2025年、「イイじゃん」の大ヒットをきっかけに“イイじゃん”旋風を巻き起こし、活動初期からの夢の1つだった「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たしたM!LK。昨年10月に配信リリースした「好きすぎて滅!」が、早くも「イイじゃん」超えとなるSNS総再生数30億回、ストリーミングの累計再生数1億回突破と、止まらない勢いを見せている。
高い注目度の中、2月18日にリリースされた2026年一発目の作品は、その「好きすぎて滅!」と新曲「爆裂愛してる」を表題曲とする両A面シングルだ。リリースを記念して、音楽ナタリーでは佐野勇斗、曽野舜太、山中柔太朗の3名にインタビュー。怒涛の勢いで駆け抜けた昨年末の思い出や今作の制作エピソード、さらには社会現象的な楽曲のバズの中で見出した“自分たちらしさ”やこれからの夢まで、今の5人の中にある思いをたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 須田卓馬
夢の舞台で今から歌うんだ!
──まずは昨年末の「NHK紅白歌合戦」について聞かせてください。「イイじゃん」での紅白初出場。M!LKが長年抱いていた夢が、1つ叶った瞬間でした。
佐野勇斗 メンバーとも話したんですけど、「イイじゃん」を歌ってるときはまったく緊張しなくて、自分でもびっくりしたんです。緊張したのは、ダンサーを担当させてもらった坂本冬美さんの「夜桜お七」でしたね。そんな感じだったので、僕的にはすごく楽しめた印象でした。あと、僕は一昨年少しだけ出て雰囲気を知っていたこともあって(連続テレビ小説「おむすび」のキャストとして参加)、シミュレーションできたのもあるかもしれない。でもやっぱり、5人で出られたっていうのはうれしかったです。
山中柔太朗 僕も緊張はあまりなく。アーティストの皆さんが年に一度のお祭りのような感じで楽しんでいる雰囲気があって、それに自分も参加させていただく感覚だったから、意外と空気を楽しめました。「イイじゃん」の披露直前はさすがに「やるぞ」という感じでしたけど、それ以外はお祭り気分でやってしまった自分が怖いです(笑)。
曽野舜太 僕は緊張した。全然緊張感あったよ。自分のパートの前とか「このあと何秒か、僕の歌が全国の皆さんに届くんだ。夢の舞台で今から歌うんだ!」と思って。
佐野 へえー! そんなこと考えてたんだ。
曽野 一瞬よぎりましたね。
佐野 俺、自分たちのパフォーマンスのときに自分自身に課題を課すというか、本番は何かプラスでやろうと考えたんです。歌い出しの「So good…」で審査員席の前からステージに上がっていく、その移動のときに何かしゃべろうと。当初の予定では何も言わない場面だったんですよ。本番ギリギリまで、何を言おうか考えて。
曽野 それで本番、噛まずによく言えたね?
佐野 本当に緊張しなかったから。まずは絶対、み!るきーず(M!LKファンの呼称)に「ありがとう」を言おうと決めて。あとは「2025年楽しかったです」という気持ちを伝えるのと「来年はみんなもっと幸せになってイイじゃん」と、「イイじゃん」を使ったメッセージを言おうって。実際、スムーズに伝えられました。
──「み!るきーず、ここまで連れてきてくれてありがとう!」というメッセージはすごく素敵でしたね。心に残りました。
曽野 残りましたよね。めっちゃいい言葉だった。
山中 あの大舞台で時間ピッタリによく言えたわ。
佐野 それくらい冷静だったんだよ。で、「イイじゃん」が終わったら「夜桜お七」への衣装の早替えがあったので、すぐに頭を切り替えて。
曽野 僕、早替えをしながら「あ、夢叶ったんだ~」と思ったのを覚えてる。すごく不思議な感覚でした。
──リーダー(吉田仁人)の様子はどうでしたか?
山中 ちっとも緊張してなさそうだったよね。淡々とやってました。
佐野 仁人は「夜桜お七」のソロダンスが話題になってましたよね。
山中 彼はああいう表現が得意ですから。よかったよね。吉田ソロにしたの、正解だった。
M!LK史上一番の反響
──「NHK紅白歌合戦」「輝く!日本レコード大賞」をはじめ、各局の年の瀬の大型番組に引っ張りだこだった年末を駆け抜けた実感はいかがですか?
曽野 なんだか年を越した感覚がなかったです。怒涛のまま、気付いたら紅白の日が来ちゃった!みたいな感じだったよね。
佐野 2024年も「CDTV」さんの年越しライブには参加したんですが、去年は「Mステ SUPER LIVE」に始まり、「レコ大」「紅白」「CDTV」……そのあとも収録があったので、息つく暇なくここまで来た感じです。舜太の言う通り、まだ全然「2025年です」って言っちゃいそうな感覚(取材は1月中旬に実施)。
山中 僕も2人と同じ感覚だけど、怒涛の年末が終わってからいただく反響で「あ、本当に紅白出たんだ」とわかるような感じでした。周囲からもらう反響が、今までの何よりもすごかった。
佐野 そう。圧倒的にM!LK史上一番だよね。
山中 SNSの声もそうですし、周りの反応もそうですし。やっぱりすごい番組なんだなというのは、そんな場面でも感じました。
キッチンを何度めちゃくちゃにしたか……
──2025年は「イイじゃん」の爆発的なバズをきっかけに、M!LKの名前がお茶の間に一気に知れ渡った1年だったと思います。特に下半期の積み上げがすごかったというか、グループの魅力が加速度的に広まっていきましたよね。
山中 そう感じていただけました? 自分たち自身はそのあたり、正直わからないんですよ。
佐野 そう、わからない! 渦中にいるからなのか、実感が湧かなくて。
山中 ただ、常に焦ってはいました。下半期にかけて何しよう、何しようって、みんなで話し合いながら……とりあえずアクションを起こし続けることはやっていましたけど、そうやって動き続ける中で目に見える、一番大きな成果が紅白だったというだけで。
佐野 やってることも、今までとさして変わらないもんね。
山中 そう。やってることが変わらないから。まあでも、たとえ紅白に出られなかったとしても後悔がないくらい、いい1年だったと思います。
佐野 “M!LK会議”はめちゃくちゃしてて。柔太朗が言ったように、「紅白に出られなくてもやりきったからしょうがないよね」と言えるくらいがんばろうってことはずっと話してたんです。実際、メンバー全員が「やりきる」という目標を大きく達成できたと思えるくらい、みんながんばっていました。
曽野 そうだね。
佐野 SNSもそうだし、バラエティ番組もそうだし、とにかくめちゃくちゃ動いたぞという達成感と、紅白が終わって、みんなからあまりにも「最近ヤバいね、すごいね」と言われるから「あ、そうなんだ」って、実感がようやく……湧いてないです。
山中 湧いてないんかい(笑)。
佐野 ただこれは1つ、目に見える進化なんですが、SNSのフォロワー数の伸びが全員すごすぎて。
曽野 そう、わけわからないよね。
山中 信じられないくらい増えてるから、さすがにびっくりしています。
佐野 例えば柔太朗、Instagramのフォロワー数が12月31日に50万人を超えたと思っていたら、その10日後に60万人を超えて。1日1万人ペースで増えるって、もはや理解できないよね。
山中 そうなんだよ。今まで地道に目標を立てて、ストーリーズもすごく試行錯誤して工夫してきたのが、10日で10万人伸びちゃったから。
佐野 1万人増やすのにどれだけ苦労してきたかってことですよ。
曽野 何回インスタライブしたかわかんない(笑)。
佐野 俺んちのキッチンを何度めちゃくちゃにしたか……。
曽野・山中 あはははは!
気持ちが固まった“自分たちらしさ”
──半年前の「アオノオト」の特集でお話を聞いた段階では、「『イイじゃん』をきっかけにM!LKというグループの名前は知ってもらった。じゃあ今度はメンバー個々の魅力を知ってもらうようにがんばらないと」ということをお話していたんです。その思いが、夏以降で一気に叶っていったというか(参照:M!LK「アオノオト」佐野×曽野×山中インタビュー)。
佐野 うん、そうですね。
──5人それぞれの魅力がちゃんと世間の人に届いていったから、そのスピード感がすごいなと思っていました。
山中 これは僕の感覚的な話なんですけど、今お茶の間の皆さんが求めているものと、僕らのやりたいことが合っていたような感じがしていて。
佐野 そうだね。タイミングも合ってたんだと思う。
山中 例えば「メンバーカラーの服を着て、キラキラ元気にしてくれるアイドルをひさしぶりに見た」という声をもらったりするんですが、僕らはそれをやりたくてやっているんですよ。「受け入れられるために、やっていることを変えないと」ということが意外となかった。だからこそ「じゃあこんなこともできるね」って、“その先”のことも積極的に考えられたというか。
曽野 まあ、時代が僕らについて来たってことで……。
佐野・山中 おい(笑)。
曽野 もちろん冗談ですけど(笑)、僕らずっと、やってることは変わらないからね。
山中 世間の皆さんからいただく声によって、僕らの中でやるべきことが明確になっていったんです。それもありがたいことだよなと思います。
佐野 「M!LKってどんなグループ?」と聞かれたとき、これまで10年間、ずっと「“変幻自在”なグループです」と説明してきたんですけど、正直ピンとは来ていなくて。
山中 誰もね。
佐野 そう、誰も(笑)。何か1つ、いい表現がないかなと考えていたときに……「好きすぎて滅!」のミュージックビデオがすごくたくさんの方に観てもらえた、そのコメント欄にたくさん「元気になる」「元気をもらえる」と書いてあって。「とにかく日本を明るく元気に盛り上げたい。みんなで景気よくハッピーになれたらよくない?」という姿勢がすごく僕ららしいということに気付いて、そこからさらに勢い付いた感じがあります。
山中 そうなんだよね。そこでみんながしっかりと共通の意識を持てたと思う。「そういえば、アイドルってそういう仕事だよね」という基本に改めて気付くことができたんです。
佐野 前提としてそういう思いをずっと持ちながら活動してきてはいたんだけど、ちゃんと言葉に表して掲げることができたのが、去年の10月以降。自分の中では、それくらいの時期から「M!LK勢いあるね」と言われるようになった感覚です。「イイじゃん」のヒットのときは、そこまでじゃなかったもんね。世間的には、まだ一発屋感があったと思う。
曽野 そうだね。たまたま出てきた、みたいな。
佐野 まだ「どんなもんかな?」とうかがっているような感じもあったと思うんですけど、自分たちの気持ちが固まったから。その影響もあったと思う。
──その感覚はすごく理解できます。「イイじゃん」での世間の注目度の高まりを経た「好きすぎて滅!」で、今度はM!LKというグループ自体のよさが一気に知れ渡ったんじゃないかなと。
一同 うん。
──MVのコメント欄を見ていると、パフォーマンスに臨む皆さんの姿勢そのものに賛辞を送る、泣きそうになるほど素敵な書き込みがたくさんあるじゃないですか。
山中 泣きそうになりますね……。
──「好きすぎて滅!」を通して、楽曲のよさはもちろん、アイドルとしてのM!LKの魅力に多くの人が気付いた。「イイじゃん」で火が点いた勢いをさらにブーストできたというのが、とても大きな出来事だったんじゃないかと思います。
山中 一番大きかったですね、2025年で。「イイじゃん」のバズはもちろんですけど、「好き滅」をしっかり聴いて、観てもらえたのがめちゃくちゃ大きい。
佐野 ただ「イイじゃん」が広まってなかったら、「好き滅」は今ほどのことにはなってないんですよ。
曽野 順番が違ったら、また話が違っていたかもしれない。
佐野 「イイじゃん」は正直、自分たちの中では“イレギュラーバズ”なんですけど、「好き滅」もね、本当にタイミングがよかったとしか言いようがないというか。チャンスが訪れるタイミングでそれをしっかりつかむための努力をしてきた自負はもちろんあるんですが、いろんな可能性を考えると「マジで運がよかったな」という思いもあります。
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