13.3gのメジャーデビューシングル「潜在的なアイ」が、2月18日にソニーミュージックからCDリリースされた。
13.3gは藤丸将太(Vo, Pf, G)、藤原聖樹(B)、奥野“ロビン”領太(G)、輪田拓馬(Dr)の4人により、2021年に大阪で結成されたロックバンド。ダンスミュージックやファンク、ポップスなど多様多種なジャンルを飲み込んだ独自の音楽性から“新世代のカメレオンロックバンド”と呼ばれている。メジャーデビュー曲「潜在的なアイ」は、テレビアニメ「Fate/strange Fake」のエンディングテーマとして書き下ろされた1曲。1月に公開されたミュージックビデオは、すでに再生回数が154万を突破している。
音楽ナタリーでは「潜在的なアイ」の発売を記念して13.3gにインタビュー。バンド結成の経緯やメンバー4人の関係性、「潜在的なアイ」の制作秘話を語ってもらった。
取材・文 / 真貝聡撮影 / 梁瀬玉実
13.3g結成
──藤丸さん以外の3人は、13.3g結成前からの知り合いなんですよね?
輪田拓馬(Dr) はい。もともと僕と(藤原)聖樹が一緒にバンドをやっていて、解散するタイミングで「また新しいバンドを始めよう」という話になったんです。で、僕はその前にロビンともバンドを組んでいたことがあって、そのつながりから3人が集まりました。それからボーカルを探し始めたんですけど、なかなかいい人が見つからなくて。SNSやYouTubeで「弾き語り」と検索して、片っ端から動画をチェックしていたところ、再生回数は全然だったけど「この人の歌、めちゃくちゃいいな!」と思ったのが、(藤丸)将太だったんです。試しにDMを送ってみたら、たまたま熊本から大阪に出てきてて。
──輪田さんから連絡をもらったときの心境はどうでした?
藤丸将太(Vo, Pf, G) びっくりしましたね。僕は中学3年生の頃に動画投稿を始めたんですけど、そこまで目立った活動はしてなかったんですよ。aikoさんだったり山下達郎さんだったり、自分が好きな曲を半年に1回とか、多いときは月2回、マイペースに弾き語りして動画を上げていただけだったので。経験者である拓馬から声がかかったときは、「あ、バンドマンとつながれた」とうれしくなりました。
輪田 それからすぐにスタジオを押さえて、一緒に音を出したら4人とも「めちゃくちゃいいやん!」となって、そのまま13.3gを結成しました。
──初めて4人でスタジオに入ったときは、どんな雰囲気でしたか?
輪田 バンド経験がある僕らと違って、将太は人生初めてのスタジオだったので、どこに立っていいのかも、マイクのセッティングの仕方もわからない感じで。3人が準備を進めている中、スタジオの中をウロウロしてて「ホンマにバンドやったことないんや」と思いました。初めて音を出すときは「大丈夫かな?」と心配だったけど、試しに1曲やってみたら、僕らに負けないぐらいの覇気を出してきたので「うわ、すごいな!」って。自分だったら物怖じしてしまうところ、歌い出したら関係ないんやなと。それが印象的でしたね。
──藤原さんとロビンさんはいかがですか?
藤原聖樹(B) 初めて将太の歌を聴いたときは、ポップスに合ういい声だなと思いました。いざ会ってみると、最初はすごくクールな印象があって。将太は僕らよりも年齢が下で、敬語で接してきたから「タメ口でいいよ」と言ったんです。普通だったら「いやいや!」って遠慮するところ「あ、オッケー」ってむっちゃ切り替えが早くて(笑)。その素を見せてくれた感じがうれしかったし、みんなとの壁もなくなって、今ではすっかり打ち解けています。
奥野“ロビン”領太(G) 将太の第一印象は、背が高い。
一同 はははは。
ロビン 弾き語りの動画は上半身しか映っていなかったので、勝手に小柄だと思い込んでいたんですよ。僕も身長が高い方ですけど、将太と話していると僕ですらちょっと上を向いちゃう。そういう意味でギャップがありましたね(笑)。
輪田拓馬はバンドの“母”
──もっと皆さんのことを知りたいので、お互いの人柄や魅力を教えてください。まず、輪田さんのことを3人はどう見ています?
藤原 めちゃくちゃ熱い男ですね。同じリズム隊なので、よくディスカッションするんですけど、「聖樹が正解だと思ったものでいいから、それを提示してくれ。それが13.3gのアンサンブルになる」と言ってくれるんですね。その言葉で「上手に弾かないと」という考えが消えて、俺の正解をもっと出していこうと思えた。いつもバンドを支えてくれていて、熱い印象が強いですね。
輪田 ……この熱量で4人分やるんですか?
一同 はははは!
ロビン 何事も自責で考えられる人ですね。みんなもその意識はあると思うんですけど、りんちゃん(輪田)は人一倍「アンサンブルの責任も俺がとるし、うまくいかないときも全部俺の責任だ」と考えてる。いろんなことを担ってくれているので、そこがカッコいいと思うし、リスペクトだし、ホンマに熱くて最高の男ですね。
藤丸 僕からしたら“母”ですね。僕をこのバンドに誘ってくれた張本人だし、愛情が常にあるんですよね。そっと寄り添ってくれるというか、僕が活動の中で「これは嫌だな」と思ったら、さりげなくフォローしてくれる。そういう愛情の向け方がすごい心地いいと感じますし、まあ……母ですね。
ロビン “母”ってしっくりくるかも。
奥野“ロビン”領太の哲学
──ロビンさんの印象は?
輪田 ロビンは自分の軸があって「俺はこうしたい」「こう生きていく」という哲学を持っている人。やると決めたときの突破力もすごいですし、走り抜ける持久力も半端じゃない。何か目指すとなったら、ロビンの存在は必要不可欠なんです。一方でチャーミングな一面もあって、持ち前のエンタテインメント力でみんなを喜ばせようとする。総合的に大好きです!
藤原 自分の軸や考えをしっかり持っている分、アイデアを提示してくれることも多くて、それがバンドにとってプラスになる。ライブのときも「行きたかったら、自分の好きに行けばいいやん」と背中を押してくれる。あとは、人に対して思いやりを持っていて、マメであり優しいところがあります。
藤丸 ロビンを動物に例えるなら犬ですね。
ロビン ははは、いいね!
藤丸 ロビンは相手が何を思っているのかを尊重して、ちゃんと向き合って話を聞いてくれるし、意見がぶつかってもあきらめずにわかり合おうとする。僕の場合は、自分と考えが違う人を避けちゃうところがあるんですけど、ロビンは絶対に逃げない。それだけ人のことが好きなんだろうな、と思いますね。
みんなが藤原聖樹を必要としてる
──藤原さんに対しては、どんな印象を持っていますか?
藤丸 13.3gのエンジンです。企画やアイデアをどんどん出してくれるんですよ。例えば「Instagramでこんなことをしてみよう」とか、みんなで遊ぶときにも「これをやってみよう」と積極的に言ってくれるので、ありがたい存在です。
ロビン 僕は物事を主観で捉えてしまう人間で、逆に聖樹は客観的な視点を持っているんですよね。「そこは見えていなかった」と気付かされることがあって。僕にないものを持っているからこそ、リスペクトしてます。
輪田 聖樹って、これまで物事の中心にいることが多かったと思うんです。それは彼が「周りの人を引っ張っていくぞ」というマインドを持っているからではなく、人に対して利他的に接した結果、みんなが聖樹を必要として囲んでいる。要は人徳があるんです。自分を犠牲にしてでも、他者の利益や幸福を優先できる人間って、めちゃくちゃすごいと思いますね。
藤丸将太はカリスマ
──将太さんについては?
輪田 バンドを含めて集団の中で上手に溶け込みながらも、ちゃんと光っている。この優れたバランス感と柔軟性を持っている将太は、いわゆるカリスマやと思います。
ロビン 先ほど僕に対して「向き合う人」と言っていましたけど、それは僕も将太に感じていて。将太は人を思いやる気持ちがあるからこそ、他者の考えを理解して「じゃあ、これ以上は君の考えに踏み込まないよ」という行動をとる。それは“逃げ”じゃないし、むしろ優しさの表れなんですよね。
藤原 思いやりがあるので、相手のことを考えながら話してくれるし、他人に寄り添うことがすごく上手。あと、めちゃくちゃ器用! 歌もうまいですけど、ギターもピアノも弾ける。ほかにも「Inside Out」という曲のミュージックビデオでダンスを披露しているんですけど、初めてのダンスにもかかわらず、覚えるのがめっちゃ早くて「こいつなんでもできるやん!」と思いました。
ジャンルに囚われない音楽性の正体
──皆さんの人間性をお聞きしたところで、4人がどんな音楽を通ってきたのかも教えてもらえますか?
輪田 最初はX JAPANから始まり、次にアグレッシブなパンクロックに興味を持って、どんどんビートの速さを求めたところ、メロディックハードコアにハマりました。そこからリズムの気持ちよさに芽生えて、ヒップホップ、R&B、ソウルなど、リズム主体で順繰りいろんな音楽を聴いてきました。中でもカルチャーとして一番影響を受けたのは、パンクロックですね。
ロビン 僕はラウド系ロック、パンクロックとか、シャウトをしながら感情を表に出す音楽がすごく好きで。大きかったのはONE OK ROCKの存在。「アンサイズニア」のミュージックビデオを観てビビッときて、それがきっかけで「俺も音楽をやりたい!」と思いました。
藤原 僕は両親が聴いていたJ-POPとかJ-ROCKが音楽の入口で、中学からポルノグラフィティさんにハマりました。そこからバンドを好きになって、RADWIMPSさんやチャットモンチーさんとかポップさもあるバンドが好きでよく聴いていました。途中で洋楽をかじったりしたんですけど、やっぱり中心にあったのは日本のポップスとロックでした。
藤丸 僕も聖樹と同じく、親が聴いていた音楽の影響が大きくて。主に歌謡曲とシティポップを聴いてきました。先ほど言った山下達郎さんとか、竹内まりやさん、ユーミン(松任谷由実)さんなど、親が好きな曲を聴きながら、家でも口ずさんでいましたね。
──4人のルーツがバラバラだからなのか、13.3gの音楽も曲によってジャンルやアプローチが違いますよね。
輪田 そうですね! 最初に曲を作ったときも、それぞれがそのときにハマっている音をセッション的に出し合った印象があって。そのやり方が結成から今日までずっと続いてる気がします。だからこそ特定のジャンルにとらわれず、幅広い音楽ができているのかなと思います。
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メジャーデビュー、まずは疑った

