まらしぃが生音ツアー“前夜祭”でルーツ奏でる、最新の「marasy piano world」もひと足先にお届け

まらしぃが昨日12月26日に東京・東京オペラシティコンサートホールで、コンサートツアー「marasy Piano Live Asia Tour 影奏会 EN-SOUKAI」の前哨戦となる単独公演「前夜祭 marasy Piano World」を行った。

生音による「影奏会 EN-SOUKAI」

「marasy Piano Live Asia Tour 影奏会 EN-SOUKAI」は、国内に加え、台北と韓国で展開される大規模なツアー。まらしぃは、マイクやスピーカーといった音響機材を使用せず、生音でパフォーマンスを披露する。

「前夜祭 marasy Piano World」の舞台に選ばれた東京オペラシティコンサートホールは、音響的に最もよいとされているシューボックスタイプの会場。ピアノコンサートには最適な環境の中、まらしぃは自身のキャリアを総括するようなセットリストをもとに、2時間にわたりピアノ1台でのパフォーマンスとユーモアとウィットに富んだトークで観客を楽しませた。

2025年一番の思い出を

定刻を迎えるとホールが暗闇に包まれ、まらしぃの足音だけが場内に響く。続いてステージがほのかな光に包まれ、グランドピアノとそれに向き合うまらしぃのシルエットが浮かんだ。ゆっくりと鍵盤に触れた彼が弾き出したのは、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの楽曲として知られる「プレリュード」。繊細にきらめく旋律がホールに広がり、オーディエンスを「marasy Piano World」へと引き込んだ。続けてPerfume「チョコレイト・ディスコ」、黒うさP「千本桜」という、トヨタ「アクア」のCM曲として使用されたピアノカバーが奏でられる。最初は咳払いや衣擦れすらも響くホールの環境故に、ほのかに緊迫した空気が漂っていた客席だったが、まらしぃのエモーショナルなパフォーマンスに高揚感が立ち上り始めた。

ルーツからオリジナル曲まで、まらしぃワールド全開

会場のムードがほどよく和らいだところで、「皆さんメリークリスマス。いや、遅いですか……あけましておめでとうございます」と少し気の早い挨拶をしたまらしぃ。「今日は懐かしい曲、思い入れのある曲を。2025年一番の思い出を作っていただきたい。僕もそのつもりなんで」と朗らかに宣言すると、「Tell Your World」を皮切りに、2014年リリースの「marasy piano world」と2018年リリースの「marasy piano world Ⅹ」の収録曲を、全身を使いながら躍動感たっぷりに披露する。まらしぃとピアノの横に設置されたLEDパネルは初音ミクを象徴するブルーグリーンとピンクに染まり、楽曲の世界を視覚面でも引き立てた。

まらしぃが「お風呂が沸いたときの曲」として広く浸透している「人形の夢と目覚め」を弾き出すと、そのコミカルで愛らしい旋律に客席からクスクスと笑い声が起きる。しかし、ドラマ「ブラックペアン シーズン2」の劇伴としても知られる「ちょっとつよい魔王」が始まるや否や、ホールの空気は一変。激しく鍵盤を打ち付けるまらしぃの指先が奏でる鬼気迫る音色に、オーディエンスは釘付けとなった。二宮和也（嵐）との縁を感慨深そうに語ったMCを挟み、まらしぃはボカロ、ゲーム音楽など自身のルーツを感じさせるオリジナル曲をプレイ。さらに続くブロックでは、小さな頃から親しんでいたリチャード・クレイダーマン「渚のアデリーヌ」を筆頭に、自身が音楽やピアノから離れていた時期にも愛聴していたというスキマスイッチ「奏（かなで）」とレミオロメン「粉雪」、アーケードゲーム「jubeat」シリーズの楽曲「Evans」など、現在のまらしぃを形成した多彩な楽曲が連なった。

新作「marasy piano world 88」の世界をひと足先に

「次の曲で最後です」とまらしぃが告げると、「えー！」と残念そうな声があちこちから上がる。しかし、まらしぃは観客をなだめるように「耳寄りな情報があります」と意味深に連呼。そんな言葉から始まった「ナイト・オブ・ナイツ」では、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」、YOASOBI「夜に駆ける」「アイドル」、米津玄師「Lemon」など、2月4日にリリースするアルバム「marasy piano world 88」の収録曲を差し込む特別演出が。まらしぃの手で新たな解釈が加えられたヒット曲にオーディエンスは耳を澄ませた。

兜姿とTシャツというインパクトたっぷりのいでたちでアンコールに臨んだまらしぃ。彼はツアーの追加公演決定、幾田りらと共演した「THE FIRST TAKE」の公開、「marasy piano world 88」のリリースという3つの告知を行い、さらには「ここからは撮影していただいて大丈夫。SNSにあげてもらって大丈夫」と告げ観客を驚かせた。「（SNS投稿時は）『#まらしぃ影奏会』を付けてくださいね」と念押しした彼が、最後に演奏したのは自身を改めてピアノに向かわせたという東方Projectの「ネイティブフェイス」。最後の1音にまで神経を張り巡らせたパフォーマンスで、ツアー初日に幕を下ろした。

公演中にまらしぃが告知したツアーの追加公演は、5月8日に東京・すみだトリフォニーホールで行われる。同公演では、特別演出としてmarasy with 弦楽四重奏としてのパフォーマンスが披露される。ニコニコチャンネルの「まらしぃチャンネル」では会員を対象に1月12日までチケットの先行抽選予約を受付中。

公演情報

marasy Piano Live Asia Tour 影奏会 EN-SOUKAI（※終了分は割愛）

2026年1月12日（月・祝）長野県 松本市音楽文化ホール メインホール
2026年1月24日（土）熊本県 熊本城ホール シビックホール
2026年1月25日（日）長崎県 長与町民文化ホール
2026年2月7日（土）兵庫県 神戸朝日ホール
2026年2月8日（日）福岡県 FFGホール
2026年2月21日（土）広島県 広島国際会議場 フェニックスホール
2026年2月23日（月・祝）岡山県 岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
2026年3月1日（日）北海道 札幌コンサートホールKitara 大ホール
2026年3月14日（土）長野県 軽井沢大賀ホール
2026年3月19日（木）愛知県 岡谷鋼機名古屋公会堂
2026年3月29日（日）茨城県 水戸市民会館 グロービスホール（大ホール）
2026年4月2日（木）愛知県 愛知県芸術劇場
2026年4月4日（土）神奈川県 神奈川県立音楽堂
2026年4月18日（土）大阪府 ザ・シンフォニーホール
2026年4月25日（土）千葉県 市川市文化会館
2026年5月8日（金）東京都 すみだトリフォニーホール（※追加公演）
2026年5月16日（土）台北 新北市芸術文化センター演芸ホール
2026年5月30日（土）韓国 光林アートセンター
2026年6月13日（土）沖縄県 南城市文化センター・シュガーホール

セットリスト

「前夜祭 marasy Piano World」2025年12月26日 東京オペラシティ コンサートホール

01. プレリュード
02. チョコレイト・ディスコ
03. 千本桜
04. Tell Your World
05. 初音ミクの消失
06. コネクト
07. お風呂が沸いたときの曲
08. ちょっとつよい魔王
09. Messier
10. わたしのマーガレット
11. アマツキツネ
12. 渚のアデリーヌ
13. 奏（かなで）
14. 粉雪
15. Evans
16. ピアノ協奏曲第1番“蠍火”
17. ～ナイト・オブ・ナイツ（88アルバムメドレー）～
＜アンコール＞
18. ネイティブフェイス