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H△G「こだまでしょうか」ジャケ写

H△G こだまでしょうか

100年の時を経て、金子みすゞと響き合うみずみずしい祈り

文 / 蜂須賀ちなみ

NHK「みんなのうた」のためにH△Gが書き下ろした「こだまでしょうか」は、金子みすゞによる同名の詩に、H△Gがメロディを付け、Ryo'LEFTY'Miyataがアレンジを手がけた楽曲だ。

H△Gのコンポーザー・Yutaは、金子の名詩「私と小鳥と鈴と」の一節「みんなちがって、みんないい。」を折に触れて引用してきた。懐かしさや切なさ、青春のみずみずしさを普遍的な言葉とサウンドで描き出すH△Gの美学は、もとより金子の詩と響き合っていた。だからこそ今回Yutaは、感じるがままにメロディを紡いだという。

楽曲は、澄んだ空気をまとったミドルバラードに仕上がった。Chihoの歌声とピアノの演奏による幕明けはとても静か。コード進行も相まってわずかに陰りを帯びているが、ウインドチャイムの音色を機にバンドやストリングスが合流。サウンドの広がりとともに温かな世界を描き出す。

Chihoの歌唱が、詩の魅力をこの上なく引き出している。柔らかく、透明感があり、聴く人の心をいたずらに波立たせないニュートラルなボーカルは、シンプルな言葉の中に深みを宿す詩をそのままの姿で届ける。押しつけないからこそ、言葉が聴き手の内側に染み込んでいく。曲の最後のChihoの歌声は、始まりよりもほんの少しだけ明るく響いている。微かに光が差したような変化、その絶妙なさじ加減が、詩の結末の温かな余韻と重なる。

「『遊ぼう』っていうと / 『遊ぼう』っていう。」──自分が投げかけた言葉は、やがて自分のもとへ戻ってくる。この詩が伝えるのは、言葉の先には必ず誰かの心があるということ。そして優しい世界を作れるかどうかは、自分の在りよう次第だということ。H△Gはまさに、その精神性を体現してきた。自分たちの信じる音楽を届け続けた結果、今や海外へと支持を広げている。それもまたひとつの“こだま”だろう。金子が約100年前の詩に込めた祈りは、H△Gの歌声を得て、今また新たに響き始めた。

H△G「こだまでしょうか」Music Video

H△G「こだまでしょうか」
2026年2月18日(水)配信開始 / Bandai Namco Music Live
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詩:金子みすゞ / 作曲:H△G / 編曲:Ryo LEFTY Miyata

H△G(ハグ)

H△G

2012年に愛知県岡崎市で結成された、青春期の「葛藤」や「胸の痛み」そしてその「蒼さ」を、言葉やサウンド、デザインで表現することを掲げる音楽グループ。メンバーは、ボーカリストのChihoを中心に多数のコンポーザーやクリエイターで構成される。「星見る頃を過ぎても」などのオリジナル曲やVocaloid曲のカバー動画を動画共有サイトに投稿して話題を集め、2017年7月にシングル「夏の在りか」でメジャーデビュー。同年リリースのボカロカバーアルバムは、音楽サブスクリプションサービスで累計4億回再生を突破した。2025年11月に、テレビアニメ「ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん」のオープニングテーマ「青春のシルエット」およびエンディングテーマ「線香花火」を収録したシングル「青春のシルエット / 線香花火」を発表。近年はアジア圏を中心に海外で高い人気を誇り、2024年にはアジアツアーを成功させている。