眉村ちあき「いろんな付箋を取っ払って聴いてほしい」、無計画の素晴らしさを伝えるニューアルバム完成

眉村ちあきのニューアルバム「AMPLAND PLAN」がリリースされた。

「AMPLAND PLAN」には、リード曲「again」や中川大輔主演のテレ東系ドラマ「旅と僕と猫」の主題歌「全くただ、私なだけ」などの13曲に、スペシャルトラック「身をまかす」「本気のラブソング(Piano ver.)」の2曲を加えた全15曲を収録。眉村はこのアルバムを“最高級の素材にこだわったうにいくら丼”とたとえている。

歌姫になるという夢を叶えるため、日々音楽活動に邁進している眉村。彼女は今回のアルバムでその思いをどのように表現したのか。制作過程について聞くと、意外にも客観的に自身を見つめる眉村の姿があった。

取材・文 / 森朋之撮影 / 笹原清明

タイトル候補「お母さん」

──ニューアルバム「AMPLAND PLAN」が完成しました。前作「うふふ」(2024年11月リリース)以降もライブ活動、国内外のアーティストとのコラボレーションなど、多彩な活動を繰り広げてきた眉村さんですが、その成果がしっかり反映された作品だなと。

ありがとうございます! 2025年はショート尺の曲も含めて、キャッチーな曲をたくさん作っていて。その中から厳選された子供たち(曲)が入ったアルバムになっていると思います。「バラード系のラブソングならこの曲」「ポップで前向きな曲ならこれ」という感じで、今一番いい曲を選びました。最高級の素材にこだわった、うにいくら丼みたいな(笑)。

眉村ちあき

──(笑)。しかも1曲1曲のキャラクターが違っていて、眉村さんのソングライティングの幅広さを改めて実感しました。アルバムに向けたメッセージの中で「やりたい音楽やりたいようにやってるだけ、全くただ私なだけであります」「私に付箋を貼らずに適当に聞いて欲しいです」とコメントしていましたね。

「AMPLAND PLAN」は私にとって8枚目のアルバムで、これだけ長く活動を続けていると「眉村ちあきはこういう感じ」というイメージがつきつつあるのかなと思っていて。TikTokでバズったトンチキなMCの印象だったり(笑)、あとは「カップヌードルのCMの子でしょ?」とか「即興ソングの人だね」とか。いろんな付箋があると思うんですけど、ジャンルとか界隈とか一旦取っ払って聴いてほしい。こちらから「そういう聴き方しないでね」というのもヘンなんですけど、私の中では心機一転のアルバムなんです。

──先入観を持たず、まっさらな気持ちで聴いてほしい、と。「AMPLAND PLAN」というタイトルについては?

曲が全部そろってから決めました。たくさん候補があったんですよ、最初は。スタッフチームと会議して「一番間口が広くて、みんなが好きなものってなんだろうね」「“お母さん”じゃない?」みたいな話もしつつ(笑)、その中から“無計画計画”という案が出てきて。それをもうちょっとキャッチーにしたくて「AMPLAND PLAN」になりました。“unplanned”ではなく、増幅する“amplify”という意味のAMPをくっつけたところが気に入ってます。

眉村ちあき

──眉村さん、実際にあまり計画を立てないほうなんですか?

そうですね。立ててもその通りにならないというのはずっと痛感してます(笑)。ライブもそうですけど、フリースタイルのほうが向いているんですよ。セリフを覚えるのはガチで苦手で、アドリブでしゃべるほうが得意だったり、そういう性格なんだろうなと。旅行とかもあまり計画を立てないんですよ。1個でもミスると「わー!」ってなっちゃうので、何も決めないほうがいいんです。そのほうが心地いいし、計画以上のものを生み出せる気がします。

──楽曲制作もそうかもしれないですね。計画通りに作っても、予想を超えるものはできないというか。

本当にそう。「こういう曲にしよう」と思って作り始めても、途中で必ず「こっちのほうが面白いな」と気が変わるし、結局全然違う曲になったり。そうやってすごく満足できる作品にたどり着いたことが何度もあるし、“無計画こそが一番素晴らしい計画”なのかもしれないです。

眉村ちあきの想いもすごいぞ

──では、各収録曲について聞かせてください。1曲目の「想いの力はすごいぞ」は、力強いメロディと「その引き出しを開けて未来へ飛び込め!」というメッセージが印象的な楽曲です。

とある国民的アニメのテーマソングをイメージして作った曲ですね。名曲になったので(笑)、アルバムの1曲目にふさわしいなと思って。個人的にはこの曲もリード曲ですね。

眉村ちあき

──眉村さん自身も“想いの力”が強そうですよね。

けっこう強いタイプだと思います! 小学生の頃、5秒後くらいに起きることが見えたんですよ。「この子、これから立ち上がって、転ぶな。危ないな」と思ったら、本当にそうなったり。予知能力だと思ってたんですけど、あれは念というか“想いの力”だったのかも(笑)。今も「こうなったらいいな」「あれをやりたい」とずっと想像してますからね。強い“想い”がないと前に踏み出すこともできないし、ちゃんとゴールまでたどり着けないので。

──2曲目の「THEスーパーグルグルフィジカルジンジャーエール」はポップでグルーヴィなサウンドが気持ちいいですね。作詞作曲はmeiyoさんです。

企画とかではなく、ほかのアーティストの方に楽曲提供してもらったのは初めてで。それがmeiyoさんでよかったなと思いました。ライブにも何度か来てくれたんですけど、私への解像度がすごく高いんですよ。ライブのときの無敵感がすごく出てる曲だし、メロディラインにも、私が一番パワーが出せる音域をしっかり取り入れてくれて。曲から筋肉が感じられるのもいいですね。マッスルなパフォーマンスができそう。

──(笑)。確かに気持ちよく歌ってますよね。

けっこうテンポも速いし、息継ぎできるところが少ないんですよ。レコーディングでも酸欠になりそうだったけど(笑)、meiyoさんから「眉村さんなら歌えるでしょ」と挑まれてる感じがありました。サウンドも「私だったらこういう攻め方はできないな」と思ったし、自分的にもいろいろ挑戦できた曲ですね。

新たな扉が開いた「again」、大先生と共作した「渋谷ふりーふぉーる」

──アルバムのリード曲「again」は、海外のインディーポップ的な手触りの楽曲です。これまでの眉村さんにはなかったテイストだし、すごくカッコいいです。

ですよね! この曲、実は私が歌うために作ったんじゃなくて、海外アーティストに提供するコンペ向けの曲だったんです。その話はなくなっちゃったんですけど、すごく気に入っていたので、自分で歌うことにしました。スタッフや友達のミュージシャンからも「めっちゃいいね!」というリアクションがあって、だったらリード曲じゃない?って。「again」で新しい扉が開けるかもしれないなと思ってます。

──アタック強めのビート、抑制をかけたボーカルも新機軸じゃないですか?

そうですね。ボーカルはあまり感情を込めずに、淡々とピッチを合わせることを意識しました。情熱的な歌詞とのギャップも気に入ってて。テーマは一目惚れで、ここまでまっすぐでわかりやすいラブソングは今までなかったかも。「まだまだやってないことがあるな」と思いました。

──「渋谷ふりーふぉーる」もこのアルバムの聴きどころだと思います。作詞作曲はSMAPの「ダイナマイト」「らいおんハート」などで知られるコモリタミノルさんです。

大先生が来ました! 実際にお会いしたんですよ。私からは「伸びのある声が自分の特徴だと思うので、そこを生かしたいです」くらいしか言ってないんですけど、この曲が送られてきて。イントロから大好物すぎてワクワクしたし、歌ってても楽しいんです。しかも、めっちゃ歌いやすい。「自分で作った曲より歌いやすいって、なんで?」と思ったし、コモリタさんの手のひらの上で転がされてる感じでした。ライブを観に来てくださったこともありましたけど、それにしても私の特徴をつかむの早くない?って(笑)。

──「カラフルなパレードよ スクランブル交差点」など、渋谷をテーマにした歌詞も聴いていて楽しくて。作詞は眉村さんとコモリタさんの共作なんですね。

はい。コモリタさんから「歌詞は一緒に書いてください」と言われて、「え、いいんですか? ラッキー!」って(笑)。「ヒカリエモーショナルダンス 踊るが吉 ステップス 鳴らすつま先の先へ」という歌詞は私が書きました。コモリタさんは渋谷にまつわる言葉を入れたかったみたいで、「“裏原”を入れたいんだけど、どうしたらいい?」と相談してくださって、「笑顔とは裏腹に」という歌詞になりました。共作できて光栄でした。