Creepy NutsとZORNがラップの“足腰”見せつけた「生業」ツーマン、テークエムもサプライズ登場

Creepy Nutsのツーマンツアー「Creepy Nuts 2Man Tour『生業』2020」が8月13日に東京・Zepp DiverCityでスタートした。

4月よりZORN、RHYMESTER、THA BLUE HERB、Hilcrhymeをゲストに招いて開催予定だったツーマンツアー。このうちZORNが出演する初日の東京・Zepp DiverCity公演のみ座席数を減らして実施されることとなり、来場者はソーシャルディスタンスを保ちながら、2組の競演を目に焼き付けた。また初日の様子はThumva、LINE LIVE-VIEWING、Streaming+を通じて中継され、会場に足を運べなかったファンも彼らのパフォーマンスを画面越しで楽しんだ。

最初にステージに姿を現したZORNは赤いスポットライトを浴びながら「Rep」で勢いよくライブをスタート。「No Pain No Gain」「カマす or Die」では不穏なサウンドに乗せて挑発的なリリックを放った。メロウな「Have A Good Time」「Don't Look Back」でそれまでのダークな雰囲気を一変させたあと、ZORNはしんとした会場を見渡し、「想像以上のカオスっぷりで困惑してるんですけど」とひと言。さらに、出演オファーをくれたCreepy Nutsや、来場してくれた観客に感謝の言葉を述べた。

ZORNは子供への愛を込めた「Letter」をまっすぐ届けたあと、我が子への思いを口に。「前は俺のラップを聴いてくれてたんだけど、今はKing & Princeに夢中で……」と嘆きながらも、笑みを浮かべていた。自身も客演で参加したAK-69の「If I Die」をエネルギッシュにパフォーマンスしたZORNは、センセーショナルなリリックがつづられた「かんおけ」を思いを吐き出すかのように披露。一息つくと、オーディエンスに「皆さん何して過ごされてますか？ 『梨泰院クラス』観てる人ー？」と話しかけ、頭を触りながら「パク・セロイにしてもらってるんで」とドラマの主人公を意識した髪型であることを明かした。しばらく観客に声をかけ続けるも、リアクションの薄さに違和感をおぼえたZORNは「わーって言っちゃダメって言われました？ 世知辛すぎるっす」ともどかしそうな様子を見せた。ライブを再開した彼は自身も客演で参加したAKLO「Count On Me」のあと、AKLO＋NORIKIYO「百千万」、AKLO「RGTO」をカバーし、日常の風景を想起させる「My Life」「My Love」を熱唱。「東京屈指の高級住宅街から来ました。その街の歌です」と胸を張り、ノスタルジックな「葛飾ラップソディー」「柴又の夕焼け」を続けた。そして最後の曲「All My Homies」で観客のハンドクラップが響き渡ると、「ありがとう。キンプリになった気分だわ」と声を弾ませ、充実した表情で舞台を去った。

ステージの転換後、それぞれの持ち場についたR-指定とDJ 松永。「よふかしのうた」でライブの幕を開けると、来場者に向けて「心の中で飛び跳ねてください」、画面の向こうの視聴者に「家で飛び跳ねてください」と煽り、ライブ定番曲「合法的トビ方ノススメ」でファンを沸かせた。アッパーチューン「スポットライト」ではR-指定の迫力あるラップとDJ 松永による華麗なスクラッチに触発され、座ったままの観客も手を上げて体を揺らした。

MCに入ると2人は「ZORNさん、カッコよかったな。最高だった」「ZORNさん観てたら韻って最高やと思った」とZORNのライブを絶賛し、さらにR-指定は「ZORNさんは同世代で、ラップの“足腰”が強い組なんですよ。ようはラップがうまいってことです。これからも、うまいラップはこういうもんだよと世間に突きつけてやりたいんですね」と熱弁。ZORNの魅力を大いに語ったのち、サプライズゲストのテークエム（梅田サイファー）を迎え入れ、先ほどの宣言通り「それじゃ無理」「トラボルタカスタム」でスキルフルなラップを見せつけた。そして「まだまだアガリ足りてへんな」というテークエムのひと言をきっかけに始まったのは「マジでハイ」。彼らは息の合ったかけ合いを繰り広げ、オーディエンスを圧倒した。テークエムが去ったあと、Creepy NutsはDJ RYOW「博徒2020」、AK-69「speedin'」といった客演曲を連発。「フリースタイルダンジョン」の初代モンスターと“ラスボス”般若が歌いつなぐ「MONSTER VISION」では、R-指定が般若のパートも歌唱し、ファンを大いに盛り上げた。

「ライブはどんな形でも楽しいな」と視線を交わした2人は、己を奮い立たせるように「未来予想図」を披露。R-指定は「どこまでいってもヒップホップをやって生きているから、地球がどんな状況であっても、一番いい形でライブを届けるのが俺らの課題やなと思いました」と語り、最後に彼らは「生業」で気迫あふれるパフォーマンスを見せつけ、拍手を浴びながらステージをあとにした。

初日公演の映像は8月21日23:59までアーカイブ公開中。RHYMESTER、THA BLUE HERB、Hilcrhymeのゲスト出演が予定されているツーマンツアーの残る3公演は延期となっている。