CHiCOが3rdシングル「6:00 PM」をリリースした。
「6:00 PM」はテレビアニメ「ツインズひなひま」のエンディングテーマで、作詞作曲をSHE'Sの井上竜馬(Vo, Key)、編曲を井上と服部栞汰(G)が手がけている。「ツインズひなひま」はバズることを夢見る双子の女子高生・ひまりとひななの物語を描いた作品。2人はダンスを手始めに伸びそうなネタをかたっぱしから撮影していく中で“異変”に気付き、おかしな世界へと足を踏み入れていく。
音楽ナタリーではシングルのリリースを記念してCHiCOと井上に、楽曲の制作経緯やレコーディングの話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき撮影 / 星野耕作
絶対にいい曲を書いていただけそうだぞ!
──CHiCOさんにとって2025年1発目の楽曲であり、アニメ「ツインズひなひま」のエンディングテーマとなる楽曲を、井上さんに書いてもらうことになったのはどんな流れからだったんですか?
CHiCO アニメ「ひなひま」のエンディングテーマのお話をいただいたあと、どんな方に楽曲を書いていただこうかとスタッフ陣といろいろ話し合っていた中で、SHE'Sさんのことを教えてもらったんです。そこでSHE'Sさんの曲をいろいろ聴かせていただいたところ、「これはぜひお願いしたい!」とスタッフともども盛り上がって。
──SHE'Sの楽曲のどんなところに惹かれたんでしょう?
CHiCO SHE'Sさんの楽曲はバンドサウンドが軸にありつつ、そこにピアノが入ってくることで音の深みがものすごく増している印象があって。その世界観がとても素敵だし、アニメのエンディングテーマにもぴったりなんじゃないかなと思ったんです。「絶対にいい曲を書いていただけそうだぞ!」と。
井上竜馬(SHE'S) オファーをいただいたときは、「なんで俺らなんやろな?」とびっくりしました。僕らはこれまでほとんど楽曲提供をしたことがなかったし、あったとしても番組共演などがきっかけだったりしたんですよ。なので、完全に初顔合わせの方に曲を書かせていただけるということへの驚きが一番大きかったです。
──CHiCOというアーティストに関してはどんな印象を持っていましたか?
井上 僕はHoneyWorksもアニメもそんなに詳しくないし、ネット音楽にも精通していないので、CHiCOさんのことは名前を聞いたことがあるってくらいだったんですよ。今回の依頼をいただいてから、今はソロとしてやってらっしゃるとか、いろんなことを知っていって、楽曲もいろいろと聴かせてもらいました。
自由に作ることができた
──楽曲制作に向けて、事前にミーティングのようなこともされたんですか?
井上 ミーティングってしましたっけ?
CHiCO いや、やってないですね。楽曲の方向性、イメージの共有に関してはアニメの制作チームと井上さんでしていただいた流れでした。私はもうワクワクしながら、井上さんからデモが届くのを待っていた感じで(笑)。
井上 あー、そうでしたね。テキストでのやりとりだったと思うんですけど、アニメサイドの方から「こういう雰囲気の楽曲がいいです」というオーダーをいただいて。同時にアニメの情報……ラフな状態の映像や脚本をいただいたので、それらを観ながら曲を書き進めていきました。
──オーダーは具体的にどんなものだったんですか?
井上 バンドサウンドでありつつ、曲調としてはバラードではなくアップテンポ寄りでエモーショナルなものがいいというオーダーでした。その際、曲のテイストやテンポ感のリファレンスとして僕らの「追い風」や「歓びの陽」といった楽曲を挙げてくださいましたね。ほかのアーティストの曲がリファレンスに挙がったわけではなかったので、わりと自由に作ることができました。
──ご自身のバンドの曲がリファレンスになると、制作しやすいものですか?
井上 イメージはしやすいんですけど、深読みしちゃう部分もあったりはしますね。リファレンスに挙がった2曲って、実はSHE'Sの挑戦としてエレクトロサウンドをガッツリ入れた曲だったりして。なので、バンドサウンドというオーダーはありつつも、「もしかしてエレクトロな感じも入れたほうがいいんかな?」みたいな。いろいろ考えた結果、わかんなくなって今回は両方入れましたけど(笑)。2番でちょっとエレクトロ要素が入ってくるという。
──歌詞はもちろん、サウンドもアニメの世界観とのリンクを強く感じさせる仕上がりになっていますよね。
井上 そこは重点的に意識して作りました。曲の頭にパソコンのタイプ音を入れたんですけど、そういう部分もアニメのストーリーを受けてのものなんですよ。
CHiCO そうそう。頭のタイプ音やパソコンの起動音はすごく印象的ですよね。私は井上さんからデモをいただくまでアニメの内容もあまり詳しくは知らなかったんです。なので井上さんの曲を聴いて、ふんわりと内容を知っていく感じでした。タイプ音のようなギミックが入った楽曲は今までCHiCOとして歌ったことがなかったので、聴いた瞬間、すごく新鮮でうれしかったです。
「僕」という言葉は使わないようにした
──CHiCOさんは楽曲全体にどんな印象を受けましたか?
CHiCO バンドサウンドになるということは知っていたんですけど、そこにSHE'Sさんらしいピアノが入ってくることで、曲全体を通してCHiCOとしては新しい雰囲気だなと思いましたね。聴いた瞬間、歌のレコーディングがすごく楽しみになりました。歌詞に関しては、アニメの内容をすごく想像させてくれる描かれ方がされているので、グッと胸にくる瞬間もありました。アニメの世界観を投影しつつも、私自身にも当てはまる、共感できるフレーズもたくさんあったので、きっとCHiCOファンもみんな喜んでくれるだろうなと思いましたね。
井上 比重としてはアニメのことを考えながら書いた部分が多い歌詞ではありますけど、アニメだけの歌にならないような調整はしたつもりです。とは言えアニメを観る前にこの曲を聴くと、内容がわかってしまう部分もありそうですよね(笑)。
CHiCO あー、確かにそうですね。
──それだけアニメの世界に寄り添っている楽曲だということですからね。アニメのエンディングで流れることで、その世界観をより鮮明にしてくれる楽曲だと思います。
井上 そうであれば僕としてはすごくうれしいですね。
──ちなみにCHiCOさんは歌詞のどの部分に共感できました?
CHiCO 2番の「体温をくれていたあなたに 素晴らしい世界を見せたくて」のところです。それは自分が音楽活動を始めてからファンに対して思うようになった気持ちでもあるし、自分の親に対しても同じ気持ちを持っていたりするんですよ。なので、そのフレーズを歌っているときはファンのみんなと家族の顔が浮かぶんですよね。
井上 ああ、そうやって受け取ってくれているのはすごくうれしいです。歌詞の余白みたいな部分って、一番難しいんですよ。書かなすぎると何も伝わらないし、逆に書きすぎたら限定的すぎる歌詞になってしまう。そこはSHE'Sとしての作詞を含め、ずっとチャレンジしながら大事にしている1つの要素ではありますね。そのうえで今回は、CHiCOさんが歌うことを踏まえて「僕」という言葉は使わないようにしたところもあって。
CHiCO ありがとうございます。
井上 そう。アニメの主人公が女の子だったからそれがフィットした部分もあったんですけど、ちょっと意識しましたね。それ以外の部分に関しては普段の自分の書き方をしているかな。せっかくSHE'Sに楽曲を依頼してくれたので、あんまりSHE'Sっぽさがなくなってもダメかなと思ったので。
次のページ »
感情を強めに出してほしい