五十嵐ハルの初ワンマンツアー閉幕、大きく踏み出した夢への第一歩

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五十嵐ハルのワンマンライブツアー「Mr.Sentimental Vol.1」が3月13日に大阪・Music Club JANUSで閉幕した。この記事では3月5日に東京・WWW Xで行われた公演の模様をレポートする。

五十嵐ハル(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル(撮影:しおみわかば)

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緩急自在の音楽世界

元警察官という異色の経歴を持ち、ボカロP・ぺむとしての活動を経て2020年より現在の名義で楽曲を発表してきた五十嵐。着実にレコーディングアーティストとしての存在感と影響力を拡大してきた彼は、昨年11月にGrape Kikiとの共演という形で自身初のライブ「NO TITLE」を実施。新たにライブアーティストとしての側面を打ち出すフェーズに足を踏み入れた彼にとって、本ツアーは初のワンマン公演ならびにライブツアーとなる。ツアータイトルは彼の“主題歌”とも呼べる楽曲「センチメンタルヒーロー」から取られた。

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば) [高画質で見る]

初ライブが行われたWWWのすぐ隣ながら、ほぼ倍近いキャパシティとなるこの日の会場には、全国から熱心なリスナーが集結。開演前の早い段階からフロアに立錐の余地もない黒山が築かれ、会場を静かな熱気で満たした。定刻を少し過ぎたあたりで客入れBGMの音量が上がり、客電が落とされると、にわかに色めき立つ客席へ向けてメインスピーカーから荘厳なオープニングSEが響き渡る。その緊迫感のあるストリングスサウンドに導かれるように、まずバンドメンバー4名が、続いてハット姿の五十嵐が姿を現し、それぞれ所定の位置にスタンバイ。歓迎の拍手が巻き起こる中、おもむろにアコースティックギターを構えた五十嵐が落ち着いた声色で「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントを発したのを契機に、バンドは景気よくカントリーライクな高速エイトビートを軽快に奏で始めた。

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば) [高画質で見る]

そうして「ノーネーム」を皮切りに、「めんどくさいのうた」「恋熱」「人間日和」と次々にアッパーチューンを畳みかけるスタートダッシュ構成でライブは幕開け。五十嵐は楽曲によってアコースティックギターとストラトタイプのエレクトリックギターを持ち替えながら、まろやかで豊かな中域成分を特徴とする独特のマイルドボイスを切実な色合いで丁寧に響かせていく。5曲目の「ジ・エンド」からはギターを置いてエレクトロ色の強い楽曲を中心に届け始め、次第にミディアムナンバー、スローナンバーが大勢を占めていく緩急自在の音楽世界に聴衆を飲み込んでいった。

五十嵐ハル(撮影:しおみわかば)

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夢への第一歩

五十嵐のように顔出しをしていないアーティストのライブスタイルは、通常大きく2種類に分けられる。仮面や紗幕などのアイテムを用いて姿を隠すケースと、ライブの場では一切顔を隠さず普通にパフォーマンスを行うケースだ。彼の場合はそのどちらでもなく、“物理的に隠しはしないが、かといって積極的に見せるわけでもない”という中間スタイルを採用。常に背後から照明を当てる逆光演出によってハットのブリムが顔に影を落とし、“見えそうで見えない少し見える表情”を楽しむことができる独特のライブ体験をオーディエンスに提供した。

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば) [高画質で見る]

MCにおいても同様に、その語り口と合わせて表情がおおむね伝わる趣向。ワンマンライブの開催が夢の1つだったという五十嵐は、おそらく切実な面持ちで「まだまだ叶えたい夢はいっぱいあるんですけど……例えばアリーナとかドームみたいなところでやってみたいし、主題歌とかもやってみたい。その中の一歩目をみんなと一緒に歩めたのはめちゃめちゃうれしいです」と消え入りそうな声で切々と述べ、温かな拍手を呼び込んだ。さらに警察官という安定した職を捨てて音楽の道を選んだことに「間違えたかな」と思い悩んだという過去にも触れ、「今の状況が失敗したら人生終わっちゃうみたいに思っている人がけっこういて、そんなことないと思っていて」との見解を明言。失敗しても挑戦し続けたことで今この幸せな空間にいられる喜びを語ったのち、「幸せになりたいですよね」と照れ笑いを浮かべながらまっすぐに伝えた。

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば) [高画質で見る]

後半戦はさらに色彩豊かなステージとなり、未発表のディスコビートナンバー「ラブノイズ」や、ぺむ名義で発表されたアッパーチューン「ロア」、“アニメの主題歌を担当する”という夢を叶えたアニメ「デッドアカウント」オープニングテーマ「デッドエンド」といった多彩な楽曲群を立て続けに披露。次第に熱を帯びていくフロアに追い打ちをかけるように、ライブ終盤ではラストスパートとばかりにアグレッシブなギターロックナンバーを連発して会場をドライブさせた。その締めくくりには「センチメンタルヒーロー」が選ばれ、会場に盛大なシンガロングやコール&レスポンスを発生させる。すべての曲目を演奏し終えて晴れやかな表情を浮かべているであろう五十嵐へ向け、惜しみない拍手とともに「夢の第一歩おめでとう!」の声が会場のあちこちから飛び交った。

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば) [高画質で見る]

鳴りやまないアンコールに応えて再びステージへ舞い戻った五十嵐は、バンドメンバーを呼び込むことなく「前回のライブでもこういう形式にさせてもらったんですけど」とアコースティックギターの弾き語りで「青」を披露。この形のアンコールを定番化したい意向であることを示しつつ、2020年に五十嵐ハルとして最初に発表した“始まりの曲”を直情的なストロークとともに朗々と歌いあげ、初のワンマンライブをしめやかにクローズした。

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば)

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」の様子。(撮影:しおみわかば) [高画質で見る]

セットリスト

五十嵐ハル「Mr.Sentimental Vol.1」2026年3月5日 WWW X

01. ノーネーム
02. めんどくさいのうた
03. 恋熱
04. 人間日和
05. ジ・エンド
06. AM2:00
07. 道化
08. 蛍
09. 少しだけ
10. 笑う癖
11. パズル
12. ラブノイズ
13. ロア
14. デッドエンド
15. 死んでるように生きている
16. スカーレットハート
17. センチメンタルヒーロー
<アンコール>
18. 青

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Dina @Koralan111

@natalie_mu Love seeing Haru reach this milestone

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