「四月大歌舞伎」開幕、仁左衛門＆玉三郎が再びおしどり夫婦に「ぢいさんばあさん」

「四月大歌舞伎」が、昨日4月2日に東京・歌舞伎座で開幕した。

第1部「通し狂言 天一坊大岡政談」では、徳川吉宗の落胤になりすまし悪事を重ねる天一坊と、その仲間で才知に長けた伊賀亮、2人を裁く名奉行・大岡越前守の緊迫感あふれる対峙が描かれる。大岡越前守を尾上松緑、天一坊を市川猿之助、伊賀亮を片岡愛之助が勤め、丁々発止のやり取りで魅せた。

第2部には、「江戸絵両国八景 荒川の佐吉」と、「義経千本桜」より所作事「時鳥花有里」がラインナップされた。真山青果の作、真山美保の演出、齋藤雅文の補綴・演出による「荒川の佐吉」は、大工からやくざに転身した佐吉が、ひょんなことから盲目の子供・卯之吉を男手1つで育てることになる物語。佐吉役を松本幸四郎、佐吉の親分の縄張りを奪った浪人・成川郷右衛門役を中村梅玉、佐吉の友人・大工辰五郎役を尾上右近、佐吉の大親分・相模屋政五郎役を松本白鸚が演じる。「時鳥花有里」には、源義経役で梅玉、鷲尾三郎役で中村鴈治郎、傀儡師輝吉役で中村又五郎、白拍子三芳野役で中村扇雀が出演し、華やかな舞を披露した。

第3部では、片岡仁左衛門と坂東玉三郎による「ぢいさんばあさん」、玉三郎、中村福之助、中村歌之助による舞踊「お祭り」が上演された。「ぢいさんばあさん」は森鷗外の短編小説をもとに、宇野信夫が作・演出を手がけた作品。とある事件をきっかけに離れ離れになった1組の夫婦、美濃部伊織（仁左衛門）とその妻るん（玉三郎）が、37年後に再会するまでの物語が展開する。同役での共演は約12年ぶり、5度目となる仁左衛門と玉三郎は、物語の前半では、仲睦まじいおしどり夫婦の愛らしいやり取りで観客を魅了。後半の再会の場面では、息の合ったセリフの応酬で、長い年月が経っても変わらない夫婦愛を表現した。ラストとなる舞踊「お祭り」では、玉三郎扮する芸者が、清元の音色に合わせ舞い踊り、祭りで浮き立つ江戸・赤坂の様子を表した。

公演は4月27日まで。