再生数急上昇ソング定点観測 (2026年2月4週目) [バックナンバー]
ZORNと後藤真希の時が交差する「地元LOVE」 / 今の時代に足りないのは「いつものことっと」? / 煮ル果実「ブラフマン」に感じる究極の欲求
今、盛り上がっている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2026年2月27日 18:30 3
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで2月13日から2月19日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングでは、先週の当連載でオフィシャルオーディオを紹介したM!LK「爆裂愛してる」のミュージックビデオが3位に初登場した。6位には
SixTONES「Rebellion」ミュージックビデオ
13位には
DECO*27「愛言葉V feat. 初音ミク」ミュージックビデオ
26位に登場したのは、
Travis Japan「陰ニモ日向ニモ」ミュージックビデオ
34位にランクインした
SUPER BEAVER「燦然」ミュージックビデオ
アイドル、ボカロ、バンドとさまざまなジャンルの楽曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。
ZORN「地元LOVE feat. 後藤真希」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場20位
2月16日に東京・日本武道館で開催された、
「僕、葛飾区出身で、姐さんは江戸川区出身で隣同士なんですよ。ずっと友達の友達くらいの距離感でいた人なんですけど、13歳からアイドルをやられていて、俺らみたいな街のドブネズミからしてみたら雲の上のような人だったんです」
ZORNは後藤が2024年に発売した写真集「flos」を手に取った際、「今すぐこの人と曲を作らなければいけない」と天啓を受けたことが、今回のコラボにつながったという。BACHLOGICがプロデュースしたこの曲は、地元愛がテーマ。かつて後藤が所属していた
だがこの曲の面白さは、単なるノスタルジーの消費にとどまらない点にある。ヒップホップとアイドルという、一見すると交わりにくい文脈を“地元”という共通項で接続し、対等な目線で並び立たせているところに、このコラボの意義があるように思う。先述した通り、ZORNにとって後藤真希は“雲の上の存在”だった。その距離を越え、同じマイクを握る現在は、東京のローカルからキャリアを積み上げてきた両者の時間が交差する瞬間でもある。「地元LOVE」は、過去を懐かしむ曲であると同時に、それぞれの歩みを肯定する現在進行形のアンセムとも言えるだろう。
MVのディレクションは
クレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場84位
2024年5月、音楽学校で出会った同級生4人で結成されたオルタナティブポップロックバンド、クレイジーウォウウォ!!。彼らが昨年10月1日に配信リリースしたシングル「トンツカタンタン」がSNSを中心にバイラルヒットを記録し、今回のYouTubeミュージックビデオランキングに初ランクインを果たした。
注目されているのは、サビのフレーズ「ダンスにチョンしたって / ずんぐりのパーンだって / ダーンからのポーンだって / なーんでもないーよ / いつものこと いつものことっと / いつものこと いつものことっと」にあわせた“踊ってみた”動画。イラストレーター・生活が描く女の子のアニメをもとにしたダンスがTikTokで拡散され、一般ユーザーのみならず、
タイトルや歌詞の語感どおり、言葉のリズム感が心地よく、どこかユーモラスなセンスが光るこの曲。“クレイジーウォウウォ!!節”とも言えるにぎやかでダンサブルなサウンドが、その中毒性をさらに増幅させている。YouTubeのコメント欄には、「今の時代に足りないのはこういう底抜けに明るい曲なんだよ……ありがとう、、ありがとう、、、」「これ朝に流したら流石に学校行けちゃう」といった声が相次ぎ、この明るくポジティブなムードがリスナーの心をつかんでいることがうかがえる。
煮ル果実「ブラフマン with 梵そよぎ」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場88位
人間にとって究極の欲求とは何か? それは「自分にはなんでもできる」「すべて思い通りになる」という感覚、いわば“全能感”を手にすることなのかもしれない。言い換えれば「神になりたい」という願望だ。
しかし、大日本帝国海軍の軍人・山本五十六は「人は神ではない。誤りをするというところに人間味がある」と語っている。人間とは本来、不完全で誤りを抱えた存在だと考えるほうが自然だろう。それでもなお、人はなぜ神になりたいと願うのか。そこには強い誇大性や優越感、称賛欲求に根差した自己愛的傾向、あるいは厳しい現実から目を背けるピーターパン症候群的心理といった、脆さを受け止めきれない心の構造があるように思える。
そのテーマを鋭く突きつけるのが、
楽曲の主人公は「欠けた心の隙間を埋めれたなら」と満たされない自分を嘆きながら、「祈りに祈りになったブラフマンに / パラノイアック」と歌う。そこには神になりたいという願望と、現実からの逃避がにじむ。絶対的な存在を求めるのは、自らの不安定さに耐えられないからだ。だからこそ「すべてを超越する何かになりたい」という極端な思考へと傾いていく。だが、その衝動こそが皮肉にも極めて人間的なのではないだろうか。
- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
バックナンバー
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み-ちゃん @sehochi218
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