色とりどりのグミとのっちさん。

のっちはゲームがしたい! 第11回 [バックナンバー]

「テイルズ オブ アライズ」はプレイヤーに寄り添ってる?富澤Pにゲーム設計の理念を教えてもらいました

シリーズ恒例の“固有ジャンル名”やキャッチコピーを決める会議の裏側も公開

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みんなの質問、のっちが代わりに聞いてきますのコーナー!

のっち ここからは読者の皆さんからTwitterで募集した、富澤さんへの質問を聞いていきます。「初めて『テイルズ』に触れるときはどれから始めたらいいですか?」という質問をいくつかいただいてますね。

歴史あるテイルズオブシリーズに触れてみたいテイルズオブ初心者にお勧めのタイトルを幾つか紹介お願いします
超ライトゲーマーがテイルズシリーズをプレイするとしたら何がいいんでしょうか

富澤 オススメはあるんですけど、歴史が長いシリーズなので、現行ハードでプレイできないものが多いんですよね。我々はそれが課題だと思っていて。

のっち ぜひ移植お願いします!(笑)

富澤 多くの方がプレイできて、入り口としてオススメとなると、2019年にリマスターした「ヴェスペリア」ですね。自分がリマスターを手がけているので手前味噌ですが、シリーズの中でも屈指の名作と言っていただいているタイトルの1つです。

のっち 私は「アライズ」をオススメします!

富澤 それはもう言わずもがなで(笑)、ぜひ「アライズ」をプレイしてほしいのは前提なんですが、それ以外で入り口としてオススメなのは「ヴェスペリア」かなと。

のっち 確かに。「アライズ」がどう進化したのかを感じるためにも、どっちもプレイするのはよさそう。

富澤 初めて出たのは14年前ですけど、今遊んでもまったく遜色のない作品ですし、やりこみ要素がものすごくて、総プレイ時間は80時間くらいかかるんですよ。

のっち ひえー!(笑) 個人的には、「アビス」から入ったので、それ以前のタイトルを全然やれてなくて。最序盤のものが移植されたらうれしいですね。

富澤 わかりました、スタッフたちに伝えます(笑)。人気があるタイトルでも、昔のものは日本語版しか出ていないものが多いので、海外版を出して機会を広げたりもしたいんですよね。

のっち 次はキャラデザについての質問です。

TOARISEはいのまた先生、藤島先生ではない方がキャラクターデザインをされていますが、そこで意識したテイルズらしさを教えて頂きたいです!

富澤 「テイルズ オブ」シリーズのキャラクターデザインといえば、いのまたむつみさんと藤島康介さんをイメージされることが多いですが、以前からサブキャラクターのデザインは社内チームでやっていたんです。でも今回は「世界観に統一感を持たせて没入度を高めよう」という開発テーマがあったので、キャラクターを1人で描ききってもらい、さらにその人にアートディレクションも担当してもらいたかった。「アライズ」でアートディレクターとキャラクターデザインを担当している岩本稔くんは、実はもう10年以上前からチームの筆頭として藤島先生たちとセッションを重ねてきたんです。そういう意味もあって“テイルズらしさ”を会得している岩本くんにお願いするしかないということになったんです。“テイルズらしさ”と“新しさ”のに間で正解を見つけていく作業は苦労したと思いますが。

のっち 私が思う「テイルズらしいキャラデザ」って、例えば「この人たち、それぞれ全然違う世界から集まってきたんだろうな」というバックグラウンドが見た目で伝わるのもそうだと思います。

富澤 そうですね。パーティのメンバーはバラエティに富んでいる必要があるんですけど、一方でそれぞれの出自が想像できないくらい世界観がバラバラすぎてもいけないんですよ。今回は「ダナ」と「レナ」という2つの星の、それぞれの種族の混合パーティにすることで、その後のドラマを予感させるような作りにしました。キャラクターデザインについても、ダナとレナのそれぞれの持つ文化や、デザインパターン、色味などを細かい設定を考えて、そのルールに則りながら作るんです。

テイルズオブアライズは海外人気も高いですが海外のファンと日本のファンの違いを感じられた事はありますか? 心に残っているファンの感想等もあればぜひ教えてください。

富澤 人気が出るキャラクターデザインの違いはありますね。例えば海外ではキサラのような成熟した女性が圧倒的に人気だったりする。でも、キャラクターを愛する気持ちはどの国も本当に変わらないんですよ。異世界を体験して得られる気持ち、それに対するニーズというのは国が違っても関係ないんです。だから、世界に目を向けているからといって、下手に海外の好みに合わせない。僕らがブレたらたぶん「そうじゃない」って言われちゃうと思いますし、「日本発のキャラクター造形で日本発のドラマを作る」という根源はブレないようにしてますね。おかげさまで「テイルズ オブ」シリーズは、アジア、欧州、北米の売上が1対1対1くらいの比率なんです。

のっち へえええ!

富澤 日本と海外を比べると海外のほうが多かったりする。だから海外では海外のマーケッターとやり取りしながら、国によってプロモーションも変えてますし、今後はタイアップアーティストも国によって変えてみる、というチャレンジもあり得るのかもしれません。

のっち それ面白いですね。

富澤 イギリスはエド・シーランで、みたいな。夢はいくらでも言えますけどね(笑)。その際は日本はもちろんPerfumeさんでお願いします。

のっち よっしゃあ!(笑) 主題歌といえばこんな質問も来てます。

テイルズの主題歌は毎回豪華ですがアーティストの方を選ぶ際に意識していることはありますか? TOARISEの感覚ピエロ様、絢香様とっても最高でした!

のっち 「テイルズ」はオープニングアニメで主題歌が流れるところが最高なんですよね。

富澤 作品を象徴する主題歌を作っていただくために、どのアーティストに依頼するべきかを開発チームとプロデュースチームで考えるんですが、各作品とも、その後にシリーズの仲間として過去作とともに長く愛されることを目指して制作しています。だから時代に関係なく、いつプレイしていつ聴いても変わらぬ魅力のある楽曲、というものを各アーティスト様に依頼しています。

のっち 確かにそうだ。

富澤 「ただ楽曲を提供していただいて終わり」にはしたくないので、作品の世界観に寄り添っていただける余地を作れるように、歌詞には毎回リクエストを出させていただいています。開発チームの思いをしたためつつ、キーになるワードをアーティスト様にご提供して、ゲームが仕上がりつつあるタイミングになったら実際に遊んでいただいて。

のっち けっこうディープな関わり方をするんですね。

富澤 そうですね。かなり長期にわたってご協力いただく以上、作品が目指していることをあの手この手でお伝えするのは絶対に必要だと思っています。だから思い描いていたものを超えてくる楽曲をいただけることもよくありますし、あまりにいいと「もう1曲お願いします」ということもあるんです。「アライズ」でも、感覚ピエロさんに舞台公演のテーマソング「モノクロセンチメンタルビリーバー」を追加で書き下ろしていただきましたし。

のっち 絢香さんが歌う「Hello, Again~昔からある場所~」は、カバーですけど歌詞がストーリーに合ってますよね(参照:絢香「テイルズ オブ」新作のグランドテーマ曲を書き下ろし、劇中歌でMy Little Loverをカバー)。

富澤 「テイルズ」でカバー曲を主題歌にしたのは初めてなんですが、「テイルズ」が25周年だから25年前の曲にしようという思い付きから、1995年のヒット曲リストからストーリーに一番リンクしたものを選んだんです。ちょうど絢香さんにグランドテーマ「Blue Moon」を歌ってもらうことが決まっていたので、「新曲ももちろんお願いしたんですが、もう1曲カバーもお願いします」と熱烈にプッシュして。その世代の人にとって思い入れが強い曲ですし、かつ色褪せない魅力を今も持った曲なので、これを絢香さんに歌ってもらったら成功しかないだろうなって思ってました。

のっち あの曲が「アライズ」のCMで流れてきたときビックリしました。「絢香!?」って(笑)。

富澤 誰とでも同じ展開ができるとはもちろん思ってないですが、少しでもアーティスト様の思いとリンクしたタイアップができればといつも考えているので、ぜひ今回のご縁をきっかけにPerfumeさんともご相談ができたらうれしいですね。

のっち はい! じゃあ3人が主人公はどうですか!?

富澤 主人公にするのはさすがにハードルが高いかもしれませんが(笑)、「デジタル音楽を駆使する村人たち」というのはいいかもしれません。

のっち デジタル音楽を駆使する村人たち! ぜひお待ちしてます。

富澤 企画書を投げるのはタダですから。開発チームに「何言ってるんですか」って言われることもけっこうありますけど(笑)。ちなみに僕、これを家宝にしてるんですよ(ミュージックビデオ集「Perfume Clips」を取り出す)

左からのっちさん、富澤祐介さん。富澤さんが手にしているのは私物の「Perfume Clips」。

左からのっちさん、富澤祐介さん。富澤さんが手にしているのは私物の「Perfume Clips」。

のっち はははは、めっちゃうれしい(笑)。これ、ちょっと前に出したやつですよね?

富澤 2014年発売ですね。

のっち えっ! もう8年も経つんですか? うっわ、つい最近出したばっかりのような気がしてたんですけど(笑)。

富澤 僕はゲームプロデュースの仕事を始めて18年くらいなんですけど、Perfumeさんのことはメジャーデビューくらいの頃から好きで、いろんなゲームを作るときに毎回“タイアップをお願いしたいリスト”に入れてたんですよ。でもなかなかお声がけできなくて、「いつか機会が来るはず」ってずっと信じてました。同じバンダイナムコのスパロボ(ニンテンドーDS用ソフト「無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ」)がPerfumeさんをタイアップしたとき、「俺がお願いしたかったのに!」って悔しくて(笑)。

のっち えっ! 仕事ください! 「ゲームの曲やりたいね」って中田(ヤスタカ)さんとも言ってたんですよ!

富澤 ゲームのタイアップってそんなにないですか?

のっち ないですねえ。私もどこかに食い込めないかって思ってるんですけど(笑)。

富澤 どう考えても相性がいいのに。お声がけをためらってしまった僕みたいな人間が、たぶんゲーム業界にはいると思いますよ。

のっち でも「テイルズ」のテーマ曲は、ロック調の歌モノっていうイメージがあります。

富澤 確かに今までは歌がメインの曲が多くて、あまりテクノミュージックは選んできませんでしたが、個人的にはもっと自由な発想で音楽と作品世界のイメージを広げていきたいと思っていますよ。

のっち じゃあやっぱり3人を主人公で!(笑)

のっちさんの自撮りで記念撮影。

のっちさんの自撮りで記念撮影。

のっちさんの取材後記

こんにちは、最近めーっちゃゆっくりしてました。のっちです。


あの、私のスケジュールは滅茶苦茶「緩急」ハッキリくっきりでして。

ゲームが大好きなんだけど「急」の時期には睡眠を優先しちゃうので、どうしてもゲームに手が伸びません。
かといって、ただの「緩」でも手が伸びず。
本当に時間と精神に余裕のある「真の緩」になってやっと、ゲームを最大に楽しむ心構えが出来るのです。

最近はその「真の緩」でした。いぇす!

「うぇ~い! 今日も明日も休みだぜ!! マ~ジで何もしねえ! 明後日からゲームしよ~」
と、やっとゲームに手が伸びました。100%楽しみたいのです!!


そんな「真の緩」の間にプレイしたゲームが「ゼルダの伝説 スカイウォードソード HD」です!
長いゼルダシリーズの歴史の、始まりの物語だそう。
10年前にWiiで発売された作品のリメイクで、Nintendo Switchで遊びました。

Joy-Conを両手に握って、左手は盾、右手は剣。主人公リンクになりきって実際にコントローラーを振ると、画面の中のリンクが、私を同じ動きで盾を構え、剣を振り、敵を倒してくれます。

攻撃が当たった時のコントローラーの震えと、可愛く気持ちのいい効果音で、気分は勇者! 爽快! ストーリーを追うごとに増えていく色んなアイテムを使って、謎を解きながら進めていくのもとっても楽しい! 大きな宿命を背負った幼なじみの少女ゼルダを救うストーリーも最高に涙!!なのです。
……なの、ですが。


疲れる。


疲れるの。


持たないの。体力が!!!
33歳、剣を振り回すのなんて1時間が限界!!

悲しいよ。

右手の前腕だけ筋肉痛だよ。

でも本当に楽しかった。おすすめ。
遊び終えるまで知らなかったんだけど、ボタン操作にも切り替えられるらしいから。
是非体力のある内に遊んでお願い。



さて。今回は「テイルズ オブ」シリーズのIP総合プロデューサー富澤祐介さんに「テイルズ オブ アライズ」のお話を伺いました。

制作の貴重な資料とお話とっても面白かったです! 目キラキラで聞いてしまいました!!


「テイルズ オブ アライズ」トップクラスに好きなお話のテーマでした。

寄り道が楽しいのと、レベルを上げる戦闘や道中も楽しくて、時間をかけて遊びました。

結果、寄り道する程、色んな人と出会って、話をして助けるほど面白い。みんなが主人公でした。

シオンとアルフェンのやり取りが関係が切なくて、シオンの痛みがアルフェンを伝ってコントローラーの震えを伝って私に届くたび、涙が出ました。

是非これから遊ぶ方には、ゆっくりキャラクター達と旅をしてほしいです。ニッコリ。

過去作のリメイクもいい子で待ってます。ハート。

富澤さん、バンダイナムコさんお邪魔しました! ありがとうございました!


そして、次回はモンハンですよ!
「モンスターハンター」シリーズプロデューサーの辻本良三さんに会いにゆきます。
私のしょっぱいモンハン歴の中でも今作のライズがいっちゃん楽しく遊べてます!!
どんなお話きけるでしょかあ~。
皆様からの質問も楽しみにしています! ではまた~。

色とりどりのグミとのっちさん。

色とりどりのグミとのっちさん。

次回予告

RPG好きとしての自分の原点である「テイルズ オブ」シリーズについて話を聞きつつ、次作でのPerfumeのテーマ曲タイアップをしっかりとアピールしたのっちさん。次回はカプコン「モンスターハンター」シリーズのプロデューサー・辻本良三さんに、「モンスターハンターライズ」の超大型拡張コンテンツとして6月30日に発売予定の「モンスターハンターライズ:サンブレイク」などのお話を伺う予定です。

この連載では、訪問相手に聞いてみたいことをTwitterで募集中。ハッシュタグ「#のっちはゲームがしたい」を付けてツイートされた辻本さんへの質問を、のっちさんが代わりに聞いてくれるかもしれません。ぜひ質問をツイートしてください。

※募集期限は6月15日(水)まで。1つのツイートに書き込む質問は1つだけにするようにお願いいたします。

Perfume最新情報

Perfumeは約4年ぶりのオリジナルアルバム「PLASMA」を7月27日にリリース。このアルバムを携え、8月から11月にかけて全国9都市を巡るアリーナツアー「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」を開催します。

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読者の反応

Perfume_Staff @Perfume_Staff

「のっちはゲームがしたい!」連載第11回が公開✨
今回はバンダイナムコエンターテインメントを訪問。「テイルズオブ」シリーズIP総合プロデューサーの富澤祐介さんにお会いしてきました。のっちがRPGにハマったきっかけになった「テイルズ オブ ジ アビス」の話も!
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