WINNERのカン・スンユンが「2nd FULL ALBUM [PAGE 2]」をリリースした。このアルバムを携え、3月には大阪・大阪国際交流センター、東京・豊洲PITにて、自身初となる日本でのソロコンサートを行う。
YG ENTERTAINMENT所属の男性グループ・WINNERのリーダーを務め、グループの楽曲制作における中核を担うカン・スンユン。「2nd FULL ALBUM [PAGE 2]」は、そんな彼の“見せたい姿”が表現されたリード曲「ME(美)」をはじめ、スルギを迎えた「LOVE PLAY(Feat. SEULGI)」など、ジャンルや事務所の垣根を越えた13曲が収録される。
音楽ナタリーでは、カン・スンユンにインタビュー。アルバムの制作秘話や15年にわたるキャリアの中で抱えてきた葛藤、大切にしている価値観、マイク一本でステージに立つ自身のソロ公演への意気込み、さらには「1日に3回食べた」という大好物の“日本食”の話題まで、多角的な視点で彼の現在地を紐解く。
なお、今回のインタビューは全編にわたり日本語で行った。インタビュアーからの日本語の問いかけに対し、1つひとつの言葉を吟味しながら、ほぼすべての回答を日本語で紡ぎ出したカン・スンユン。その真摯な姿勢からは、誠実な人柄とINNER CIRCLE(WINNERファンの呼称)への深い愛情が浮き彫りとなった。
取材・文 / 岸野恵加
15年間の葛藤、完成後の自信
──スンユンさんは「2nd FULL ALBUM [PAGE 2]」というアルバムを通してご自身の多面性を表現したかったそうですが、完成した作品を聴いて、何か発見したことはありましたか?
僕は約15年間、K-POPアイドルという枠の中で音楽をやってきて、「自分は真のアーティストなのか?」と悩む瞬間が多くあったんです。常に新しいジャンルに挑戦したくて一生懸命がんばっているけれど、自分が作っている音楽は“軽い”のではないか。そんな疑念を、ずっと抱えていました。でも「2nd FULL ALBUM [PAGE 2]」を制作している間に、「僕が自分自身の音楽を信じなければ、真のアーティストとは言えない」と考えるようになって。このアルバムの完成後は、「これからはただのアイドルではなく、僕がやっている音楽すべてが芸術であると言えるんじゃないか」と自信を持つことができました。
──それだけ手応えがあったということですね。「ME(美)」は青春ムードあふれるさわやかなナンバーですが、この楽曲をリード曲に据えた理由は?
リード曲はアルバムを代表する曲なので、「カン・スンユンが聴かせたい音楽とは何か」を深く考えたんです。おそらくファンの皆さんは僕の音楽にロックのイメージを強く持っているだろうし、一方でWINNERの楽曲は、ダンスナンバーが中心。さらに、僕はサバイバル番組などで、情感のこもったバラードも多数披露してきました。そんなふうにいろんな面を持っているけれど、ジャンルにとらわれず、僕がやりたいことを一番表現できる楽曲はなんだろうかと考えたときに、「ME(美)」がその答えになる曲だと思ったんです。
──「ME(美)」のコレオグラフが特にお気に入りだそうですね。
はい。あまり枠を狭めたくなくて、まずはダンサーさんに自由に振付を考えていただいたんです。「僕の中にあるイメージと違っていたらどうしよう」と少し心配だったのですが、作ってくださった振付が、自分の中のイメージと完璧に合致していて。その瞬間は、今までの活動の中で一番うれしかったですね。イントロのダンサーさんたちのフォーメーションや、ラバーバンドで五線譜を表現したパートなど見どころがたくさんあるし、「ME(美)」の魅力を200%引き出してくれる振付で、本当に気に入っています。
──なるほど。そして「ME(美)」ではコーラスのレコーディングにスンユンさんの後輩にあたるYGの練習生の方々が参加していますが、これはスンユンさんのアイデアだったのですか?
普段レコーディングスタジオにはエンジニアさんを含めて2、3名しかいないので、多くの人の声を録りたくても難しいんです。この曲には若くてエネルギーのある声が必要だと感じて、練習生のみんなに歌ってもらったらぴったりだと思い、スタッフに相談して参加してもらいました。
──スンユンさんはTREASUREやBABYMONSTERのライブに足を運ぶなど、常に下の世代のアーティストを温かく見守っている印象があります。最近は後輩とどんな交流をしましたか?
かなり前に、TREASUREと「ごはんをおごってあげるよ」という約束をしていたのですが、お互いに忙しい日々を過ごしていたので、まだ果たせていなくて。先日僕にお祝い事があったタイミングで、TREASUREのメンバーたちが「おめでとうございます!」と連絡をくれたんですよ。そのすぐあとに、「ヒョン(韓国語における『兄さん』のラフな呼び方)! いつごはんをおごってくれるんですか?」と、いろんなメンバーから次々とメッセージが送られてきました(笑)。うれしかったですね。
──(笑)。ラフなムードで接することができるのは、それだけスンユンさんが気さくで優しい先輩だからですよね。
TREASUREもBABYMONSTERも、誰でもそうですが、後輩たちにとって気楽に接してもらえる先輩でいられたらうれしいです。
この声を探していた!
──「2nd FULL ALBUM [PAGE 2]」のほかの収録曲についてもお伺いします。「LOVE PLAY (Feat. SEULGI)」ではスルギさんをフィーチャリングゲストに迎えていますね。歌声の相性がとてもよく、聴いていて心地よかったです。
ありがとうございます。この曲を作ったときに、スルギさん以外の声はまったくイメージできなかったんです。レコーディングで最初にスルギさんの歌を聴いた瞬間、「これだ! この声を探していた!」と感動しました。あまりにも素敵な歌声だったので、僕はリアクションを隠すことができなくて(笑)。スルギさんは所属事務所以外のスタジオでレコーディングする機会があまりなかったそうで、少し緊張されていたんですけど、その瞬間から自信を持ってくださったようで、スムーズに録音を進められました。本当に大切な思い出になりましたね。
──ちなみにスルギさんとはどんなお話をしましたか?
2人とも写真を撮ることが好きなので、そんな話題で盛り上がったり、アイスブレイクをしたりしながら、和やかな時間を過ごしました。
──アルバムは全13曲と聴き応えのある内容ですが、スンユンさんの楽曲を初めて聴く方にオススメの曲はありますか?
うーん……「SAY IT NOW」でしょうか。カン・スンユンの楽曲の中ではテンポが速くて、WINNERに近いスタイルの曲です。ソロアーティストとしては初めて見せるテイストだと思うので、ぜひ聴いてもらいたいです。
──では、INNER CIRCLEの皆さんに聴いてほしい曲は?
やっぱり「PICK YOU UP(Feat. EUN JIWON)」。これはINNER CIRCLEの皆さんのことを考えながら作った曲です。「もっとファンの皆さんの近くに行きたい」という思いを込めて制作しました。
──今回のアルバムで、ボーカルやサウンド面で新たに挑戦したことはありますか?
「S.A.D」という、愛犬のために作った曲があるんですが、この曲では少しラフな歌い方をしてみました。今まではすっきりときれいな声で表現することが多かったので、新鮮でしたね。サウンド面で言うと、とにかく自分の頭の中にある楽曲のイメージを、最大限忠実に表現することを意識しました。「ME(美)」は特に、エンジニアさんと「もう1回!」「いや、これは違う」と検討を重ねて、いろんな声や音階を試して完成しましたね。そうした過程も、リスナーの皆さんに伝わったらうれしいです。それでもどうしても頭の中を100%は表現しきれなかったのですが、現状の僕のベストを尽くしました。
──WINNERの楽曲とソロ楽曲では、制作に臨む際にどんな違いがありますか?
WINNERの楽曲では、メンバー全員の魅力を見せられることを一番に重視します。そしてステージの上でどんなパフォーマンスができるかも一緒に考えますね。対して、ソロの楽曲制作はもっと自由です。ジャンルもボーカルスタイルもテンポも、ステージでどう披露するかも、何にもとらわれずに制作しています。
──なるほど。ちなみにWINNERのメンバーの皆さんからは、「2nd FULL ALBUM [PAGE 2]」の感想は届きましたか?
はい。「スンユンくん、成長したね!」と直接感想を話してくれて、それが一番うれしかったです。僕が日々目標としているのは、「昨日よりも成長した今日を作り、そして今日よりも成長した明日を作る」ということ。ファンの皆さんや大衆のリスナーからの反応ももちろんうれしいですが、一番そばにいる人たちからの感想は、自分にとって特別な意味がありました。
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6年ぶり日本公演で湧き上がった感情




