アジカン主催「NANO-MUGEN」で洋邦豪華13組が競演

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ASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催するフェスティバル「ASIAN KUNG-FU GENERATION presents NANO-MUGEN FES.2009」が7月19日・20日に横浜アリーナで開催された。

20日のステージで「こういう空気がアリーナから漏れ出して、もうちょっと(世の中の)空気が良くなるといいね」と語った後藤。フェスの楽しさをさまざまな人に知ってもらいたいという思いが込められた2日間となった(PHOTO by TEPPEI)。

20日のステージで「こういう空気がアリーナから漏れ出して、もうちょっと(世の中の)空気が良くなるといいね」と語った後藤。フェスの楽しさをさまざまな人に知ってもらいたいという思いが込められた2日間となった(PHOTO by TEPPEI)。

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19日、ストレイテナーのステージに登場したアジカン後藤は「ゴッチレイテナーです」と挨拶(PHOTO by TEPPEI)。

19日、ストレイテナーのステージに登場したアジカン後藤は「ゴッチレイテナーです」と挨拶(PHOTO by TEPPEI)。

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今年で8回目を迎えたNANO-MUGEN FES.は、昨年から引き続き横浜アリーナで2日間実施。開催直前にメインアクトの1組であるMANIC STREET PREACHERSが出演をキャンセルするアクシデントもあったが、2日とも大盛況となった。

初日トリのストレイテナーに後藤正文が飛び入り出演

初日のトップバッターを飾ったのは、NANO-MUGEN FES.初出演となるOGRE YOU ASSHOLE。「コインランドリー」から軽快にライブをスタートさせ、いきなり独自の世界観を展開していった。出戸学(G,Vo)はMCで「ひとつのバンドが、好きな海外のバンドを自分のフェスに呼ぶというのは、夢だと思うんですよね。いつかは自分たちもやってみたいです」と、NANO-MUGEN FES.のコンセプトを賞賛。その後もアリーナやスタンドにたくさん集まった観客を前に、マイペースなパフォーマンスを披露した。

続いてバンドステージBに登場したのは、OGRE YOU ASSHOLEと同じく今年初出演を果たした清竜人。デビューシングル「Morning Sun」を筆頭に、ギターやピアノの弾き語りでみずみずしいメロディを届けてくれた。ライブ中はMCらしいMCはなかったものの、5曲演奏を終えたところで突然「今のが最後の曲だったんですけど」と言って、観客を笑わせた。

MANICSの出演キャンセルはあったものの、それでも今年の海外勢は個性派揃い。今回が初来日となるNADA SURFはときにパワフル、ときに繊細なギターポップサウンドを聴かせ、HARD-FIは新曲を含むダンサブルな選曲でフロアを沸かせた。またベン・フォールズはそのエバーグリーンな楽曲だけでなく、観客とのコール&レスポンスも取り混ぜ、海外勢の続いた客席をリラックスさせていった。

ベン・フォールズがステージを去ると、こちらも今年初出演となるthe HIATUSが登場。アリーナの各ブロックには入場規制がかかり、座席エリア後方には立ち見客まで出るほどの盛況ぶりとなった。ライブでは百戦錬磨のバンドメンバーたちによる、とても新人バンドとは思えない迫力あるパフォーマンスで、会場中のファンを魅了した。

本来ならこの後にMANIC STREET PREACHERSが出演するはずだったが、改めてアジカンの後藤正文(Vo,G)と喜多建介(G,Vo)が事情を説明。後藤は「数年前から交渉をしてきたけど残念」と、今回の急なトラブルについて悔しがった。そして「ここでただ出ませんというだけではこのフェスの趣旨に反するので、彼らのライブ映像を観てほしい」と言って、1999年末にカーディフで行われたカウントダウンライブから「Everything Must Go」「Motorcycle Emptiness」「A Design For Life」のライブ映像を上映。会場にはライブ映像を食い入るように観続けるファンの姿も多く見受けられ、上映後にはスクリーンに向かってあたたかい拍手が贈られた。

続いて、2年連続出場を果たしたTHE YOUNG PUNX!が、エンターテインメント性の高いパフォーマンスを披露。アジカン「アンダースタンド」の英語カバー「Rock Star」からスタートしたライブに、フロアの観客も笑顔で応えた。

いよいよ、この日のメインアクトのひとつ、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの出番だ。THE STONE ROSES「Driving South」が流れる中登場した4人は、インストゥルメンタル曲によるセッションからオープニングナンバー「夜のコール」に突入。後藤の「Oh Yeah!」の掛け声に観客も呼応し、最高の盛り上がりをみせた。MCでは潤んだ瞳の後藤が「本当に感動しているんですよ、終始(会場の)空気が良くて。ありがとうしか言う言葉が見つからない」と感謝の言葉をファンに告げ、携帯サイトで集った演奏してほしい曲1位に選ばれた「絵画教室」を熱唱。これまでライブで一度も演奏されてこなかったレア曲だけに、客席からも悲鳴に近い喜びの声が上がった。

ライブ後半では、再び後藤が「やっぱり、MANICSが出れなくなったのが本当にショックで」と本音を告白。さらに「さっき(MANICSの)ビデオが終わった後にみんなが拍手してたのを観て、いいなと思った。勝手に感極まってるけど、本当にこういうフェスにしたかったからすごくうれしい」と、喜びを語った。このMANICSキャンセルを受け、アジカンは予定より多くの楽曲を演奏。「リライト」「君という花」という代表曲を歌い終えた後に、「ここからは増やした分です」と言って「Re:Re:」「ワールド ワールド ワールド」「新しい世界」を披露し、最高の盛り上がりの中ライブは終了した。

ついに初日のヘッドライナー、ストレイテナーがステージに登場。4人編成となって初のフェス出演となる今回は、ニューアルバム「Nexus」とまもなくリリースされるシングル「CLONE / DONKEY BOOGIE DODO」からの楽曲を中心に、“今のストレイテナー”を強烈にアピールした。MCではホリエアツシ(Vo,G)が「ゴッチから去年、『来年トリをやってもらうから』と言われた」ことを告白。ついに実現したNANO-MUGEN FES.でのヘッドライナーに、感激している様子だった。

彼らのライブは、「Little Miss Weekend」「TRAIN」「クラッシュ」と勢いあるナンバーで終了。しかし会場からは、アンコールを求める手拍子が鳴り響く。しばらくしてステージに戻ってきたのは、ストレイテナーの4人とアジカンの4人。後藤はキーボードの前に構え、ストレイテナーの4人と「KILLER TUNE」をセッションし始めた。後藤は2コーラス目でボーカルも務め、ファンから大喝采を浴びた。曲を終えると、サンプリング音が鳴るパッドをナカヤマシンペイ(Dr)や日向秀和(B)も面白がって叩くなどのカオス状態を経て、約9時間にわたるフェス初日が終了した。

2日目の敵はドラクエ?「フェスに来てまでやるなんて」

2日目の20日。オープニングの恒例行事、アジカン山田貴洋(B)と伊地知潔(Dr)による挨拶では、伊地知がニンテンドーDSを掲げながら「この会場に来てまでドラクエをやってるやつがいます!何人かすれ違いました」と、“すれ違い通信”で来場者との交信があったことを明かす。それに山田が「まあ、あなたもやってたわけですよね(笑)」と冷静に突っ込み、2日目の幕が開いた。

この日はMANICSの出演キャンセルを受け、オープニングアクトに予定されていたFARRAHが予定を繰り下げトップバッターとして登場。ジェズ・アシャースト(Vo,G)とミシェル・マルゲリータ(B)がアコースティックセットでライブを展開した。日本語を交えたMCで観客を盛り上げ、2日目の場内を温かく盛り上げていく。

続くサカナクションのライブを前に、早くもアリーナ最前ブロックには入場規制がかかる。「Ame(B)」が鳴り響く中5人がステージに登場し、「ライトダンス」「ネイティブダンサー」とアッパーな四つ打ちチューンを次々と披露。アリーナ席だけでなくスタンド席でも多くの観客が飛びはねて踊り、彼らの繰り出す華麗なリズムと場内を染めるライトやレーザーに酔いしれていく。

演奏の軽やかさとは裏腹に、MCでの山口一郎(Vo,G)は緊張気味。「NANO-MUGEN FES.に出演さしていただだいて……」と緊張で声を詰まらせつつ、「感謝感激、緊張、ドラクエ的に言えばいい経験値をいただいて(笑)ありがとうございます」と出演の喜びを語る。ラストは「ナイトフィッシングイズグッド」の壮大なサウンドで会場を盛り上げ、場内の温度を一気に急上昇させた。

続く洋楽勢、NADA SURFとTHE YOUNG PUNX!も初日以上にパワフルなパフォーマンスで観客を圧倒。アーティストとオーディエンスがお互いの呼吸をつかんだような、コミュニケーションを感じさせるステージが続いた。

国内勢2組目として登場したユニコーンは、代表曲や名曲を惜しげもなく演奏。ベテランならではの圧巻のパフォーマンスを見せつけた。

転換中の場内では、次のアクトを待つオーディエンスの姿がスクリーンに映し出される。そんな中、DSでゲームにふける観客やVIP席でDSを手にした伊地知の姿、さらに「ドラクエやめて!」と書いたスケッチブックを持った後藤の姿が大写しになると、場内は大爆笑に包まれた。

前日同様、オーディエンスにコーラスさせるパフォーマンスで場内をひとつにしたベン・フォールズのライブの後、こちらも初出演となるスピッツがステージへ。ヒットチューン満載のステージを披露し、感動的な雰囲気で場内を包み込んだ。

HARD-FIのパワフルなステージの後、この日のトリを務めるアジカンのライブが始まる。オープニングセッションから続けて「夜のコール」がスタートすると、満員のアリーナ席とスタンド席から大きな歓声が沸き起こった。さらに「稲村ヶ崎ジェーン」の跳ねたイントロが始まり、オーディエンスは一段と盛り上がる。その後は「リライト」「羅針盤」と初期の名曲を立て続けに披露し、彼らのまた違った一面を見せた。

「今日もたくさんの人が来てくれてうれしいです。年々いいフェスになってきたと思っていた矢先にMANICSがキャンセルになってしまい、本当に残念です」と、前日に続いてまだ後藤は残念そう。その思いを振り切るかのように、「夏の日、残像」「藤沢ルーザー」「遥か彼方」と、4人それぞれが気合の入りまくった演奏を展開。ヘッドライナー欠場の穴を埋めるような、迫真のパフォーマンスで観客を圧倒する。

「音楽をやれて本当にうれしいです。願わくばいろんなジャンルの垣根がぶっ壊れて、みんなが音楽を音楽として楽しんでくれればと思っています。そのためにこのフェスを続けていきます」という後藤の言葉に、会場全体から大きな拍手が起こる。そしてライブはいよいよ後半戦に。「惑星」「Re:Re:」「アンダースタンド」「君という花」と、フェスらしい盛り上げ曲が怒涛のように続き、アリーナもスタンドも全員が力いっぱい腕を挙げて応える。本編ラストは「転がる岩、君に朝が降る」。音楽の楽しさをたくさんの人々に伝えたいというこのフェスの願いを込めるように「出来れば世界を僕は塗り変えたい」という歌詞が横浜アリーナに響き渡った。

アンコールの声に応えてステージに戻ってきた4人。後藤は「フェスに来てまでドラクエをやっている人がいるんだ……カルチャーショックです。まあメンバーでやってるヤツがいるんだもんな(笑)。次回の目標は『ドラクエに負けない』にします」と冗談交じりで話し、次回に向けた新たな誓いを立てていた。

アンコールで披露された曲は「ループ&ループ」「ワールド ワールド ワールド」「新しい世界」。「フェスの後は新しいアルバムのレコーディングに入ります」と宣言したアジカンの、バンドや音楽シーン全体に対する力強い姿勢を改めて感じさせる、充実の2日間が終了した。

なお、このフェスティバルの模様は8月22日・23日の両日、スペースシャワーTVにてオンエア予定。参加できなかった人はこの放送でライブを楽しもう。

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音楽ナタリー @natalie_mu

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