the telephonesとORANGE RANGE、同じ時代に青春過ごした2組によるコラボ曲が爆誕

the telephonesが結成20周年を記念したコラボアルバム「THIS IS A DISCO CALL!!!」を4月22日にリリースした。

ORANGE RANGEのHIROKI(Vo)とNAOTO(G)、トップシークレットマンのしのだりょうすけ(Vo)、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎(Vo, G)、THE BAWDIESのROY(Vo, B)、POLYSICSのハヤシヒロユキ(G, Vo, Syn, Programming)、PEDROのアユニ・Dといった豪華なメンバーが参加した「THIS IS A DISCO CALL!!!」。先行配信曲「IKITAI DISCO feat. HIROKI & NAOTO from ORANGE RANGE」は、ORANGE RANGEを迎えて3月に行われたthe telephonesのツアー「We wanna scream “DISCO” with you everywhere!!! 日本全国どこでもディスコ!!!」のファイナルでお披露目され、満員の渋谷CLUB QUATTROを大いに盛り上げた(参照:the telephonesが“かけがえのない友達”ORANGE RANGEと迎えた千秋楽、コラボ曲お披露目)。

このときが11年半ぶりのツーマンライブとなったORANGE RANGEとthe telephones。音楽ナタリーは、ライブの興奮冷めやらぬうちに石毛輝(Vo, G, Syn)とHIROKI、NAOTOへのインタビューをセッティングし、コラボ曲についてはもちろん、同学年だからこその共通点を探った。

取材・文 / 森朋之撮影 / 後藤壮太郎

the telephonesとORANGE RANGEは似ている?

──3月7日に東京・渋谷CLUB QUATTROで行われたthe telephones全国ツアー「We wanna scream“DISCO” with you everywhere!!! 日本全国どこでもディスコ!!!」のファイナル公演にORANGE RANGEが出演しました。ツーマンは2014年7月に行われたORANGE RANGE主催の「縁舞 -vol.10-」広島CLUB QUATTRO公演以来でした。

HIROKI(ORANGE RANGE) 1日を通して、いい空気感がありました。でもちゃんとバチバチ感もあって、刺激をたくさんもらって。お客さんも盛り上がってたし、いいイベントだったなと思います。

NAOTO(ORANGE RANGE) めちゃくちゃよかったですね。フロアライクというか、ダンスミュージックに特化している今のthe telephonesのライブがすごく好みなんです。このまま突き進んでほしいなと思いました。

HIROKI よかったよね。テレフォンズはキャリアを重ねれば重ねるほどカッコよさが増して、今はさらに渋みも加わっている。この前の対バンは1時間くらいのステージだったんですけど、観ていてすごくトリップしていく感覚があって、やっぱりすごいなと思いました。

石毛輝(the telephones) ありがとうございます。僕らはずっと“DISCO”を掲げて活動してきたんですけど、2023年にベーシストが抜けたことで、さらにフロアライクに特化してきた感じがあって。それが今のthe telephonesがやりたいことだとお客さんにも伝わったらいいなと思いながら活動してきたんですよ。この間のツアーはめちゃくちゃ盛り上がっていたし、ちょっとずつ形になってきたのかなと思っています。タイミングがなかなか合わなくて、ORANGE RANGEを自分たちのライブにゲストとして招くのは今回が初めてだったんですけど、「先にORANGE RANGEにやってもらうのはいけないな」と思いましたね。

the telephonesとORANGE RANGE。

the telephonesとORANGE RANGE。

HIROKI なんで?(笑)

石毛 やっぱりライブ力があるから。年齢は同じだけど、僕らは結成20年で、ORANGE RANGEは結成25年なので、そこには5年の差がある。そして何よりも曲の力がすごいんです。僕は“feat. ソイソース”シリーズが好きなんですけど、それに限らず、日本人のほとんどが知ってる曲を持っているじゃないですか。この前の対バンでもその威力をすごく感じて、ここ2、3年のライブでは一番緊張したかもしれない。「これ以上に盛り上げるにはどうしたらいいだろう?」って。

──刺激し合える対バンライブだったんですね。the telephonesとORANGE RANGEの出会いはいつだったんですか?

HIROKI この前の打ち上げの席でもその話になったんですけど、いつだっけ?

石毛 2014年の「縁舞」の前だよね。

HIROKI 大阪野音のイベントかな? アルカラ、フラカン(フラワーカンパニーズ)とかも一緒で。

石毛 あ、そうだ。2013年の「風雲!大阪城音泉」ですね。ORANGE RANGE、the telephones、POLYSICS、locofrankが出ていたかな。

──当時のお互いの印象は?

石毛 ORANGE RANGEはデビューが早かったので、年上だと思ってたんですよ。そしたら同い年で。当時からインテリジェントな音楽だなと思っていました。メロディがすごくよくて、歌詞のチョイスも面白いんだけど、トラックはとがってるという印象でした。

NAOTO 僕らも「自分たちと似てるところがあるな」って思いましたね。表向きは明るいんだけど、音楽的にはトゲがあるというか。テレフォンズのそういうところに僕は惹かれるのかなと思っています。人間的にもいい人たちだし。

DISCO=“the telephonesの音楽”

──石毛さんはスペースシャワーTVの企画で、ORANGE RANGEのトリビュートバンド・アレンジレンジを結成しましたよね。

石毛 はい。そのときも感じたんですけど、ORANGE RANGEの音楽は自然に体が反応しちゃうんですよ。分析してみると細かいところにめちゃくちゃこだわっているのもわかったし、トリビュートバンドとして演奏するのもすごく楽しかったです。

NAOTO スペースシャワーTVのORANGE RANGE特集の番組にもMCで出てもらったよね。石毛がそのときORANGE RANGEの音楽のシステムやテクニックみたいなところを分析してくれていて、さすがなと思いました。

石毛 「めちゃくちゃ考えて作ってるんだけど、アウトプットがバカなのがいい」みたいな話だよね。わかりやすさもありつつ、ちょっと狂気を感じるくらいのバカでありたいっていう。

NAOTO そうそう。そこもテレフォンズとORANGE RANGEが似ているところだと思うし、1つの理想でもありますね。

──石毛さんが言う「めちゃくちゃ考えて作ってるんだけど、アウトプットがバカなのがいい」というのをもう少し噛み砕けたらと思うのですが、2組はなぜそういった表現にたどり着いたんでしょう?

石毛 音楽を聴く中で100%“自分の好みの理想の曲”というものにはなかなか出会えないんです。もちろんたまにはあるんですけど、基本的には「自分の好みだったらこんなアレンジをしたいな」と思いながら音楽を聴いていて、“自分好みのフィルター”を構築していくんですよね。たくさんの音楽を聴いて、そのフィルターを日々更新することがオリジナリティを作る1つのヒントだと思っています。あとプロデュースの仕事もやらせてもらうことがあるので、時代に合うかどうかもかなり考えています。これは曲の内容というかサウンドデザインにおいてが大きいですが。

NAOTO ORANGE RANGEの場合、メロディやコード進行などはベタで単純、シンプルなものが多いと思います。そこは変わらないというか、進化はあまりしてなくて。自分の中の流行り廃りによって、リズムや音色が変わっていきます。それがORANGE RANGEらしさかなと思います。

NAOTO(ORANGE RANGE)

NAOTO(ORANGE RANGE)

──なるほど。

HIROKI the telephonesはやっぱり“DISCO”1本で貫くところですよね。本当にそこがカッコいいと思います。

石毛 音楽ジャンル的にはDISCOではないものも含め、いろいろ無理矢理混ぜて「DISCO」って叫んで成立してる……のかわからないですけど(笑)、それによってお客さんを盛り上げることができているのかなと思います。DISCOという言葉はそもそも音楽ジャンルを指すものですけど、自分たちは“the telephonesの音楽”の呼び名としてDISCOを使っているんです。それが自分たちにとって粋なんじゃないかと思って長年やっているんだと思います。だからthe telephonesは基本的にどんな音楽でも作れる。歌詞は「DISCO」になっちゃうけど(笑)。

NAOTO 改めてこの前のライブを観てビックリしました。個人的にはもっとクラブ仕様になってほしいです(笑)。観て楽しい、踊って楽しいバンドですね。

──観て楽しい、踊って楽しいというのは2組に共通するところですよね。石毛さんはORANGE RANGEのライブの爆発力についてどのように分析していますか?

石毛 まずメンバー間の役割がハッキリしていて、みんなが同じ方向を向いているように感じます。メンバーそれぞれちょっとずつ違う音楽を好きそうな感じがするのにORANGE RANGEの曲のために全員献身的にやっているのが本当にすごい。ライブは余裕たっぷりに青い炎を燃やすRYOくん、エモーションを叩きつけるYAMATO、フロアをこまめに見渡しながらライブの舵をコントロールするHIROKIという3人のフロントマンのバランスがいいですよね。YOHくんの技術に裏付けされた安定した低音とNAOTOの曲を決定付ける音色がそれぞれに機能して何倍にもなってあのライブの爆発力が生まれているんだと思います。

バレない程度にORANGE RANGEを

──4月22日にはthe telephones結成20周年を記念したコラボアルバム「THIS IS A DISCO CALL!!!」がリリースされます。HIROKIさん、NAOTOさんのほか、しのだりょうすけさん(トップシークレットマン)、菅原卓郎さん(9mm Parabellum Bullet)、ROYさん(THE BAWDIES)、ハヤシヒロユキさん(POLYSICS)、アユニ・Dさん(PEDRO)が参加しています。

石毛 20周年を迎えるにあたり、特別なことがしたいというのが最初にあって。バンドの編成が変わったことでフィーチャリングがやりやすい体制になっているのもあるし、「コラボアルバムを作ったら面白いんじゃない?」という話になったんです。気心の知れた同世代にも参加してほしくて、すぐ浮かんだのがORANGE RANGE。ぜひHIROKIとNAOTOにやってもらえたらいいなと思いました。

──HIROKIさん、NAOTOさんが参加した「IKITAI DISCO feat. HIROKI & NAOTO from ORANGE RANGE」は、2つのバンドの魅力が凝縮されたダンスチューンですね。

石毛 ORANGE RANGEとthe telephonesがしっかり合わさって、1+1が3になるような曲にしたかったんです。奇をてらいたくはなかったので、「この2バンドが一緒にやったら、こうなるよね」というものを想像しつつ、リスナー目線が7、演者目線が3くらいのバランスの曲を作りました。

HIROKI 1+1が3になるような曲っていうバランスは、最初に送ってもらったデモ音源の段階でもうほぼ完成していたよね。さっきも話していたけど、石毛はいろんな場面でORANGE RANGEの音楽を解剖してくれているから、うちらのことを知り尽くした男がどんな曲を作るのか楽しみだったんです。もらったデモを聴いたらさっき話したようなお互いのバンドのいい部分がしっかり詰まっていて、さすがだなと思いました。

HIROKI(ORANGE RANGE)

HIROKI(ORANGE RANGE)

NAOTO HIROKIが言った通り、僕たちのところに来たデモの段階で、ぶっちゃけ「これでいいじゃん」という感じで(笑)。ここに僕らが加えるものはそんなにないなとにぎやかしに振り切るというか、気軽な気持ちで取り組めました。

石毛 いやいや、いろいろやってくれたでしょ(笑)。Bメロの裏のYMOっぽい雰囲気があるシンセを考えたのは全部NAOTOだし。

NAOTO そうか(笑)。あと、バレない程度に「ORANGE RANGEの曲で聴いたことがあるな」みたいなフレーズをちょっと入れてみました。石毛が考えているバランスもあるし、the telephonesらしさに寄り添いたいという気持ちがあったので、やりすぎないようにしていたんですけどね。

石毛 寄せてくれたところで言うと、この曲のギターソロはORANGE RANGEではあまりやらないフレーズじゃない?

NAOTO そうだね。そもそもORANGE RANGEではギターソロを弾かないし。デモに入っていたフレーズの雰囲気を生かして弾いたけど、自分では絶対にやらないことだから楽しかったです。

石毛 「NAOTOが持ってるいろんな引き出しをどうしたら出してもらえるだろう?」みたいなことをすごく考えてたんですよ。ギターソロはその最たるものですね。

石毛輝(the telephones)

石毛輝(the telephones)

──やっぱり石毛さんは、「こういう要素を入れればORANGE RANGEらしくなる」という解析力が高いんでしょうね。

石毛 トリビュートバンドをやらせてもらった経験もそうですけど、単純に同い年というのがデカいと思うんですよね。好きな音楽も似てるし、「90年代とか00年代に何が好きだったか?」というところを抽出していけば、自ずとらしくなっていくというか。音楽に限らず、通ってきたカルチャーも共通しているし、勝手にふざけ方も似てるなと思ってるんですよ。MTVでやってた「ジャッカス」(アメリカのバラエティ番組。出演者が体を張ったパフォーマンスを披露する)的な悪ふざけというか。

HIROKI なるほど(笑)。ふざけ方もそうだし、確かにツボは近いかも。

石毛 特に僕らの世代は、音楽とか洋服とかスケボーとか、いろんなカルチャーが混ざった環境に置かれていたんですよね。初期の頃からORANGE RANGEにはそういう雰囲気があったし、さらに今は音楽的にも深くなっていて。「IKITAI DISCO」を作っていたときも、そのちょうどいいバランスを取りたいと思っていました。

NAOTO 確かに僕らの世代は、音楽と文化の密接具合がわかりやすかったですね。ダンスとかファッションとかストリートの文化が音楽の中にあったし、そこは「話さずともわかる」というか。

石毛 うん。いろんなカッコよさがあるけど、「これがカッコいい」と思うところが似てるんじゃないですかね。