伊藤蘭はこれからもDance on! Love on! Bright on! 本間昭光とタッグを組んだカラフルなアルバム携え全国へ

2019年にソロアーティストとして本格始動後、俳優業と並行してコンスタントに音楽活動を行っている伊藤蘭。そんな彼女が全国6都市を巡る「伊藤蘭 コンサートツアー 2026『Dance on! Love on!』」が、キャンディーズの解散記念日である4月4日にスタートする。

今回のツアーは4月1日にリリースされる4thアルバム「Bright on」を携えて行われるもの。ツアーの終盤を飾る5月の東京・SGC HALL ARIAKE公演は「紙テープ応援OK」。キャンディーズをはじめとする昭和のアイドルコンサートではおなじみだったあの光景が、令和の時代に体験できるのだ。ツアーの開催に向けて音楽ナタリーでは伊藤にインタビュー。きたるツアーのことはもちろん、充実した音楽活動を展開した2025年のエピソードや、完成間近というニューアルバムの制作裏話などたっぷり語ってもらった。

取材・文 / 秦野邦彦撮影 / 堀清香

歌は飽くなき探求

──昨年の音楽活動を振り返る前に、まずは現在公開中の劇場版アニメ「銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き」の主題歌にキャンディーズの「銀河系まで飛んで行け!」(1977年12月リリースの5枚組アルバム「CANDIES 1676 DAYS~キャンディーズ1676日~」収録。作詞:喜多條忠 / 作曲:吉田拓郎 / 編曲:馬飼野康二)が使用されたお話からうかがわせてください。

お話をいただいたときは驚きましたね。去年の夏頃にアニメを拝見したんですけれども、キャラクターが独特で楽しい作品でした。

──監督、制作、原作、脚本、キャラクターデザイン、音響監督を1人で務めた亀山陽平さんは1996年生まれの30歳。主題歌決定時には「キャンディーズのベストアルバムの中でも一番よく聴いていた楽曲。今回実際に主題歌として使わせていただくことが叶い感謝しております!」とコメントされていました。

うれしいですね。主題歌のお話がある前から、この曲は一昨年のツアー(「伊藤蘭~Over the Moon~ コンサートツアー 2024-2025」)のセットリストに入れていたんです。発表当時からいい曲だなと思っていたので、キャンディーズのファイナルコンサートでも歌わせていただきました。作曲は吉田拓郎さんですね。拓郎さんに書いていただいたキャンディーズの曲は全部好きです。

──この曲をきっかけにキャンディーズの音楽に触れる若い世代も多いと思います。

一昨年のツアーで私が歌っている映像をソニーさんが公式YouTubeにアップしてましたね。ここぞとばかりに(笑)。

──2025年は年明けからコンサートツアー、秋のプレミアムライブ、年末のディナーショーと充実した年でしたが、蘭さんご自身はどのような手応えを感じてますか?

これは手応えというより反省なんですが、本来7月に2回目のプレミアムライブを開催する予定だったんです。でも、私が手首を骨折して公演が10月に振り替えになってしまったことがとても残念でした。そのことがあって、これからは体を大切にしないと歌い続けることはできないなと改めて思ったので、いい経験と捉えて次につないでいきたいと思います。

──2019年にソロ歌手として41年ぶりに音楽界に復帰されましたが、あれから7年経ち、歌に対する思いがますます強くなってきたのではないでしょうか。

そうですね。もっとこういうふうに歌いたいとか、思うように歌えないという気持ちを経験するからこそ、次はもっとがんばろうと思える。歌唱に関しては本当、飽くなき探求ですね。課題が次から次へと出てきますし、もう少しここをこういうふうに歌えるようになりたい、声を出せるようになりたいという欲も年々出てきます。私にとって体は楽器ですので、健康にはより気を付けていかなきゃ、ですね。

──セットリストも回を重ねるごとに進化していて、ファンの皆さんの反応もすごいです。

形にするのに時間がかかるため、コンサートで歌うのをあきらめざるを得ない曲もあるんですけれども、「これとこれをセットで歌ったらファンの方々も喜んでくれるかな?」と思う並びを考えたりはしますね。少しずつではありますが、私なりの挑戦として、キャンディーズの曲も含めて歌っていきたいと思っています。

伊藤蘭

本間昭光によって変わった“色”

──昨年10月の「Special Premium Live~Don't Stop The Music! ~ vol.2」から、佐藤準さんに代わって本間昭光さんが音楽監督を務めています。ポルノグラフィティ、いきものがかりなどを手がけてきた日本を代表する音楽プロデューサーにして作曲家・編曲家である本間さんの第一印象はいかがでしたか?

すごく明るい方だなと思いました。本間さんが登場すると本当に場が明るくなるんですよ。ライブの音作りに関しても本間さんのちょっとした意向で、同じ楽曲でも色が変わるんです。歌っていても前と違うのを確かに感じます。佐藤準さんのバンドも大好きでお世話になったんですけれども、また色を変えて、ちょっと軽さが生まれたような気がします。そんな新しい出会いに感謝しております。

──本間さんは「LEVEL 9.9」以来、約2年8カ月ぶりとなるアルバムもプロデュースされています。楽曲制作の面ではいかがですか?

本間さんに「ステージで皆さんに喜んでいただけるような雰囲気の曲を」とお願いすると、ものすごいスピードで次々と曲が上がってくるんです。こっちが追いつかないくらいで、そんなにすぐできちゃうんだ?という感じでした(笑)。

──例えば「思わず体が動き出すような感じで」とか?

そうそう。それをたちまち飲み込んでいただいて。すぐ形になって出てくるのは、さすが本間さんでしたね。

──アルバムに先駆けて届けられた楽曲が、jamさん作詞による新曲「Dance on! Love on!」です。このタイトルはまさに今の伊藤蘭さんを表しているなと感じました。

ホントですか? 私もそのタイトルを見たとき、「jamさん、すごい!」って思いました。「今度のツアーのタイトル、これじゃない?」って、スタッフもみんな、意見が一致してましたね。

──モータウンっぽい軽快なディスコサウンドが、とても心地いいです。

懐かしさがありますよね。歌詞もタイムマシンみたいに時間をひとっ飛びして、ジョン・トラボルタさんが主人公を演じた映画「サタデー・ナイト・フィーバー」(1977年公開)に出てくるステファニーとトニーとか、ディスコの「バスストップ」っていうステップの名前が出てきたりして。

──ミュージックビデオも思わずステップを踏みたくなるような内容ですし、曲の途中には初エッセイ集「Over the Moon~わたしの人生の小さな物語」にも掲載された、ハワイの教会で挙式されたときのポートレートや家族写真など、貴重なお写真の数々が登場しています。

監督の鶴岡雅浩さんが、おそらく歌詞のタイムスリップというワードからヒントを得たと思うんですが、「昔の写真を使いたいです」とおっしゃっていただいて。その中に私の小さい頃のものもあったので、「そんなにさかのぼるの!?」って思いました(笑)。母に抱かれている写真、兄と進級のときに撮った写真……どれも思い出深いものばかり。収録の際、大きく映し出された写真を見て、「あっ、お母さーん、お兄ちゃーん!」って懐かしい気持ちになれてうれしかったです(笑)。皆さんも青春時代と重ね合わせて聴いていただければと思います。

若い方たちにも違和感なく見ていただけるツアーに

──そんな楽曲のタイトルが冠された全国6都市を回るホールツアー「伊藤蘭 コンサートツアー 2026『Dance on! Love on!』」が、4月4日の神奈川公演から開催されます。日付にハッとされる方も多いんじゃないでしょうか。

キャンディーズが解散した日ですね(1978年4月4日、後楽園球場での「ファイナルカーニバル」コンサート開催日)。スタッフさん、狙いましたね?(笑)

──今回のコンサートの構成については、どういうところから話し合いを始められましたか?

新しいアルバムの曲が中心になってくると思うんですけれども、ステージの作り方としては去年の早いうちから「次はポップで明るく色のある感じにしましょう」という意見がスタッフさんからありまして。そうこうしてるうちに「Dance on! Love on!」のMVもカラフルな感じに仕上がって、みんな考えていることは同じ方向なんだと思いましたね。かなり華やいだ色合いのステージになるんじゃないかな。

伊藤蘭

伊藤蘭

──加えて、これまでのコンサートで歌い続けてこられた過去3枚のアルバムの楽曲もあって。

外したくない曲がどんどん出てくるんです。「美しき日々」とか「恋するリボルバー」とか。どれをどう入れ替えようかなって。

──シティポップに挑戦した「Shibuya Sta. Drivin' Night」もライブ映えする楽曲ですね。「いいことが ありますように」という歌詞が、会場にいるファンの方への祈りのように感じられて。

じゃあ、外せないかな?(笑) あの曲は7inchシングルにもなりましたしね。そんな感じで選曲作業は大変であり、楽しくもあり。うれしい悩みですね。