野村裕基が「狂言イデアの会」で「金岡」披く、“心の目で観る”モットーに若い世代へ発信

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野村裕基による「第一回 狂言イデアの会」が5月10日に東京・国立能楽堂で開催される。公演に先駆けて3月3日、裕基と野村萬斎による記者懇談会が東京都内で行われた。

左から野村萬斎、野村裕基。

左から野村萬斎、野村裕基。 [高画質で見る]

裕基は、昨年5月にプレ公演「第零回イデア狂言」を東京・矢来能楽堂で開催。完売御礼の人気を博したが、そのときに狂言の会開催までの過程や、事務方の大変さを知ったという。「ありがたいことに反響をいただき、『大きな会場で』という言葉を頂戴したことから今回につながりました。“イデア”とは哲学者プラトンの言葉ですが、大学時代に政治哲学を学び、地球上のものを俯瞰する、分析するという力を身に付けました。自分が主催する会をさせていただくにあたり、“理念”“本質”という意味を持つ“イデア”を、理性によってのみ認識される本質と捉え、心の目で観て感じていただく体験にすべく、会の名前にいたしました」と語る。

野村萬斎が「モードな人なんだな」と思ったという、「第一回 狂言イデアの会」のチラシ表。

野村萬斎が「モードな人なんだな」と思ったという、「第一回 狂言イデアの会」のチラシ表。 [高画質で見る]

公演では、裕基が「釣狐」に続く、萬斎いわく「“準”大習い」の「金岡」を披く。これは、平安時代の実在の絵師を主人公にした、狂言では珍しい色恋もの。裕基は「『三番叟』『奈須與市語』『釣狐』と階段を登っていく中でお許しをいただきました。『金岡』の見どころは、絵の具で顔を塗ることが笑いになるというところ。実在の人物を演じるということでも覚悟を持って勤めたいと思います」と話す。萬斎は「絵の具で色を塗るというところも面白いですが、狂い笹を持って叙情的にうたい上げるというのが、(裕基にとって)次なる階段のキモになる」と言い、狂言師が一人前になるまでの修行を表す「猿に始まり、狐に終わる」を例にとり、「『金岡』の段階ではある種ミュージカルというか、うたい上げることが重要になりますが、彼は師である私と声質が近いので謡の稽古にそこまで苦労はしません。私は父(万作)とは声質が違うので苦労しましたね。舞では苦労しなかったので、親子でも違うものだなと(笑)。また、『金岡』では狂言にあまりない色気や“隠し”みたいな部分にも向き合ってほしいですし、自分なりの個性がにじみ出て型にのる、という境地に至ってもらいたい」と期待を込めた。

そのほか、本公演では観世三郎太の舞囃子「養老 水波之伝」 、野村万作、萬斎、石田幸雄による狂言「舟渡聟」、野村昌司による仕舞「菊慈童」、そして一門が出演する狂言「茸」が披露される。裕基は、「同世代の三郎太さんに華を添えていただく『養老』は『水波之伝』の小書きで。『舟渡聟』では祖父と父とベテランの石田幸雄さんとの3人が織りなす“原点回帰”をご覧いただければと思います。私の従叔父である昌司さんの『菊慈童』、そして『茸』では6歳の子方も出演します。自然の脅威を感じながら、狂言が持つコミカルでチャーミングな面白さを楽しんでいただけると思います」と説明した。

左から野村萬斎、野村裕基。

左から野村萬斎、野村裕基。 [高画質で見る]

裕基は、万作が立ち上げ、現在は萬斎が監修する、六大学狂言研究会連絡協議会(通称六狂連)で講師としての活動も行っている。記者懇談会では、若い世代に狂言を観に来てもらう必要性を説き、「メディアに頼るだけでなく、自ら発信していきたい」と力強く語った。また萬斎は、第一回の主催公演を控える裕基に向けて、「新しい世代感覚で時代を背負い、担うというところで観客と共に育っていくのは大変結構なこと。自分で責任を持つ場があるほうがいいのは確かなことで、第一回から国立能楽堂でやれるのは大したものです。自分なりの感覚を育てていくのが大切だと思います」と温かな言葉を投げかけた。

さらに、裕基は“推し”の文化を取り入れようと、グッズ販売についても言及。「今、観劇をする人の楽しみ方の1つとして、グッズと一緒にどこかに行くということがあると思っていて、グッズが作れたらと考えています」と現代的な感覚を見せた。すると萬斎が、「(万作の会で実施した)LINEスタンプをまたやりたい」「コラボとか、もっと広がることをしたら?」と、アイデアマンぶりを発揮し、「もっとはみ出ないと。ファンの中で収まっていたらダメだと思う」と狂言の裾野を広げて来た先輩として、背中を見せた。「第一回 狂言イデアの会」のチケット一般販売は、4月10日10:00にスタートする。

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第一回 狂言イデアの会

開催日程・会場

2026年5月10日(日)
東京都 国立能楽堂

出演

舞囃子「養老 水波之伝」

観世三郎太

狂言「舟渡聟」

野村万作 / 野村萬斎 / 石田幸雄

仕舞「菊慈童」

野村昌司

狂言「金岡」

野村裕基 / 野村太一郎

狂言「茸」

野村裕基 / 野村遼太 / 金澤桂舟 / 松川美韻希 / 石田淡朗 / 月崎晴夫 / 内藤響 / 中村慶一 / 深田博治

公演・舞台情報

※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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酒&絵馬 @bu_hi_buhi

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野村裕基が「狂言イデアの会」で「金岡」披く、“心の目で観る”モットーに若い世代へ発信
#野村裕基 #野村万作 #野村萬斎 https://t.co/tWSVWgBJG1

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