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「FUJI ROCK FESTIVAL '15」多彩なパフォーマンスに11万5000人が熱狂

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Noel Gallagher's High Flying Birds

Noel Gallagher's High Flying Birds

7月24~26日に新潟・苗場スキー場で野外フェスティバル「FUJI ROCK FESTIVAL '15」が開催された。音楽ナタリーでは今年の出演者の中から日本人アーティストのライブを中心にレポートしていく。

通算19回目となる今回は昨年までジャズ&ワールドミュージック向けのステージとして親しまれたORANGE COURTを設けず、出演者も従来に比べ邦楽アーティストの比率が上がるなど例年以上にプログラムの変化が見られた回となった。また天候に関しては直前まで懸念されていた台風の直撃を免れ、23日の前夜祭にて一時激しい降雨があったことを除き好天に恵まれた。今年の来場者数は初日に3万2000人、2日目に3万9000人、3日目は3万4000人。23日に行われた前夜祭の参加者1万人を含めると延べ11万5000人となり、昨年の10万2000人より多くの“フジロッカー”が苗場に集まった。

1日目:7月24日

フジロック最大のステージであるGREEN STAGEでトップバッターを務めたフジロック限定バンド・ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRAは、今年も池畑潤二(Dr)らの演奏に乗せてゲストボーカルが代わる代わる登場。トータス松本によるウルフルズ「ガッツだぜ!!」、吉川晃司によるCOMPLEX「BE MY BABY」などの演目が会場を沸かせる。ほかのステージでもオープニングはシアターブルックチャラン・ポ・ランタンといった国内アーティストが飾った。そして朝から深夜まで多数のアクトが登場する屋根付きステージ・RED MARQUEEの2番手として登場したフジ初出演のSCOOBIE DOは、ファンキーなロックンロールで観客を踊らせる。コヤマシュウ(Vo)は盛り上がるオーディエンスに向かって「フジロックに毎年来るようなやつはある種の変態だ! でもそんな変態が未来を作ってると思う」と賞賛した。

2番目に大きなステージであるWHITE STAGEに出演したサニーデイ・サービスは、雲間から陽光が差し込む中で「baby blue」「恋におちたら」「サマーソルジャー」といった代表曲のオンパレードで観客から喝采を浴びる。一方GREEN STAGEではフジロック初登場のONE OK ROCKはTaka(Vo)の「僕たちは今、期待と希望で心の中が満ちあふれてます! このフェスが楽しいものになるよう最後まで全力でいきましょう!」と話し、終始躍動的なアクションと轟音で盛り上げた。

日が落ち始める時間帯に、WHITE STAGEではBOOM BOOM SATELLITESが緻密なサウンドと強靭なビートで新旧ナンバーを届けてクラウドを踊らせる。そしてバイオマス発電などの代替エネルギーで電力をまかなう小規模ステージ・GYPSY AVALONでは日食なつこがサポートドラマーにkomaki(wrong city)を迎えたデュオ編成で艶やかな歌声を披露。林に囲まれたロケーションと幻想的なデコレーションで彩られた空間・FIELD OF HEAVENではハナレグミが人気曲に加え新曲も歌い上げる。そのうちの1つ「おあいこ」ではキーボーディストとしてクラムボンの原田郁子と、楽曲の作詞作曲を担当したRADWIMPSの野田洋次郎をゲストに招き、陶酔感のあるサウンドを届けた。

初日のヘッドライナーを務めたFoo Fightersは、6月のライブ中に足を骨折したデイヴ・グロール(Vo, G)が派手な装飾を施した台座に腰かけたままでアグレッシヴなパフォーマンスを披露し観客を圧倒。後半にプレイされた「Breakout」ではMAN WITH A MISSIONのJean-Ken Johnny(G, Vo, Rap)が飛び入り参加し、動けないデイヴの代わりにステージ上を動き回って手拍子を誘うという一幕も見られた。一方FIELD OF HEAVENのトリを飾った奥田民生は1人で舞台に登場。ユニコーン「私はオジさんになった」「雪が降る町」以外は特に選曲を決めずにステージに臨んだという奥田は、リラックスしたムードでファンとの会話を楽しみながら演奏を披露。後半にはスピッツ「スパイダー」や真心ブラザーズ「人間はもう終わりだ!」、ORIGINAL LOVE「接吻」をワンフレーズずつカバーするというトリッキーな演目で観客を沸かせ、最後は「俺のほうがうまいのはわかってるけどみんな歌ってくださーい!」と「イージュー★ライダー」を演奏して一体感を作り上げた。

2日目:7月25日

RED MARQUEEの最初のアクトを務めたGLIM SPANKEYはブルージーなロックを展開。最後に松尾レミ(Vo, G)は「日本語で世界に勝負していく」と決意表明して叙情的に「大人になったら」を歌い上げる。そしてFIELD OF HEAVENのキセルはエマーソン北村と野村卓史のキーボーディスト2人を交えてアルバム「明るい幻」中心の選曲で心地よい空間を作り出し、GREEN STAGEでは10-FEETはMCやKOUICHI(Dr)による藤井フミヤ「TRUE LOVE」の歌唱など随所にユーモアを交えながら疾走感のある演奏で観客を刺激。終盤には「goes on」をプレイしたあとで矢継ぎ早にHi-STANDARD「Stay Gold」のカバーも披露した。

午後は各ステージにて国内外アーティストがステージ上で共演し観客を楽しませた。上原ひろみはアンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとともにGREEN STAGEに立ち、WHITE STAGEで行われたスウェーデンのジプシーパンクバンド・Rafvenのライブにはチャラン・ポ・ランタンや加藤登紀子が客演した。またFIELD OF HEAVENに登場した台湾のバンド・Chthonicは元ちとせをゲストに招いて「ワダツミの木」「Defenders of Bu-Tik Palace」といった互いの楽曲で歌声を重ねた。

KEMURIがWHITE STAGE、ハンバート ハンバートがFIELD OF HEAVENに多くのファンを動員する中、ゲスの極み乙女。はRED MARQUEEのキャパを大幅に超える聴衆を集める。彼らはMCをほとんど挟まずテクニカルな演奏で9曲を届け、最終曲「キラーボール」の演奏時にはミラーボールの光に彩られたフロアからオーディエンスの合唱が響いた。GREEN STAGEに現れた星野源は「フジロックには10年以上前からお世話になっていて、SAKEROCKではROOKIE A GO-GO、歌(ソロ)では苗場食堂が最初でした。そして今回はGREEN STAGEステージ!」と感謝しながら代表曲を多数披露。終盤にはウィッグやサングラスを身に付けた“ニセ明”として布施明「君は薔薇より美しい」のカバーを届け、ラスト曲「Crazy Crazy」でも喝采を浴びた。

岡村靖幸は日が沈みかけたタイミングでRED MARQUEEでの“デート”を開始。何度も「フジロックベイベ!」と呼びかけながらスタイリッシュなモーションを交えて楽曲を歌唱する。彼はラスト曲「だいすき」のプレイの際には息ぴったりの合いの手を入れるオーディエンスに向かって「今日はみんな、100点!!」と声を上げた。WHITE STAGEに登場したクラムボンはゲスの極み乙女。の休日課長をベーシストに迎えた1曲目「Re-ある鼓動」や、ミト(B)が「わかる人は“キラッ”してね!」と話してアニソン「星間飛行」のカバーなど変化球で魅せた序盤を経て、徐々に音響的なサウンドアプローチを激情的なパフォーマンスで表現するスタイルへ移行。「バイタルサイン」ではミトが背後の機材にベースを叩きつけたあとでそのまま放り投げ、観客を驚かせた。

ヘッドライナーのMuseは最新アルバム「DRONES」収録曲「Psycho」を皮切りに重厚なアンサンブルやマシュー・ベラミー(Vo, G)の表現力豊かな声を苗場に響かせる。さらに本編ラスト「Reapers」では複数のバルーンが観客の頭上でバウンドし、アンコールの「Mercy」ではステージが見えなくなるほど大量の紙吹雪が舞うという演出も。最後はオーディエンスを巻き込んでの「Knights Of Cydonia」の大合唱で幕を閉じた。その後も苗場食堂ではオシリペンペンズの石井モタコ(Vo)がステージの柱をよじ登るなどアバンギャルドなパフォーマンスを行い、RED MARQUEEの深夜アクト1番手のbanvoxはロックファンにもアプローチする大ネタをプレイしたり、Jas Mace(The 49ers)を客演に招いたりと多彩な内容でフロアを盛り上げる。そしてROOKIE A GO-GOではtoldやD.A.N.といった気鋭のバンドが演奏し、居合わせた聴衆を魅了した。

3日目:7月26日

GREEN STAGEのスタートを飾る[Alexandros]は、川上洋平(Vo, G)が「高校生のときにフジロックに行きたくてバイトしたけど間に合わなくて『絶対に出演者として来よう』と決めてました」と話し、その思いを表出するように熱のこもった演奏を披露。午前中からクラウドサーファーが次々と現れる興奮のステージを作り上げる。WHITE STAGEに登場したceroも序盤から扇情的なアンサンブルで盛り上げてから、さんさんと日差しが照りつける中で「Summer Soul」「Orphans」などスムーズなナンバーをプレイして観客を踊らせた。一方RED MARQUEEのステージに立つキュウソネコカミは「お願いシェンロン」でおなじみの乗り物“筋斗雲”を登場させるなどオリジナリティのあるパフォーマンスで観客の心をつかんだ。

Catfish and The Bottlemenの代打として急きょGREEN STAGEに出演することとなったthe telephonesは「太陽をミラーボールにして苗場を“DISCO”にしようぜ!」と話して「Keep Your DISCO!!!」をプレイ。ライブ中にフロアに降りて観客を驚かせた岡本伸明(Syn, Cowbell, Shriek)は年内をもってバンドが活動休止することに触れ「またいつかここに戻って来たいです!」と感慨深く話した。そしてWHITE STAGEではダンサー2人と黒人DJを率いた編成でダンスミュージックをプレイするという大胆な方向転換を計ったトッド・ラングレンが観客の度肝を抜き、FIELD OF HEAVENに立ったSHEENA & THE ROKKETSは鮎川誠(Vo, G)、奈良敏博(B)、川嶋一秀(Dr)の3人でストイックにロックンロールを繰り出す。鮎川は「今日ここにシーナはいないけど、スピリットはここに連れてきた」と話し、「レモンティー」「ユー・メイ・ドリーム」「ピンナップ・ベイビー・ブルース」などのナンバーを奈良とのツインボーカルで披露した。

白い衣装で統一された大所帯のバックバンドを率いてGREEN STAGEに登場したのは椎名林檎。彼女は「丸の内サディスティック」「罪と罰」といったナンバーを大人びたアレンジの演奏に乗せて妖艶な歌声を響かせる。後半に届けられた「長く短い祭」では椎名が曲中にワンピースを脱いで青いレオタード姿になり、観客の驚きの声を浴びた。その姿のまま彼女は「密偵物語」「殺し屋危機一髪」「カリソメ乙女」を披露して聴衆を魅了した。一方WHITE STAGEでは大橋トリオが最新アルバム「PARODY」の楽曲などをmabanua(Dr, Cho)らを交えた7人編成でプレイ。続くtoeはダイナミックな演奏でオーディエンスの心をつかんだ。

3日目のヘッドライナーを飾ったNoel Gallagher's High Flying Birdsは春に行われた来日ツアーと同様に日本人のホーン隊を交えた編成でステージに登場。新作「Chasing Yesterday」などのソロ曲とOasis時代の楽曲も多数繰り出してファンから大歓声を受ける。そしてノエル・ギャラガー(Vo, G)はラストチューンに「Don't Look Back in Anger」をプレイし、会場後方からも声が上がる大合唱を発生させてからステージをあとにした。そしてこの日の深夜はRED MARQUEEにて電撃ネットワークが若手アシスタントとともにエクストリームなパフォーマンスを行ったり、女王蜂が白塗りの“キョンシー”のいでたちで攻撃的なサウンドを展開したりと、ラストの石野卓球のDJプレイで朝を迎えるまで多様なアクトが繰り広げられた。

※記事初出時より、ライブ写真を追加しました。

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