WATWINGがニューアルバム「honest」をリリースした。
本作のテーマは“honest=本音”。6人それぞれが制作に携わったメンバープロデュース曲を含む全13曲が収録されており、個々の楽曲から彼らのクリエイティビティと等身大の思いを感じ取ることができる。
音楽ナタリーではメンバープロデュース曲を中心に深掘り。メンバーの“本音”をこのインタビューから受け取ってほしい。
取材・文 / 中川麻梨花撮影 / 梁瀬玉実
ヘアメイク / Keiji Udagawa、Saya Hakozakiスタイリスト / Kaz Nagai
取り戻したのは“最初の自分たち”だった
──アルバムタイトルの「honest」は“本音”という意味合いで付けられたそうですが、どういう経緯でこのテーマになったんでしょうか?
八村倫太郎 2024年に「Get Em Back」というツアーを回ったときに、ライブの楽しさや、お客さんが来てくれることのありがたさを改めて感じることができて。そもそも、僕たちは結成当初から順風満帆だったわけじゃない。お客さんが少ないところから始まって、デビューしてからすぐにコロナ禍も経験した。ライブができるありがたみをよくわかってたはずなのに、「Get Em Back」ツアーを回る前は、埋まらない会場があることへの嘆きが強くなってしまっていました。「Get Em Back」はタイトルの通り、お客さんを“取り戻す”というつもりでやったツアーでしたが、そこで僕たちが何よりも取り戻したのは“最初の自分たち”だった。6人でステージに立てることがうれしい。そして、ステージに立てるのはファンの人が来てくれるから。それで「僕たちの大好きな音楽を、大好きなみんなに届けたい」という、飾らない、ありのままの自分たちの気持ちに正直になることができたんですよね。今回のアルバムでは、そんな正直な思いを大切にしようという意味で「honest」というテーマを掲げました。
──サウンドにも歌の表現にも、各曲に込められているメッセージにも、ありとあらゆる面で攻めの姿勢を感じました。初めから挑戦のアルバムにしようと思っていたのか、それとも本音をテーマにした結果、自然とこういった攻めた作品になったのか、どっちなんでしょう?
桑山隆太 それは後者ですね。今回はメンバーが1人1曲ずつプロデュースしていて。「honest」というテーマに合わせて、それぞれの思いを注ぎ込んで楽曲を作ったら、自然と攻めのアルバムになりました。
八村 希空と隆太は、1人で楽曲をプロデュースするのは初めてだったよね?
桑山 そうだね。
福澤希空 メンバーと一緒に曲を作ったことはあったけど、1人で曲の土台から考えるのは初めてだった。自分が思ったことを曲にできるのは、純粋にうれしかったですね。
──今日はメンバープロデュース曲の話を中心にお伺いしようと思うんですが、その個性的な楽曲たちの前に入っているのが、アルバムのオープニングトラック「Smile」です。爽快でポジティブなエネルギーを感じる曲ですね。
八村 「I smile You smile We smile」というリフレインが気持ちいいです。個人的には「365」(昨年3月にリリースしたEP「uNi」収録曲)のアンサーソングっぽいと感じていて。
鈴木曉 確かに。この曲を聴くと、笑顔は人を幸せにするなと改めて感じます。
髙橋颯 「地球の裏側でも I'll be there」という歌詞がある通り、「1人じゃない」と当たり前のように感じさせてくれるような曲です。WATWINGって、こういうことをきっぱりと歌えるようになったんだなって……この曲はそういうふうに感じるフレーズが多いですね。僕が特に好きなのは、「1 chance, 2 chance, Don't waste it 仲間に贈る最大の愛」というフレーズ。WATWINGのメンバーはもちろん、Windy(WATWINGファンの呼称)への愛を感じる言葉です。
古幡亮 リリックはNozomi KitayさんとNoah Cooperさんが書いてくださったんですけど、実はNozomiさんは、僕がWATWINGに入る前にダンサーをやってた頃からの知り合いなんです。当時はお互い駆け出しだったんですが、今ではNozomiさんは作詞家としてすごく活躍されていて。「Smile」のほかにも、「Be Real」(昨年10月配信リリースの楽曲)でも作詞していただき、こうして再会してタッグを組むことができてうれしかったです。Noahくんも仲よくさせてもらっていて。Noahくんは頭がよくていろんなことを計算しながら曲を作ってるので、話しているとすごく勉強になるんですよね。
いつか絶対に発表したいなと思っていた曲
──2曲目の「夜明け」は鈴木さんがプロデュースおよび作詞作曲をした楽曲です。これまでクリエイターやメンバーとの共作クレジットはありましたが、鈴木さんお一人で作詞作曲した曲が発表されるのは初めてですよね?
鈴木 初めてですね。もともと僕らは年上組の4人(古幡、鈴木、髙橋、八村)を中心に、音楽の勉強のために日常的に曲作りをしていたんですよ。そのときに生まれたのがこの曲で。お気に入りだったので、いつか絶対に発表したいなと思っていたところ、アルバムで1人1曲プロデュースできることになったときに「今だ!」と。
髙橋 曉が作ったこの曲は、デモの段階で自分も口ずさんじゃうくらい好きでした。全体に鮮やかさがあって、何かに悩んでるときに聴くと、一気に「やってやるぜ!」という気持ちになるんですよね。
八村 僕らもこの曲のメロディラインが忘れられなくて、ずっと心に残っていました。今回1人1曲ずつプロデュースすることになったときに、これまで曉が作った曲はほかにもあったんですけど、「あの曲がいいんじゃない?」と僕らも押していました。今回発表できることになって、自分事のようにうれしかったです。
──曲の頭から、情緒的な美しいメロディが印象的で。そこに「旅の始まり帆をあげろ」という前向きで力強さのある歌詞も絶妙な形で融合していて、鈴木さんの感性が素敵だなと思いました。
鈴木 ありがとうございます。僕はメロディアスなサビで始まる曲が好きなんですよね。そういうふうに自分の好きな曲調や音をふんだんに詰め込んだ曲です。デモは前からあったんですけど、歌詞に関しては、この曲をアルバムに入れることが決まってから書きました。WATWINGとして活動してきた6年間の道のりを歌詞にしたくて、最初にいくつかのテーマを箇条書きで書き出して。自分にエール、型破り、最高の仲間がいるから強くいられる、旅、スタート、自分の弱さを認める、まだいける、人はいろんな景色を見れる、周りはすごいやつら……こういったワードを書いていって、そこから歌詞を生み出していきました。
古幡 レコーディングでは曉がこの曲のこだわりを丁寧に教えてくれて。完成した音源を聴いたときに、自分でもすごく納得できる歌に仕上がっていました。
鈴木 WATWINGはみんな歌がうまいんでね。間奏のダンスブレイクでは、亮と希空にかましてもらおうと思っているのでライブを楽しみにしていてください。
「怪物になりたい」と思った
──桑山さんプロデュースの楽曲「Monster」は、沸々と心が燃え上がっていくようなダンスナンバーです。魂を解放するようにサビでエネルギーが爆発する感じがカッコいいですね。
桑山 出発点としてはダークな雰囲気の、バチバチのダンス曲を作りたいという思いでした。いつもステージで爆発したいという気持ちがあるんですけど、どこか爆発しきれない自分がずっといて。「爆発できるような怪物になりたい」と思ったんです。それで“モンスター”をテーマに曲を作ろうと思ったときに、自分1人だと曲作りの経験もまだないけどいいものを作りたかったので、今までもお世話になったことがあるソングライターのYoheiさんとトラックメイカーのYoshiさんと共作という形で作詞作曲しました。
──共作にはいろいろやり方があると思うんですが、どのように作っていったんですか?
桑山 一緒にスタジオにこもってコライトしました。まず曲のイメージと一緒に、「モンスターをテーマにしたい」ということをお二人に伝えて。そこからはけっこうスムーズにメロディラインができあがりましたね。怪物っぽい音をイメージして、トラックはエフェクティブなものになって。ジャンルにとらわれない、ミクスチャー音楽というか。
──Dメロは曲調がガラッと変わってチルなサウンドになっていますよね。
桑山 Dメロの展開はYoshiさんのアイデアです。自分にはなかった考えだったので、すごく面白かったですね。歌詞に関しては、Yoheiさんに自分が作りたいものを1回全部箇条書きでお送りして。「Monster Monster 皮肉なもんさ」とかは最初から書いていました。「Monster」と「もんさ」をかけて、「めっちゃいいやん」って自分でテンションが上がって(笑)。
八村 そういうフレーズができたとき、アガるよね。わかるわかる。
桑山 「時は戦国時代」とかも最初から書いていたと思いますね。毎年いろんなボーイズグループが増えてきているのを表現しました。
──歌詞全体から、周りの声にとらわれず自分を貫いて進んでいく強さを感じます。
桑山 誰かにこびたりするのはもううんざりみたいな、自分を持つ強さは歌詞に込めました。
古幡 なかなか出しきれていなかった感情を表現したかったんだなと、ひしひしと感じました。隆太の思いや葛藤が伝わってきて、「やるやん!」と思いましたね。めちゃくちゃカッコいい曲だよ。
鈴木 完成までにトラックの音が何回も更新されていったんですよ。キックの音とか全然違う感じになって、音からエナジーを感じました。パワーがある。
桑山 勉強のためにミックス作業の現場にも行って、プロのすごさをしみじみと感じました。YoheiさんとYoshiさんの会話のスピードがめちゃくちゃ速いんですよね。「この音にさらにエフェクトをかけたほうがいいんじゃないか?」というようなやりとりを経て、どんどん音が進化していきました。
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裸一貫で打ち勝ってやる





