Ken Yokoyama、熱狂の日比谷野音ライブ「俺たち、また必ず会うんだぜ!」

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Ken Yokoyamaが5月20日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライブ「DEAD AT MEGA CITY」を開催。横山健(Vo, G)は開口一番に「ようこそ!『DEAD AT MEGA CITY』へ!」と満員のオーディエンスに呼びかけ、1曲目「Dead At Budokan」で初の日比谷音でのライブをスタートさせた。

Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)

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Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)

Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)[拡大]

Ken Yokoyamaは横山、Hidenori Minami(G)、Jun Gray(B)、EKKUN(Dr)の4人からなるロックバンド。フロントマンの横山の名前がバンド名になっており、通称Ken Bandと呼ばれている。Ken Bandが日比谷野音でライブを行うのは今回が初めてのこと。彼らは今月に受注生産限定で発売したシングル「Better Left Unsaid」のリリース記念ライブとして、日比谷野音のステージに上がったのだった。横山は1曲目からギターをかき鳴らし、時折観客を指差して存在感と客席エリアとの距離感の近さを感じさせるパフォーマンスを見せる。ギターソロのあとにはコール&レスポンスを繰り返し、積極的な声出しを促した。Ken Bandは3月13日にマスクの着脱が個人の自由になったタイミングでライブハウスツアーの初日を開催。観客の声出しについても解禁となり、コロナ禍で抑圧されていたとも言える観客の感情表現が爆発した。「Dead At Budokan」でのコール&レスポンスは、声出し解禁となってから約2カ月が経った今でも、観客の一部が声出しに慣れていない部分があることを察しているであろう横山ならではの計らいのようにも受け取れた。その証拠に「I'm Going Now, I Love You」では観客のシンガロングが響いた。ステージではJunがベースを弾きながらハイキックを決めるなど、アクティブなパフォーマンスが展開され、観客の興奮を誘った。

Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)

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日比谷野音いっぱいに集まった観客を前に「いやー、最高の気分だ! 声出せるっていいね、本当に!」と笑顔で話した横山。彼は「俺はみんなに歌ってもらうのが大好きなんだわ! 次の曲はコロナ禍で生まれた曲。でもきっと、みんなで歌うと気持ちいいぜ! 一緒に歌ってくれ!」と述べ、軽快なナンバー「Woh Oh」を届けた。また「めっちゃ楽しみにしてきたよ、今日を。すごいプレミアムチケットになっちゃってさ、それを勝ち取る努力をしてくれてさ、時間を割いて、足を使ってこの場に来てくれて本当にありがとう。感謝してます!」という横山の言葉に、観客からも「ありがとう!」という声が。それを受け、横山は「こちらこそありがとうなんだよ。次の曲は感謝の印だな」と返し、最新シングルの2曲目の収録曲「Whatcha Gonna Do」へ。この曲は横山のデモをもとにしたWANIMAバージョンがあり、それは卑猥な下ネタが満載の歌詞だった。Ken Yokoyamaバージョンでは日本語に聞こえる英語の“空耳”的な歌詞になっており、横山はそんな英語詞の曲をゆったりと届けた。「野音ってすげえ声が飛んでいく感じがして気持ちよかった。これで逮捕されないんだから最高だよね。まあ英語だから大丈夫なんだけど」と改めてKen Bandとしては英語詞の曲であることを強調した。その後、横山は2024年でKen yokoyamaを始めてから20年が経つことに触れ、2010年からバンドのテーマ曲になっているという楽曲「Let The Beat Carry On」を投下。横山は「このマイクで一緒に歌ってくれ」と自分のマイクを客席に向け、自身はJunのマイクで歌った。

横山健(Vo, G)(撮影:岸田哲平)

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先ほどの「Whatcha Gonna Do」では下ネタを言っていないスタンスを貫いていたが、「日がとっぷりと暮れ始めて、いいな。体験してみたかったんだけど、クセになっちゃうな!」と初の日比谷野音公演に好感触を示す横山。「まずいなあ」と言いつつ、あたりが少し暗くなってきたからか、いきなりの下ネタトークで盛り上がった。観客から男女問わず「健さん抱いてー!」という声が上がると、横山は女性からの声にはガッツポーズで飛び跳ねて喜ぶ少年のようなかわいさを見せた。そんなトークに続いて、Ken Bandは「今日はこれをやりに来た!」と、最新シングルから「Better Left Unsaid」を演奏。そして2015年発表の人気曲「I Won't Turn Off My Radio」へ。ちょうど夕暮れから夜に変わるタイミングで演奏されたこの曲では、「Through the darkest night」という歌詞があり、日比谷野音でのシチュエーションにもマッチした、熱くエモーショナルな時間となった。

横山健(Vo, G)(撮影:岸田哲平)

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ライブ後半に披露されたのは、チバユウスケThe Birthday)とのコラボ曲「Brand New Cadillac」。チバが病気の療養期間に入ったというつい先日の報を受け、Ken Bandはチバにエールを送るべく、この曲をセットリストに組み込んだ。横山は「本人の耳に(この曲をやったことが)入って、彼が元気になるのか、落ち込むのかわらかない。でもいいものが届くように俺もやるし、みんなもそうやって伝えるなら伝えてほしい」と述べ、「いくぜ! チバユウスケ!」という言葉から同曲の演奏につなげた。演奏後、横山は「チバくんが元気になったら、一緒に出られたらいいな」と語った。

Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)

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そして、横山は「今年の2月に恒岡章が亡くなりました」と、Hi-STANDARDのメンバー・恒岡章(Dr)について言及。「次にやる曲は当然それより前に書いた曲だけど、3~4月のライブハウスツアーでも演奏してきて、出したときとは違う意味を持って自分たちに返ってきた曲です。早いなあ、もう3カ月経つんだぜ。ツネって誰だっけ? へへへ」と冗談を飛ばしながらも、恒岡にまつわる思いを明かしていく。「あいつがいなくなって3カ月も経ったなんで信じられないや。人前で話したり、演奏したりしながら、少しずつ俺も浄化されたり、当たり前のことを受け入れるって言うと変だけど、ツネがこの世にいないのはもう起こってしまったことだと納得していってる。時間と、君らの力を借りてね。一緒に彼の笑顔を思い浮かべながら聴いてくれ」と話を続け、バンドは「Without You」を演奏。先ほどまで下ネタで笑っていた状況から一変するも、湿っぽさよりは温かさが勝る雰囲気が場内を包んだ。彼らはさらにHi-STANDARD「THE SOUND OF SECRET MINDS」のカバーも披露。横山は「届くか届かないかわからないけど、とにかくやったぜ!」と観客に伝え、「よし! 1stアルバム(『The Cost Of My Freedom』)から『Believer』やろうぜ!」という言葉に続けてオーディエンスに合唱を促し、「もっと声出るだろ! コロナじゃねえんだよ!」と声出しを煽った。

Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)

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ライブ終盤、横山はKen BandやHi-STANDARDも出演する6月17、18日のライブイベント「SATANIC CARNIVAL 2023」を話題に挙げ、「Ken Yokoyamaはライブもしながら、レコーディングもするから!」と宣言。さらに年内に“シングルっぽいもの”を数枚発表し、ライブをして、2024年にアルバムを出してまたツアーを行うと伝えた。さらに彼は「ここはご存知の通り、都市も都市。国会議事堂も各省庁も裁判所も近くにあって。東京出身だけどあまり馴染みのない街だ。このエリアがもし日本を動かしてるんだとしたら、次にやる曲は俺たちなりの意味があるような気がするんだよ。ここまで話したらもうわかってくれるやつ、いるだろ? 日本のど真ん中で、2011年に作った曲を」とタイトルコールをし、東日本大震災後に生み出したナンバー「Ricky Punks III」で爆発的な盛り上がりを生み出した。横山は「楽しかったよ、ありがとう! 終わって家に帰るときに自分が何を思うかわからない。でも特別な一夜になったと思う。この場に来てくれてありがとう。『4Wheels 9Lives』に俺たちの音楽や背中を追いかけてくれてる人たちに感謝を伝える曲があるんだ。もう感謝を伝えないと、いついなくなるかわかんないからさ。いつまで生きてるのか、明日のこともわかんないから、ついすぐ口にする歳になっちゃたよ。でも本当にありがとう」と重ねてファンへの感謝を伝え、「While I'm Still Around」でライブを締めくくった。

Ken Yokoyama(撮影:岸田哲平)

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Ken Yokoyamaのライブでは通常、ほとんどアンコールがない。しかしアンコールを求める声に、彼らは再びステージに上がった。横山の「さすがに今日はアンコールやらせてもらおうかな」という言葉に喝采が起こり、オーディエンスに感謝の気持ちを込めて「I Love」を捧げた。横山は「思い残すことはないわ。遠くから来た人たちもいると思うから、気を付けて帰るんだぞ。俺たち、また必ず会うんだぜ!」と再会を約束し、ラストナンバー「You Are My Sunshine」でフィニッシュ。ライブハウスで汗だくになるカオスな盛り上がりとは違ったステージで、観客の胸を熱くさせたKen Bandの特別なライブが幕を下ろした。横山は深く頭を下げ、「楽しかったよ、気を付けてね!」と最後まで優しい言葉を観客に投げかけ、ステージをあとにした。

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Ken Yokoyama「DEAD AT MEGA CITY」2023年5月20日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)セットリスト

01. Dead At Budokan
02. Maybe Maybe
03. I'm Going Now, I Love You
04. 4Wheels 9Lives
05. Woh Oh
06. Running On The Winding Road
07. Whatcha Gonna Do
08. Let The Beat Carry On
09. How Many More Times
10. Helpless Romantic
11. Better Left Unsaid
12. I Won't Turn Off My Radio
13. Brand New Cadillac
14. Without You
15. THE SOUND OF SECRET MINDS
16. Believer
17. Still I Got To
18. Punk Rock Dream
19. Ricky Punks III
20. While I'm Still Around
<アンコール>
21. I Love
22. You Are My Sunshine

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※記事初出時、カメラマンクレジットに誤りがありました。お詫びして訂正します。

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デ ミ さ ん @Takenoco0803

この日東京にいたら申し込みたかった〜 https://t.co/oGdsI4bEFY

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