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第62回岸田國士戯曲賞授賞式で、神里雄大と福原充則が自らパフォーマンス

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第62回岸田國士戯曲賞授賞式より。左から福原充則、神里雄大。

第62回岸田國士戯曲賞授賞式より。左から福原充則、神里雄大。

第62回岸田國士戯曲賞の授賞式が本日4月16日に東京・日本出版クラブ会館で行われ、神里雄大が「バルパライソの長い坂をくだる話」、福原充則が「あたらしいエクスプロージョン」で岸田國士戯曲賞を受賞した。

受賞者の2人には、正賞として時計、副賞として20万円が贈られた。贈呈式ののち、選考委員を代表して岡田利規が選考過程を報告する。岡田は「候補作は8作品ありました。まず1回目の投票が行われ、神里さん、福原さん、そして山本(卓卓)さん、西尾(佳織)さんの4作品を選考の対象にするということが決まりました。そして4作品に対しての議論を進めた結果、神里さんと福原さん、山本さんの3作品に対する議論になり、選考会の空気の中で今年は受賞作なしでもいいんじゃないかという空気が流れたりもしましたが、ここで言わせてもらいますが、それを止めたのは私です(笑)」と話し、会場を笑いで包む。さらに「議論を重ねた結果、この2作の受賞が決まりました。2作品については最終的に全員が納得する形だったんじゃないだろうかと私は思っています」と続け、「お二人が演劇を作り続けるうえで、今回の岸田賞の受賞が少しでもサポートになれば」とエールを送った。

そのあと受賞者の2人が挨拶を述べた。まず神里が登壇し、「最初に(岸田國士戯曲賞に)ノミネートされてから8年が経ったんですけれども、その前もそのあとも、いろんな方に応援していただいていたんだなってことを、恥ずかしながら受賞後にいろいろな方からメッセージをいただいて気づき、恥ずかしいのとうれしいのとで泣きました」と受賞の喜びを述べる。また「僕は男で、演出家で、もう36歳のいいおっさんで、今回このような権威ある賞をいただいたことで、いつの間にか自分も権力を持つ側になってしまいました。そのことを自覚しつつ、今後はより強い権力に楯突きつつ、弱い立場の人たちを助けていきたい」と語り、会場から拍手が起きた。

続けて福原が登壇。福原は「演劇界ではそこそこ顔が濃いほうだと思って活動してきましたが、神里さんの顔を初めて見まして、いろんなことを思いました(笑)」と切り出し、会場を笑いで包む。受賞については、「もちろんうれしいですし、みなさんにお世話になっているんですけど、尊敬する佐藤B作大先輩から『賞なんてものは、くれるって人がいたらもらってくればいい、それ以上の意味はない』と言われたので、今日はさらっともらいに来ました」と語り、笑顔で会場を見回した。

さらにもう1人の“大先輩”として木野花の名前を挙げ、「木野花さんは呑むとよく『私は物心ついたときから頭の中で太鼓が鳴ってて、太鼓に急かされて生きてるの』って話をするんです。自分も頭の中で音が鳴ったり、別のものに突き動かされて物を作ることはあるんですけど、でも音が鳴り止んじゃうときもあって。そうなったときに、それでも僕はこれからも言葉を書くと思うし、それを皆さんの心に届けて皆さんの頭の中で太鼓を鳴らそうと思うので、俳優さんなら芝居で、プロデューサーならプロデュース面で、お互いに心の中の“木野花”という太鼓を鳴らし合えたらいいなと思っています(笑)」と語り、会場を大きな笑いと拍手で包んだ。

その後、選考委員の平田オリザが乾杯の挨拶を述べる。平田は「岸田賞というのが特別な賞であるとすれば、ほかの戯曲賞は戯曲単体で審査しますが、岸田賞では劇作家というこの体力の要る仕事を続けていけるかどうかを含めて審査しているところだと思います」と語る。そのうえで、福原には「『本当に書きたいこと』にぜひ出会っていただきたい」、神里には「すでに持っている強い形式を、さらに突きつめていただきたい」と期待を述べ激励した。

また会の後半では福原の父親などゆかりの人々が登壇し祝辞を述べた。さらに受賞者自らが記念パフォーマンスを披露。神里は自身とペルーとのつながりを地図を用いながら紹介し、福原は「人生で2本目に書いた」という中学生のころの短編戯曲「謝罪」を自作自演して、会場を沸かせた。

第62回岸田國士戯曲賞最終候補作品

糸井幸之介「瞬間光年」(上演台本)
神里雄大「バルパライソの長い坂をくだる話」(上演台本)
サリngROCK「少年はニワトリと夢を見る」(上演台本)
西尾佳織「ヨブ呼んでるよ」(2017年5月「紙背」創刊号 初出)
福原充則「あたらしいエクスプロージョン」(上演台本)
松村翔子「こしらえる」(上演台本)
山田由梨「フィクション・シティー」(上演台本)
山本卓卓「その夜と友達」(上演台本)

※作者五十音順。

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