってて(笑)。

ジャン海渡

ジャン海渡

松村和哉

松村和哉

一同 あはははは!

松村 チルさんとそんな話をしたのはめっちゃ覚えてますね。「彪馬くんムズいね」って(笑)。

池田 あはははは。

ジャン 僕はたぶん彪馬と思考的に似てる部分が多々あるんですよ。だから和哉と違って噛み砕くのが早かったというか、イメージに苦戦しなかったんですよね。そういう違いも面白いなと思います。

こだわりは構成

飯島颯 僕が曲を聴いた感想としては、少し難しい世界観かもしれないけどキャッチーさもしっかりとあるなってこと。耳に残るサウンドだなと思いましたし、遊び心のある音がところどころ入っていたりするので、振付も含めて完成がすごく楽しみになりました。僕自身はドリームコアの世界観に馴染みがなかったんですけど、ビジュアルが完成したりミュージックビデオの撮影をしたりと制作が進む中で、今は9月に迎える結成10周年に向けたシングルにふさわしい作品になったと思っています。ラグジュアリーな衣装でしっかりキメつつも、ちょっと遊び心のあるスパドラらしい雰囲気が全体的によく生かされてるなって。

伊藤壮吾 MVは絶賛編集中なんですが、ドリームコアの世界観が特によく反映されていて、今までにない感じの映像に仕上がりそうです。

飯島颯

飯島颯

伊藤壮吾

伊藤壮吾

──トラックに関して、大胆なテンポチェンジがあったりゲームの効果音的な8bitサウンドが随所にちりばめられていたりと、すごく練り上げられた構成だと感じたんですが、彪馬さん的には明確に「これをやりたい」という表現ができた感覚でしょうか?

池田 そうですね。とにかく遊び心を意識して制作していった感じです。

──中でも特にこだわりを持って取り組んだのは?

池田 構成だと思います。トラック全体の雰囲気に関してはわりと早い段階でつかめた感覚だったんですが、構成がけっこう難しくて。例えば、落ちメロに入る前の間奏で“ラスボス戦”みたいな、8bit色が強くなるサウンドが出てくるんですけど、そこは当初入れてなかった部分なんです。「もうちょっと遊び心を加えたいな」と思って、そういうパートを入れてみたり。あとは、2番AメロのジャンくんパートでBPMが変化するところ。そこも最初は前後のBPMと同じで割とシンプルなトラックだったんですが、怪しさを足したくて今のニュアンスになりました。ここに関しては実際にスタジオに入って、ジャンくんと作曲のNameless A.K.A NLさんとその場で修正していった感じです。そういう細かい部分がポイントになってるかなと思いますね。

志村玲於

志村玲於

柴崎楽

柴崎楽

何を言ってるかわからせたくない

──ラップパートは今回もジャンさんと和哉さんがご自身のパートのリリックを書かれています。彪馬さんが提示する世界観を、どのように落とし込んでいったのでしょう?

ジャン さっき彪馬が言ったように、僕はBPMを下げていく段階からスタジオで一緒に作業をしていたんですね。BPMをガラッと変化させる表現法はソロ(jjean)のほうでも経験があるので、全然表現できるなと。リリックのテーマに関しては彪馬が伝えてくれたコンセプトを噛み砕いていった感じですけど、僕のヴァースはこの曲のストーリーを説明しているようなニュアンスがあります。“僕ら目線”を強めに打ち出しながら、みんなを夢の中に誘うような空気感ですね。あとは前半をラップ、後半を歌にすることによって自分の色を出すというのはこだわったポイントです。

松村 僕は逆に、一貫して「何を言ってるかわからせたくないな」と思いながら書き進めていきました。読み込んだときに理解できない面白さ、うまくハマらない面白さみたいなものをすごく意識しましたね。僕、村上春樹が好きなんですけど、村上春樹の小説って何言ってるかわからないじゃないですか。あのイメージというか。

古川毅

古川毅

田中洸希

田中洸希

古川毅 なるほどね。

松村 文体がコロコロ変わって、ロマンチックな表現になったかと思えば歪んだ文章になったり。そういう変化を意識的につけていました。1つひとつの言葉にはちゃんと意味を持たせてるんですけど、ストーリーとしての解釈をさせないような書き方は意識しましたね。