西川貴教インタビュー|歩みを止めない「Ignis -イグニス-」次につながる作品完成

西川貴教の8thシングル「Ignis -イグニス-」がリリースされた。

表題曲「Ignis -イグニス-」は、テレビアニメ「炎炎ノ消防隊 参ノ章」第2クールのオープニング主題歌。作詞をTOPHAMHAT-KYO(FAKE TYPE.)、作編曲とプロデュースをTeddyLoidが手がけたロックナンバーだ。

過去に大久保篤原作アニメ「ソウルイーター」でつながった縁をきっかけに作られたという「Ignis -イグニス-」。さらなる未来を感じさせるような作品に仕上がったという今作について、西川にじっくりと話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき撮影 / YOSHIHITO KOBA

がむしゃらにやってきたからこそ見れた景色

──今年1月10日、香港アジアワールド・エキスポにて「Exciting Match Takanori Nishikawa vs T.M.Revolution in Hong Kong」が開催されました。まずはその感想から聞かせてください。

これまでもアワードや現地メディアに出演させていただくことで香港との接点はあったんですけど、単独公演をするのは初めてだったんです。なので、こちら側としては果たして自分にどれくらいの需要があるのか、7500人キャパの会場が埋まるのかといった部分がわからなくて。ところがいざ蓋を開けてみると、おかげさまでチケットは早々に売り切れ、思った以上のリアクションをいただくことができたんです。本当に温かく迎えていただけてよかったなと。

西川貴教

──ツーマンスタイルでのライブは、先方からの提案だったんですか?

いや、先方のお話では僕のライブであればどんな形でもいいということでした。だったら自分の手札は複数あるので、その多角的な活動を同時にご覧いただけるようなショーケースはどうですか、と提案させてもらいました。今回はT.M.Revolutionと西川貴教というカードで行かせていただいたんですが、僕にはもう1枚、abingdon boys schoolがあるので、今後はほかの組み合わせもできそうだという手応えを感じましたね。香港での公演以降、いろんな地域のプロモーターからお話をいただいているので、まとまり次第、皆さんに共有できればいいなと思っています。

──今回の香港ライブの成功は、今後の海外展開への大きな足掛かりになるのかもしれませんね。

そうですね。これまではあまり積極的に海外へのアプローチをしてこなかったので、国外における自分の需要をリアルに感じることがなかったんです。でも今回の経験を機に、約30年のキャリアの中で積み上げてきたものを一気に海外展開していくことは、すごく面白いんじゃないかと思い始めました。香港公演は急遽決まったことだったので国内の皆さんに充分なチケットをご用意することができなかったけど、今後は早めに準備して、日本のファンの皆さんと一緒に海外の景色を見てみたいなとも思いますね。それこそワールドツアーなんかを視野に入れて動いていけたらなと。

──初の全面対決となったT.M.Revolutionさんとの対バンはいかがでしたか?

向こうはやっぱり実績もおありですし、こちらとしては胸を借りるといった感じでしたよね(笑)。ただ、西川貴教としては以前も香港に伺ったことがあったので、土地の空気感をリアルに感じていた分、そこはこっちに分があるかなとは思ってましたけど。まあでもT.M.Rさんはさすがの貫禄でしたよ。どの曲でも大きな歓声が上がってましたから。素晴らしかったです。

西川貴教

──ステージチェンジはなかなか忙しそうですよね(笑)。

そうですね(笑)。当初のプランだと2組のステージの間に20分ほどのインターミッションを設ける予定だったんですよ。でも、「それはいらない。ぶっ続けでいこう」と僕から提案させてもらって。急遽、ステージにポップアップを仕込んで、引っ込んだ真下で着替えてそのまま出ていくという流れにしたんです。要は僕が1人でがんばる、みたいな感じで(笑)。そのおかげで西川が作った空気を冷めさせることなく、次のT.M.Revolutionにつなげられたので、全体としてすごく一体感のあるライブ作りができたと思いますね。

──2人が間髪をいれず連続で登場するシーンを想像しただけで鳥肌モノですね。

いやー、お恥ずかしい話ですけど僕自身も正直、感動して歌えなかった瞬間もありました。昨年リリースした「HEROES」には「どんなタイミングからでもあきらめなければ願いは叶う」「だからお前もがんばれよ」という自分へのメッセージを込めた部分もあったので、それを香港の地で強く噛み締めることになったというか。ここまで闇雲に、とにかくがむしゃらにやってきたからこそ、今この景色を見せてもらえているんだなって、ものすごく感動しちゃいましたね。本当にいい経験をさせてもらえました。

ぶっ放して終わりではない、さらなる未来へ

──そんな西川さんからニューシングル「Ignis -イグニス-」が届きました。表題曲は放送中のアニメ「炎炎ノ消防隊 参ノ章」第2クールのオープニングテーマとして書き下ろされたもので、今回の起用はアニメの原作者である大久保篤先生からのご指名だったそうですね。

ありがたいことですよね。大久保先生の作品で言うと、アニメ「ソウルイーター」にT.M.Revolutionとabingdon boys schoolで参加させていただいたことがあるんです。そのときの縁を大事に思ってくださっていたんだなということを改めて実感して、本当にうれしかったです。過去からのつながりを踏まえたうえで、今回のお話をいただけたことに身が引き締まる思いでした。

西川貴教

──しかも人気作品のファイナルシーズンを飾る楽曲を任されたわけですもんね。

そうですね。大久保先生や、その作品との大切なご縁が生んでくれたお話だったので、単にぶっ放して終わりといった楽曲ではなく、次につながる、さらなる未来を感じさせるような仕上がりにすることが大事だと思っていました。なのでタッグを組むクリエイターとして今回はTeddyLoidを指名させてもらって。彼には以前、T.M.Revolutionの「UNDER:COVER」(2006年1月リリースのセルフカバーアルバム)でアレンジに参加してもらったこともあったし、一昨年シンガポールで開催されたイベント「AFA×Japan Music Festival」でひさしぶりに再会したんですよ。DJとして参加していたTeddyは自分のスケジュールを変更して、僕のリハーサルをわざわざ見に来てくれて。そのときに「また一緒に何かやろうよ」と話したことが今回の作品につながりました。Teddyの最近の動きやサウンドメイクの傾向にも注目していたので、彼のオケに自分の声を乗せたらどんな感じになるのかなという純粋な興味もありました。

──1曲の中に心地よい緩急を盛り込みながらも、全体として猛烈なパワーを感じさせてくれるサウンドですよね。西川さんのレパートリーとしては斬新な印象もあります。

Teddyがあらゆる場所、あらゆる形で注目されてる所以がここにあるんだなと感じましたよね。DJ的なアプローチを持ったエレクトリックなサウンドではあるんですけど、僕と一緒にやるという意味でギターサウンドを小気味よく入れ込んできたりとか、とにかくバランス感覚がすごくいい。彼が培ってきたいろんな経験や、そこで育まれたセンスがどこを切っても感じられるというか。今回、一緒に制作をしてみて、思った以上に相性がいいなと感じたところもあったので、もっと一緒に作品作りしようよって、さっそく話したりしています。

西川貴教

──作詞はFAKE TYPE.のTOPHAMHAT-KYOさんが手がけています。西川さんとしてコラボするのは初めてですよね。

そうです。Teddyからの勧めもあったし、僕自身、いつか組んでみたいなと思っていたんです。彼もすごくセンスがいいですよね。しかも非常に柔軟。こっち側の意見を投げかけると、それを踏まえてよりよいものを出してくれる。僕が歌いながら、「こういった響きの言葉のほうがいいかも」「こういうアプローチはどうかな」とか、最終の歌入れの段階までけっこう細かく積み上げていきましたから。リリックに関しては全体的な意味合いを大切にしながら、ブラッシュアップしていった感じかな。すごくやりやすかったです。