中島健人が2ndアルバム「IDOL1ST」をリリースした。
「IDOL1ST」は“アイドル”をさまざまな視点から解釈したアルバム。「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」に向かうTEAM JAPANの公式応援ソング「結唱」、少年隊の「仮面舞踏会」をサンプリングした挑戦の1曲「XTC」、GEMNとしてともに活動しているキタニタツヤ提供のバラードナンバー「Waraigusa」、PAS TASTAが“Entertainer”をテーマに制作した楽曲「LIGHTNING」などが収められる。
なぜ今、中島は“アイドル”というテーマに向き合うことにしたのだろうか? 音楽ナタリーでは彼にインタビューを行い、アイドルに情熱を注ぐその思いに迫った。
取材・文 / 森朋之撮影 / 映美
アイドルは夢と希望を追い続けるべき存在
──2ndアルバム「IDOL1ST」が完成しました。アイドル・中島健人はもちろん、アーティスト、クリエイターとしての中島健人もたっぷり堪能できる作品だなと。
ありがとうございます。今一番言われたい言葉です。
──「IDOL1ST」というタイトルはいつ決めたんですか?
「JUST KENTY☆」(2025年5月発売の1stシングル「MONTAGE」収録)と「IDOLIC」(2025年10月発売の2ndシングル)を作った時点で、次のアルバムは“アイドル”がテーマだなと自分の中では想定していて。打ち合わせで「タイトルどうする?」と言われて、すぐに「『IDOL1ST』はどうかな?」と思いつきました。
──改めてアイドルをテーマに掲げようと考えた理由は?
僕にとってアイドルは、夢と希望を追い続けるべき存在なんですよ。例えば学校だとしたら、「今年、合唱コンクールで金賞獲ろうぜ!」というやつについていきたくなるじゃないですか。会社でも「次はこんな企画はどうでしょう?」と積極的に提案する人に社員がついていくと思うんです。エンタテインメントも同じで、自らが夢や希望を掲げることでいろんなジャンルのプロフェッショナルとつながって、新しいクリエイティブに結び付くんじゃないかなって。特にアイドルの場合、本人が持っている夢にファンの皆さんも注目しているし、そこに対してペンライトの光が集まる。それがアイドルの定義なのかなと。
──夢や希望を掲げることが、多くのファンを惹き付けるパワーになる。
そうですね。僕自身、ジュニアの頃からやってることはなんにも変わってなくて。ずっと汗をかいてきた人生だし、何事も「サラッとやってきた」という感じではないんですよ。泥臭くやってきた人間なので、余計に夢を掲げる大切さを実感しているのかもしれないです。アイドルは夢と希望を追い続けるべきという定義にはっきり気付いたのは半年くらい前なんですけど。
──何かきっかけはあったんですか?
やっぱり去年のホールツアー「KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025 “N / bias” 巡」が大きかったですね。それまではアリーナツアーとドームツアーしか経験したことがなくて。いざホールツアーをやってみると、まず音楽のディテールをしっかり感じることができたんです。お客さんとのコール&レスポンスを間近で体験できたのも大きくて。もともと人前に立って何かを伝えるのは得意なんだけど、ホールツアーでは一方通行で自分だけがしゃべるんじゃなくて、会話のキャッチボールがあった。台北ライブ「KENTO NAKAJIMA 1st Live 2025 in TAIPEI “N / bias” 凱」でも同じ形でやれたし、香港のフェス「Clockenflap」もすごくいい感じで。最初はつまらなそうにしてた男性のお客さんがだんだん盛り上がって、最後はめっちゃ熱狂的になってる姿を目の当たりにしたり。そういう経験を経て、僕の中で改めて「ドームに立つ」という夢が明確になりました。「カウコン」(「STARTO to MOVE COUNTDOWN CONCERT 2025-2026」)でも「2年以内に単独ドームをやります」と言っちゃいましたけど、めっちゃ盛り上がった。もしかしたらあれがドームという夢へのファーストステップだったかもしれないです。
──夢が明確になったことは、アルバム制作のモチベーションにつながったのでは?
それはすごくあると思います。自分のDNAでアルバムを構成できたのは本望だし、この10年くらい、一番やりたかったことなので。ソロというフィールドでそれをできたのがうれしいし、息が詰まらずに制作できた理由なのかなと。
──さまざまな活動があるし、音楽に全振りするわけにもいかないので、スケジュール的には大変だったと思いますが。
いや、余裕でしたよ……と言いたいけど、めっちゃ大変でした(笑)。今はさまざまな角度から多面性のあるケンティーをみんな見たいと思うので、いろいろやったほうがいいんだろうけど、スケジュールはかなりタイトで。自分の曲以外にも作るものがあったんですよ。まず1月の有明アリーナ公演「THIS IS KENTY -IDOL ver2.0-」やオリンピックの壮行会に一緒に出演してくれたジュニアのメンバーのために「アイドルになった日」という曲を書いて。振付も僕がやったんですよ。あと、“けんしげひー”(中島健人、WEST.の重岡大毅、Snow Manの岩本照)の曲も書いて、とにかくめちゃくちゃ作りまくった。大変でしたが、曲を作ることの楽しさを実感しましたね(参照:中島健人が見せたアイドルの情熱と覚悟、“けんしげひー”の3人がステージに集結)。
自分は1人じゃないんだな
──では、アルバムに収録されている新曲について聞かせてください。1曲目の「SOL1ST」は「眩い夢を抱くよ」という歌詞が印象的なナンバーです。アルバムのテーマともつながっていますね。
中島健人名義でスタートするとき、頭の中に浮かんでいたのが“ソリスト”でした。独奏者、独唱者という意味なんですけど、以前出演させてもらった「砂の器」(2019年放送)というドラマで演じた和賀英良がまさにソリストで。あれから5年以上が経って、「今の自分の状況って、めちゃくちゃソリストだな」と。一方で「1人じゃない」ということにも気付いたんです。今のチームもそうだし、「カウコン」で皆さんの声援を受けたときも「そうか、自分は1人じゃないんだな」と思った。だからこの曲でも「羽を君に」という歌詞を最後に入れました。「僕と一緒に飛ぼうよ」という歌になったらいいなって。
──作詞は中島さん、作曲は中島さんとMONJOEさんの共作ですが、そういう話はMONJOEさんともしていたんですか?
そうですね。MONJOEくんとは「THE CODE」(2024年12月発売の1stアルバム「N / bias」収録曲)のときから一緒にやってますけど、ついこの前まで勝手に7歳くらい年上だと思ってたんです。MONJOEくんの雰囲気的に。そしたらまさかの同い年で(笑)。「“MONJOEさん”じゃなくて“MONJOE”じゃない?」ってことになって、さらに距離が縮まりました。実は「SOL1ST」はMONJOEくんと作った「XTC」と同じ日に生まれたんですよ。18時くらいにMONJOEくんのスタジオに行って、6時間くらいで「XTC」を仕上げて。その時点で夜中の12時だったけど、「この熱と勢いを逃したくない」と思って、「メロディを思いついたから、もう1曲やらない?」と言って作ったのが「SOL1ST」。もちろんその日に全部作り切ることはできなくて、後日、ショパンの「革命のエチュード」の旋律を取り入れて完成しました。「XTC」もすごく気に入ってるし、どちらもめっちゃ好きな曲になりましたね。
──「XTC」には少年隊「仮面舞踏会」がサンプリングされています。このアイデアはどこから出てきたんですか?
「IDOL1ST」には“I DO LIST=やるべきこと”という意味もあって。今やるべきことと言えば、新しい挑戦……すなわち、チャレンジングな要素がアルバムに必要だよねと。チーム全体でそんな話をしていたときに「『仮面舞踏会』をサンプリングしたら面白いんじゃない?」ということになったんですよ。まずベースラインを思いついて、MONJOEくんに「ベースラインのあとに『仮面舞踏会』の音を入れるのはどう?」と話して。最後にもさらにエクストリームに達するイメージで入れてもらったり、その場でどんどんアイデアを出しながら作っていきました。すごくいい曲になりそうな感じがあったから、チームに「これをリード曲にしたい」と話して、さらに改良して……ただ、最初は歌詞がうまく着地しなかったんです。ちょうど香港のフェスの直前で、リハを23時くらいまでやっていたら「明日までに仕上げてください」とチームのスタッフに言われて(笑)、「今23時だよね? 明日までって、どうやって?」と聞いたら、「飛行機の中でお願いします」と。あとはもう感覚と感性をギリギリまで研ぎ澄ませてクリエイティブを抽出するしかない。かなり緊迫してましたけど、香港のホテルに到着するまでに書き上げてました。「もがき悩み 痛み抱き」というフレーズは、書いてるときの自分の気持ちです(笑)。
──「仮面にKISSをして」というワードもありますね。
そうなんですよ。ファンの皆さんにもすごく喜んでいただけて、うれしかったです。
直美姉をフィーチャーしたらいいんじゃないか
──「Gods' Play feat. Naomi Watanabe」にはフィーチャリングゲストとして渡辺直美さんが参加しています。
渡辺直美さんは以前から友達で。バラエティ番組で共演したのがきっかけなんですけど、直美姉、僕、ハライチの澤部佑さんのグループLINEがあって、仲よくさせてもらってるんです。3年くらい前にニューヨークのソーホーで直美姉と朝ごはんを食べてたときに聴かせてくれたボーカルトラックがあって、その歌声がめっちゃよくて。いつかコラボできたらいいなと思っていたんです。「Gods' Play」はもともと「IDOLIC」と同じ時期にテーブルに挙がっていたんですが、ボーカルの構成的に1人で歌うのは無理だなとちょっとキープしていて。アルバムの制作に入ったときに「あの曲に直美姉をフィーチャーしたらいいんじゃないか」と気付いて、オファーさせてもらいました。
──豪華なコラボですよね。渡辺直美さんは今や世界的なスターなので。
歌もめちゃくちゃうまいし、ミュージックビデオの撮影もすごく楽しかった。直美姉は振付を覚えるのも早いし、踊れるし、表情の使い方もうまい。本当に才能の塊だなって思ったし、この曲でご一緒できて本当によかったです。直美姉にはMVで神を演じてもらっていて。2人でライトスティックを持って戦ってるんですよ(笑)。すごく面白いMVになったので、ぜひ観てほしいですね。
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キタニタツヤが思い描く、理想の中島健人像






