黒沢清の新作「黒牢城」撮影現場に密着、本木雅弘・吉高由里子・宮舘涼太らが猛暑の京都で挑む“新しい時代劇”

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黒沢清が監督、本木雅弘が主演を務める映画「黒牢城(こくろうじょう)」の撮影現場に、映画ナタリーが密着した。

映画「黒牢城」撮影現場にて、荒木村重役の本木雅弘(左奥)、乾助三郎役の宮舘涼太(中央)、監督の黒沢清(右)

映画「黒牢城」撮影現場にて、荒木村重役の本木雅弘(左奥)、乾助三郎役の宮舘涼太(中央)、監督の黒沢清(右)

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黒沢清が初の時代劇に挑む「黒牢城」

米澤穂信の小説をもとにした本作は、織田信長に反旗を翻し、籠城作戦に出た武将・荒木村重(本木雅弘)の城内を舞台とした戦国系心理ミステリー。城では少年・自念が殺される事件が発生し、その後も次々と怪事件が起こる。誰もが疑心暗鬼に陥る中、村重は地下牢に幽閉した敵方の危険な天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)とともに謎の解決に挑むのだった。黒沢にとっては初の時代劇作品となる。

映画「黒牢城」ポスタービジュアル

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松竹京都撮影所に再現された有岡城

取材は2025年10月上旬、京都・松竹京都撮影所で実施。クランクインから2日目の現場は10月とは思えない30℃近い暑さの中で進行していた。メインとなる有岡城のシーンは、大きな日本家屋のセットにて撮影。ワンカットの中で俳優たちが部屋や廊下を縦横に動き回るため、カメラの構図や空間設計の緻密さがうかがえた。またセット内は廊下が中庭を囲む作りになっており、庭の中央には春日灯籠が配置されている。地面には美術部が雪をうっすらと積もらせ、冬の情景を再現していた。

映画「黒牢城」撮影現場にて、有岡城の中庭シーン。中央に配置された春日灯籠は、劇中でも重要な存在となる

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この日撮影されたのは、自念の死をめぐる一連の場面だ。最初に行われたのは、矢傷を負って死んでいる自念が発見された部屋を訪れるシーン。村重役の本木、その右腕・十右衛門役のオダギリジョーが城外のやぐらを見上げるシーンも撮影された。やぐらを含む外の景観もオープンセットとして作り込まれ、城の内外を一体として見せる画作りがなされている。このシーンでは自念役の槙木悠人がオールアップを迎え、花束を受け取る一幕も。スタッフからコメントを求められるも照れてしまい、「難しかった?」と聞かれると、こくりと首を縦に振る。その様子を本木もオダギリもにこやかに見守った。

映画「黒牢城」撮影現場にて、監督の黒沢清(左)、十右衛門役のオダギリジョー(右)

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本木雅弘の工夫、宮舘涼太の努力

続いて、自念の死の状況を検証する場面の撮影へ。本木と家臣・助三郎役の宮舘涼太Snow Man)が出演し、矢による犯行の謎を解くため、弓を使った検証を繰り返すシーンだ。天井近くまで届く大きな弓を手にした本木は、動きづらい中で構え方をスタッフたちと確認しながら、最適な角度を探るように試行錯誤する。セッティング中には、黒沢が宮舘に対して「スタートから3秒後ぐらいに歩き出してください」と具体的な指示を出し、マンツーマンでタイミングをすり合わせる様子も。また宮舘は自身のセリフにある「雑賀下針(さいか・さげはり)」という人名に苦戦し、繰り返し自主練を重ねていた。

その後は、自念の部屋の前で村重とその妻・千代保が会話を交わすシーンへ。千代保役の吉高由里子は、「自念のことを随分と気遣っていたようだな」という村重に対して、「もしもわたくしが正室として殿に嫁ぎ、子を産んでいたなら、ちょうどあれぐらいだったでしょう」と静かながらも強い意志で、亡くなった少年への思いを返す場面に臨んだ。

映画「黒牢城」撮影現場にて、荒木村重の妻・千代保役の吉高由里子

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現場には京都のスタッフによる美術・衣装・かつらチームと、黒沢組の常連スタッフが集結。全体を通して撮影はテンポよく進み、本番一発OKとなるシーンも多くあった。キャストの関係者が「黒沢組は段取りがよく、スタッフも次に何を撮るかを理解しているため全体の動きが速い」と話すように、実際に現場は無駄なく進行していく。また主演の本木は中心に立ちながらスタッフの動きを静かに見守り、必要に応じて黒沢と相談するなど、現場全体を把握しながら撮影を支えていた。

「黒牢城」プロデューサーが語る、心理サスペンスとしての新しい時代劇

松竹のプロデューサー・石田聡子は、本作のキャスティングや企画意図について次のように語る。キャスティングは「監督とイメージをすり合わせたあとに、基本的には監督が『この方とやりたい』という方たちで構成しています」としつつ、本木に関しては「いわゆる豪胆な武将然としている人物ではなく、現代的な思考を持った新しい武将のイメージ」を期待しての起用だったと明かす。対する官兵衛役の菅田は、「Cloud クラウド」に続くオファー。「村重と官兵衛の関係を考えたときに、探偵ものとして魅力的な組み合わせになるのではないかという監督からのアイデア」と説明する。菅田も黒沢からの再びのオファーに喜んで出演を決めたそうで、「(黒沢との関係性が)相思相愛でした」と振り返った。さらに吉高については、黒沢が大河ドラマ「光る君へ」をきっかけにオファーを熱望していたといい、「芯の強さや、独特な声の深みが千代保というキャラクターに説得力を与えるのではないかとおっしゃっていました」と明かした。

映画「黒牢城」撮影現場にて、荒木村重役の本木雅弘(左)、監督の黒沢清(中央)、黒田官兵衛役の菅田将暉(右)

映画「黒牢城」撮影現場にて、荒木村重役の本木雅弘(左)、監督の黒沢清(中央)、黒田官兵衛役の菅田将暉(右) [高画質で見る]

黒沢に監督を依頼した理由は「原作が非常に面白く映像化に向いていると感じた」としたうえで、「合戦やチャンバラではなくミステリーであり心理サスペンスでもある、さらには現代に近い普遍的なテーマを内包する新しい時代劇ができるのではないか」と思い浮かんだという。黒沢の反応は「『僕に時代劇ですか?』という感じで驚かれていましたが(笑)、面白がってくださって。原作を読まれたらすぐに『ぜひやりたい。脚本も自分で』と言ってくださった」と述懐した。

また本作の特徴について「時代劇という枠にとらわれない作品になると思う」と述べ、「照明やカメラワークで見せていく部分や、じりじりとした心理戦も見どころになります」とコメント。撮影については「籠城の話なので当初はセット中心を想定していましたが、ロケ地として城やお寺を実際に見ていく中で、有岡城という空間を全体として広がりを持って見せる必要があると考えました」と伝える。姫路城、彦根城、篠山城、伊賀上野城、明石城、そして東福寺など、数々の世界遺産・国宝・重要文化財の名城と寺社でのロケも行われ、セットとロケはおよそ半々を想定していると話した。

映画「黒牢城」は6月19日より全国ロードショー。共演には青木崇高、柄本佑、ユースケ・サンタマリア、吉原光夫、坂東龍汰、近藤芳正、矢柴俊博、木原勝利、河内大和、吉岡睦雄、上川周作、前田旺志郎、坂東新悟、荒川良々、渋川清彦、渡辺いっけいも名を連ねた。フランス現地時間5月12日より開催の第79回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門への出品も決定している。

なお映画ナタリーでは、黒沢が撮影現場で取材に応じた際の記事も掲載予定だ。

映画作品情報

この記事の画像・動画(全14件)

©米澤穂信/KADOKAWA ©2026映画「黒牢城」製作委員会

映画「黒牢城」本予告

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にちこ🍕🏯🤖 @n_momentofu

【制作現場レポート】黒沢清の新作「黒牢城」撮影現場に密着、本木雅弘・吉高由里子・宮舘涼太らが猛暑の京都で挑む“新しい時代劇”(コメントあり) https://t.co/cViCcFXBi4
か、監督と宮舘さんが並んでいるカットが…!

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