京都のアイドルグループ・きのホ。が、2月21、22日に京都・KBSホールで主催フェス「ホ。フェス'26」を開催する。
2023年にスタートし、今年で4回目の開催を迎える「ホ。フェス」。今回もアイドル、バンド、弾き語りのアーティスト、お笑い芸人など、多種多様なジャンルの出演者がラインナップされた。クリエイティビティにあふれた楽曲やミュージックビデオ、そしてライブパフォーマンスで着実に評価を高め続け、アイドルシーンだけでなく、バンド方面とも近い距離を持っているきのホ。ならではの特色、そして音楽への愛が表れているのがこのフェスの特徴だ。
この「ホ。フェス」の開催をはじめ、充実した活動を送っているように見えるきのホ。だが、今年結成5周年を迎えるグループの現在地をメンバー自身はどのように捉えているのだろうか。「ホ。フェス'26」のトークコーナーに出演するプロインタビュアー吉田豪が5人にインタビューし、きのホ。の“独自性”を掘り下げた。
取材・文 / 吉田豪撮影 / 入江達也
公演情報
ホ。フェス2026
2026年2月21日(土)京都府 KBSホール
<出演者>
きのホ。 / 愛はズボーン / Alaska Jam / Avalanche Session / アルカラ / AQ / 美味しい曖昧 / カイジューバイミー / カラコルムの山々 / くぴぽ / SAKANAMON / THE NEATBEATS / DJ ADAM at feat. Jose(TOTALFAT) / TOMOVSKY / NaNoMoRaL / NEO BURNING FIRES / ネクライトーキー / H.U.G / ハンサムケンヤ / Helsinki Lambda Club / 吉田豪 / RAY / 忘れてモーテルズ
2026年2月22日(日)京都府 KBSホール
<出演者>
きのホ。 / 犬人間ニョンズ / AQ / グデイ / KENYATANABE / 小花衣こはる / Kolokol / THE FOREVER YOUNG / Zantō Village / SITUASION / 0番線と夜明け前 / センプウジン / SOMOSOMO / 超能力戦士ドリアン / 寺田寛明 / NUANCE / PIGGS / 藤澤信次郎とジュンゴトー(浪漫革命) / BABYTANTS / BELLRING少女ハート / MOHARU(Band set) / モーモールルギャバン / ヤスエでんじゃらすおじさん / Ringwanderung
きのホ。はめっちゃ磨いた泥団子
──きのホ。は、曲よしメンバーよしライブよし運営よしMVよしの素晴らしいグループだと思うんですよ。
小清水美里 ありがとうございます。
御堂莉くるみ わかります!
小花衣こはる 確かに。同意。
──もっと売れるべきグループのはずなんですけど、メンバー自身はきのホ。の独自性ってどこにあると思います? ほかのグループと比べて、ウチはちょっとここがおかしいという話でもいいですけど。
桜寝あした おかしいところ、あります。困ったらワンマンやるとか。
──どういうことですか?
桜寝 ワンマンって、年に1回か2回とか、気合い入れてやるじゃないですか。ウチら2月だけでワンマンが3回くらいあるんですよ。
──金銭面で困ったら、ということでもなく?
新井ポテト(きのホ。プロデューサー / 古都レコード代表) いや、一緒にやってくれる人が見つからず……。
──ツーマンをやろうと思ってたということですか(笑)。
新井 そうです。ハコを押さえてて、誰かいい人いないかなと思ってたら、時が来てしまい、「よしもうワンマンでいこう!」みたいな。
──今日の昼のワンマン(※1月25日開催の「きのホ。のNEW YEAR TOKYO TOP BEAT ONE-MAN!」。会場はTHE NEATBEATSの眞鍋“Mr.PAN”崇が経営する荻窪TOP BEAT CLUB)もそんな感じだったんですか?
桜寝 はい。だからニューイヤーワンマンを1月25日にやるという。
新井 ハコを押さえたもののどうしよう、もう1カ月後だし、何か理由をつけてワンマンにしようか。よし、ハッピーニューイヤーワンマンにしよう、と。
桜寝 2月も節分にかこつけてワンマンしますよ(※2月1日にKYOTO MUSEで開催された「超緊急開催!! きのホ。の超節分祭!!鬼かわきのホ。と福は内!!」)。
──そのおかげなのか、明らかにライブのスキルは高くなってるじゃないですか。
小花衣 ……ポテトさんがいると怖くてしゃべれない。すごく気にしてしゃべっちゃう。
──え、怖いんですか?
小花衣 いや! 怖くはないんですけど、「え……(ポテトさんの顔色をうかがって)これはどうなんですか?」って感じになる。
小清水 話してることが合ってるのか確認しちゃう。
新井 じゃあ俺、この部屋を出ていこうか? NGとか別にないから「これ言っていいかな、ダメかな」と思ったら言っちゃっていいんで。
小花衣 OK、了解です。
新井 じゃあ出てくね(取材部屋を退出する)。
御守ミコ 私はあんまり、きのホ。に独自性があると思ってない……言い方が難しいんですけど、アイドルのめっちゃ“まっすぐ”な形がきのホ。だと思ってて。私の感覚としては、ほかと別の道を行ってるというよりは、みんなでまっすぐビューンって行った結果、きのホ。になった感じ。
──わかります。意外とその“まっすぐ”をやろうとしてる人が、アイドルの世界で今少ないのかもしれないなって。
御堂莉 あと、メンバーはきのホ。以外ができない人たち。そこが特殊かも。だからこの5人は辞めてないんじゃないかなって思う。
小花衣 行き場がないってこと? ここにしかいられない。
桜寝 ここじゃないと生きられないから。
御堂莉 でも、ネガティブじゃなくてポジティブな意味。
──きのホ。に救われてるし、自分のよさが一番出せる場だと。それは例えば、キラキラしてらっしゃるようなほかのグループの方々とかを見ていて思うわけですか?
小花衣 うん。全然違うもんね。
小清水 きのホ。は根性でキラキラしてる感じ。
御堂莉 ギラギラ。メラメラ。
桜寝 叩き上げだから。比べるものじゃないけど、ほとんどのアイドルより叩き上げられてると思う。
小花衣 共同生活をしていたことも、すごく大きいと思ってて。今はやめちゃったんですけど(参照:きのホ。共同生活解消、メンバー全員が京都で1人暮らし)、共同生活中は絶対に仲直りしないといけないじゃないですか、何があっても。
御堂莉 嫌でもね。
──仕事場だけで会う関係とは違うから。
小花衣 家に帰ったらみんながいて、外に出て練習に行ったらいて、ライブに行ったらいて、移動中もいて。翌日もずっと一緒だし、仕事だけの関係じゃなく、生活もみんな一緒だったから。
──結果的に、単純な仲がいい悪いを超えた関係性になってると思います。
小花衣 ありがとうございます。全然キラキラしてないですけど。
──ちゃんとケンカとかもしたからこその。
小花衣 めちゃくちゃしてます。ケンカっていうか、ちゃんと話し合いができる。
桜寝 そう、ケンカじゃないんですよ。1年目からずっと。何か火種があったら話し合いで解決することを常にやってきたから、いまだに何かあったら話し合い。最近はそんなに“何か”がないけど、共同生活をしていたときは家の話まで火種になってたし、全部話し合いで解決する癖がついてます。
小花衣 寒いリビングに集まって、部屋の中なのにみんなでアウター着て。うずくまりながら話し合って、泣いて。
──泣くレベルだったんですね。
桜寝 話し合いのたびに誰か泣いてました。だから、きのホ。はたぶん、めちゃくちゃ庶民派だと思いますね。庶民派というか、キラキラしてない。
御守 きのホ。は、めっちゃ磨いた泥団子ってイメージ(笑)。
──泥がここまで光るなんて、という(笑)。
桜寝 すごい! めっちゃいいこと言うじゃん。きのホ。めっちゃいいじゃん。
小清水 すごいしっくりきてる(笑)。
小花衣 ガラス玉ではないよね。きれいな陶器とかでもない。
ボロボロな家での共同生活
──最初、京都のボロボロの古民家で共同生活すると聞かされたときは、当然反発はしたわけですよね?
小清水 最初に言われたときは、もっと素敵な家だと思ってて。縁側の写真とか見せられたんですけど。
桜寝 めっちゃきれいだったよね、写真。
御守 ボロい家をめっちゃいいカメラで撮っただけ……。
小清水 住み始めたらわかってきた感じです。ここヤバいぞって。
桜寝 でも、光熱費はかかんないし家賃無料だったんで、住む家があったということに関しては普通に恵まれてたよね。
──そこはちゃんとしている会社……だったわけではない?
御堂莉 ちゃんとしてたり、していなかったり。
小清水 そう。ちょっとだまされたけどよかったなって感じで。
御堂莉 結局ちゃんとしてる部分のほうが多いから、ぬくぬくしてます。
御守 ちゃんとしてなかったら生活できてない(笑)。
桜寝 5人がなんとなくこうして5年間生きられているのが何よりの証拠です。
小花衣 京都に関わりがない5人なんで。オーディションで集まってきて、京都での初めての居場所が寮だった。私はありがたかったです。
御堂莉 一人暮らしとかしたことなかったし、寮じゃなかったら京都から地元に帰ってたかもしんない。
桜寝 始まりが寮だから、ずっと一緒にやれてるし、結果的に共同生活はよかったんだと思います。
──どんなにボロボロな家だったとしても。
御堂莉 逆にボロボロだったからよかったのかも。ネズミが出て、みんなで寮の悪口を言って……。
小花衣 団結できた?(笑)
桜寝 ネズミを倒し、ゴキブリを倒し。人間として強くなったよね。
御堂莉 きれいだったら、そんなにコミュニケーションが生まれてなかっただろうから。
小花衣 キツネのおしっこ(忌避剤)とか撒いたもんね。あらゆる手段でネズミを退治しないと!って。ネズミ捕りとか全然ダメだったんで、めっちゃ調べて、キツネのおしっこが効くっていうのでキツネのおしっこを集めて家中に撒いてたりしました。
桜寝 それも全然効果なかったけどね。……待って、ウチら大丈夫? 家の話で終わるよ、これ(笑)。
──やっぱり、共通の敵ができると団結しやすくなりますよね。
小花衣 共通の敵が寮だったんだ。つら(笑)。
桜寝 寮のおかげで今の絆が。
──前にポテトさんが、「別々に住んだらきのホ。は終わると思ってた」とか言ってましたよね。
桜寝 そうじゃなかったから今があるんですけどね。結果として。
小花衣 きのホ。自体が終わるまで、ずっと共同生活をするものだと思ってた。だから、それぞれ一人暮らししようという話になったときに、「えっ!」ってちょっと思っちゃったんですけど、みんなは「やったー、夢の一人暮らしだ!」みたいなテンションで。私は「共同生活がなくなったら、今のきのホ。じゃなくなっちゃうんじゃないか」とか「ちょっと寂しいな」って考えてたんですけど、実際に一人暮らしが始まったら生活の質がグンと上がったし、めちゃくちゃハッピーだし、仲も別に今まで通りいいし、めっちゃきのホ。でした。
小清水 変わってないよね、何も。
小花衣 プライベートでみんなで遊び行くことはないし、仕事のあとも「疲れたから帰ろう」ってすぐに帰っちゃうことのほうが多いんですけど、仲はいい。恥ずかしい言い方をすると、絆があると思う。
桜寝 寮でその土台作りができてた。家族の域だったからね。
小花衣 4年一緒に暮らしたから、さすがに変わんなかった。
──あと、外から見て、運営のポテトさんとの距離感もほどよいなと思います。
御堂莉 それは思う。近すぎもしないし。
桜寝 過干渉じゃないよね。
──気軽に文句を言えるくらいの関係性ではあるし、言いやすいキャラクターでもあるから。
御堂莉 文句ばっか言ってます。
桜寝 ずっと文句言ってるからずっと怒られてる。4年間やってきて5年目も。
御堂莉 一応ちゃんと怒りもするんで、ポテトさん。
桜寝 間違ってないんですよ、怒るときは。すねてるときは間違ってるんですけど、怒ってるときは間違ってない。
小花衣 いい関係だ!
桜寝 文句を言わせてもらえてるだけいいよね。甘やかされてるわけじゃないけど、こっちの存在を無視されてないというか。
小花衣 たまに厳しく言ってもらってるおかげで、ウチらの人間性も成長した。丸くなってさ。
桜寝 確かに。とがってたもんね。
御守 怒り方がさっぱりしてる。1回怒って、こっちがちゃんと反省したら、「わかったね。じゃあこの話はもう終わり」って感じで。いい怒り方。
小花衣 いい人じゃん!
御守 プロデューサーをヨイショするインタビュー(笑)。
小花衣 ヨイショなのかな? 「いい叱り方だとは思います」って、こっちも上からっぽいけど(笑)。
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きのホ。はカッコいいしかわいい




