hide(X JAPAN、hide with Spread Beaver、zilch)とアパレルブランド・glambによる最新コラボレーションアイテムが4月7日に発表された。これを記念してインタビューに応じてくれたのが、hide with Spread Beaverのギタリストであり、hideが信頼を寄せた相棒の1人である、KIYOSHIだ。
1996年に開催されたhideの2ndソロツアー「hide solo tour 1996 -PSYENCE A GO GO-」から30年。今なお色褪せないhideのファッションにまつわる話から当時の知られざるエピソードまで、唯一無二のロックアイコン・hideへの思いを聞いた。
なお今回のフォトシューティングにあたり、KIYOSHIにはhideのギターを禍々しく昇華した愛用のギター・ベルゼブブを持参してもらった。hide × glamb × KIYOSHI × ベルゼブブが魅せる、時代を越えたフォトセッションにも注目してもらいたい。
取材・文 / 田中和宏撮影 / 高階裕幸
ヘアメイク / QUEEVA
©HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD./ by courtesy of HIDEO CANNO (CAPS)
hide × glambコラボレーションコレクション 第4弾
ファッションブランドglambが本年4月7日に発表したカプセルコレクション。hideが手にしたギターや衣装、そして貴重なアーカイブフォトを現在進行形のストリートスタイルに掛け合わせた11アイテムがそろう。商品は受注生産となり、ナタリーストアにて4月30日(木)23:59まで予約販売を実施中。
ヒップホップよりロックが流行っていた90年代
──今回はhideさんとglambのコラボレーションということで、KIYOSHIさんにモデルを務めていただきました。
こちらこそ、ありがとうございます。並んでいる商品を見ると、使われている写真を含めて、当時の空気感も思い出しますね。実は僕、以前出たhide × glambコラボのPUレザーのパーカーも愛用していて、レコーディングのときなんかによく着ているんですよ。そうしたら今井(寿 / BUCK∞TICK)くんもまったく同じのを持っていて。現場で会うとたまにバッティングするんだよね(笑)。「あ、おそろいじゃん」って。それぐらい僕らの間でもglambの作るhideアイテムは浸透しているし、みんな気に入って着ています。
──それは素敵なエピソードですね。KIYOSHIさんが最初に参加したhideさんのツアーは1996年の「hide solo tour 1996 -PSYENCE A GO GO-」でした。
あの頃のhideのモードは、パンクであり、グラムであり、インダストリアルであり……。
──hideさんはのちにそれらを昇華させた「サイボーグロック」という独自のジャンルを提唱されていましたね。
当時はNine Inch NailsやMarilyn Mansonといった、アメリカのオルタナティブロックがすごくカッコよかった時代で。MTVで流れるミュージックビデオがラッパーばかりになる前、ちょうどロックの過渡期で、僕らもすごく刺激を受けていたんです。hideはアンテナの感度が本当に鋭くて、そういう新しい音楽をいち早く教えてくれました。ロサンゼルスのタワーレコードに一緒に行ったときも、「KIYOSHI、これいいぞ。買ったほうがいい」ってNine Inch Nailsのビデオ(「Closure」)を勧められたりしましたね。“アレをちょん切る”みたいな過激な内容すぎて日本では発売できなかったやつ(笑)。今も家に探せばあるんじゃないかな。そういう当時の時代感覚は、hide with Spread Beaverとしてステージに立つときに今でも意識する部分ですね。
ステージ衣装は武装に近い
──KIYOSHIさんはプロジェクトごとにファッションが明確に異なりますよね。
必然的にそうなりますね。hide with Spread Beaverのときは、デコレートされた“武装”に近いイメージ。逆にMADBEAVERSはスリーピースのロックンロールバンドだから、Tシャツにジーパンでいい。machineはデジロックだから、もっと作り込まれた世界観。Lucyはもう少しドレッシーとか。音楽と衣装、そして気持ちの方向をリンクさせることが重要だと思っています。
──90年代に流行っていたファッションは、昨今Y2Kブームや平成レトロブームもあって再び脚光を浴びていますね。
あの頃はみんなハイテクスニーカーを買い漁っていましたね。96年のツアーでも、本編は膝下まである重いラバーソールのブーツを履いてるんだけど、アンコールになると動きやすいスニーカーに履き替えて。当時の厚底ブーツは今のものよりずっと重かったから、ジャンプするのも大変だったんですよ(笑)。
オレンジ色のニクいヤツ
──hideさんとの交流は1980年代、KIYOSHIさんがmedia youthを結成する以前からですが、本格的に息が合ったのは90年代以降だったとか。
いやあ、飲むとよくケンカしてたんですよ(笑)。でも2ndアルバム「PSYENCE」の頃に、不思議なぐらいやりたい音楽の方向性がマッチして。ある日、hideから電話がかかってきたんです。「もしもし、hideだけど。今度ツアーやるんだけど、ギター弾けよ。……今度はケンカしないようにしようね」って(笑)。
──「今度は」という言葉に含みがありますね(笑)。
1stソロツアーの前だったかな。六本木で飲んでるときに誘われたこともあったんだけど、ベロベロに酔っ払って「お前なんかとやれるか!」ってケンカになっちゃったから(笑)。でも96年のツアーに改めて誘われたときは無事に参加することになって。あの当時は家が近かったのもあって、よく一緒に飲んでたんですよね。
──当時のKIYOSHIさんのトレードマークと言えば、オレンジ色の髪でした。
hideが赤やピンクの頭だったから、「赤だとかぶるから、KIYOSHIはオレンジにして」と言われたんですよね。「オレンジ色のニクいヤツ」なんてキャッチフレーズを付けられたりしたけど(笑)。ファッションに関しても、hideは僕の格好をよくチェックしていたみたいで。スタイリストの高橋恵美ちゃんからあとで聞いた話なんだけど、僕がいないところで「KIYOSHIが着てたああいう服はないの?」とか聞いていたらしいです。なんでか知らないけど、直接は絶対聞いてこなかった(笑)。当時僕は古着のジャージとかをよく着てて、それが気になったのかな。
──hideさんは1998年当時、「寝間着に近いものを好みます」とおっしゃっていました。「HIDE YOUR FACE」の頃はレザーパンツなどカチッとしたスタイルが多かったですが、「PSYENCE」以降、ジャージのような動きやすい格好の印象が強いです。
そうそう。しかも、一個気に入るとずっとそればっかり着てるんだよね。「着替えないの?」って聞いても「まだいい」って言って(笑)。だから今回のコレクションにジャージが入っているのは、すごくhideらしいなと思います。ファンの人も「ずっと同じの着てればいいや!」って思える1着がこのジャージだったら、いいですよね。
hide × glambコラボレーションコレクション 第4弾
伝説のギター・ベルゼブブ
──今回、KIYOSHIさんが愛用されているギター・ベルゼブブの実物を持ってきていただきました。
これはもともと、クリーチャーデザイナーで造形師の韮沢靖さんにデザインしてもらったものです。ベースになるギターが必要で、当時フェルナンデスにhideのサブで用意されていた黒いMG(モッキンバード)があったから、メーカーの兵庫さんが「これ使っちゃえばいいじゃん」って勝手に持ち出して(笑)。
──中身はhideさん本人のギターだったんですね。
そうなんです。ロサンゼルスにいたhideが雑誌でこのギターを見て、「なんだこれ!」と思ったらしい。僕がmedia youthのライブでこれを使っているときの写真だと思います。「hide solo tour 1996 -PSYENCE A GO GO-」ツアーに誘われたとき、「あのギター、持ってきて!」と言われたんです。リハーサルのときに「この中身、お前のギターだよ」って教えたら、「はあ!?」って驚いていました(笑)。
──このギターは“サナエ”という愛称もあるそうですね。
このギターは装飾がバカでかくて重いから、低く構えて弾くしかないんです。その姿を見てhideだったか、CHIROLYNだったかが、「田植えみたいだな」と言い出して、そこから「サナエ」と呼ばれるようになりました(笑)。hideの曲だと「POSE」のときだけ使う、音や弾きやすさのことなんてまったく考えてない、インパクト重視のギターですね。見た目の通り、“ポーズ”でしかないから(笑)。
「お前、zilchでギター弾けよ」
──hideさんとのエピソードで、特に印象に残っているものはありますか?
西麻布のバー・Rallyで2人で飲んでいたときかな。hideがずっとzilch(hideがアメリカで結成した多国籍バンド)の話をしていて。「外国人のメンバーが変拍子をなかなか理解してくれない」とか悩んでいてね。そしたら急に「お前、zilchでギター弾けよ」ってhideに言われて、酒の席だし「ああ、いいよ」って軽く返したんですよ。そしたら15分後ぐらいに、またまた急に「簡単にギター弾くとか言うなー!」って猛烈に怒り出して(笑)。
──理不尽な(笑)。
hideは頭の中で1人、いろんな思いを巡らせていたんでしょうね。当時、Marilyn Mansonとzilchで日本武道館公演をやるって話もあったんですよ。でもhideは途中から「それをやっぱりhide with Spread Beaverでやりたい!」って言い出したりもしてね。結局、僕はzilchに入りませんでしたけど(笑)。あいつは思い込みが激しいというか、一度シンパシーを感じると、何でもこじつけたくなるかわいいところがありましたね。
──音楽的なシンパシーや、他者との共通点を常に探して、見つけては喜んでいたんでしょうね。
そうそう。「ever free」のデモを持ってきたときも、「KIYOSHI、こういうカッティング得意だよな? こんな感じで弾いてくれ」って言われたのを覚えてます。あとね、思い込みの話でも共通点の話でもあるんだけど、雑誌「GiGS」の付録にソノシート(※薄いシート型のアナログレコード)が付いていたときがあって、それに僕が打ち込みで作った曲とかが入っていたんです。それをhideはめざとくチェックしてたんですよね。電話をかけてきて、「あのコード進行、『ROCKET DIVE』とまったく一緒じゃん! やっぱりお前と俺はつながってるんだよ」って言われて。でも、実はそれ僕が作った曲じゃなくて、別の人のデモ曲だったんだよね(笑)。「いや、俺じゃないよ」って言ったんだけど、もう通じないから(笑)。そういうこじつけも含めて、hideらしいなって思います。
KIYOSHIがhide with Spread Beaverをやり続ける理由
──今回のglambのコレクションは、90年代を駆け抜けたロックスター・hideさんのアイコニックなビジュアルを現代のトレンドを交えて昇華させたものです。
今回のコレクションを見ても、hideはもはや1人の人間というより1つの「アイコン」なんだなと強く感じますね。カート・コバーンを知らない子がNirvanaのTシャツを着ているのに近い。僕がhide with Spread Beaverをやり続ける理由も、hideがいかにカッコよかったかを、今の若いファンや知らない世代に伝えるため。彼はもはや歴史上の人物のような、1つの象徴的な存在だなって思います。
──KIYOSHIさんにとって、アイコニックなhideさんのアイテムが今なお発表されることをどう受け止めていますか?
うれしいですよ。若い子たちがこれを着て、刺激を受けてくれるのが一番いい。hideをリアルタイムで知らない世代も、こういうアイテムを通じて、それぞれの中に生きるhideを身にまとってくれたらうれしいですね。僕も今回のコレクションを見て、「年食ってる場合じゃねえな」って改めて思いました(笑)。
hide × glambコラボレーションコレクション 第4弾
ファッションブランドglambが本年4月7日に発表したカプセルコレクション。hideが手にしたギターや衣装、そして貴重なアーカイブフォトを現在進行形のストリートスタイルに掛け合わせた11アイテムがそろう。商品は受注生産となり、ナタリーストアにて4月30日(木)23:59まで予約販売を実施中。
プロフィール
KIYOSHI(キヨシ)
hide with Spread Beaverのメンバー。さまざまなバンドでの活動経験があり、近年ではMADBEAVERS、machine、Lucyでの活動が活発で、freeman名義でソロ活動も行っている。
Homma Kiyoshi (@kiyoshi_madb_freeman) | Instagram



