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M.メイヤー演出「お気に召すまま」2017年に上演!音楽はトム・キット

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マイケル・メイヤー演出&トム・キット音楽によるシェイクスピアの喜劇「お気に召すまま」が、開場10周年を迎える東京・シアタークリエにて、2017年1月に世界初演される。

マイケル・メイヤーは、グリーン・デイの楽曲を用いたロックミュージカル「アメリカン・イディオット」をはじめ、トニー賞受賞作「春のめざめ」や「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」などで知られるブロードウェイの人気演出家。日本でもヒットしたテレビドラマ「SMASH / スマッシュ」第1シーズンや、オペラ「リゴレット」の演出でも話題を呼んだ。この度、彼が日本のキャスト&スタッフとともに「お気に召すまま」の新制作に挑む。マイケル・メイヤー版「お気に召すまま」は、1600年ごろに生まれた本作の設定を1967年に移し、アーデンの森をヒッピーが集結したロックフェス「Summer of Love」の会場に置き換えて、ポップな喜劇として描き出す。

打ち合わせのため2月中旬に来日したマイケル・メイヤーは、本作のアイデアについて「実は数年前にニューヨークで、『お気に召すまま』を『Summer of Love』の時代でやるというアイデアがあったんです」と明かす。「でもそれが実現しなくて、そのあと8年くらい前かな、東宝の方とお会いして日本で何かやってもらえないかと言われた時に、シェイクスピアはどうですかと東宝の方から提案があって、『そういえばアイデアはあったけれど実現しなかった企画があるな』と思い出したんです」という。

なぜ「お気に召すまま」の時代と場所を変更したかについては、「私は、もっと若く見えると思うけど(笑)、60年代のワシントンDCを経験しているんですね。当時は社会的に不安定で、自分よりちょっと年上の人たちはみんなピースムーブメントに感化されていた。テレビやラジオでもLove、Peace、Happinessを掲げた紛争や学生運動が流れていたし、若者がそれぞれに自分の個性や表現の自由を謳歌している雰囲気を感じました。その一方で、ちょうどニクソンが就任したときだったので、極めて保守的な雰囲気もあったし、1950年代の残像のようなセンシティビティもワシントンDCにはあった。そういった1960年代のワシントンDCの混沌とした雰囲気が、保守的なオリヴァーやフレデリック公爵、それとは対照的なロザリンドとシーリアらが登場する『お気に召すまま』の作品世界とつながったんですね」と説明した。

“メイヤー演出のシェイクスピア”というだけでも十分魅力的な本作だが、さらに注目したいのは音楽をトム・キットが手がけること。メイヤーは「『エブリディ・ラプチャー』や『アメリカン・イディオット』など、彼とは何度も仕事していますが、彼と仕事するのはとても好きなんです」と微笑む。「彼はこちらのアイデアを尊重しながら、それでいて自分の個性も出すのにとても長けている。今回もまさに今、話し合いを重ねてプランを練っているところです」と、創作が順調に進んでいることを感じさせた。

また「お気に召すまま」という作品の魅力については「ロザリンドだと思いますね」と即答。「シェイクスピアが生んだキャラクターの中でも、ロザリンドは一番かもしれない。度量の大きさや愛の深さが飛び抜けていますし、清い心と寛容さで、彼女は自分の恋人に、自分をどう愛してほしいかを教えるわけです。……我々もそうできればいいんですけど(笑)。そんな彼女に、男女どちらも共感してしまうのでしょうね」と思いを語った。

最後に本作を日本で制作することについては「大変なこともあるかと思いますが、特に問題はないです」と発言。「ただウィーンで『春のめざめ』を上演したとき、ドイツ語だったんですけど、アメリカなら必ず観客が笑うところで、ウケなかったんですね。『ドイツ人はユーモアがわからないのかな』と思ってたんですけど、そうではなかった(笑)。というのも、ドイツ語は動詞が一番最後なのでセリフを言い終わらないと伝わらなかったんです。日本語も動詞が最後だし、また英語と日本語では言葉の流れやリズム、韻が変わってくるので、その調整をこれから考えようと。ただ、黒澤明の『乱』を見ている限り、シェイクスピアの世界というのは日本の観客にも非常に合うと思いますので、自分としてはちょっとチャレンジングな部分もありますけれど、楽しみで」と語り、ビッグスマイルを見せた。

公演期間やキャストなどはこれから発表される。チケットは2016年秋に発売予定。

「お気に召すまま」

2017年1月
東京都 シアタークリエ

作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:マイケル・メイヤー
音楽:トム・キット

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