花澤香菜がポルカと再タッグ!自分との戦いに挑むロックナンバー「Cipher Cipher」

花澤香菜がニューシングル「Cipher Cipher」をリリースした。

シングルの表題曲は、花澤自身が山城恋役で声優として出演しているテレビアニメ「魔都精兵のスレイブ2」のエンディングテーマ。作詞作曲はポルカドットスティングレイの雫(Vo, G)で、2021年11月リリースのシングル「SHINOBI-NAI」以来の再タッグが実現した。ポルカドットスティングレイの編曲による中毒性の高いロックナンバー「Cipher Cipher」はどのようにして生まれたのか? 音楽ナタリーでは雫からもらったコメントを交えつつ、本作の制作について花澤に話を聞いた。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 星野耕作

「私がここにいたら変だよね」という場に飛び込んでいくのが好き

──2025年の花澤さんは、わりとライブが多めでしたよね。

そうですね。直近だと、秋のビルボードライブがすごく印象に残っていて。今回もアコースティック編成でやらせてもらったんですけど、けっこう自分の内面を語っていくような選曲でお送りしたこともあって、エモーショナルな公演になったかなと思います(笑)。「私、こういう表現ができたんだ」という発見もあったりして。

──アコースティックならではの、むき出しの表現ができた?

そうそうそう。「“私”を見てもらってるな」って感じのライブになりましたね。

──その一方で、お笑い業界にも着実に存在感を強めている印象ですが……。

そんなことはないです(笑)。でも、大晦日によしもとさん主催のお笑いライブに出させてもらったり、テレビなども含めて楽しいお仕事をたくさんやらせていただきました。

──人によっては「私、何してるんだろう?」と困惑しかねない状況でもあると思うんですが……。

確かに(笑)。でも「何してるんだろう?」とはなっていないですね。いいバランスだったのかも。

──もちろん本業の声優業も順調で、かなり充実した1年でしたよね。

充実していましたね。ご褒美みたいなお仕事もたくさんありましたし、想像もしていないところからお話をいただく機会も増えて。「私がここにいたら変だよね」という場に飛び込んでいくのがすごく好きなので、そういう挑戦がたくさんできた1年ではあったと思います。

花澤香菜

とにかく雫さんの器が大きい

──そんな中でこのたび、テレビアニメ「魔都精兵のスレイブ2」エンディングテーマの「Cipher Cipher」が完成しました。花澤さんは声優としても、第2期から登場の新キャラクター・山城恋役で本作に出演されています。

参加してまず思ったのは、命を懸けて戦う戦闘シーンの迫力やシリアスさと、“ご褒美タイム”の落差がすごい(笑)。そのギャップに引き込まれましたね。しかも、そのご褒美がちゃんとご褒美というか、地上波で放送される通常バージョンのほかに“ご褒美バージョン”があったりもするんですよ。

──主にお色気シーンをより鮮明に楽しめる配信バージョンですね。

それでいて物語の本筋は本筋でめちゃめちゃしっかり見せるというところが、やっていて面白いなと思ったポイントです。

──それこそ「何してるんだろう?」となりかねないくらい、振り切っている感じですよね。

確かに(笑)。その中で、私の演じている山城恋ちゃんが本当に面白い子で。主人公側の組織である魔防隊の総組長という役どころで、とにかく強くて、孤高の存在なんですね。本当に思っていることは表に出さず、笑顔なんだけど怖い、みたいな女の子で。「私もこういうキャラをやらせてもらえるようになったんだなあ」と思って、とっても楽しく演じています。

──そんな作品のエンディングを担う「Cipher Cipher」ですが、制作はどういう流れで?

山城恋ちゃんをやることが決まっていた段階で、エンディングも歌わせてもらえることになったんです。それを踏まえたうえで「この楽曲をどなたに頼もうか?」という会議をみんなでしたときに、ポルカドットスティングレイさんの名前が挙がりまして。

──ポルカとは2021年リリースの「SHINOBI-NAI」以来、2度目のタッグですね。

その「SHINOBI-NAI」が、いつもとはひと味違う私の一面を引き出してくれる楽曲で、ライブでめちゃめちゃ盛り上がる定番曲になっているんですね。バトルシーンの多い「魔都精兵のスレイブ」との相性もよさそうだし、私としてもまたポルカさんに書いてもらいたい気持ちがあったので、スタッフと「ここで再登場していただけたらいいんじゃない?」と話して再びお願いしました。

花澤香菜

──2度目が実現するというのは、それだけ相性がいいということだと思います。花澤さん的にはどのあたりにポルカとの親和性を感じますか?

とにかく雫さんの器が大きいところですね。レコーディングのときもすごく盛り上げてくれるし、ディレクションをする姿が本当に面白いので、皆さんに見てもらいたいくらいなんですけど。

──それ自体がエンタメになっちゃうような?

そうそうそう。「師匠、今のめっちゃよかったっす!」みたいな……なぜか「師匠」と呼ばれてるんですけど(笑)。もちろんただ盛り上げるだけじゃなくて、技術的なアドバイスも実演を交えながらしてくれるのがすごくありがたくて。それに加えて、声優・アニメ業界のことをちゃんとわかってくれている人でもあるので、それも大きいですね。

自分と戦えるような曲が欲しかった

──実は今日、そんな雫さんからコメントを預かってきておりまして。

ええー! マジですか!

──まず今回の再タッグに際して、次のようにおっしゃっています。

1作目の「SHINOBI-NAI」を作る過程で、香菜さんのボーカリストとしての魅力をたくさん知ることができたり、歌詞に対する香菜さんの考え(好み?)も聞かせていただけたりしたので、「SHINOBI-NAI」を出して以降「こういうこともやってみたかったな」と1人で考えるなどしていました。
香菜さんとやりたいことがもっとたくさんあった中で今回のお話をいただいたので、次はどうしよう!!とワクワクしました。その場でアイデアがたくさん浮かんできて、以降、楽曲が完パケるまでずっと楽しかったです。ありがとうございます!!

こちらこそありがとうございます! うれしいー。今回も楽曲を作るにあたっていっぱい打ち合わせをさせてもらったんですけど、タイミング的に「誰かと争うというより、自分との戦いだな」と感じることがめちゃめちゃ多い時期だったんですね。例えばアフレコをしていても、最近はあまりダメ出しをされなくなってきていて、自分で考えて出したものをそのまま受け入れてもらえることが多くなっているんです。

──キャリア的にもそうなってきますよね。

それはいいんだけど、もしそこで私が怠けていたら、怠けたお芝居がそのまま届けられることになってしまうわけじゃないですか。それはマジで怖いなと思って、「自分と戦えるような曲が欲しい」と雫さんにお願いしたんです。

花澤香菜

──実際の楽曲制作では、こんなことを意識されていたようです。

「SHINOBI-NAI」はデジタルみの強い軽快なポップロックでしたが、もっと勢いのあるロックも我々の得意なところではあるので、今回はもっと「バンド!!」って感じの楽曲にしてみました。
香菜さん、しっかりロックなのも似合いそうだな……とすごく思ったので!
「魔都精兵のスレイブ」がバトル要素の強い作品なので、テンションの高い楽曲が作りたかったのもあります。

──まずは、生のバンドサウンドであることが肝だったみたいですね。

そうそう。北川さん(サウンドプロデューサーの北川勝利)とも「ポルカのバンド感、ポルカにしか出せないあの感じをやってほしいよね」という話をしていて。

──花澤さんはずっと基本的に生バンドの音でやってきていますけど、こういうオルタナティブロック的なテイストはあまりなかったように思います。

そうですね。「ここは決めたい」というポイントがいくつもあって、けっこう苦戦しました。例えば「Cipher Cipher」というフレーズの繰り返しでちょっとずつニュアンスを変えていく感じとか、「CHECK OUT」をいかにカッコよく言うかとか(笑)。私、ホントに英語が苦手なので……。

花澤香菜の“低い音域”

──また、雫さんはこうもおっしゃっています。

肩に力が入っている感じというよりも「お前は私の犬よ」と高みの見物をしてほしかったので(?)、ロックなんだけど鋭利すぎない、おちゃめな色気もプラスできるように意識しました。ちょっと抜け感がある感じというか……

確かに。「SHINOBI-NAI」になかった要素といえば色気かな、と思いますね。

──“山城恋み”というか。

山城恋み、ありますよね!

ポルカのサウンドは楽器だけでかなりの圧があるのですが、香菜さんはどんなオケにも勝てる神の声質をされているので、やりたい放題で楽しかったです。

──雫さんもこうおっしゃっていますが、「Cipher Cipher」のメロディラインはレンジが広いですよね。

広いですねー。恋ちゃんを演じているときも、笑顔でふわふわしゃべっているときと刺す言葉を発するときで、使う音域が全然違うんです。その感じとも共通するかも。

──特に低音域の表現がすごくよくて。単純に、こういうエッジィなバンドサウンドの中で低い声を使うのはかなり難しいと思うんですけど。

難しいです。埋もれちゃうんで……やっぱり低い声って響きづらいから“出そうとしちゃう”んですけど、力まずに抜いたほうが絶対出るんですよ。そのあたりは意識しましたね。

花澤香菜

──そもそも花澤さんに曲を書くとなったときに、普通はあまり「低い音域を使おう」という発想にはならない気がします。

そうなんですよ。やっぱり高音域の、ちょっと喉がキュッとなるところの成分が好きと言ってもらえることが多いので。

──そこで低音域を使う雫さんはさすがだなと。低音域って、実はシンガーの力量差が一番出やすいポイントだと思いますし。

なるほど、そうかあ。