本格的なソウル / ダンスミュージックマナーをJ-POPに落とし込んだ楽曲を歌う者同士として、事前のインタビューですでに意気投合し、相性のよさを予感させていた両者。フィロのスの奥津マリリは、そんな太シスを音楽的な“ご先祖様”と表現していた。しかもこの日のライブは太シスにとって、26年のキャリアの中で初のツーマンライブ。さまざまなアーティストを相手にライブを作り上げることで最高のシナジーを生み出してきた対バン巧者・フィロのスとぶつかり合ったとき、どんなミラクルが生まれるのか。この記事では、昼夜2公演のうち昼公演を軸にしながら、夜公演の際立った出来事も併せてレポートする。
「踊って踊って、踊りまくるぞ~!」
2組の競演を観ようと、会場のduo MUSIC EXCHANGEは足の踏み場がないほど多くの人であふれかえっていた。場内にはBGMとして、OCHA NORMA「ラーメン大好き小泉さんの唄」、Nissy「DANCE DANCE DANCE」、Sly & The Family Stone「Dance to the Music」と古今東西の“ダンス”にまつわる音楽が流れ続け、観客の“踊り明かしたいモード”に火を点けていく。定刻を迎え場内が暗転すると、銀色に光る新衣装をまとったフィロソフィーのダンスが登場。リズミカルなSEに合わせてメンバー紹介を終えると、日向ハルが分厚いフェイクを響かせ「ウェイク・アップ・ダンス」でライブの幕を開けた。ビッグバンド調の豪奢な音と見事なマイクリレーで、フロアへ目覚めの一発を叩き込む。香山ななこの「踊って踊って、踊りまくるぞ~!」の掛け声で「VIVA運命」へとなだれ込み、ファンキーなナンバーで勢い付いた観客が大歓声を届ければ、それに応えるように5人も爆発的な声を轟かせた。
ステージとフロア双方の「オーオーオー!」のコールで始まった「ロック★with you」で日向と奥津によるロングトーンが炸裂すると、場内の空気は大きく震えた。佐藤まりあによる馬跳びも見事に決まり、大歓声が巻き起こる。「最初から全力で行きますから!」という奥津の宣言後に放たれた「ダンス・ファウンダー」では、佐藤が楽しさのあまりステージの端から端まで移動してファンサービスを届けていく。曲間で行われる肩を組んでのラインダンスでは、フィロのスファンと太シスファンが肩を組み、ともに脚を上げる。フィロのスがツーマンライブ時に掲げる「Live Synergy」の精神が、早くも形として表れた。
「大きい声出せますか?」と日向主導で始まった発声練習も兼ねたコール&レスポンスのあと、黒と白を基調とした新衣装に身を包んだ太陽とシスコムーンがステージへ。3人がステージ中央で構えると、「太陽&シスコムーン Let’s Start!」の掛け声に合わせてデビュー曲「⽉と太陽」のイントロが流れ、クールかつキレのあるハイトーンの小湊美和、パワフルで分厚い声の稲葉貴子、セクシーな低音の信田美帆、三者三様のボーカルワークで魅了していく。続けざまの「HEY! 真昼の蜃気楼」では、3人の複雑かつハードに動きまくるダンスがフロアを真夏のムードに染める。2曲ですっかり臨戦体制のオーディエンスをよそに、小湊は「休憩しないと。普段は2曲続けてとかやらないからね」とマイペースにつぶやき、場内を笑いで包んだ。
フィロシス8人の「宇宙でLa Ta Ta」
息を整えたのち、3人はニュージャックスウィング調の「Hey You!」、切なく感傷的なバラード「Everyday Everywhere」を続けて披露。フィロのスが勢いと爆発力で熱気を生むなら、太シスは大人の余裕と経験が生み出す押し引きでフロアをロックする。両者4曲ずつの前半ターンを終えたところで、8人全員がステージに集結。太シスの圧巻のパフォーマンスに打ちのめされた奥津は開口一番「姐さんたち、カッコよすぎ! ちょっと頭抱えて、空見上げてましたよ」と興奮気味に語った。そして両者は横一列に並び、「フィロソフィーのダンスと、太陽とシスコムーンで、“フィロシス”で~す!」と声をそろえて挨拶し、フィロシスでのコラボレーションとして「宇宙でLa Ta Ta」を披露することに。8人は端から1小節ずつのリレー形式で歌をつなげていく。隣り合う木葭ののと稲葉は互いの顔を見合わせてニッコリと笑顔を交換。日向が小湊に駆け寄って抱き合えば、奥津と信田も手を取り合ってステージ上でぐるぐると回転した。間奏は元体操選手の信田によるアクロバットが見せ場だが、この日は香山と日向も側転に挑戦。見事大成功に収め、最後は信田がお手本とばかりに手脚がピンと伸びた華麗な側転を決めてフロアに大歓声と拍手を巻き起こした。
ステージには再びフィロのスのみが残り、「踊る体力、残っていますか?」のひと言から後半戦へ。5人は「イッツ・マイ・ターン」「オプティミスティック・ラブ」とアッパーチューンを畳みかけていく。日向は自身の髪型について触れ、T&Cボンバー名義で発表された太シスの2ndアルバム「2nd STAGE」のジャケットにおける稲葉のヘアスタイルを再現したと明かすと、ジャケットで稲葉が取る座りポーズも完璧に再現してみせた。また、この日の昼公演では、フィロのスの新曲「ダンス・フォー・フィロソフィー」が初披露された。この楽曲は、6月に活動を終了する彼女たちが最後に発表するオリジナルナンバーで、インディーズ時代のフィロのス楽曲を手がけてきたヤマモトショウ、宮野弦士とのひさびさのタッグ作だ。5人はさらに「ゲレンデ・ファンキー・ラブ」「シュークリーム・ファンク」の2曲をファニーかつパワフルに歌い上げ、太シスへとバトンを渡した。
フィロのスが作った熱狂を受け取った太シスは、濃厚なファンクチューン「Be My LOVE」、そして太シス楽曲の中でもとりわけ“アイドル”濃度の高い「DON’T STOP恋愛中」という、太シスからフィロのスへのアンサーとも呼ぶべき選曲で場内を温めていく。思わず笑顔になる観客を見て、稲葉は「みんな受け入れ態勢ができていてうれしい!」と笑顔を返した。続く「ディスコ・クレオパトラ」は一昨年、太シスがデビュー25年目の年にteam445とのコラボによって「CISCO3」名義で発表した現時点での最新楽曲。現行の太シスのパフォーマンスを存分にフロアに感じさせたのち、ラストスパートのひと声から「ガタメキラ」へ。むせ返るような大人のムードで場内を包んだ3人は、最後にダンサブルな「ENDLESS LOVE ~I Love You More~」を届けてステージをあとにした。
「Magic of Love」もスペシャルバージョン「ここだよ◯◯◯!」
暗転間もなく、フロアでは大きな拍手が巻き起こる。その音に導かれ再び登場した2組は、フィロのスの「バイタル・テンプテーション」を8人で披露した。リレー形式で行われる両者のボーカル合戦に、場内の温度はみるみる上昇。最高潮の盛り上がりを見せた。さらにもう1曲、というところで、その曲の合間で起こるコールに向けての声出し練習が入念に行われ、ラストナンバー「Magic of Love」へ。この曲が大好きなフィロのスの面々は本家との共演にやや奥ゆかしい様子だったが、徐々に表情もほぐれ、ハグやアイコンタクトを通じて喜びを分かち合う。そして2番Bメロでは佐藤が前へとせり出し、「ここだよまりあ!」の大コール。誰が該当パートを歌うのかは伏せられていたが、観客は事前の練習通りに声を合わせて息ぴったりに叫ぶ。大サビ前には稲葉と日向が大迫力のフェイク合戦を繰り広げ、ラストは全員で肩を組み熱唱。圧倒的な幸福感がフロアを包んだ。
ハロー!プロジェクト愛の強い香山は「太陽とシスコムーンさんは伝説だと思っていたので、こんな日が来るなんて……本当に幸せでした」としみじみ語り、信田は「リハからみんなかわいくてしょうがない」と破顔。佐藤は「今日は本当のお姉ちゃんができたみたい。おんぶしてもらいながらステキな景色まで連れてもらった気分」と喜び、うれしさのあまり何を話すか忘れてしまった奥津は、お昼のおやつ報告に終始して笑いを誘った。稲葉が「みんなグイグイ来てくれて楽しい時間が過ごせました」と語った瞬間、奥津と日向が駆け寄り、稲葉の衣装をめくってお腹を出させようとするひと幕も。感極まった日向が「幸せすぎて、笑いながらずっと涙が出ている状態。活動終了間際にシスコさんと重なる日を迎えられたのが幸せでした」と心からの感謝を伝えれば、木葭も「偉大な方とステージをご一緒できて。前世でどんな徳を積んだんだろう?と思うぐらい」と最大級の喜びを表現する。そんな木葭の姿を見て「かわいい……」と小湊は心の声を漏らし、「会場の皆さんの笑顔に押され、どんどん盛り上がっていくライブになりました」とオーディエンスへの感謝を述べた。さらに2月15日に誕生日を迎える小湊へのバースデーサプライズが行われ、徹頭徹尾、笑顔があふれっぱなしの2時間は幸せなムードの中で幕を下ろした。
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【ライブレポ公開!】
ライブナタリー
“太陽とシスコムーン × フィロソフィーのダンス”
ライブレポが音楽ナタリーにて公開!
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