りんご娘 特集|グループと青森の魅力をギュギュッと詰めた「Dream」ツアー幕開けに密着

りんご娘が1月17日の東京・WWW X公演を皮切りにライブツアー「Dream」で全国を回っている。2022年4月、現体制に移行して間もなく「弘前市・はるか夢球場で1万人ライブ」を目標に掲げ、その夢を現実のものとすべく走り続けてきた4人。今年5月16日に同球場での単独ライブが開催されることが決定し、彼女たちが思い描く未来がいよいよ具体性を帯びてきた。今回のツアーは、その到達点へ向かう重要なステップである。音楽ナタリーではツアー初日の舞台裏から本編、終演後までを密着取材し、りんご娘の“夢への一路”を追った。

取材・文 / 田口俊輔撮影 / 近藤隼人

真剣な眼差しが見据える夢への一歩

ピンクレディ、はつ恋ぐりん、スターキングデリシャス、金星の4人からなる現体制のりんご娘。彼女たちが「Dream」と冠したライブを行うのは、昨年4月の青森・リンクステーションホール青森 大ホールで行われた結成25周年記念コンサート、同年夏に名古屋と東京で開催されたライブに続き、今回で3度目になる。彼女たちが掲げる「Dream」とは何か? 2022年4月、王林らFOURs期の面々からたすきを受け取った現・りんご娘は、1つの大きな目標を立てた。「はるか夢球場で1万人を集めたライブを開催する」──はるか夢球場とは、りんご娘のホームタウンである弘前市にある大型球場。りんご娘の歴史が始まって以来の最大級かつ壮大な目標だ。その場所を目指す理由はたった1つ、「青森県の魅力を世の中に広める」こと。

宣言から約4年の月日が流れ、いよいよ夢が実を結びつつある。今年5月16日に「Dream of Diamond」と銘打った、はるか夢球場でのワンマンライブが開催されるのだ。リーダーのピンクレディが「新しい出会いを作り、その出会った皆さんに青森に来てもらい、青森県の魅力を味わってほしい」と語っていた通り、「Dream」ツアーの一瞬、一瞬、すべてが“夢への一路”に変わっていく。

彼女たちがこのツアーに懸ける思いは、1月17日に行われたツアー初日のリハーサルからほとばしっていた。14時過ぎ、WWW Xの入り口にはグッズを求めるファンが早くも列を成していた。その下の階、扉の奥に広がるフロアのステージ上で、「RINGO MUSUME」と書かれたおそろいのパーカーを着こんだメンバー4人は、入念に歌詞と振りの1つひとつを確認していた。

ツアー初日を迎えたりんご娘に贈られたスタンド花。

ツアー初日を迎えたりんご娘に贈られたスタンド花。

おそろいのパーカーを着てリハーサルに臨むりんご娘。

おそろいのパーカーを着てリハーサルに臨むりんご娘。

ツアー初日にして2026年の初ライブ。しかも、オープニング以外で映像をほぼ使わず、大掛かりなセットも仕掛けもない、彼女たちのパフォーマンスのみで観客を魅せなければいけないストイックな構成だ。4人は何十回、何百回と歌ってきた楽曲に対し、さながら初披露するかのごとく真剣な眼差しと姿勢で丁寧に向き合っていく。

リハーサル中、空白の時間が訪れても、振りと歌唱の確認以外の会話はほぼ起こらない。終始、いい緊張感が漂っていた。ただ、1曲ごとに確認を終えるたびに「ありがとうございます」の声とともに深々と一礼する4人。「アイドルである以前に人である」と、挨拶や礼儀の作法も重要だと教え込まれてきた彼女たちが、普段どのような気持ちでライブに臨んでいるかがこの一瞬から伝わってきた。この真摯さこそ、りんご娘が地元青森県や各地で愛されてきた理由だろう。

入念にリハーサルを行うりんご娘。

入念にリハーサルを行うりんご娘。

入念にリハーサルを行うりんご娘。

入念にリハーサルを行うりんご娘。

15時過ぎ、通しリハを終えると、舞台演出のスタッフから「まだ本番までに少しの時間が残っている」との声が。すると4人はすかさず、この日初披露の新曲「YAMABUSHI」の確認をしたいと申し出た。そこからダンスも歌も込みで、計3回をフル尺でパフォーマンス。結果的にリハーサルは開場直前まで続いた。リハを終えて楽屋に戻る前には、金星を中心にステージ前方にぎゅっと集まり、スマートフォンで自撮りを開始。先ほどまで場内に漂っていた緊張感とは打って変わり、にこやかで和気あいあいとした時間が流れた。

新曲「YAMABUSHI」のパフォーマンスを繰り返し確認するりんご娘。

新曲「YAMABUSHI」のパフォーマンスを繰り返し確認するりんご娘。

弾けるような笑顔をスマートフォンに向けるりんご娘。

弾けるような笑顔をスマートフォンに向けるりんご娘。

今までとは一味も二味も、三味も四味も違うライブ

開場の時間になると、場内に続々とfarmer(りんご娘ファンの呼称)が集結する。公演中のMCでメンバーがフロアに尋ねたところ、この日は関東やりんご娘の地元・青森はもちろん、北は北海道、南は四国の香川県まで、果ては海外からも観客が来場したことが明らかになった。中には小さい子を連れたfarmerの姿も。りんご娘が全世代にアプローチし、そして愛されていることがフロアを見るだけで伝わってくる。

いよいよ迎えた開演時刻の17時。暗転と同時にステージ後方のスクリーンにはるか夢球場の遠景が大きく映し出される。そして「Overture」が鳴り響くと、それに呼応するようにfarmerが思い思いのコールを飛ばしていく。爆音と喝采に迎え入れられた4人はさっそうとフォーメーションを組み、「North End All Stars」のパフォーマンスへ。「Dream of Diamond」のテーマソングとも言える、青森40市町村の魅力、そして青森の底力を凝縮したナンバーで会場の熱を一気に高めた。さらにアッパーなダンスチューン「Ringo disco」、和×EDMの「林檎忍者」へと矢継ぎ早になだれ込む。「林檎忍者」では「ニンニン♪」と、はつ恋ぐりんによるキュートな“ぐりん砲”が炸裂。大歓声と黄色い声、感嘆のため息が起こった。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

最初のMCでは今回のツアーに「Dream」と名付けた理由をピンクが語った。2025年に結成25周年を迎えたりんご娘。これまでグループを紡いできた先輩たちの夢、これまで関わってきた人たち全員の夢、そして過去最大キャパとなるはるか夢球場でライブを開くという現・りんご娘の夢、そのすべてを集める思いで名付けたという。また昨年「Dream」と銘打って行ったライブでは、メドレーを含めりんご娘の25年の歴史を凝縮したセットリストでパフォーマンスを展開したが、今回は現メンバーでの楽曲を軸に選曲したことが明かされた。ピンクは「(今までのライブとは)一味、二味、三味、四味違います。観たことがある人も『りんご娘、初めて観るよ!』という気分にさせるぐらい、皆さんの心をすり替えるようなライブにします」と意気揚々と宣言。すると「(心をすり替えたら)今までの思い出がなくなっちゃうよ!」と金星による鋭いツッコミが入った。

和気あいあいとMCを展開するりんご娘。

和気あいあいとMCを展開するりんご娘。

現体制の楽曲をメインに据えつつも、過去のライブ同様にりんご娘の歴史を感じさせるブロックが用意された。「私たちが夢を立てたあとに、背中を押してくれた曲たちをお届けします」という言葉のあと、シングル表題曲を中心とした流れへ。FOURs期の名曲「Ringo star」の一節を取り入れ、先輩たちからバトンを受け継いできた4人の熱い気持ちを込めた「桜ダイヤモンド」がみずみずしい声で届けられる。続く「0と1の世界」では4人の見事なコーラスワークが映えた。

グループサウンズ風の歌謡ナンバー「焼きりんご」、軽快で愛らしい60'sロカビリーサウンドの「Candy Apple~恋はあせらず~」の2曲では、2023年以来となるマイクスタンドを駆使したパフォーマンスが披露された。彼女たちの魅力の1つである、華麗なハーモニーが場内にこだまする。さらに4人は現体制始まりの1曲「りんごに恋したマメコバチ」をエモーショナルに歌い上げた。情緒あふれるステージが続く中、このブロックを締めくくったのは壮大なバラードナンバー「硝子のリンゴたち」。歌詞のモチーフである硝子工芸品「津軽びいどろ」を意識したような、透明感のある青碧の照明に照らされた4人は、切なくも温かみのある声を響かせ、観る者の胸を打った。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

「りんご娘 ONE-MAN LIVE TOUR 2026 "Dream"」初日公演の様子。

続くMCでは金星がここまでに披露した楽曲1つひとつへの思い入れを語り、「りんごに恋したマメコバチ」の練習中に、これまでの日々が脳裏に浮かび感慨深くなったことを明かす。そして「今までの出来事を走馬灯のように思い出してきてさ……」と、しんみりとした雰囲気を作り出してしまい、「なんか辞めるみたいになった」と自らツッコミを入れ苦笑いを浮かべた。フロアからは「辞めないで!」の声が飛び、キングもすかさず「(この先に)はるか夢が待っているから!」とフォロー。場内に和やかな笑いが起こった。この緩急もりんご娘の魅力だろう。