BLU-SWINGと“GOODTIMES”を過ごす、春のビルボードライブ東京に向けて

ジャズを基軸とした独自のサウンドで、国内外から高い評価を得ている5人組バンド・BLU-SWING。2025年8月に発表した最新アルバム「GOODTIMES」を携え、中国9都市を含む大規模なアジアツアーを完走した彼らは、各地でのステージを経て、そのアンサンブルをより強固なものへと進化させた。

そんな彼らが2026年4月11日、昨年に続き2度目となる東京・ビルボードライブ東京公演を行う。国内ツアーの幕開けを飾る本公演は、同期なしの“オール生演奏”による特別なライブになるという。音楽ナタリーではメンバー5人にインタビュー。アジアツアーの手応えから、結成18年を迎えてなお加速し続けるバンドの現在地まで、じっくりと話を聞いた。

取材・文 / 森朋之撮影 / 塚原孝顕

公演情報

BLU-SWING「GOODTIMES」JAPAN TOUR at Billboard Live TOKYO

BLU-SWING「GOODTIMES」JAPAN TOUR at Billboard Live TOKYO

2026年4月11日(土)東京都 ビルボードライブ東京
[1st stage]OPEN 15:00 / START 16:00
[2nd stage]OPEN 18:00 / START 19:00

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ライブはオーディエンスと作り上げるもの

──昨年8月に7thフルアルバム「GOODTIMES」をリリースし、秋には中国ツアーを皮切りに、アジア各地でライブを行いました。手応えはどうでしたか?

中村祐介(Key, Programming) 「GOODTIMES」のコンセプトはタイトル通り、「聴いてくれる人たちにとっていい時間になるように」というものだったんです。アジア各国で演奏させてもらう中で、そういう時間を演出できたらいいなということは常に意識していました。実際にライブで演奏して、お客さんからのフィードバックを受けながら曲もどんどん成長していって。今もその過程の途中ではありますが、2026年はさらにクオリティの高い演奏をお届けしたいと思っています。

小島翔(G) 「GOODTIMES」はBLU-SWINGのサウンドがさらに進化したアルバムだと思います。ライブを経て、より一層変化しているのを実感しています。

田中裕梨(Vo) うん。ライブを重ねるごとに、面白いくらいバンドのグルーヴがまとまってね。そもそも「GOODTIMES」は、リモートでのレコーディングが中心だったんですよ。なのでライブのリハーサルの段階から、少しずつ演奏を整えることが必要で。これはBLU-SWINGのよさでもあるけど、中村が作る曲は生音だけに捉われず、打ち込みなどもふんだんに使う。かなり自由度高く作ってますが、ライブで演奏することで、生音ならではのサウンドになっていくんです。

中村 ライブを想定して曲を作ることもあるし、完成させたあとにライブのアレンジを考えることもあって。特に打ち込みありきで成立している曲を演奏するときは「こうしたほうがいいよね」と新しいアイデアが出てくることもあります。音源とライブで二重の楽しみを感じてもらえたらうれしいですね。

BLU-SWING

BLU-SWING

──実際に演奏する中で気付くこともありそうですね。

蓮池真治(B) そうですね。「GOODTIMES」のインタビューを受けたときも少しお話したんですが(参照:BLU-SWING「GOODTIMES」インタビュー)、ベーシストとしては“地味難しい”曲が多いアルバムだったんです。聴いている分にはシンプルだけど、意外と難しいことをしているという。ライブでやろうとしたら「地味難しいどころか、マジで難しい」ということが判明しました(笑)。家で録音しているときは落ち着いて弾けますけど、メンバーと合わせるときはそうじゃないので。ドラムの宮本とも相談しながら、少しずつ形にして、どうにか去年のツアーを乗り越えました。今はだいぶ体に入っているので、さらにブラッシュアップした演奏をお届けできると思っています。

宮本“ブータン”知聡(Dr) 録音した音源とライブを比べたときに、一番違うのはドラムだと思う。中村はビートメイカーでもあるので、音源では僕が録ったドラムを加工することもあるんです。それを生で演奏するとなると、最初は「どうしようかね?」となる(笑)。それでもライブの回数を重ねて、お客さんの反応を感じる中で、だんだん落としどころが見えてくるんですよ。去年のアジアツアーでも、演奏するたびに曲が成熟しているのがわかってきました。

田中 メンバー同士のこともそうですけど、ライブはやっぱりお客様と作り上げていくものなんだなと改めて感じました。

田中裕梨(Vo)

田中裕梨(Vo)

思い通りにならないことを楽しめるマインド

──BLU-SWINGは今年でデビュー18周年を迎えます。メンバーの皆さんはそれぞれ別の活動も行っていますが、このバンドで制作すること、演奏することの面白さ、醍醐味についてはどう感じていますか?

中村 「BLU-SWINGはライブバンド」という前提があるんですよね。僕は作曲家としてクライアントの依頼で曲を作ることも多くて、その場合は求められるものに応えた結果がゴールになります。でもBLU-SWINGは自分たちが主体となって、もっと自由度の高い表現を追求できるからライブの中で曲が進化するし、お客さんのフィードバックも取り入れて変化させていくことができます。それがやっていてうれしいことだし、醍醐味でもあるのかな。

小島 僕もサポートミュージシャンとしていろんなアーティストのライブや録音に参加していますが、BLU-SWINGはホームと言いますか。5人で演奏すると「帰ってきた」という感じがあって、ホッとします(笑)。

小島翔(G)

小島翔(G)

──キャリアが長くなると、さらにホーム感が増すのかも。田中さんはいかがですか?

田中 私は“できないこと”があるのが楽しいです。メンバーそれぞれ個性があるし、聴いてきた音楽も、好きな音楽も違っていて。そんな5人でやってるから、思い通りにならないことが多いんですよ。でも、だからこそ思いがけないことがこぼれ落ちることもあって。20代の頃は、思い通りにいかないことがあると「なんで?」って思ってたけど(笑)、今はそれを面白がれるようになったというか。あとはライフステージの変化もありますね。結婚したり、環境が少しずつ変わったりする中で、奏でることも変化していく。そういう経験をしながら、同じメンバーで奏でられていることが楽しいです。依存しすぎず、それぞれががんばりながら、今も5人でやれてるのはすごいことだと思います。

蓮池 ずっと同じメンバーでこんなにも長く続けられているのは、僕としてもすごく誇らしいです。それぞれが違う現場で得てくるものもあるし、一緒に演奏するたびに「お、すごいな」と感じることがあって。

蓮池真治(B)

蓮池真治(B)

──メンバーのプレイに触発される?

蓮池 それもありますし、「合わない!」と感じることもあります(笑)。ここは僕が寄せるべきだなと思うこともあるし、「どうする?」と相談することもあって。そうやって話し合いながらライブを作っていくのも楽しいんですよね。

──田中さんとしては歌いやすいのが一番だと思うのですが……。

田中 そうなんです。……でも私、このバンドで最後に加入した一番の“新参者”なんですよ。メンバーには「もうキャリアも長いし、新参者なんて言葉を使うな」と言われますけど(笑)。私としては彼らがメインだと思っていて、私だけではなく、全員が立ってるのがいいなと。

蓮池 我々はyu-riさんが歌いやすいのが一番だと思ってますけどね(笑)。そこはお互いさまということで。

宮本 そうだね(笑)。僕がドラムを始めたときの初期衝動って、“モテたい”だったんですよ。

田中 そうなの?(笑)

宮本 多くのバンドマンがきっとそのはず(笑)。カッコいいと思われたいというか。いろんな現場があって、それぞれやりがいがあるんですけど、BLU-SWINGはやっぱり自分の看板でもあるし、このバンドで演奏するときはその初期衝動が戻ってくる感じがあるから、カッコつけるのもいいよなって。そういうスペシャルな場面があるのはありがたいですね。