Uruが約3年ぶりとなるオリジナルアルバム「tone」をリリースした。
「tone」には映画「クスノキの番人」の主題歌であるback number提供の最新シングル「傍らにて月夜」をはじめ、ドラマ、映画、アニメなど数々の作品を彩ってきたタイアップ曲が多数収められている。さらにアルバムのために制作された新曲「さすらいの唄」「ミラクル」も収録。これらの楽曲を通じ、Uruのボーカリストとしての表現力の豊かさ、多彩な作品に寄り添えるソングライターとしての魅力を改めて感じられる1枚となっている。
本作のリリースを記念し、音楽ナタリーではUruへのメールインタビューを実施。ニューアルバムに収録された新曲を中心に、各楽曲の制作秘話やアルバムに対する思い、7月にスタートする3年ぶりの全国ツアーに向けた心境などをつづってもらった。
構成 / 廿楽玲子
「こんな貴重な音源を聴いていいものか」清水依与吏の仮歌デモ
──前作アルバム「コントラスト」から早くも3年が経ちました。この間はタイアップシングルのリリースが続き、ニューアルバム「tone」はその歩みを映す1枚にもなりました。制作に向かう時間が中心だったと思いますが、どんな日々を過ごされていましたか?
ひたすら制作に取り組んでいた期間で、曲を書き下ろす際はその作品やテーマを自分の中に落とし込むことから始めるので、いろいろな作品と向き合いながらも、それぞれ「丁寧に」を念頭に置いて制作をさせてもらっていました。その隙間時間に、大好きなアイスを食べたりして、忙しいときでも新作のアイスのチェックは欠かさないんだなと自分でも笑ってしまいました。笑
──ここからはニューアルバムに収録された新曲についてお聞きします。先行シングル「傍らにて月夜」は、Uruさんが長く愛読してきた東野圭吾さんの小説を原作にした映画「クスノキの番人」の主題歌で、Uruさんがリスペクトするback numberが楽曲を手がけました。リリース時のコメントでは「二つの喜びで胸が弾けました」と語られていましたが、東野圭吾さんやback numberとの出会いや、どんなところに惹かれているのかをお聞かせください。
東野圭吾さんの小説は、母が大好きだったこともありずいぶん昔から楽しませていただいておりました。たくさんの作品があるので、映画やドラマになった作品を拝見して、面白かった!となったあとに、これも東野圭吾さんが原作なのか。。。と驚くこともあって。どうしてこんなにたくさんの、そして全部勢いよく惹き込まれるような作品が書けるのか、一度頭の中がどうなっているのか覗いてみたいと思ったこともあります。文学と音楽で違いはありますが、同じモノを作る人間として、大きな尊敬と憧れ、生み出す力へのうらやましさも感じています。
同じくback numberさんへも、数々の名曲を私たちに届けてくれ、歌詞もメロディも全て素敵で、尊敬と憧れがあり。back numberさんの曲を初めて聴いたのは、移動中に流れていたラジオだった気がするのですが、「花束」という曲でした。当時は、2人の会話がそのまま歌詞になっているような斬新な歌詞で、声も曲も素敵だなあと思っていたのですが、そこからあっという間にファンになり今に至ります。
──「傍らにて月夜」は、back numberが演奏やコーラスにも参加し、まさに“ともにつくり上げた”楽曲です。実際に楽曲を受け取ったときはどんな印象を抱きましたか?
初めて曲を聴いたときは、「クスノキの番人」という作品にピッタリな曲だなと思いましたし、「THE back numberだ!!(敬称略)」とも思いました。そして、そこに(清水)依与吏さんのデモの仮歌が乗っていて、こんな貴重な音源を聴いていいものかと思いました。笑
──レコーディングスタジオの映像では、back numberのメンバーと対話している姿が印象的でした。普段とは異なる特別な現場だったと思いますが、制作の中で交わされた言葉や、心に残っている瞬間があれば教えてください。
レコーディングの際に、曲について依与吏さんが「相手に聴かせない子守唄」ということをおっしゃっていて、この歌詞は「私」が全部自分の心の中で思っていることなんだな、と歌い方のヒントをいただいたような気がしています。でも、曲についてはそれくらいで、そのほかの細かい説明はほとんどなく、あとは私が抱いた曲への想いを大事にしてくださっているのかなと。レコーディング中はとても緊張していたのですが、私の緊張を解こうとしてたくさん話しかけてくださったり笑わせてくださったり、その優しさが申し訳ないくらいでした。
Uruにとっての「教場」は「向かうべき方向へ進んでいけるジャンクション」
──アルバム冒頭を飾る新曲「今日という日を」は、「教場」シリーズの集大成となる映画後編「教場 Requiem」の主題歌として書き下ろされた楽曲です。そしてラストの楽曲「心得」は、2023年にテレビドラマ「風間公親-教場0-」の主題歌として制作され、2026年公開の映画前編「教場 Reunion」の主題歌にもなりました。アルバムの最初と最後を「教場」シリーズの楽曲が担う構成には、特別な意味が込められているように感じられます。今回の主題歌はどのような思いで制作されたのでしょうか。
「今日という日を」と「心得」は、きょうだいであるけれど、それぞれ個性を持った曲にしたいという思いがまずあったので、ドラマ「風間公親-教場0-」と映画「教場 Requiem」のメッセージやテーマなどの違いはなんなのか、作品を咀嚼するところから始めました。その中で、今回の「風間」からは、今までよりも生徒に対する隠された深い愛情というか、警察官に育て上げるための「責任」と「使命」のようなものをより感じたので、風間と生徒の距離感やそのときの風間の想いを曲にも反映できたらいいな、と思って作っていきました。多くを語らないけれど、実はその人のことを深く知っていて、想っていて、応援していて、というような存在だということを感じられるように。
──Uruさんにとって「教場」シリーズはどんな作品ですか?
「教場」を見ていると、その登場人物たちの人間性とか成長とか、ときには綺麗事で終わらないような痛みのあるシーンもあったりして、生きていくうえでの厳しさや難しさを感じたり、自分という人間はどうだろうと登場人物に自分を重ねて身を振り返ったりすることがあるのですが、まさに「心得」を作ったときも、「教場」を想って書いていたはずなのにいつの間にか自分の経験を描いていたりして。私にとって「教場」は、過去の自分を振り返ったり、今の自分を省みたりして再び向かうべき方向へ進んでいけるような、とてもいい刺激を与えてもらえるジャンクションのような作品だと思います。
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私自身の音楽の幅も増やすことができた





