本作は、2023年に公開された長編アニメーション映画「
舞台は1956年、日本の政財界を裏で操る龍賀一族が支配する哭倉村(なぐらむら)。ある密命を帯びて村を訪れたサラリーマン・水木は、そこで行方不明の妻を捜す幽霊族の男・鬼太郎の父と出会う。2人は龍賀一族の凄惨な跡目争いに巻き込まれながら、村に隠された真実と怪奇に立ち向かっていく。
本記事では、公演の前半部分を中心にその魅力をレポートする。幕開けを飾るのは、龍賀家当主・時貞が最期を迎える場面だ。身体を正面に向けたまま、上半身だけを急にガクリと折り曲げる動きが、時貞の死の異様さを際立たせる。背後には時貞の巨大な顔が映し出され、物語の始まりを告げる不穏な空気が劇場全体を支配した。これ以降も本作では、中屋敷演出らしい身体性を駆使した表現が次々と繰り出される。閉鎖的な村の怪奇現象は、プロジェクションマッピングやアンサンブルキャストの躍動によって、舞台空間ならではの厚みを持って再構築された。
鬼太郎の父役の
本作は鬼太郎の父と水木による“バディもの”としての側面が1つの魅力だが、物語の前半では、2人の距離が縮まっていく過程が描かれる。中でも、檻の中に囚われた鬼太郎の父と、その外側で檻にもたれかかる水木が背中合わせで言葉を交わす場面は、関係性の変化を象徴するシーンだ。境遇も種族も異なる2人が、互いの存在を強く意識し、利害の一致から共に調査を開始するまでの過程が、静かな緊張感と軽妙なやり取りが同居する中で立ち上がる。長年共演を重ねてきた鈴木と村井の阿吽の呼吸は、この先で怪奇に立ち向かう2人の絆が発揮されることを予感させた。
脇を固めるキャスト陣も、物語の世界観を支える。岡本姫奈(乃木坂46)は、閉ざされた村で懸命に生きる龍賀沙代の可憐さと絶望を繊細に演じ、
ゲネプロ前に行われた囲み取材には、中屋敷、鈴木、村井、岡本が登壇した。鬼太郎の父役を務める鈴木は、「この作品が年明け1発目の作品で良かった」と笑顔を見せる。見どころについては、複雑な人間ドラマの中に妖怪が混ざっていく面白さを挙げ、「“妖怪担当”として、激しいアクションが1つの売りになっています。映像を相手にした戦いなど、多彩な演出で表現しています」とアピールした。
村井は、「初日公演からいきなりライブ配信があるので失敗できない(笑)」と気を引き締める。劇中に登場する怨念が化けた妖怪について「狂骨はこんなにデカかったのかと目の当たりにできるチャンス」と舞台ならではの迫力を語った。また村井は、アンサンブルキャストたちの活躍について「一瞬で違う役で登場する“早着替えの謎”が気になります」と、作品タイトルに絡めて言及し、会場の笑いを誘う。岡本は「グループを離れて1人で初めて挑戦する舞台が本作だなんて、恵まれているなと感じる日々です」と感謝を口にし、「ぜひ沙代ちゃんの目線でも楽しんでほしい」と来場者に呼びかけた。
中屋敷は「リハーサル中に笑いと悲鳴と涙が止まらなくなりました。早くこの興奮を皆様と分かち合えたら」と手応えを語る。舞台版ならではの魅力については「原作映画は憎しみや悲しみが伝わってきますが、舞台版は人間愛にあふれた毛利(亘宏)さんの脚本によって、喜びや慈しみといった幸せなメッセージを内包した作品になっている。年が明けたばかりで怖い作品を観るのはちょっと……と躊躇している方がいるかもしれないけれど、意外と愛おしい作品です」と太鼓判を押した。
これを受け村井も「新年早々血だらけになるけれど(笑)、テーマにはさまざまな“愛”が流れているのが面白い」と同意。鈴木は「まずはシンプルに舞台を楽しんでいただき、そのあとにSNSなどで考察を盛り上げていただけるとうれしいです」と作品の奥深さに触れ、「鬼太郎の父と水木の物語をどうぞ最後まで見届けてください」と囲み取材を締めくくった。
上演時間は休憩なしの約2時間5分。公演は1月25日までサンシャイン劇場にて上演され、その後、29日から2月2日まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、7・8日に佐賀・鳥栖市民文化会館にて行われる。また、ライブ配信や千秋楽のライブビューイングの実施、Blu-rayの発売も決定している。
舞台「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」
開催日程・会場
2026年1月9日(金)〜25日(日)
東京都 サンシャイン劇場
2026年1月29日(木)〜2月2日(月)
大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2026年2月7日(土)・8日(日)
佐賀県 鳥栖市民文化会館 大ホール
スタッフ
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