宮崎朝子が語るSHISHAMO活動終了への思い、ゆかりの著名人16人が送るメッセージ

SHISHAMOのメンバーセレクトアルバム「SHISHAMOでした!!!」がリリースされた。

6月13日と14日にSHISHAMOの地元である神奈川県川崎市のUvanceとどろきスタジアム by Fujitsu(等々力陸上競技場)でのワンマンライブ「SHISHAMO THE FINAL!!! ~Thanks for everything~」を区切りに、活動を終了するSHISHAMO。彼女たちが昨年9月の東京・Zepp Haneda(TOKYO)公演のアンコールでバンドの終了を発表すると、ファンのみならず音楽シーン全体に衝撃が走った。

音楽ナタリーでは宮崎朝子(G, Vo)にインタビュー。活動終了を決心した理由やメンバーの松岡彩(B)と吉川美冴貴(Dr)への思い、ラストライブに臨む心境などを素直な言葉で語ってくれた。

また特集の後半ではaiko、安斎かりん、生田絵梨花、幾田りら、尾崎世界観(クリープハイプ)、加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)、斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN、TenTwenty)、佐藤征史(くるり)、清水依与吏(back number)、谷口鮪(KANA-BOON)、常田真太郎(スキマスイッチ)、牧達弥(go!go!vanillas)、松本穂香、三原健司(フレデリック)、山内総一郎、ヨコタシンノスケ(キュウソネコカミ)というSHISHAMOとゆかりのある著名人16人のコメント企画を展開。それぞれのメッセージには活動終了を惜しむ声や彼女たちへのエールなどSHISHAMOへのさまざまな思いがあふれているので、最後まで読んでほしい。

取材・文(P1~2) / 森朋之撮影(P1~2) / YURIE PEPE

「SHISHAMOでした!!!」発売記念
宮崎朝子(G, Vo)インタビュー

「続けたい」より「終わりのために走っている」

──2025年9月27日、Zepp Hanedaでのワンマンライブで活動終了を発表しました(参照:SHISHAMOがZepp羽田で今年最後のワンマン、活動終了を伝え「あと9カ月はゴリゴリにやります」)。まずは活動を終えると決めた経緯を教えてもらえますか?

それはもうホームページでお知らせ(参照:「SHISHAMOから大切なお知らせ」)した通りですね。2024年の初夏に松岡(彩)から、今後の自分とSHISHAMOの活動について話があって、そのときに「ここなんだな」と思ったんです。もともと私は「ずっと続けたい」というより、“いい終わり”のために走っている感覚があって。終わりがついに来たんだなと思ったし、「ここからどうやって、素敵な終わりに向かっていくか」という気持ちに変わった感じです。

宮崎朝子(G, Vo)

──目標を立てず、目の前のことに集中してきたバンドですからね。

そうですね。目の前のことを1つひとつ乗り越えて、その先にどんな未来があるんだろう?みたいな気持ちで続けてきましたが、SHISHAMOとしてやってきたことは誇らしいものばかりなんですよ。楽曲もそうだし、そのときどきの選択についても、ちゃんと正解を選んでこれた。だからこそ、活動終了に対してもあまりネガティブにはならなかったんだと思います。そもそも必ず終わるものですからね、何事も。何かが始まって、終わっていくのは普通のことというか。

──Zepp Hanedaで発表したときも笑顔でしたよね。いつも通りのテンションというか。

なるべくシンプルに伝えるほうがいいかなと思ったし、それ以外の方法がわからなかったんですよ。言い方は気を付けましたけどね、もちろん。SHISHAMOは自分たちだけのものじゃないという気持ちがあるし、ファンの皆さんやスタッフを含めて、みんなのものだと思っていて。皆さんの気持ちを大事にしながら伝えないといけないなという気持ちが一番大きかったです。あと、なるべく早めに発表したかったんです。9月に発表すれば最後の等々力のライブまでに9カ月くらいあるじゃないですか。みんなにはなるべく早めに心の準備をしてもらって、残りの時間をできるだけ楽しく過ごせたらなと。

──素晴らしい。なかなかできることではないと思います。

いえいえ(笑)。なんていうか、ずっと悲しんでるのはもったいないですからね。まだSHISHAMOは存在しているし、できるだけ最後まで楽しんでもらったほうがいいので。

宮崎朝子(G, Vo)
宮崎朝子(G, Vo)

選んでみたらほとんど被りがなくて

──最後の作品として、メンバーセレクトアルバム「SHISHAMOでした!!!」がリリースされます。

2019年にベストアルバム(「SHISHAMO BEST」)も出したし、2023年には恋愛の曲をテーマにしたコンセプトアルバム(「恋を知っているすべてのあなたへ」)もリリースしたんですけど(参照:SHISHAMOは恋とどう向き合ってきた?デビュー10周年記念盤インタビュー)、「最後に特別なものを作ろう」ということになって。「これは面白いんじゃないかな」と思ったのが、3人それぞれが選んだ楽曲でCDを作ることだったんです。

──「宮崎盤」「松岡盤」「吉川盤」のCD3枚組ですが、それぞれの個性がはっきり出ていて。

自分たちも、ここまで個性が出るとは思わなかったですね。最初は「どうせ曲が被るだろうからあとで調整しよう」と言ってたんですけど、選んでみたらほとんど被りがなくて。3人のセレクトを並べたときに「やっぱりこれが正解だったんだな」と思いましたね。それぞれが思っているSHISHAMO像が違うからこそ、こういうCDが作れたんだなって。3人ともバラバラで、そのバランス感がSHISHAMOのよさでもあったんだけど、選曲にもこんなに違いが出るんだなってちょっと衝撃でした(笑)。「明日も」を吉川しか選んでなかったのもびっくりしましたね。

──「明日も」は代表曲の1つですからね。「『SHISHAMOの始まりから終わり』までを自分なりに表現した作品です」というコメント通り、吉川さんはSHISHAMOの軌跡がわかるCDにしたかったのかなと。

そうですね。「吉川盤」は節目になっている曲がちゃんと入っているし、SHISHAMOのパブリックイメージを担ってくれてるCDだと思います。吉川は“SHISHAMOが歩んできた道”を愛してる人だし、記憶力がめちゃくちゃいいんですよ。「こんなことあったな、あんなことあったな」って振り返りながら選んだんだろうなと。「松岡盤」も「松岡だな」って感じがあって(笑)。普段から「好き」と言ってる曲だったり、ベースが主役になっている曲がちゃんと入っています。

宮崎朝子(G, Vo)
宮崎朝子(G, Vo)

恋を歌ってきたSHISHAMOが愛を表現するなら

──「宮崎盤」も個性的ですよね。選曲の基準は?

SHISHAMOに関することで、初めて自分らしさを重視して選んだ気がします。これまでもSHISHAMOのことは自分が中心になって決めてきたんだけど、「自分はこうしたい」というより、「SHISHAMOとしての正解をどれだけ選べるか?」という気持ちがあって。今回はそうじゃなくて、シンプルに好きな曲を入れたんですよ。そうしたら、不安になるくらい暗いCDになっちゃって。マスタリングで聴いてたときに「暗っ!」ってなりました(笑)。

──(笑)。宮崎さんらしい選曲ですよね。以前も「私が好きな曲は人気がない気がする」と言ってたので。

そうですね(笑)。恋愛の曲でも、楽しいとか幸せではなくて、うまくいってない、落ちてる曲のほうが作ってて楽しいので。普段音楽を聴くときも、つらいときに寄り添ってくれる曲のほうが好きなんですよ。なので「宮崎盤」には自分の好みが表れていると思います。

──バンドのアンサンブルがカッコいい曲が多い印象もありました。

確かに3ピースらしい曲が多いかもしれないですね。そういうサウンドが好きというより、3人組なので、基本そうするしかないじゃないですか(笑)。もちろんほかの音を入れることもできるんだけど、私は3人で音を鳴らすという縛りが楽しくて。その不自由さの中で曲を作っていくのが面白かったんですよね。

──「宮崎盤」の最後に入っている「運命と呼んでもいいですか」は一番新しい曲ですよね。

はい。ミュージックビデオをオフィシャルYouTubeチャンネルで公開はしていましたが、CDに入れるのは初めてですね。ライブではだいぶ前からやってたので、ライブで育った感じもあります。

──この曲を聴いてると、活動終了に向けて書いた曲なのかなと思ったんですけど……。

というより、恋愛ソングの集大成みたいな曲ですね。ずっと恋の歌を作ってきたSHISHAMOが“愛”をテーマに制作したら、どんな曲になるだろう?というか。誰かと一緒に生きていくことって、ずっと幸せで楽しいだけではないと思うんですよ。めんどうくさいこととか鬱陶しいこともあるだろうけど、何度うんざりしても、また“あなた”を選ぶ。それが愛じゃないかなという曲ですね。

宮崎朝子(G, Vo)

──ずっとその人を選び続ける、と。すごくリアルだし、大人っぽいですね。

実際にもう大人ですしね(笑)。ファンのみんなもそうだと思うんですよ。一緒に年齢を重ねてきて、パートナーがいたり、一緒に暮らす人がいたり、それぞれ成長してきて。私も結婚したし、すごく自然なタイミングで「運命と呼んでもいいですか」みたいな曲が生まれたんだろうなと。ライブで初めて演奏したときも、ちゃんと歌詞を聴いてくれたからだと思うんだけど、泣いてくれてる方がけっこう多くて。今までやってきたこともそうだし、この曲をSHISHAMO最後の新曲としてアルバムに収録することができて、正解だったなと思いました。

──それも年月を感じるエピソードですね。デビューから13年なので、最初から応援しているファンはたぶん20代後半、30代になってるだろうし。「結婚しました!」みたいな話もあるんですか?

めちゃくちゃあります! SHISHAMOのライブで出会って結婚した方々もいるし、結婚指輪にSHISHAMOのお魚マークを彫ってくれてたり。夫婦でライブに来てくれる方も多いから、キッズTシャツを作ったりもしました。