舞台「悪の花」より、海乃美月のビジュアル。

テンミニ!10分でハマる舞台

海乃美月がストレートプレイ初挑戦、韓国ドラマ「悪の花」舞台化で“憧れの女性”に

大事なのは、チャ・ジウォンの“愛の持ち方”

PR舞台「悪の花」

2020年に韓国で放送されたテレビドラマ「悪の花」が、世界で初めて舞台化される。「悪の花」は、日本でも大ヒットしたテレビドラマ「愛の不時着」を手がけたスタジオドラゴン企画・制作によるサスペンスラブストーリー。骨太で硬質なドラマづくりに定評がある鈴木勝秀が脚本・演出を担う舞台版で、元宝塚歌劇団月組トップ娘役の海乃美月がヒロインを演じ、初めてのストレートプレイに挑戦する。韓国ドラマ好きで、原作ドラマもチェックしていたという海乃に、本作にかける思いを聞いた。

取材・/ 大滝知里

韓国ドラマの魅力はファンタジーを“日常”に落とし込められる演者の技術

舞台「悪の花」キービジュアル

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舞台「悪の花」は、韓国の総合芸術賞「百想芸術大賞」で5部門にノミネートされ、そのうち演出賞を受賞したテレビドラマを原作にしている。結婚14年目の夫婦である金属工芸作家のペク・ヒソンとその妻で刑事のチャ・ジウォンは、人並みに幸せな生活を送っていた。しかし、ヒソンは実は連続殺人犯の息子で、かつてある村で起きた殺人事件の指名手配犯“ト・ヒョンス”であり、身分を偽って生きていた。ジウォンが夫の不可解な行動に疑念を抱きはじめた頃、ヒョンスの前に長い昏睡状態から目覚めた本物のヒソンが現れて……。劇中では、ヒョンスの事件を追うジウォンら警察チーム、ヒョンスの過去を知る週刊誌記者、亡くなってなおヒョンスを支配する父、地位や名声に縛られたヒソンの両親といった登場人物それぞれの思いが複雑に絡み合って物語が展開。偽りの人生を生きるヒョンスの、事件の真相に迫る。海乃美月は台本を読んだ感想を、「16話もある原作をどうやって2時間の舞台作品に縮めるのだろう?と想像がつきませんでした。でも、鈴木(勝秀)さんの台本を読ませていただいたら、ドラマの大事な部分がギュギュッと詰め込まれていましたし、舞台版では登場人物が限られる中、原作で描かれている人間ドラマの面白さが丁寧にすくいとられていて、そこが今回の見どころになっていると感じました」と話す。海乃自身は“韓国ドラマ好き”で、「愛の不時着」「トッケビ」など長い話数の作品も観てきたそう。韓国ドラマの魅力を聞くと、「演者の皆さんの演技力」だと言い、「韓国ドラマは展開がなかなか進まないものもありますが、一方で日常会話がすごく細やかで緻密。画面の中でも、ちょっとした表情やセリフの発し方が日本のドラマとは違う繊細さを醸し出していて、ファンタジックな作品でも自然な形に落とし込んでいます。それは俳優さんの技術なんだと思いながら拝見していました」と熱っぽく分析した。

愛した人を幸せにできる、ジウォンは理想の女性

舞台「悪の花」より、海乃美月のビジュアル。

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そんな海乃が舞台「悪の花」で演じるのは、警察官でありながら、身分を偽って生きる指名手配犯の男だと知らずに愛してしまうチャ・ジウォン。海乃は「ジウォンはすごくピュアな人です。ヒソンと出会い、“条件”で好きになるわけではなく、直感的に恋に落ちてしまう。それは理想的な恋愛の形なのかもしれませんが、貫き通すのは難しいことだと思うんです。でも、ジウォンはヒソンと出会った頃の自分の感覚を大事にしながら生き続けている。だからこそヒョンスを最終的に救う存在になれると思っていて。ジウォンという女性を演じるうえで、彼女の“愛の持ち方”や、その人に対する“愛情の持ち方”が2人の関係性の要になるのではと考えています」と、役作りについて語った。

海乃は宝塚歌劇団在籍時から芝居巧者として知られ、月城かなととのトップコンビ時代には、成熟した芝居の掛け合いで、作品の面白さを観客に届けた。海乃は「いつも自分の考えに寄せて芝居をしてしまうところがあるのですが、ジウォンほど真っすぐな人はなかなかいないなと思いまして(笑)。私は物事を冷静に考えてしまうタイプなので、今回はあえて、自分と重ねすぎないようにしているかもしれません。ジウォンのような人が、愛した人を本当の意味で幸せにできる人だと思うので、私にとっては憧れの女性。理想の人を演じるような感覚でトライしています」と明かした。

ストレートプレイに初挑戦、いかに自分自身をのめり込ませられるか

舞台「悪の花」ロゴ

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また、海乃が本作で初めてストレートプレイに出演することもトピックの一つだ。その思いについて聞くと、「お稽古場の雰囲気が、ミュージカルの現場とは違うなと感じました。感情をオーバーに表現できるミュージカルは、お客様にとって親切な部分がありますが、今回はそうじゃない。自分の芝居だけで勝負する場に、どれだけ自分自身をのめり込ませてフォーカスできるかというのは、私にとっても大きな挑戦だと感じています」と言葉に力を込める。また「(舞台上に)余計なものがないので、会話で進めていく、ということを重点的にお稽古しています。『どんな事実が隠されていても自分からはヒョンスを突き放せない、彼を純粋に思う気持ちをしっかりとベースに持つことを大切にしよう』と、鈴木さんとはお話をさせていただきました」と、順調に稽古が進んでいる様子を見せた。なお、「ヒョンスのように他人を名乗って生きる選択肢が与えられたらどうするか」と質問を投げかけると、海乃は大きく目を見開いてから、にこやかに「私は家族や血のつながった人たちのことが大事なので、彼らを悲しませることになるのなら、自分の思いは断つと思います」と、ジウォンのような愛情の深さを見せた。

話題の韓国ドラマを、海乃をはじめ、元宝塚歌劇団雪組トップスターである水夏希、ヒョンス役のA.B.C‐Zの五関晃一、ヒソン役のSpeciaLの和田優希、そして久保廉、安西慎太郎、久保田秀敏、宮下雄也、みのすけ、羽場裕一と出自の異なる俳優が集まり、初めて舞台化する今回。海乃は、「16話分のドラマを2時間に凝縮しているので、正直、展開はかなり速いです(笑)」と率直に述べ、「ですので、事前に原作のドラマをご覧いただけると、登場人物たちのどの会話がピックアップされていて、そこから何をくみ取るべきなのかという推理も楽しめるのではないかなと思います。ドラマではBGMで雰囲気が作られることが多いですが、今回の舞台版ではそのようなことはありません。舞台上にいる俳優たちの息遣いや場の空気をリアルに体感して、私たちと同じように作品世界に浸りながら、ドラマとはまた違う感想を抱いてもらえるものになるのではないかなと思っています」と話した。

舞台「悪の花」公式サイト

舞台「悪の花」

開催日程・会場

2026年3月6日(金)〜15日(日)
東京都 IMM THEATER

2026年3月28日(土)・29日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

スタッフ

原作:「悪の花」(製作:STUDIO DRAGON / 脚本:ユ・ジョンヒ)
脚本・演出:鈴木勝秀

出演

五関晃一 / 海乃美月 / 和田優希 / 久保廉 / 安西慎太郎 / 久保田秀敏 / 宮下雄也 / みのすけ / 水夏希 / 羽場裕一

公演・舞台情報

海乃美月(ウミノミツキ)

1993年、富山県生まれ。2007年、県民ミュージカルに主役で出演。2011年、宝塚歌劇団に97期生として入団。2021年に月組トップ娘役に就任し、「今夜、ロマンス劇場で」「応天の門」などに出演後、2024年の「Eternal Voice 消え残る想い」「Grande TAKARAZUKA 110!」で退団。2025年にミュージカル「ボニー&クライド」ではWキャストでヒロインを務めた。2026年5・6月に舞台「MISSDIRECTION」が控える。

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